誰かの思いやりが、誰かを破滅させる事だってあるんだよ。
あれから2ヶ月ほどがたった。
ジルの記憶が戻ってから…まぁ、かなりバタバタした。
アクアとルビーが私と同じような質問をして、同じような反応をして歓喜の涙を流して。
私はしばらく休みを貰って、毎日の様にジルのお見舞いに行って、話し相手になったり、ジルのリハビリに付き合ったり。
アクアやルビーも合間を縫ってはちょくちょくお見舞いに来て、三人で色々お話をしたり。
その時間は、私の中で唯一安心できる癒しの時だった。
リハビリの成果もあり、徐々にジルも回復して行ってるし……何もかも順調!
……なんだけど………。
「ジル!今日も………む…」
「……そうそう、で、こっちがこうなって、Xをこっちに持ってきて……こう。」
「なるほど。……やっぱ先生頭いいっすね、流石国立の医学部出身」
「…全然そんなことないよ、私は知ってる事を教えてるだけ。」
……そう、ジルの主治医たる女ぎつ……黒咲先生。
前々からジルのリハビリも手伝ってもらってて、もう凄い助かってるんだけど……最近、ちょっと距離が近くない?
いや確かに悪い人じゃないし、いい人だって言うのも知ってるけどさぁ! 何その打ち解けような距離感!
もう医者と患者の距離じゃないよね!?
……いや、別に? ジルのリハビリに黒咲先生が協力してくれるから助かってるのは本当だけどさぁ。
……でも、なんか……こう、ねぇ……?
「先生、ここちょっと分からないんだけど……」
「…ん、ここはね……まずこの数列を……」
「……なるほど」
「……あ、ジル君、良かったらこれ飲む?さっきいっぱい買っちゃったからさ。」
「お、あまおうミルクじゃないすか!ありがとうございます!」
(近い!距離が近い!!)
もう肩が触れ合いそうですけど!?
明らかに医者と患者の距離感じゃなくない?
「ジル、今日の調子はどう?」
色々とモヤモヤしつつ、それでもそれを表に出さないよう気を付けながらジルに声をかける。
「…ああ、おはようアイ。…んーまぁぼちぼちってとこかな」
「そっか……ん、これ今日のお土産!撮影で京都いってたから和菓子いっぱい買ってきたよ!一緒に食べよう?」
……ジルは甘いものが大好きだから、きっとこれで喜んでくれるはず!
「お、まじ?最近味覚戻ってから甘いものがとにかく恋しいんだよね〜」
「…ジル君、あまり食べ過ぎると夕食が入らなくなるよ?」
「それぐらい分かってますって。」
「……だといいけど」
「そんなこと言っていいんすか〜?先生もかなり甘党だって噂、実は知ってるんすからね〜?」
「うっ……そ、それとこれとは話が別でしょ?私は食べ過ぎると糖質の摂りすぎになるし、夕食も入らないよって言ってるだけで…」
「はいはい、じゃあ早く消化できるように早く食べまーす」
「だからそういう事じゃ……」
……私、なんでこんなにイライラしてるんだろ。別にジルと黒咲先生が何話してようが、先生とジルが仲良くなろうが私には関係ないのに。
……でも、やっぱりモヤモヤする。
「……さん、星野さん」
「っ!え、あ……はい。」
「……お疲れの所申し訳ありませんが、少々お話が……」
私がそんな思考の渦に飲み込まれていると、黒咲先生が小声で私に話しかけてくる。
「……分かりました、場所を移してもらってもいいですか?」
私がそう促すと、黒咲先生は静かに首肯したので、私達は、和菓子を食べまくっているジルの病室を後にした。
「……それで、話と言うのは何ですか?……もしかして、ジルの後遺症が悪化をっ?」
黒咲先生の後に付いて行きながら、私は静かにそう質問する。
「いえ、それは全くもって心配する事はないですよ。リハビリも順調ですし、最終的には日常生活に困らない程度には回復すると見込んでいます。」
黒咲先生からのその答えを聞いて、私は少し……いや、かなりほっとする。
「……じゃあ、尚更話と言うのは何ですか?」
だけど、その話じゃなければ、特に思い当たるような節はない。
……いや、もしかすると私がお見舞いに来すぎーみたいなお説教だろうか。
……なるほど、それならあり得るかもね。
さすがに、週五でお見舞いに行くのはちょっとやりすぎだったかな……?
「……星野さん、単刀直入に申し上げます。」
そこで黒咲先生が足を止め、こちらに向き直る。
……その顔は真剣そのものだ。
「は、はい……」
これからお説教でもされるのだろうか、と私が身構えていると。
「……星野さん、これ以上ジル君のお見舞いに来るのは辞めてください。」
「…………は……ぇ…?」
意味のわからない事を言われた。
正直な話なんでこの作品がこんなに評価されてるか、作者なのに全然分かんない。
誰か教えて
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