前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
なんとなく嫌なので
「そうそう、今から 1対1で戦って貰うけれど、後で見直して反省出来る様にカメラドローンで撮影をするから、そのつもりで」
「んじゃ、今から呼ぶ奴以外は 壁際にあるベンチまで移動してくれ、戦闘に巻き込まれても死にはしないが、痛いものは痛いからな」
紗夜と余った2期生に紛れて防御魔法で保護されているベンチまで下がり、成り行きを見守りつつ 緊張した面持ちでベンチに座っていたり、早く戦いたくてワクワクしている男の子を観察しておく
たった1年だけど、僕は彼等の先輩として良き相談役にならなければならない、そう思うから
まぁ僕の戦闘スキルは、かなり偏っているから あまり良いアドバイスが出来るかは分からないけれど
それから見守り続け 2期生の2組目の戦闘が終了して、残す所 僕と最年少の男の子のみ となってしまった
『どう言う事だ?』 と鷹樹を睨む様に見ると、『お膳立てしたぜ』みたいな表情で満足そうにニッと笑まれる、なってこったい
「え〜? オレはもっと強そうな奴と戦いたかったなー、こんなオレより小さい奴に勝っても嬉しくねーよ」
「へぇ、君は・・・自信があるんだね?」
「当たり前だろ? なんたってオレは勇者だからな!!」
「そう、君は勇者なんだね」
ベンチから鷹樹の前まで移動しながら彼と会話をする、どうやら彼の自信の根源は幼さ故にではなく、自分のクラスが勇者だかららしい
可能な限り冷静なフリをしてポーカーフェイスを保っているけれど、正直 今 物凄く驚いている
なんで勇者が目の前にいるんだろう? レア中のレアなクラスなのに
それこそ聖女と同等の・・・違う、今世に
聖女と勇者は対の存在だから、勇者が現れたのだろう、多分 メイビー
僕は深呼吸し、フロッティの銃剣を展開し
「僕はスズメ、これから切磋琢磨する仲間の君の名前を教えてくれるかな?」
「オレはユウキ、お前を打ち倒す者の名前だ、覚えておけ!!」
「そうかい? 分かったよ ユウキくん」
最年少 男の子 改め ユウキは彼の身の丈程ある大剣の切先を僕へ向けて宣言してくる
これでも女子高校生を自認している身としては、小学生相手に煽られても腹が立つ訳ではないけれど、探索者の先輩としては 今の内に伸び始めた鼻を折って、教訓を与えないと行けない
自分より弱そう と見かけだけで判断する危機感の無さは矯正するべきだからね
「それでは、始め!!」
「はぁあああ!!」
「なるほど、低レベルとはいえ勇者は勇者か」
いつも反響定位を使っている弊害かオフ状態の僕は 通常より少しだけ反応が遅れてしまったが、バク転の要領で力任せの大剣の横薙ぎを回避して 切り返しが来る前に銃剣を投擲する
「うぉぉ?!」
「ダメだよ、ユウキくん 油断しちゃ」
「痛っっ」
僕が投擲した銃剣を回避する為に変な体勢になったユウキにタックルして押し倒して馬乗りになって、彼の喉元に呼び寄せた銃剣を這わせ 治癒魔法を流し込みながら言うと、物凄く驚いた表情をしている やはり僕に負けるなんて思っていなかったようだ
「バカ、瞬殺するな」
「えぇ・・・そう言われても・・・」
「全く、お前は・・・」
「いやいや、僕が悪い訳じゃなくない?」
鷹樹に軽く頭を小突かれてクレームを言われたので、ユウキの上から退いて鷹樹へ反論すると、呆れた様な表情をされて 些か不本意な気持ちになる
「遺憾の意を表明せざる得ない」
「急にどうした?」
「君のせいだよ、君の」
「訳がわからん」
呆然としているユウキや2期生を置き去りにしてしまっているが、仕方ない そう仕方ない、鷹樹が悪い
僕は悪くない、何故なら僕は悪くないのだから