WORLD ONE BRIDE GENESIS 作:マリービィ
4月15日。
風太郎の誕生日。
彼は自身の誕生日にも関わらず、図書館で一人夜になるまで勉強を続けていた。
しかし、ここまでほとんど寝ずに勉強していたせいか、首がカクンカクンと揺れてうとうとし始めている。
そこに─────
五月「まだ帰ってなかったのですね。こんな時間まで自習だなんて・・・」
後ろから声をかけられた。
五月「ご苦労様です。差し入れです。」
風太郎「五月・・・」
五月が、風太郎のいる机にコトっと栄養ドリンクを置く。
風太郎「・・・・・・何言ってんだ。苦労なんてしてねぇ。俺を誰だと思ってる。」
強がりを言いながらも渡されたドリンクをゴクゴクと飲んでいく風太郎。
そんな彼に、五月が話し始めた。
五月「・・・先日、塾講師をされてる下田さんという方の元へ出向いて参りました。」
風太郎「!」
下田とは、五月が母の月命日に墓参りに行った際に出会った、教師だった母の教え子であり、現在は塾講師をしている人物。
五月「バイト・・・とは言えるのかわかりませんが・・・下田さんのお手伝いをしながら更なる学力向上を目指します。」
風太郎「・・・俺じゃあ力不足かよ。」
五月「拗ねないでください。そうではありませんよ。」
若干ふて腐れる風太郎。
五月も、少しそれをおかしく思うが、彼女はそのまま話を続ける。
五月「模試の先、卒業の更に先の夢のため、教育の現場を見ておきたいのです」
風太郎「・・・お前らのやることは予測不能だ。」
風太郎が頭をかきながら、五月の言葉に応えようとするが・・・
風太郎「新学年になってから、四葉、二乃・・・はいつも通りで、一花は・・・だな、三玖・・・も・・・通り・・・」
五月「?何かあったので・・・」
風太郎「・・・・・・」
五月「・・・・・・」
五月は何かあったんじゃないかと、風太郎の顔を覗いてみると・・・
風太郎「・・・すぴーーーっ。」
五月「!」
眠気覚ましのドリンクを飲んだにも関わらず、風太郎はそのまま机に突っ伏して夢の世界へと旅立ってしまった。
五月「・・・貴方にはいずれ話しますから・・・」
果たして五月のその言葉は、風太郎に聞こえていたかどうか、本人にしか解らないことなのであった。
意識が徐々に戻ってくると、携帯が鳴っていた。
風太郎「ん・・・いつの間に・・・」
しばらく時間が経過し、風太郎は携帯のバイブレーションに起こされる。
携帯を見てみると、妹のらいはからメールが来ていた。
らいは:お兄ちゃんいつ帰ってくるの?お誕生日会の準備してまってるよ
そのメールと、添付されたらいはと奥にケーキと父親が映っている写真を見て風太郎は─────
風太郎「あ、そういや今日だったな。」
今更、自分の誕生日に気がついた。
風太郎「帰るか・・・ん?」
風太郎が、椅子から立ちあがろうとすると、目の前にあるものが置いてあった。
風太郎「五羽・・・鶴?」
風太郎の目の前の机には、五つの白い折り鶴が翼を広げてあった。
そして、もう一つ気づいたことが・・・
風太郎「?なんだこれ・・・なんの紙使って・・・」
白い折り鶴の裏に何か文字が透けて見えた。
一羽を手に取り、元の紙へと広げていくと・・・
風太郎「!」
折られた紙を元に戻した後、風太郎は残りの鶴も紙へと戻していく。
それは、五つ子全員の答案用紙だった。
最初やったテストの際は、チェックマークが大量生産されていたが、今広げている彼女たちの答案用紙は、明らかに◯の数の方が多いものばかり。
と、風太郎はまたまたあることに気づいた。
それは、三玖の答案用紙の端、解答欄ではない空白の部分に、何かが書いてあった。
そこには─────
『気楽にやれよ。』
風太郎は、三玖の解答した文字を見るが、筆跡からして明らかに彼女の文字じゃない。
いや、誰が書いたか、ほとんど目星はついていた。
この文字で喋り方とすれば・・・
そう思いながら、文字を読んでいく。
『お前の周りを見てみろ。そうすれば、お前はどういうことなのか分かるはずだ。』
風太郎「・・・そういうことか・・・」
風太郎は分かった気がした。
彼の周りには《彼女達》が・・・
風太郎「─────一人じゃないってことか。」
うっすらと隈ができた目のまま、口角を少し上げる風太郎だった。
彼奴等も頑張ってるから、俺も頑張らないとな。
TO BE CONTINUE・・・・・・