前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
「誘拐は犯罪ですよ?
「誘拐ではないわよ?カナリアちゃん」
「グレーゾーンかと、お嬢様」
僕を撫で回しながら ご満悦の紗夜へクレームを言うが、1㎜も反省した様子がなく、助手席に座る
ひとまず紗夜の好きにさせる事にして、今日は髪を下ろしていて大きめの丸メガネを付けている冬彩を眺める
何と言うか、彼女への意識が薄まる感覚が有って少し変な感じがする、何だこれ?
「今の冬彩を注視するのは止めた方が良いわ、そのメガネは認識や気配を希釈するマジックアイテムなのよ」
「へぇ、ダンジョンって変な物も出土するんですね」
「篠原グループで開発した物よ?」
「え?」
冬彩を注視する僕に紗夜が彼女から僕の顔を逸らさせながら言う、日本人の大半が魔力を持たないのに、マジックアイテムを開発・運用できる事に驚く
「篠原家・・・いえ、現総帥の真子様が10代になったばかりの頃、お慕いした殿方と姉を相次いで亡くされ、急に跡目筆頭へと担ぎ出された そうです。そんな中、真子様は 英才教育の合間に魔法や魔術の研究をし、約25年前に独自技術を確立し、マジックアイテムの製造を開始しました」
「え? その真子さんって・・・」
「私の祖母の事よ、まぁ認識希釈のメガネなんて副産物でしかなかったみたいだけど」
「どう言う?」
「お嬢様、若宮ギルドに到着致しました」
「ありがとう春馬、続きは事務所でにしましょう」
「はい」
話し込んでいる間に若宮ギルド前へ到着した様で、春馬と呼ばれた運転手に告げられ僕達は車から下車し、僕は紗夜に抱き上げられたので、されるがまま輸送される
「お嬢、お勤めお疲れ様で・・・げぇ」
「お嬢様、私はお茶の支度を致します」
「えぇお願いね冬彩、渚も そんな顔をしないの、貴女の仕事スピードについて来れるのは冬彩ぐらいでしょう?」
「・・・そうっすけど」
事務所へ入り冬彩と渚の目が合った瞬間、両者あからさまに嫌な表情をして直ぐに顔を逸らし、冬彩は給湯室へと消え 紗夜は最近だと珍しくマトモは事を言う
「ほんと、2人は仲が良くない様ですね」
「ん〜まぁ、人間みんな仲良くって奴は幻想なのよ、どうしても合わない人は、どうやっても合わないのよ、2人は その類いなの」
「そう言うものですよね」
僕は前世では会社員だったので、どうしても仲良くなれない人が何人か居たから、紗夜が言っている事を理解している
仲良くなれないが、折り合いを付けて付き合って行くしか無いのだから、人生ってのは退屈しない
「渚本人は信じないと思いますが、私は渚の実力は認めているつもりですよ? ただ私と性格が合わないだけで」
「そっくりそのまま返すよ、冬彩」
お盆にティーセットを持って冬彩が給湯室から戻ってきてミーティング区画にセットしながら渚を見ずに言い、渚も一切 冬彩の方を見ずに言い返す
ほんとに合わないんだなぁと思いつつ、紗夜に促され着席すると紗夜が当然の様に僕の隣に座り
「冬彩、鍵を」
「御意」
「良いんですか?」
「構わないわ、用があればインターホン鳴らすわ」
紗夜の言葉に短く返事をして冬彩が返事をして事務所の扉を施錠してテーブルの横に控える
普通に座ると思っていたけど、座らないので少し驚くが、紗夜には慣れっこの様で特に気に留める様子はない
と言うか、わざわざ施錠したってことは、車の中で話していた内容って部外者秘だったりするんじゃないだろうか?
それって、僕が聞いて大丈夫なの?