前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
「うむ、お主の背は吾が流してやろう」
「ありがとうワカモちゃん」
「構わぬよ」
見かねたワカモが泡の塊のまま渚の背中を垢すりで擦り始める、やはり優しい
「お待たせ、カナリアちゃん」
「いえ、それほどでも」
「背中を向けて?」
「はい」
自身の髪を団子にして簪で止めた紗夜に言われ背中を向けると持ってきていた垢すりで僕の背中を擦り始める
「カナリアちゃんって、本当 肌はスベスベだし髪はツヤツヤ、ムダ毛も無い・・・天使?」
「僕は人間ですよ、紗夜ちゃん。ほら羽根も生えて無いでしょう?」
「残念ながら生えてないわね」
「残念て・・・」
大人しく紗夜に洗われていると、不意に そんな事を言い僕の背中を撫で始める、少しくすぐったいけど我慢出来ない訳ではないのでされるがままにしつつ会話を続けると、本当に残念そうな声色で言う、何故に?
「どうにか翼を授ける方法は無いかしら?」
「レッドブルかな?」
「レッドブル・・・なるほど魔法薬ね?有りね」
「紗夜ちゃん? 正気に戻って下さい」
「私は正気よ」
「えぇぇぇ・・・」
心行くまで僕の背中を撫で回した紗夜が真剣な声色で言うので、ツッコミを入れると色々と物事が飛躍して、困惑するしかなくなる
「ワカモちゃん、お嬢の言う魔法薬は作れるん?」
「翼を授けるだけなら、変化の術になる筈だから可能だ、まぁ見た目だけになるだろうが」
ワカモにより泡の塊にされている渚が、依然として泡の塊のワカモへ質問をして答える
「ワカモって、薬学もイケるんだね?」
「なに、素人に毛が生えた程度だ本職には劣るとも」
「本当かなぁ?」
「む? 吾を疑うのか? 」
「いやぁワカモって普段から自分の実力を隠そうとするタイプだからさ?」
「うむ・・・否定はせぬよ」
僕の方を向き澄んだ瞳で僕を見据えて尋ねてきたワカモに、普段から思っている事を言うと、彼女は否定せずに渚の方へ向き直る
「それじゃぁ次は僕が紗夜ちゃんの背中を洗いますね?」
「えぇ、お願い」
泡まみれのまま紗夜へ言うと素直に従い僕へ背中を向けてきたので、紗夜が使っていた垢すりを使い背中を洗い始める
紗夜は僕の肌が綺麗とか何とか言っていたけど、紗夜も肌が綺麗だと思う、まぁ比較対象が母とか同級生とかだから、イマイチ判断が正しいかは自信はないけども
けどまぁ、こう言うのも悪くないな と思う
普段は周りが騒がしいからね、たまには少人数で他愛無い話や馬鹿話をするのも悪くない
成人していたら、普段から飲まないし好きでもない お酒を飲み出すぐらいには気分が良い
そんなこんな紗夜を洗い、シャワーで泡を洗い流してワカモを見ると泡が全然落ちずに尻尾を濯ぎ続けていたので、申し訳ないが先に湯船へ入る
「これぞ温泉ですね」
「そうね」
コンパクト軽量ボディ故に足を伸ばすと水没してしまうので、湯の中で軽く正座をする形になっているが、肩まで浸かれて疲労とか疲れとか色々と悪い物が身体から抜けていく気がする
「少しヌルいのが高得点ね」
「長く入れますからねぇ」
「お待たせっす」
「ワカモちゃんは?」
「ぜんぜん濯ぎが終わらないので、先にいけと」
「9尾だものね」
「えぇ」
僕達に合流した渚がワカモを見て言ったので、ワカモへ目を移すとシャワーを使いながらコームで尻尾をブラッシングをしていて、たまにコームに溜まった毛玉を回収し風呂桶に入れている様子が見える
毛量が多いと手入れが大変なんだなぁ、うん
「風呂掃除大変そう」
「うむ、察しの通り大変だぞ? 気を付けていないと気付けば排水口が吾の毛で詰まるからな」
「それは大変だ」
「何度か詰まらせて、当時の上司に叱られた物だ、懐かしいな」
僕の呟きを聞いていた様子のワカモが、懐かしさを噛み締めている表情で言う
僕も抜け毛とか気をつけようかな