前世 男の聖女コスプレTS少女が行くダンジョン配信 作:銭湯妖精 島風
そんなこんな話ながら
「思ったより人が居るね?」
「そうね? お昼時だから人が少ないと思ったのだけれど」
「目的地の お蕎麦屋さんの中継地だからかな?」
「それは有るかも知れないわね」
「あの・・・もしかして現実逃避してます?」
「ソ・・・ソンナコトナイヨー」
「そうよ? そんな事ないわよ? えぇ、一切ないわ」
季節は冬、紅葉の時期が過ぎて久しく 落葉している木々が沢山ある、山頂なら尚更で、展望台から遠くに見える 僕達の住む街を見下ろしつつ 軽く積もっている白い奴を 視界に入れない様にしながら話を逸らす様に呟くと、ユウキに指摘されてしまったので、露骨に目を逸らして頑張って誤魔化す
「いや カナリアさん、流石に無理ですって・・・現実を見ましょう? この辺り雪が積もってますって」
「んあーー 頑張って現実を直視しない様にしていたのにぃー」
「すれ違ったライダー達は山頂経由ではなく、山を迂回するルートを走っていた様ね」
「別に道が凍結していようと、ソロなら気にしないでチャレンジ出来るけど、流石に紗夜ちゃん も居るし ユウキ君とタンデムしているからね」
「神頼みで お蕎麦屋さん側へ降ってみる? 凍結していない可能性もあるわよね?」
「そうだね・・・ワカモに騎乗すると 問題解決なんだけどね」
「馬じゃあるまいし、流石にダメじゃ?」
「そうなんだよねぇ」
ユウキに現実を直視する様に言われ満18歳成人女性が出してはならない情け無い鳴き声を上げると、紗夜が冷静に分析をしたので 僕も 何事も無かった様に振る舞い紗夜に便乗して言うが、ユウキに真っ向から却下されてしまう
一部界隈では有名な話だが、公道で馬に騎乗すると軽車両扱いになる。端的に言うと自転車と同じ扱いと言う法律だ
因みに牛や馬車 及び 牛車、犬ソリも軽車両扱いである
「あれ? と言う事は、いける?」
「仮にワカモちゃんが軽車両判定をされたとして、タンデム出来ないわよ?」
「ユウキ君が無事なら問題無いよ、紗夜ちゃん」
「それもそうね、コケてもカナリアちゃんなら無傷でしょうし」
「そう言う事」
「いや、それは違うんじゃ?」
馬や牛が軽車両扱いであるならば、霊狐であるワカモは軽車両判定になる可能性が高いと判断し呟くと紗夜が訂正を入れてくる
確かにワカモに直接 ライドオンするならば、タンデムは法律上 禁止されているけれど、ワカモに荷車を牽いて貰えば回避出来る筈だ
それにユウキとタンデムしていない状態なら、仮にコケても どうにでも出来るしね? まぁninja400は犠牲になりそうだけど
「とりあえず 山奥側へ降って行こうか」
「そうね、此処に根を張る訳にもいかないもの」
「勝算はあるんですか?」
「こう言う時は、大抵 僕に都合の良い方へ転ぶから大丈夫さ」
「あ、はい」
展望台の展望フロアから駐車場へと戻り 山奥側へ降る道へ進む事を提案すると、ユウキが少し不安そうに尋ねてきたので 答えると スンッとなってしまう
とはいえ、実際の所 産まれて約18年 僕の選択した先で期待外れな結果になった事は無いので、恐らく大丈夫の筈だ ダメだった時は 素直にユウキへ謝罪するだけの事
そんな訳で腹の虫が主張を始めたので出発して慎重に お蕎麦屋さんへの下り道を走る
「想定より雪が残って無いから、凍結している事は無さそうだね」
「そうね、積雪はあるけれど、大丈夫そうね」
「賭けに勝った訳ですね?」
「そうなるね? 因みに賭けに負けてたら、3人で雪道行軍になっていた筈だから本当に良かったよ」
「うへえ・・・腹減ってる時に雪道行軍は勘弁ですね」
「ふふ、大丈夫よ。さっきの展望台に引き返して ウチの車を呼べば良いから」
「その手もあるね」
路面が濡れている箇所はあるけど、凍結に至る程の積雪と気温では無い様で、僕達は賭けに勝利する事が出来た 良かった良かった