前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
伝統的RPGならば『カナリアは混乱した』と形容される状態の僕は、ひとまず改めて法衣と儀仗について御礼を告げると、相変わらずご満悦のシュラーリヴと満足気な双子が目に映る
やっぱり僕って、結構甘やかされてるよね?
「かわいい カナリアを堪能したし、次に移りましょう。キュクノス?」
「はいよ、婆さん」
「・・・次はなんなんだろうか?」
なんともご満悦な我が祖母の指示を聞き、キュクノスが先2つと違いダイヤルロックが付属している金属製ケースのロックを解除して開封する
なんだか厳重だな? なんだろう? 僕は少し訝しみ見守っていると
「近代魔導技術の結晶、25式複合射出魔導弓 『ケラウノス』だ」
「・・・なんか凄いね?」
「だろ? パーツ1つ1つを拘り抜いて妥協無しにカスタムして組み上げたからな」
「どういう?」
手袋をして黒色フレームを基部に機械的歯車が組み込まれたコンポジットボウをドヤ顔で金属製ケースから取り出し僕へ見せてくるキュクノスに、小学生並みの語彙力が低い感想を述べると、彼は嬉しそうに説明してくれるのだが、キュクノスの口調からするとキュクノスが製作者である様に聞こえるのだけど、まさかね?
「キュクノス、生涯最高傑作に浮かれるのは理解出来るけれど、カナリアが困惑しているから、落ち着きなさい」
「おっと、すまねぇ婆さん」
ハイテンションなキュクノスへ歩み寄り、軽く頭に平手を入れて彼を大人しくするシュラーリヴとのやり取りを見て、製作者がキュクノスである可能性が高まり、さらに困惑する
「さぁカナリア、シュナウファー家の死蔵された財産の100分の1ぐらい使った魔導弓よ、受け取って頂戴?」
「あ、はい」
なんと言うか、もう色々と追及したいけど項目が多くて どれを追及するべきか分からなくなったので思考放棄して、僕はキュクノスから魔導弓『ケラウノス』を受け取ると、フロッティを初めて持った時の様に手に馴染み 更に混乱する
おかしい、魔武器であるフロッティと同等に馴染むなんて どう考えたっておかしい
例えるならば、一般的なサイコロである6面ダイスを6個 同時に投げたら6個重なり、尚且つ下から順番に1〜6に綺麗に並んでいる、それぐらい おかしい
前世で好きだった漫画の最強幼馴染ではないのだから、そんな奇跡の乗算なんて起こされても小市民の僕には処理しきれないのである
よし、脳死で行こう、幸い身内しかいないし 多少脳死で話してアホになっても許してくれる、メイビー
「そんなに驚いてくれるなんて、2週間で仕上げた甲斐があったぜ」
「キュクノスが造ったの?」
「おうよ、俺の専攻は魔導工学と人間工学の融合・融和だからな」
「ごめん、難しくて 分からない」
「ははは、カナリアは可愛いなぁ〜 なぁ、キョーダイ」
「ん〜〜???」
「こりゃ処理落ちして脳死になってんな、まぁ仕方ないか」
ひとまず辛うじてケラウノスの製作者がキュクノスだと言う事だけは分かった
普段チャランポランなキュクノスは、きちんと相応の知識や技術を有している事が判明したので、ヨシとしよう うん
間違っても、キュクノスが大学進学出来たなら、とか甘い考えは持たない様にしないとね? 普段はアレだけど頭は悪くない訳だしね?
『ふふ、かわいいわね』『かわいいなぁ』とシュラーリヴとキュクノスに猫可愛がりされていると
「なぁ、カナリアを撫で回すのは別に俺達には時間あるから良いんだけどさ? 婆さんは時間ないんじゃなかったか?」
「そうね、でもケラウノスの使用時説明は、私が居なくても問題無い筈だから、あとは 貴方達2人に任せるわ」
「そうかいな、了解了解、好きなだけカナリアを撫で回すと良いよ」
なんか僕本人の意思が反映されないままシュヴァーンとシュラーリヴの会話が淡々?と進み、結果的に僕は猫可愛がりを続行される
本当、ウチの身内は僕に甘く無い? 気のせい?