ガンダムSEED DESTINY IF ~もしも彼女がいたならば~    作:鯱出荷

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第九話

オーブ滞在二日目。朝の食堂で館内放送が流れる。

 

『シン・アスカ。オーブ首長国連邦、シライ一尉から電話を預かっています。最寄の内線、8番で…』

 

あいにく、シンは寝坊でこちらに向かっているところだ。

ちなみに寝坊の原因は、夜中に訪れたティルムを寝付かせるのに手間取ったため。

 

メイリン「…やっぱり、あの代表に文句言った件かなぁ」

 

ヨウラン「でも一尉だろ?オーブの一尉はパイロットだったはずだから、呼ぶとしたらもっと上の連中のはずじゃねぇの?」

 

それにその件だったら、軍関係ではなく官僚関係だ。

するといつもの軽口でヨウランが冗談を言う。

 

ヨウラン「もしかしてシンの知り合いが、『戻ってオーブ軍に入りませんか』とかいう勧誘だったりして♪」

 

ティルム「………」

 

その言葉に席を立つと、すたすたと備え付けの電話に歩いていく。

「お、おい」とヴィーノが止める前に、ティルムは受話器を取り指定された内線を押す。

 

シライ『お、シン?覚えてるかー?久しぶりで悪いんだけど、ちょっと時間もらえるか?』

 

ティルム「私はシン・アスカの妹ですが、オーブの方が兄に何の御用でしょうか?」

 

シライ『妹…!?シンの妹さんは、亡くなったはずじゃ…?』

 

ティルム「質問に質問で返さないでください。何の御用ですか?」

 

心なしか口調が強い。

どうするべきかと見守るメイリン達の下に、同じく寝坊したルナマリアが訪れる。

全員の視線が、ルナマリアに注がれる。

 

ルナマリア「な、何よ?その期待に満ちた目は?」

 

メイリン「お姉ちゃん!ちょうどよかった!!アレ…」

 

そう言うと、怒った表情をしながら電話をするティルムを指す。

 

ルナマリア「…あ~、なるほど。任して。ああいうのは、慣れてるから」

 

ティルムに近づき、受話器を奪う。

 

ここで、彼女は一つ誤解していた。

女性が電話で怒っている。しかも相手は不明で、問い詰めている(実際は名前ではなく用件だが)。

このことからルナマリアの中で、電話の相手は変態になっていたのだ。俗に言う『お嬢ちゃん、パンツ何色?ハァハァ』な奴らだ。

 

だから受話器を当てた彼女の口から出た言葉は、そんな対変態用の対応だった。

 

ルナマリア「もしもし。ハードゲイですが」

 

シライ『はい?』

 

シン「ツッコミどころは山ほどあるが、とりあえず人宛の電話で何しとんじゃぁぁぁ!!」

 

ルナマリアの横腹に飛び蹴りを加える。よほどいい所に入ったらしく、ルナマリア床で悶絶。

それを無視し、シンが受話器を取る。

 

シン「大変失礼しました。お電話代わりました、シン・アスカです」

 

 

 

***

 

 

 

電話はかつてシンが世話になったという人からだった。

大西洋連邦の保護下に入ったオーブではコーディネイターに安全の保障がなかったため、プラントに行くまでは彼らがいる軍施設で寝泊りさせてもらっていたら しい。

 

シン「…で、その中のトダカって人がたまたま名簿で俺の名前見つけたから、個人的に会いたいってよ」

 

電話の相手をしつこく聞かれ、しぶしぶシンが話す。

 

ヴィーノ「でも、大丈夫か?呼び出しといて、『ザフトに入った裏切り者だ』ってボコボコに…」

 

シン「…そういう人じゃないって信じたいから。だから、会ってくる」

 

ティルム「私も!!」

 

ヨウラン「ティルムちゃん。整備員で昨日外出した奴は、許可下りないぜ」

 

さすがに修理や物資の詰め込みなどがあるので、パイロットなど一部以外は一日しか外出が許可されない。

 

ティルム「そ、そんな~…」

 

ルナマリア「じゃ、アタシ」

 

シン「お前は来るな!絶っ対来るな!!」

 

交友関係が疑われる。

 

ルナマリア「そんな…!!昨日も出たくないって言ってたから、一緒に暇つぶしてあげようと思ったら出かけてるし!!今日も枕で射撃練習しろって言う の!?」

 

絶対俺の枕だ。どうりで寝ようと思ったら枕がないわけだ。

しかも朝起きたときに、天井からぶら下げてあった銃跡だらけの枕もキサマのせいか。

 

レイ「おれは無理だ。新参のディアッカ氏に、戦闘面で色々と伝えておかなければいけないことがあるから」

 

ディアッカ「というわけで、俺も無理」

 

他は?と候補を考えるも、ほとんどの者が昨日のうちに外出をしていたため、該当者はいない。

ポンッ、と笑顔でルナマリアが肩に手を置く。

 

メイリン「諦めたほうがいいよ、シン」

 

一人で行くとなったら、ティルムが断固して反対するのは目に見えている。シンは泣く泣く腹をくくった。

 

 

 

***

 

 

 

キラ「やっぱり、旅行者にはいませんでしたか…」

 

翌日、バルトフェルドからの調査を聞いたキラがため息をつく。

 

マリュー「オーブの『シン・アスカ』はオーブ解放作戦後しばらくして、プラントへ行ったとされてるわ。写真がないから本人と断定できないのが残念だけど」

 

バルトフェルド「ところが、こんなのもあるわけよ」

 

そう言って取り出したのは、ミネルバの乗員名簿だ。

 

ラクス「『シン・アスカ』…」

 

それにも顔写真はなかったが、彼らがミネルバ乗組員であることは間違いなさそうだ。

だが、キラはそれよりも気になったことがあった。

 

キラ「ティルム…『ニックス』?」

 

マルキオ邸で聞いたのと違う名前だ。一通り見たが、他にティルムという名前はない。

 

ラクス「どうしてわざわざ、彼女だけ偽名を?」

 

バルトフェルド「関係あるかわからんが、丁寧にマルキオ邸宛に電報が来てまして」

 

それは匿名の、たった数文字の電報だった。中身は

 

『ラクス・クライン氏の所在が判明した。注意されたし』

 

という内容だ。

 

マリュー「……これはどこから?」

 

バルトフェルド「情報屋経路で。言っとくが、何重にもクッションを挟む念入りな連中だから、差出人と依頼日の特定は不可能だ」

 

依頼日などは、依頼人が希望すれば早めることも遅らせることも自在だからだ。

 

ただこれはそれなりの資金か権力がなければ使えない、特別なルート。

デマということは限りなくない。

 

キラ「…一応、警戒したほうがいいですね。子供達を巻き込むわけにもいきませんから」

 

これがあの兄妹とは無関係であってほしい。しかし2年前の戦時中のように、キラは心のどこかで嫌な予感がしていた。

 

 

 

***

 

 

 

ルナマリア「ここ?景色いい所ね」

 

人通りから離れた所にある高台が、待ち合わせに指定された場所だった。途中住宅街が続くので、地元の人間しか知らない穴場だ。

 

シン「…あぁ」

 

ルナマリア「すごいね。『チヘイセン』って初めて見たわ」

 

シン「あぁ」

 

ルナマリア「シンもよくここに来たの?」

 

シン「あぁ」

 

ルナマリア「時間余ったら一緒にオーブ観光したいんだけど、案内してくれる?」

 

シン「あぁ」

 

ルナマリア「この赤い服、初めて着たんだけど似合うかな?」

 

シン「あぁ」

 

ルナマリア「…聞いてる?」

 

シン「あぁ」

 

ルナマリア「……そのトダカって人に会ったら、『ラッキースケベ』って呼んでいい?」

 

シン「却下」

 

ルナマリア「………」

 

シン「………」

 

ルナマリア「ええい!何暗くなってんのよ!人がせっかく休日潰して付き合ってあげてるんだから、楽しませたりしなさいよ!さあ!レッツ・一芸! 口からホットペッパー出そうか!?」

 

シン「景色楽しまんかい!!」

 

こいつといると、いつもこんな調子だ。

 

シライ「シンか?」

 

見ると、40代と30代と思われる男性が立っていた。

 

シン「久しぶりです、シライさん。それに、トダカさんも…」

 

少し戸惑ってから、トダカに顔を向ける。

シン達も含め、当然私服だ。

 

トダカ「本当に、元気そうでなによりだ」

 

シン「…いえ」

 

家族を失い最後まで自分達に心を開いてくれなかったシンを知っているトダカには、今のシンは別人のように見えていた。

すると、横からルナマリアが挨拶をする。

 

ルナマリア「初めまして。同僚の、ルナマリア・ホークです」

 

シライ「!!!その声は、電話のハードゲイ……」

 

ルナマリア「アタシは女でノーマルです!」

 

 

 

***

 

 

 

なんとか誤解を解いて、近くにあったベンチに腰掛ける。

 

シライ「トダカさんは仕事柄ミネルバの名簿チェックするんだが、そこに見慣れた名前があるって言ってな。もしやと思ってね」

 

階級で呼ばないのは、トダカがプライベートと軍務を分けないのを嫌うためだ。

 

トダカ「正直、君の名前を見かけたときは目を疑ったよ。てっきり、プラントで静かに暮らしていると思っていたから」

 

シン「……結局、誰にも戦争を止めることはできないって思ったんです。だったら戦って、今度こそ大切な全てを守りたいって思って……」

 

恐る恐る言うシンに、トダカが言う。

 

トダカ「別に私達は君がザフトに入ったのを、どうのこうの言うために来たんではない。純粋に、君に会いたかったからだ」

 

シライ「プラントに行くとは言ったけど行ってどうするのかとか全然言わねぇし、手紙も寄こさないから心配してたんだぞ。仕事があって来れない奴らもだ」

 

くしゃくしゃと、シライが頭を撫でる。子

供扱いするのも、昔と同じだ。

 

シン「俺がザフトに入ってるって知ったら、悲しむと思って。だから…」

 

シンの発言が、言い訳ではなく本心だとわかっているトダカは嬉しかった。

オーブにいた頃はあんなに自分達を拒絶していた少年が、気を使っていてくれたのだから。

 

トダカ「君が選んだ道だ。喜ぶことはあっても、悲しむことなんてない」

 

シライ「そういえばさっき電話に出た、妹さんって?彼女も無事だったのか?」

 

口ごもるシンに代わり、ルナマリアが首を横に振る。

 

ルナマリア「彼女も、家族を亡くしていて…」

 

そしてそれが、フリーダムに関係していることも話した。

 

聞いたシライは軽い後悔を覚えた。実はシンが携帯を拾っていた時、シンは屈んでいてフリーダムの射撃した瞬間を見ていなかったのだ。

 

しかし偶然その瞬間を見ていた兵士が口を滑らせてしまい、シンはフリーダムのせいだと知った。

その兵士が他ならぬシライだった。

 

シライ「…くそっ!!」

 

同世代の異性と仲良くしているシンを見たときは、すっかり立ち直れたと思っていた。

 

だが自分の一言のせいで、彼はまだそのことを引きずり続けている。言わなくてもオーブを憎んでいただけかもしれないが、それでも納得がいくものではなかっ た。

 

シン「シライさんが不快になることじゃない。それにもし言ってくれなかったら、彼女の症状は…」

 

ルナマリア「シン!!」

 

数少ないティルムの状態を知っているルナマリアが、シンを咎める。

 

トダカ「?その彼女は、何か病気でも?」

 

それとシンが何の関係があるのだろうか。

しかしシンとルナマリアは、揃って口を閉じる。

 

シライ「…はぁー。わかった。固い話はここまでにしよう」

 

シン「…すみません」

 

シライ「いいから、いいから。久しぶりだし、昼飯奢ってやるよ。その後彼女とデートでもしてスッキリして来い」

 

ルナマリア「あら。お目が高い♪」

 

シン「何でこいつが彼女なんだよ!?」

 

からかいモードに入ったルナマリアに対して、シンが全力で否定する。

 

ルナマリア「ひどい…何度も同じベッドを使った仲なのに…」

 

トダカ「シン…ちょっと向こうで異性との誠実について話そうか……!」

 

シン「まてまてまて!お前がいつも勝手に布団に潜りこんでるだけだろうが!!しかも断ったら殴る蹴る!」

 

ルナマリア「何のことかしら?」

 

シン「うわっ、むかつく!ていうか、これ二度ネタだろ!アカデミーの父母会で、同じこと言われた記憶あるぞ!!」

 

あの時もホーク姉妹の両親の前で今回と同じ紹介をされ、あやうく血ダルマにされるところだった。

 

 

 

***

 

 

 

ディアッカ「プロヴィデンス…?」

 

レイの案内でミネルバを周っていると、見覚えのあるMSを見つけた。

 

ディアッカ「なんでこれが…。ん?ちょっと違うような…」

 

レイ「あの機体はフリーダムを元に作成したMSです。違和感があるのはそのせいでは?」

 

「せっかくですので」と、近くのティルムを呼び寄せ機体の説明をさせる。もちろん、話して支障が出ない範囲でだけだが。

 

ディアッカ「な~る。『烈○の炎』に出てくる、飢■喰が使ってた『凶蜘☆』みたいなもんか」

 

ティルム「…はい?」

 

近くにいたマッドも口を挟む。

 

マッド「いやいや。どちらかと言えば、『ガンξムZZ』ゲ‰でしょう。ヤザЭが乗ってた」

 

伏字だらけの世界へようこそ。

 

レイ「むしろ『ファイΣルファン♂ジー?[』の『ガルバжィアガー§ン』に出る『ワ¢ルドフッ…」

 

ヴィーノ「ストップストップ!それ以上はマズイから!」

 

ディアッカ・マッド・レイ「「「………」」」

 

どこか哀愁が漂っているのは気のせいだろう。

 

ディアッカ「ま、フリーダムを元にしてるってのはわかった。だけど、一ついいか?」

 

ティルムの方に顔を向ける。

 

ディアッカ「フリーダムって元々非公開の機体だろ?それなのに、どうやって情報手に入れた?」

 

ティルム「…っ!そっ、それは!父が、非常用にとバックアップを…」

 

ディアッカ「当時の国家機密をか?」

 

言われてみれば。

例え開発者といえども、そう易々と現役の機体のデータを持ち出せるだろうか。

 

ティルム「え、え、えと…!よ、よよ用事があるので失礼しますっ!!」

 

敬礼すると、一目散に駆け出して行った。

 

レイ「…」

 

ディアッカ「なーんか隠してるな、ありゃ。おたくら、何か知らない?」

 

マッド達に尋ねてみるが、皆揃って首を横に振るだけだった。

 

 

 

***

 

 

 

カガリ「大西洋連邦との新たなる同盟条約の締結!?被災地への救援救助が急務で、それどころじゃないだろう!」

 

オーブ内閣府官邸で、カガリが新たに進めようとしている条約に激怒する。

 

高官「こんなときだからですよ、代表。それにこれは大西洋連邦とのではありません。呼びかけは確かに大西洋連邦から行われておりますが、それは地球上のあ らゆる国家に対してです。約定のなかには無論、被災地への救助救援も盛り込まれておりますし、これはむしろそういった活動を効率よく行えるよう結ぼうというものです」

 

カガリ「いや、しかし」

 

ここにいる人間は知っていた。カガリは論法や帝王学などは未熟で、口論では何の障害でもないということに。

今も代表なのは、『飾り』として有効という以外 に理由がない。

 

そしてウナトが、被災地の状況を画面に映し出す。

 

ウナト「地球が被った被害はそれはひどいものです。さらにこれです」

 

そこにはユニウスセブンを地球に落とそうとしている、ジンの姿が映し出されてる。

 

ウナト「我ら、つまり地球に住む者たちは皆既にこれを知っております。そしてプラントも、これは真実と大筋で認めている」

 

カガリ「だが、でも!あれは一部のテロリストの仕業で、プラントは無関係だ。現に!事態を知ったデュランダル議長やミネルバのクルーは、その破砕作業に全 力を挙げてくれた!だから、だからこそ地球は!!」

 

ユウナ「しかし、実際に被災した何千万という人々にそれが言えますか?」

 

前にも述べたが、カガリは少しの犠牲は仕方がないと割り切れる性格ではない。結局、カガリは黙り込んでしまう。

 

ウナト「これを見せられ、怒らぬ者など地上にいるはずもありません。幸いにしてオーブの被害は少ないが、だからこそ我らはより慎重であらねばならんので す。理念も大事ですが、我らは今誰と痛みを分かち合わねばならぬものなのか。代表にもそのことを十分お考えいただかねば」

 

畳み掛けるように次から次へと言われ、カガリは押し黙るしかなかった。

 

 

 

***

 

 

 

アスラン「カガリ…?」

 

どこか無気力で歩くカガリが目に入る。彼女もこちらに気づいたようだ。

 

カガリ「あ…!そ、その、昨日はすまなかった!あの後もずっと行政府に…」

 

アスラン「ユウナの件は後で彼に直に済ませるとして、忙しいのは仕方がないさ」

 

何か根に持っているようです。

 

アスラン「それより、オーブ政府の状況は?」

 

首を横に振る。

 

カガリ「今は情勢がああ動くのも仕方ないかと。他と比べれば軽微だろうが、オーブだって被害は被った。首長達の言うことはわかる。けど!痛みを分かち合 うって、それは報復を叫ぶ人たちと一緒になってプラントを憎むことじゃない!」

 

アスラン「…プラントに行って来る」

 

カガリ「え?」

 

アスラン「プラントの情勢が気になる。デュランダル議長なら最悪の道を進んだりはしないと思うが、ああやって未だに父の言葉に踊らされている人もいるん だ。議長と話して、俺が、俺でもなにか手伝えることがあるなら!…アスラン・ザラとしてでもアレックスとしてでも」

 

ギュっと、強く手を握り締める。

 

アスラン「このままプラントと地球がいがみ合うようなことになってしまったら、俺達は一体今まで何をしてきたのか、それさえわからなくなってしまうから。 だから直接議長に会って、何とかしたいんだ」

 

 

 

***

 

 

 

その後すぐに連絡し、プラント行きのためのチャーター機が迎えにくる。

何か迷っているように見えたアスランだが、やがて決心したかのようにカガリの前に立つ。

 

アスラン「その、ユウナとのことはわかってはいるけど…。やっぱり、面白くはないから」

 

そう言うとカガリの左手をとり、薬指に指輪をはめる。

カァァと、カガリの顔が赤くなる。

 

カガリ「いや、あの、こ、こういう指輪の渡し方ってないんじゃないか!」

 

アスラン「悪かったな」

 

アスランはカガリを直視できずに、視線をそらす。

そんなアスランに、カガリが抱きつく。

 

カガリ「…気をつけて。連絡よこせよ」

 

アスラン「カガリもがんばれ。ユウナには気をつけろよ」

 

相当根に持ってます。

そして二人は、ごく自然に口付けを交わす。

 

アスラン「…行って来る」

 

名残惜しそうに離れ、チャーター機に乗り込む。

 

カガリ「気をつけてな…」

 

発射したチャーター機を、カガリは完全に見えなくなるまで空を見上げていた。

 

 

 

***

 

 

 

ルナマリア「ん~♪んんん、ん~ん♪」

 

昼食をご馳走になり、ルナマリアは夕方まで存分にオーブを満喫してご機嫌だった。

 

メイリン「あ、お帰り~」

 

部屋に戻ると、メイリンはなぜか雑誌を見ながらニヤニヤ笑う。

 

メイリン「シンとのラブラブデート♪楽しかった~?」

 

笑止。姉をからかおうなんぞ10年早い。余裕たっぷりの態度で答える。

 

ルナマリア「まぁね~。シンの地元だったから、穴場でいい店たくさん知ってて掘り出し物、も…」

 

そこでようやく気づく。メイリンが持ってる、本棚にしまっておいたはずの雑誌に。

 

メイリン「ふ~ん。今月の獅子座のラッキーアイテムは、『意中の彼の瞳と同じ色の服』か~。ところで獅子座のお姉ちゃん?今日の『赤い』服、よく似合うね ~。シンの眼の色とそっくり~♪」

 

ルナマリア「……どうして?」

 

メイリン「そりゃあ、一昨日からず~と同じ雑誌見てたらね~。それにこのページだけ、他より傷んでるし~♪」

 

ルナマリア・ホーク、一生の不覚。

いや、今使ってる枕がシンの物とバレてないだけマシか。ちなみに昨日までルナマリアが使っていた枕は、銃でボロボロになり、それがシンの物ということに なっている。

 

メイリン「ねぇーーー!シンーーーー!?ここに面白い本があるから読まな」

 

ルナマリア「メイリン!今晩何食べたい!!?トンカツでもカンガルーでもタスマニアデビルでも奢ってあげる!!」

 

メイリン「ワタシのこと何だと思ってるの?…とりあえず食事よりも、恋愛話でお腹一杯になりたいかな~」

 

軍人とはいえ年頃の女性。この手の話は大好物だ。

今まで見たことのない笑顔で微笑む妹に、ルナマリアは服従するしかなかった。

 

 

 

***

 

 

 

ユウナは今後のことを模索していると、ウナトから呼び止められる。

 

ユウナ「どうかしました?父上」

 

ウナトは黙って数枚の用紙を渡す。

 

そこには『大西洋連邦並びににユーラシアをはじめとする連合国は、以下の要求が受け入れられない場合プラントを地球人類に対する極めて悪質な敵性国家とし、これを武力をもって排除するも辞さないとの共同声明を出した』とある。

 

読み終わると、ユウナは満足そうな表情をする。

 

ユウナ「予定とは違うけど、これはこれでどうにかなる、かな?」

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