WORLD ONE BRIDE GENESIS 作:マリービィ
あれから暫く経った。
彼女達・五つ子は高校生になり、そのまま《黒薔薇女子》の高等部に内部進学をした。
司会『黒薔薇女子、高等学校。陸上競技部の皆さん。インターハイ出場、お目出度う御座います!』
スポットライトの当たるステージの上に、長い髪の頭にリボンをした四葉はいた。
四葉(お母さん、見てる?私─────皆に褒められている。色んな人に必要とされている。姉妹の誰でもなく、私だからなんだよ!)
ある日のこと。
三玖は心配そうに、四葉に声をかけた。
三玖「最近ずっと練習ばかりだけど・・・平気?勉強できてる?」
三玖は本心から、四葉を心配していた。
部活に時間を使い過ぎて、勉強が疎かになってしまっている彼女に・・・
このままでは四葉は・・・
三玖「良かったら、私が教えて─────」
四葉「私は皆と違う!!」
三玖は何か言おうとしたが、四葉の怒鳴り声でそれを遮った。
そして─────
四葉「一緒にしないで。」
四葉はそう冷たく言い放った。
彼女は完全に、他の姉妹よりも特別だと思ってしまった。
こうなった彼女は、もう誰にも止められなかった・・・
教師「追追試不合格。中野四葉さん─────貴方を落第とします。」
四葉「─────え?」
中年の女性教師にそう言われ、四葉は頭を真っ白になった。
四葉「嘘・・・ですよね?」
教師「─────嘘ではありません。」
四葉「だって!あんなに部活で結果を出したのに!この前だってバスケ部に─────」
教師「─────関係ありません。」
女性教師は四葉に睨みつけながら、怒りを露わにする。
教師「再三警告をしたはずなのに、あなたは多重入部をやめようとしませんでした。荷物をまとめなさい。」
女性教師はそう四葉に冷たく言い放ち、四葉は言葉を失っていた。
四葉「え?転校?」
四葉はあの後、マルオに呼び出され、理事長室へとやって来た。
内容は、退学ではなく転校であった。
マルオ「僕の知り合い理事を務める男女共学の学校だ。夏休み明けから、君はそこに通うこととなる。」
四葉「私・・・だけ・・・」
マルオ「引っ越しの必要がないのが幸いだ。家では姉妹で一緒にいられる。」
マルオの言葉は、途中から聞こえてこなくなった。
四葉の目の前が、真っ暗になっていく。
四葉(あれ・・・?私は特別なはずなのに・・・私がいる意味を作ろうとして、必死にやってきたけど─────私、なんで一人なの・・・?)
四葉は頭の中でそう延々と繰り返していた。
自分は特別で一番だと思っていたのに、いつの間にか自分の周りはいない。
四葉(一人になったら私はどうしたらいいの?どうしたら特別になれる?どこに進んでいいのかわからないよ・・・)
あの日出会った少年も、最愛の母も、部活の仲間達も。
全てが闇に呑み込まれていく・・・そう思っていたその時。
ガチャ
???「待って。」
四葉「?!」
聞き慣れた声が、理事長室に響き渡る。
四葉はその声の方に視線を移す。
そこには、自身の姉妹達がいた。
二乃「四葉が転校するなら─────アタシ達もついて行くわ。」
闇に呑み込まれようとした四葉に、自分が拒絶した姉妹達という光が手を差し伸べていた。
理事長「何を言っているんだ?!君達は試験を通過したはずだろう・・・?」
二乃「ええ。合格できたわ。カンニングしたお陰で。」
そう言って二乃はポケットから出し、それを理事長とマルオに見せた。
四葉「・・・・・・!」
理事長「そ、それは本当か?!」
一花「私達もでーす。」
他の三人もポケットから取り出し、カンニングペーパーだと思われる紙を出す。
それを見た四葉は絶句する。
四葉「皆・・・何で?」
二乃「アンタはどう考えてるか知らないけどね・・・アタシはアンタがいなくなるの絶対に嫌!」
四葉「!!!」
二乃の言葉に四葉は言葉を失う。
一花「何処に行くにも皆と一緒だよ。」
五月「それが、お母さんの教えですから。」
四人の起こした行動と言葉に、四葉は感情を抑えられなくなってしまい、その場に泣き崩れてしまった。
姉妹はそんな四葉に、皆で寄り添う。
四葉(お母さん─────お母さんが言ってたのは、こういうことだったんだね。もう誰が一番だなんて考えるのはやめよう─────私は皆のために生きるんだ。)
四葉はただただ、他の姉妹達への感謝をしていた。
これが─────これから彼女が自己犠牲になる瞬間の出来事だった。
TO BE CONTINUE・・・・・・