前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信   作:銭湯妖精 島風

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279. 慰労旅行 8

 

 

やれやれだぜ、とか思いつつキツめの左カーブを抜け短い直線に入ったが、抜群の安定性でスピードを落とさずに僕を追走してくる熊を反響定位とミラーで確認し

 

 

「ワカモ〜」

 

「なんじゃね、主よ」

 

名前を呼ぶと即座にタンデムシートに降り立ち、ワカモが僕に尋ねてくる

 

 

「熊とコンニチワしちゃってさ? なんか僕を追いかけてきてるんだけど、対話で解決出来ないかな?」

 

「吾に熊と通訳・・・いや、対話をしろと?」

 

「無理かな?」

 

「何を戯けた事を、獣との会話など児戯に等しいものよ」

 

「そう? お願い」

 

「うむ、任せよ。あと主は運転に集中して良いし、吾を気にかけてないで構わぬ、タンデムシートに張り付くでな」

 

「え? うん、分かった」

 

 

ワカモへ用件を伝えると、彼女は快く了承してくれて熊の方へ身体を向けて対話を開始する

 

開始したのだけど、なんでリューネ語で語りかけているのかな? 母国語的な奴かな? それとも対話に対応してる言語がリューネ語なのかな?

 

 

まぁ僕にはサッパリ分からないけどね

 

 

「主よ、どうも聖女の気を感知し是非 配下へ加えて貰おうと追走してきた様だ」

 

「・・・え?」

 

「聖女である主の配下になるべく付いてきている、故に 一定距離を保っている様だ」

 

「・・・聞き間違いじゃ無かったか、(なぎさ)さん 紗夜(さや)ちゃん 停車します。この先の休憩場で待ってて貰えますか?」

 

「分かったよカナリアちゃん、気をつけて」

 

「私達ではもしもの時に足手纏いになるわね、分かったわ」

 

 

熊が追走してきた理由が、なんとも想定外の内容で困惑しつつ渚と紗夜に、先行して貰う事を伝えて僕は安全に停車出来るスペースにninja400を停車して、熊と対峙する

 

 

「きゅーん」

 

「ふむ、『聖女様の配下となりたい』 と言っておるな」

 

「熊が、人間みたいに頭下げてる・・・凄い」

 

体高180㎝を超える熊が、礼儀正しく僕の前に傅いていて困惑してしまう

 

僕としては困るけど、気持ちは有難いと思わなくも無いから、極力 傷付けない様に断りを入れたい

 

デカくて圧倒されるけど、つぶらな瞳をしていて愛嬌があるしね?

 

 

「あー・・・君を連れて行けない、人間社会では君が生きづらいだろうしね? だから家におかえり?」

 

「くぅーん」

 

「『聖女様のお言葉ならば、従います。また お会い出来る事、願っております』との事だ」

 

「うん、また何処かで・・・あ、次はもう少し触れ合いがしやすい人気(ひとけ)の無い場所で会えると良いかな? ほら、君を狩りにくるハンターとかも居るじゃない?」

 

 

なんだか物凄く聞き分けの良い熊は、僕の言う事を聞き頭を下げてトコトコと来た道を帰っていく、その背中を見て 絶対に会いに行こうと心に決めてninja400に跨り先行した渚と紗夜が居る筈の休憩場へと走らせる

 

「彼奴も喜んでいたぞ、主よ」

 

「そう? 少し可哀想な事を言ってしまったかなぁ? って思ってたんだけどね?」

 

「仕方あるまいよ、主の言った事は真実だ、彼奴も承知しているだろう」

 

「そうだと嬉しいな」

 

 

タンデムシートに座るワカモの言葉に返すと、ワカモが そう言う

 

 

「本当助かったよワカモありがとう」

 

「吾は役に立つ為に主と契約している故な、気にしないで良い」

 

「そうだとしても、ありがとう」

 

渚と紗夜の待つ休憩場へ向かいながらワカモへ感謝を述べると、彼女は そんな事を言う、なんというか謙虚だ と感じる

 

にしても、聖女の影響が こんな所で現れるとは予想外だった

 

「聖女、流石はエクストラクラスに分類されるだけある・・・いや、二柱分だからか?」

 

「あぁ・・・確かにイオン様とヴェスタ神の二柱から任命されてるもんね、なるほど」

 

「吾も動物に懐かれる質だが、主は吾以上かも知れぬな?」

 

 

ワカモは そんな事を良いカラカラと笑う、そりゃ君は霊狐だもの動物と仲良くなれるよね? とは言わないでおく、そこまで空気を読まないで言えるほど、僕は無神経では無いのだ

 

 

 

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