WORLD ONE BRIDE GENESIS 作:マリービィ
今、風太郎のバイト先のケーキ屋に集まっているのは、三玖、一花、四葉、五月、瑛人、風太郎の六人。
あとは二乃を待つだけなのだが、彼女は未だ現れずにいる。
そこで店長が口を開く。
店長「試験突破おめでとう。今日はお祝いだ。上杉君の給料から引いておくから、好きなだけ食べるといいよ」
風太郎「もー店長ったら冗談ばっかり・・・」
しかし店長の言葉により、瑛人や五月が立ち上がり興奮した。
瑛人「マジなのか風太郎!お前、何時から男前になったんだよ!ありがとな!俺達の為に!」
五月「朝山君の言う通りです!あなたが素敵な男性になってくれて私嬉しいです!」
二人はそう言って風太郎に称賛をするが、彼は涼しい顔でこう言った。
風太郎「店長、ただいまをもってこの店辞職します。」
五月の食欲は計り知れないことは、この場の全員が知っている。
そして瑛人と五月の眼は本気の眼である。
風太郎は事を察して店長に辞職宣言をしたのであった。
四葉「ありがとうございます!でも、まだ一人来てないんです。」
店長「二つ結びの子なら、君たちより先にここに来てこれを置いてったけど。」
一花「え?」
店長の手には、試験結果の紙が握られていた。
四人はそれを受け取って中身を確認し、店長は風太郎に話しかける。
店長「それと後で伝えようと思ってたが、彼女から君に伝言
─────『おめでとう、あんたは用済みよ』─────だって。」
中野二乃:試験結果
国語:40点
数学:42点
英語:64点
理科:46点
社会:51点
五計:243点
五つ子、全員赤点回避
四葉「やったー!」
五月「見事全員赤点回避を成し遂げましたね!」
四人が喜んでいる中、風太郎は出口に向かって歩いていった。
瑛人「どこ行くんだ?」
風太郎「祝賀会は全員強制参加だ。二乃を連れてくる。」
瑛人「ならこれ使ってくれ。」
瑛人はバイクの鍵を風太郎に投げる。
風太郎はそれを上手くキャッチをし、ありがとな、と言い残して店を後にする。
二乃は前のマンションの前へと来ていた。
しばらくすると近くに黒い高級車が止まり、中から五つ子の父親であるマルオが出てきた。
マルオ「帰ってきたか、二乃君。」
二乃「パパ、その君付けムズムズするからやめてって言ってるでしょ。」
マルオ「悪かったね、二乃。先程、全員の赤点回避の連絡をもらったよ。君たちは見事七人でやり遂げたわけだ。おめでとう。」
二乃「あ、ありがとう・・・」
マルオのいきなりの称賛に二乃は一瞬、動揺をしていた。
マルオ「どうやら、上杉君を認めざるを得ないようだ。だから明日からはこの家で─────」
二乃「─────あいつとはもう会わない。それ
と─────もう少し新しい家にいることにしたわ。」
マルオ「─────なんだって?」
マルオは娘の発言に聞き返した。
二乃「試験前に五人で決めたの。当然、一花だけに負担はかけない。私も働くわ。自立なんて立派なことしたつもりはない。正しくないのも百も承知。でも、あの生活が私たちを変えてくれそうな気がする・・・少しだけ前に進めた気がするの・・・今日はそれだけ伝えに来たの。」
二乃は自分の、自分たちの想いをマルオへとぶつける。
だが、マルオはそれを否定する。
マルオ「─────理解できないね。前に進むなんて抽象的な言葉になんの説得力も無い。君たちの新しい家とやらも見させてもらった。僕にはむしろ逆戻りに見えるね。五年前までを忘れたわけではあるまい。もうあんな暮らしは嫌だろう?いい加減わがままは─────」
マルオが言いかけたとき、一台のバイクが二人の近くに止まり、ライトが二人を照らす。
二乃「何・・・?」
青年「此処にいたのか、二乃。帰るぞ。」
聞き慣れた青年の声がした。
バイクの人物がヘルメットのバイザーを上げて素顔を見せる。
それは瑛人から借りたバイクに乗った風太郎だった。
二乃「はぁ!?え─────ちょ─────何それ?!」
風太郎「早く乗れ。バイトが始まる前に帰らないといけない。」
二乃がこの状況に動揺していると、マルオは口を開く。
マルオ「二乃。君が行こうとしてるのは茨の道だ。うまくいくはずがない。後悔する日が必ず訪れるだろう─────こちらに来なさい。」
二乃は一瞬迷った。
だがすぐに答えを導きだし、風太郎の後に乗る。
二乃「─────パパ、私たちを見てて。行って上杉。」
風太郎「え、えーっと・・・お父さん・・・娘さんを頂いていきます。」
汗をダラダラ流しながらそう言い残し、バイクを走らせた行った。
マルオ「─────江端。」
遠くに行くバイクを見つめながら、後にいた江端へと話しかける。
マルオ「めでたいことに、娘たちが全員試験を突破したらしい。僕は笑えているだろうか。」
江端「勿論でございます。」
マルオ「そうか─────父親だからね、当然さ。」
そんなマルオの表情は、いつもの無表情ではなった。
彼の額には血管が浮かんでおり、怒りがこもったものだった。
TO BE CONTINUE・・・・・・