前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信   作:銭湯妖精 島風

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2. 始まりの事件 1

 

 

西暦20**年、未曾有の大災害 統合騒乱の傷跡も少なくなった年度末を控えた今日この頃 雪がチラつく日の事、僕・・・五月七日(つゆり) カナリアは寒さに震えながら高校受験会場からの帰路を歩く

 

 

「今朝の予報だと晴れて少し気温上がる筈だったんだけどなぁ」

 

 

少々寒さに弱い僕のアテが外れてしまい、少し悪態を付きつつ疎らに降る雪と空を見上げて軽く睨む、まぁ睨んだ所で何も好転しないのだけれど

 

 

溜め息を吐き、無意味な事を止め視線を地面に戻すとガラス扉がマジックミラーになっている お店で、学校指定のダッフルコートにマフラーをした少々不機嫌そうな金髪碧眼の少女が僕を見つめ返している

 

まぁ僕なんだけどね、うん

 

 

マジックミラーに映った自分の姿を見て思う、どう見ても日本人には見えない、と

 

 

今の日本では珍しくもない存在である僕は、実はハーフだったりする。それも異世界人との、だ

 

 

日本人の父とベルカ人の母の元に産まれた僕は見事、ベルカ人寄りの見た目になった訳だ、美人の母には感謝しないとね? おかげで僕は美少女の部類の容姿をしている訳だし

 

 

 

いい加減、寒くて限界だったのでダッフルコートのポケットから財布を取り出し自販機で暖かい物を買おうとした瞬間、地面・・・否、空間自体が揺れる

 

 

「・・・次元震!? 警報はなかったのに」

 

 

周りを見渡し落下物や倒れそうな物が無いか確認してから道路の真ん中に移動し膝を着いて揺れが治るのを待っていると、10mぐらい離れた空間がひび割れて行き黒いナニカが染み出し壁の様な形をなしていく

 

 

「・・・はぁ」

 

 

揺れが収まり、けたたましい警告音を響かせるスマホをポケットから取り出して確認すると、ダンジョン出現警報と書いてあり、僕は脱力して空を仰ぐと黒いナニカにより覆われていて、僕は生えたダンジョンに巻き込まれた事を確信する

 

 

稀に有るのだ、こうゆう突発的かつ不規則的にダンジョンが生える事が

 

そして黒いナニカは触れると継続ダメージを与えるヤバい代物なので触らないようにしないといけない

 

「受験後の帰路だった事は、不幸中の幸いかな? 」

 

 

とりあえず電気は通ったままの様なので、あったかいココアを自販機で購入し飲みながら どうするか考える

 

 

選択肢は2つ、この場で救助を待つか、移動し自力で脱出するか、だ

 

 

両方メリット・デメリットが存在する、通常の遭難であれば動かない方が良い可能性もあるが、此処はダンジョンであり、異界の生物が居るので座するのも相応のリスクがある

 

 

まぁそれは動いても同じだけれど、母 の教えでは迷ったらとりあえず動け、なので救助を待つより、僕と同じ様に巻き込まれた人が居るかも知れない、なら合流した方が良い

 

 

「本当、備えておくものだね。僕は攻撃魔法使えないし」

 

 

肩から下げていた鞄から投石紐を取り出し異常が無いか確認する

 

 

日本と言う国は元々魔法の無い国であり、危険物の取り扱いや所持にかなり厳しい制限を設けている、ダンジョンが生える時代になっても厳格な法は存在し続け、護身用の得物を選ぶのも一苦労する

 

 

僕の様に小柄で非力な子供であってもダンジョン内で護身出来る得物、それが投石紐だ

 

 

仮に僕が自身の手で全力投球した缶コーヒー1本で大人の男性が怯む程度の威力が出せるし、缶コーヒーならば自販機から入手可能で即応力も高い

 

 

「投石紐を使用すれば、小型ならば殺傷も可能、最低でも負傷させて後退の時間稼ぎが出来る」

 

 

そんな訳で缶コーヒーを非常用に持っていた小銭を使い10本程買い、鞄に入れ左手に投石紐、右手に缶コーヒーを持ち周りを警戒しながら黒いナニカから遠ざかる様に進む

 

 

「本当、こういう時に攻撃魔法が使えたら頼もしいんだけどね」

 

 

周りの音に聞き耳を立てつつ呟く

 

 

日本人とベルカ人のハーフである僕だが、容姿は母、性質は父から受け継いだ様で、僕には魔法適性が無かった

 

 

ちなみに僕には兄が3人居るのだが、3人ともに魔法適性を持っていて少し羨ましい

 

 

その代わりに、護身術と護身用の投石紐を教えてくれたのだけれど

 

 

 

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