前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
シャルロットの出方を伺いつつ、緊張で乾く喉を出された紅茶で潤す。美味しい
「貴女達をヘンリに頼んで呼び出したのは、視えてしまったからよ。貴女達・・・いえ、カナリアちゃん 貴女が若宮ダンジョン深層で強敵と死闘をするのが」
「視える? 死闘? どう言う事でしょうか?」
真面目な表情のままシャルロットが、そんな事を口にして僕は少し困惑してしまい、彼女へ尋ね返すと
「カナリア、母様はね 星詠みで未来予知が出来るんだよ」
「絶対必中では無いけれど、高い確率で当たる未来を断片的に視る事が出来るの、望む望まない限らずに、ね?」
「星詠み・・・超超希少スキルですね」
星詠みは、超超希少スキルの1つであり、保有者は未来を予知出来るので、選択を間違わなければ保有しているだけで一生安泰な生活が出来るぐらいの価値の高いスキルだ
未来は確定ではないが、星詠みで視えた未来の断片は覆す努力をしない限りは訪れる
良い未来なら何もしなければ良いし、悪い未来なら覆す様に努力すれば良い訳だ
さて、シャルロットが星詠みのチカラを有している事は分かった、けれど僕がダンジョン深層で強敵と死闘する程度の事で、わざわざ僕達を呼び出して話す必要は無い筈だ
なぜなら、ダンジョンは潜れば潜る程にモンスターが強力になり罠も嫌らしく巧妙になっていくのだから、いずれ僕が苦戦する敵に遭遇するなんて、至極当たり前の事なので わざわざ僕へ忠告するのは無駄だと思う
なら、普通じゃない敵なのか?
「ダンジョン探索者である貴女を呼び出して伝える内容が、いずれ訪れる強敵との遭遇…なんてありきたりの内容な訳がないの、その強敵が問題なのよ。下手をしなくても、その先へ誰も行けなくなってしまうのだもの」
「それほどの強敵なのですか?」
「数多の命を捨てる様な行為を繰り返した挙句、結局その寿命が尽きるまで死ななかった阿呆が、深層の階層ボスとして配置されているのよ」
「はい?」
シャルロットは、僕が理由を察した事を感知したのか、説明をして苦笑する、その表情は懐かしみを感じている様にも見える
なんだろう、物凄く嫌な予感がするのだけど
「遠回りな言い方は性に合わないからハッキリ言うわね? 若宮ダンジョン深層160層の階層ボスが3体出現するのだけれど、カヅキ・ナズナ・あたし なのよ」
「・・・もうメチャクチャじゃないですか」
「ホントそうよね・・・ただまぁ、所詮は あたし達の劣化コピーだから あたし達 本人からしたら大した相手では無いのだけれど、カヅキは この前 逝ってしまったし、ナズナは長期出張に出ていて参戦できないし、あたしは あたし でケーネ君から行動制限掛けられていて、リューネから離れられないのよ、ごめんなさいね?」
「いえ、事情があるのは理解しました」
なんともトンデモない情報が出てきたな、いや本当に
ダンジョンはとうとう偉人・英雄のコピーまで動員し始めた様で、少しウンザリする
それとシャルロットの言葉に少し違和感と言うか、おかしい所が1箇所あった、それはナズナが長期出張中である事
なぜならナズナ、リューネ王国 前国王は数年前に崩御、つまり死去している、色々疎い僕ですら知っている事なので妻であるシャルロットが知らない訳がないので、違和感を感じる
なんだっけ? 精神的ショックが大き過ぎて現実を受け入れられないヤツ・・・確かパーソナリティ障害だっけ? 前世で見たアニメに そんな描写が有った
父の死を受け入れられず、父が居る様に振る舞っていたっけ・・・今のシャルロットも、彼女と似た症状なのだろう、多分
この世は、正しい事や真実が正義とは限らないのだから
下手に刺激して万が一暴走したりしたら、僕達じゃシャルロットを止められないしね?
あれだ、触らぬ神になんとやら