WORLD ONE BRIDE GENESIS 作:マリービィ
三玖「・・・ダメ、上手くいかない。」
一月末、三玖は朝早くに起きて、アパートのキッチンでチョコ作りに励んでいた。
理由は単純明白、来月のバレンタインで瑛人に手作りチョコを渡すためである。
事の始まりは数日前─────
三玖「エイトはどんなチョコが好き?」
瑛人「ん〜、甘めのやつかな。同じチョコでもブラックやビターはそんなに食べないし。まぁ、苦いものでもいいよ。」
三玖「・・・わかった。じゃあ、エイトが好きな甘いものかを作る。」
瑛人「一緒に作らなくて大丈夫?俺も協力をしようか?」
三玖「大丈夫。今回は・・・私だけで作りたい。」
瑛人「そう・・・じゃあ待ってるね、三玖。」
三玖「うん・・・待ってて。」
もう既にラブラブな恋人同士のため、別にサプライズをする必要は無いと感じた三玖は、瑛人にチョコの好みをストレートに聞き、彼が望むチョコレートを一人で作ることにした。
今回は瑛人の力を借りず、自分自身の力で作って、瑛人に『美味しい』と言って貰いたかった。
当然、最初から上手く行くはずもなく・・・
三玖「・・・まずい。」
チョコ作りは暗礁に乗り上げてしまった。
一花「三玖、起きてたんだ。」
三玖「一花、起こしてごめん。」
寝室から、ワイシャツ一枚だけを着た一花があくびをしながら出てきた。
一花「いいよ〜。それよりどう、調子は?」
三玖「・・・・・・」
三玖がそのまま自身のチョコに目線を移し、一花もそれを辿って見てみる。
一花「もっとシンプルなレシピでいいんじゃない?溶かして固めるみたいな・・・」
一花はそう三玖に言うのだが────
三玖「・・・・・・」
どうやら三玖は気が進まないようだ。
此処で一花は悩みだす。
一花「ムムム・・・うーん、私も料理の腕はイマイチだしなぁ・・・あ、そだ。」
一花の頭の中に電球が灯し、何かが閃いた。
一花「私の知り合いに料理上手な人がいるんだ。」
三玖「え?」
一花「その人に教えてもらいなよ。」
三玖「・・・・・・」
一花にそう言われた三玖─────なのだが、
三玖「でも、エイトに一人で作るって・・・」
一花「このままじゃチョコ作り進まないよ。それに、朝山君には誰かにアドバイスを受けるのは禁止って言われた?」
三玖「─────言われてない。」
一花「じゃあいいじゃん。教わった三玖が作って、美味しいチョコを朝山君に食べてもらわないと。」
三玖「─────確かに。」
背に腹は代えられぬ、というわけで、三玖は一花の提案を飲むことにした。
三玖「やっぱり駄目・・・」
あれから日にちが経った。
現在は二月。
それまでも期末試験の勉強をしながら、瑛人へのチョコを作る練習継続をしていた。
勉強の方は瑛人のお陰で恐ろしい程に順調─────なのだが、チョコの方はまだ、未だに立ち止まってしまっている。
二乃「あれ?一人で何してんのよ。」
三玖「二乃・・・」
そこで三玖が練習していた途中に何故か二乃が入ってきていたた。
三玖「今日は学校で勉強会のはずじゃ・・・」
二乃「一花に呼ばれて戻ってきたのよ。」
二乃の言葉で三玖が察する。
まさか・・・否、知り合いといえば知り合いだけど・・・
そう三玖が思っていたその時─────
ドカン!
二乃・三玖「?!!」
扉の向こうから音がなった。
三玖はもしかして・・・と思った。
二乃「何よ今の?びっくりした────って。」
二乃はキッチン台の上に置いてあったチョコを見る。
二乃「こっちにもびっくりだわ。おいしくなさそうだしめちゃくちゃじゃない。」
そこからは、二乃の辛辣な評価を言う。
それだけで留まらず、更に辛辣を言い続けた。
二乃「
三玖「!」
それだけで終わらず、トドメを刺すかのように言った。
二乃「あんたは味音痴と不器用のダブルパンチなんだから、おとなしく市販のチョコ買ってればいいのよ。」
三玖「・・・・・・」
ペラペラと口から不評の嵐が出てくる二乃としては、いつものように頬を膨らませた三玖が「うるさい!」と返してくる。
そう思っていたのだが─────
三玖「・・・うるさい。」
二乃「ヒッ・・・」
力の弱い反論が返ってきたかと思えば、三玖は目に涙を溜めていた。
まずい・・・怒るより恐ろしい本物の地雷を踏んでしまった・・・
二乃は流石に言い過ぎたと思い、フォローを何とか言わないとと思った。
二乃「で、でも料理は真心っていうし手作りに意味があるのよね、私だって失敗することだってあるわ、それに少し下手っぴの方が愛嬌あるし、これなんて虫っぽくてかわいいわ。」
ペラペラと次は三玖へのフォローの言葉が出てくる。
最後の方はフォローになってるのか怪しいが・・・
しかし三玖に罪悪感もそうだが、もう一つ、瑛人にこのことを知られたらどうなるのか・・・
もしかしたら、殺されるかもしれない・・・
彼女にはその罪悪感と危機感があった。
三玖「・・・わかってる。」
二乃「え?」
三玖の意外な返事に二乃は顔をあげた。
三玖「私が不器用なのも知ってる────一人じゃ何もできないことも。」
二乃「・・・・・・ごめん。」
二乃は素直に三玖に謝罪をしていた。
三玖「いいよ─────それに、エイトは言ってくれた。『君ならいける』って。」
二乃「・・・・・・」
三玖「だから、作りたい─────教えてください。お願いします。」
三玖はそのまま、二乃に頭を下げて教えを乞う。
その様子を見た二乃は、実の妹の本気の気持ちを目の当たりにして、溜め息をつきながら言う。
二乃「・・・・・・油分と分離してるわ。湯煎の温度が高いのね。それに生クリームを冷たいまま使ったでしょ。舌触り最悪。っていうか、それ以前の問題がありすぎるわ。」
三玖「・・・・・・」
二乃からの再び辛辣な評価が続いた。
しかし、さっきの見下すような言い方とは違う、アドバイスを言うような評価であった。
二乃「全く・・・面倒臭いわ─────準備しなさい。」
三玖「!・・・うん!」
それから、二乃は三玖と長い時間キッチンへと向かい、チョコが上手く作れるように試行錯誤していった。
二乃「全く・・・面倒臭い性格だわ。」
二乃はそう言うが、満更でもなさそうだった。
そして、2月14日。
バレンタイン、当日。
バレンタインとはそもそもの意味はラテン語で、《逞しい》や《強い》という意味がある人名だった。
そのバレンタインという名前の由来は、バレンタインと呼ばれる男性からの由来である。
そのバレンタインという男性が恋愛関係のことで、自身の国の皇帝陛下に逆鱗を触れてしまい、処刑されてしまった─────
という恐ろしい話があったらしい。
さて、
その処刑されてしまった男性の命日・バレンタインデー。
三玖は瑛人にバレンタインチョコが入っている、青色のリボンがある箱を渡す。
三玖「はい、エイト。」
瑛人「・・・ありがとう、三玖。開けていい?」
三玖「うん。」
彼女の許可をもらい、瑛人はリボンを解いて、箱を開ける。
見ると、中には丸いチョコレートがフィルムで包まれていくつか入っていた。
瑛人「・・・じゃあ、いただきます。」
三玖「う、うん」
フィルムを剥がして、瑛人は一つ目を手に取って口の中へと入れる。
三玖にとっては緊張の一瞬だった。
しばらく口の中で転がして味わい、やがては溶け出したチョコを飲み込む。
そして─────
瑛人「─────美味しいよ、三玖。」
瑛人の一言に、三玖は信じられないと言った表情で驚き、口を両手で隠す。
三玖「・・・嘘。」
瑛人「嘘なんかじゃない。本当に美味しいよ。俺のリクエストした通り、甘いチョコだし、チョコレートとしても、本当によく出来てるんだ。美味しくないはずがないよ」
三玖「・・・・・・エイト・・・」
やがて、瑛人は三玖の頭へと手を乗せて、優しく撫でる。
瑛人「頑張ったね、三玖。本当にすごいよ─────ありがとう。」
三玖「・・・うん。ありがとう─────エイト。」
二人は口づける。
そしてそのまま暫く、離れなかったのであった。
中野三玖:試験結果
国語:57点
数学:52点
理科:49点
社会:80点
英語:40点
五計:278点
TO BE CONTINUE・・・・・・
思っていたよりも長くなりそうなので、一人1話ずつ投稿することにしました。
因みにですが、色々とストーリー上でのつごうがある為、四葉は飛ばすことにします。
理由はこの先、四葉の主役する予定の話がありますので今はまだ、目立たないようにしようかと思います。
さて、次回は五月回となります。
それでは、また次回。