前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
聖導教会本山へ礼拝しに来ただけなのに、知らない情報が沢山出てきて混乱してしまった後、良い時間になったのでシュラーリヴに抱えられたまま食堂の方へ行くと、仕事を終えた母とレイヴン、祖父ハインツにレイヴンの妻である叔母ハイデマリーが談笑していて、順番にバトンの様に抱き上げられた
久しぶりに会えて嬉しいのは分かるけど、僕は16歳になったんだよ? おじいちゃん、おばさん・・・と言って辞めてくれる訳も無かった
そんな訳で文字通り全身で歓迎された翌朝、僕はしっかりと支度をしてリタが運転する車に揺られ聖導教会本山へと向かい、入り口前の大階段前で下車して、相変わらずデカい教会の建物を眺める
「相変わらずデッカいなぁ」
「信徒の宿舎や教会騎士の育成機関に訓練所も併設されているもの、他国の王城2つ分ぐらいの建物面積はあるわね、まぁ街全てが教会の敷地といえば敷地ではあるのだけれど」
「そうだね、門を超えてから通りにいる人は法衣を着てる人しかいないしね?」
運転手として同行してきたリタを除き、僕も母も
「では、アルエット様、カナリア様、
「えぇ、ありがとうリタ。ご苦労様」
「ありがとうございますリタさん、よろしくお願いします」
リタの言葉に返答すると、彼女は恭しく頭を下げて車へ乗り込み去って行った
若いのに、仕事が出来る女性って感じでカッコいいな
「よし、頑張って登ろう」
「ふふ、そうね」
僕は、いつもの丈が短い聖女フォームだから特に階段とか平気だけど、母の法衣は結構裾とか長いから大丈夫なんだろうか?
まぁ大丈夫なんだろうけど、着慣れてるだろうし
僕が着たら裾とか汚しまくる自信しかない
そこそこ長い階段をゆっくりしっかり踏み締めて登り、大聖堂の大扉の左右に控える門兵?守衛?の教会騎士に挨拶をして中へ入ると、何故か僕と母以外の信者が居らず不思議に思いつつ、相変わらず中性的でジェンダーフリーなイオン様の御神体の前に辿り着き見上げる
「・・・ここまで来るのは初めて」
「そういえばそうね、貴女に洗礼したのは日本の支部でだったし」
「ここにきて知らない情報を増やさないで欲しいよ? お母さん」
「あら、ごめんなさいね?」
僕の呟きに母が新情報を投げ付けて来たのでクレームを入れるが、全く響いた様子も無い
「それじゃぁ・・・お願いね?」
「えぇ、任せてちょうだい」
深呼吸をして母へお願いすると、内容を理解している様で微笑み頷くのが見えたので、僕はイオン様の御神体の前に膝を折って祈りの体勢を取り目を瞑り祈る
すると直ぐに意識が遠退き母に抱き抱えられる感覚と共に意識が暗転し、気がつくと いつもの図書室で、イオン様は優しい微笑みを浮かべ 近侍らしき人を伴い立っていた
なので僕は直ぐに座って居た椅子から立ち上がり、イオン様の前に傅き頭を下げる
それはそうと 近侍(仮)の人、法衣を着ているけどフードを深く被っていて凄く怪しいって言うか、性別すら分からない
イオン様が伴っているから、悪い人では無いとは思うけれど、物凄く怪しい
「あぁカナリアさん、頭を上げてください」
「ありがとうございます、イオン様」
「いえいえ」
イオン様に頭を上げる様に言われたので、傅いたまま頭を上げイオン様を見上げると
「貴女はヴェスタには椅子に座ったままで挨拶したのに、私には最敬礼を取るのですね?」
「それはそうですよ、僕は血筋的にも心理的にも聖導教会寄りですし」
「なるほど、一理ありますね」
イオン様は僕の行いを苦笑して尋ねてきたが、僕の返答で納得した様子で頷く、そして近侍(仮)は声には出していないが肩が震えていたので、どうやら笑っているようだった
笑う程の事なんだろうか?