前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
それから何度かの戦闘を経て、33層階層ボス部屋まで到達し いつもの様に直前の安地で一旦 体勢を整えてアタックを敢行する
「渓谷バイオームの階層ボス部屋は似た形状なんだね」
「そうですね? 前回も前々回もコロッセオ状の構造でしたもんね」
「そうだの」
「あら? 階層ボスが 既に居るみたいね」
「ん、ぼく は知らない奴だ」
【確かに3回共、似た様な構造だな】
【なんだ? 見た事ないな】
【体高2mは有るな】
【簡素な服を着ている?】
階層ボス部屋へ突入し干からびた川底を抜けて3回目のコロッセオ状の構造の開けた場所に到達し 呟くとユウキとワカモが肯定し、
「ユウキ君、ヘンリさん、前衛を 。 CEOはワカモと援護を、僕はサポートに」
「了解です」
「了解」
「分かったわ」
「承知した」
【未知のボスを発見した瞬間、空気が変わったな】
【流石はカナリアちゃんパーティ】
【ヘンリ姫も見た事ないって言ってるしな】
【カナリアちゃんって やっぱ遊撃だと輝くよね】
僕はメンバーに指示を出して行動を開始する、前衛をヘンリとユウキにお願いし、僕は全員に対応出来る位置取りを心掛ける
そんな訳で、配置が完了し階層ボスを半包囲の様なフォーメーションになる、これなら 僕が障壁術を誰にでも使えるからね、うん
「漸くお出ましか、全く どんだけ待たせるんだか」
「みんな、警戒して」
「おす」
「無論」
「えぇ、分かっているわ」
「ん、分かってる」
【きゃぁぁぁあ!? 喋ったぁぁぁ?!】
【ウェアウルフか?】
【狼人間か? 】
【ライカンスロープじゃね?】
灰色の体毛に覆われた半人半獣の階層ボスは、僕達が配置についた瞬間 文句を口にし、それを見て僕達の警戒度が跳ね上がる
体高2m 程で お世辞にも質の良いとは言えない衣服を着ている彼は、理性的な愚痴を言ったのだ、相応の知性が有ると判断する他ない
恐らく彼の分類は、狼人間 ウェアウルフやライカンスロープと呼ばれるモノだろうと判断する
因みに人狼ではない、人狼はモンスターではなく亜人種に分類されているので、間違えない様にしなければならない
「俺は北のライカンスロープ族シシエン群が戦士 ぜリム、お前達に決闘を申し入れる! 正々堂々と 戦士らしく1対1の戦いをしようぜ!」
「・・・これは変わり種だ」
「これは何と面妖な」
「ぼく も初めて遭遇する」
「1対1がお望みなら、真っ向から切り伏せてやる」
【決闘を要求してきたぞ?】
【これは見た事ないパターンだな】
【結構 いろんな配信者を見てきたけど、これは初やな】
【ユウキ君がヤル気やな】
ライカンスロープ改めぜリムが名乗りを上げて 1対1の決闘を申し入れてきて 僕が戸惑っている内にユウキがヤル気を出して、先鋒として出るつもりらしく前に出たので、僕は他メンバーに目配せをして距離を空ける
「ユウキ君、君に任せるよ。全力で相手しておいで」
「はい、やってやります」
「ヘンリ、CEO、吾等は下がるとしよう」
「そうね」
「ん、ユウキ がんば」
【ユウキ君が先鋒か】
【ユウキ君が 単騎でどれぐらい強くなったか楽しみやな】
【カナリアちゃんだから、何かしそうだけどなw】
ユウキへ労いの言葉をかけてからワカモと紗夜の居る位置まで下がり巻き込まれない様にすると、視聴者に 僕が何かするつもりでいる事がバレている、やはり良く訓練された視聴者だなぁ
1対1とぜリムは言ったが、僕は了承をした覚えはないので ズルい事ではあるが小細工を使わせて貰う
僕はフロッティをスタンドマイク代わり立てて息を吸い、静かに猛り歌を歌う
鎮め歌だとぜリムに僕の小細工がバレる可能性はあるが、猛り歌なら露見する可能性は低くなる筈だ
何せ僕達は初対面だし、ユウキが徐々に調子の出るタイプだと錯覚してしまうかも知れないからね