ガンダムSEED DESTINY IF ~もしも彼女がいたならば~    作:鯱出荷

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第十二話

ディアッカ「で?お前さんとしては、どう見る?」

 

視聴覚室で、オーブ海域でのインパルスの映像を見せたディアッカが尋ねてくる。

 

アスラン「………いくら何でも、これだけではなんとも」

 

率直な感想を述べる。

 

アスラン「今までの戦闘データと比べると、確かに別人だ。が、火事場の底力という可能性も否定できない。この状態のシンの話を聞いたか?」

 

ディアッカ「祖国の人間に攻撃された後、『人間が乗る戦艦を撃沈した感想は?』とでも聞けると思うか?」

 

「う…」とアスランが黙る。

 

ディアッカ「ま。わからんもんは、わからんってことで。それよりも」

 

そう言って、話題を変える。

 

ディアッカ「あのシンとかいう奴の事情は、俺も聞いたよ。…どうもキラと、ただならぬ関係なようで」

 

アスラン「………見間違いということは?」

 

希望的観測を言う。

 

ディアッカ「オーブ軍の戦闘・被害記録。民間人の保護に関する書類。傍観していたザフト艦に残っていた、連邦のGAT新型MSをフリーダムが撃った映像。 そしてそれらに記載されていた時刻と場所。全てピンポイントだそうで」

 

アスラン「そうか………って。どうしてそんなに詳しいんだ?」

 

チッチッチッ、とディアッカが指を振る。

 

ディアッカ「ちゃんと円滑な人間関係作らないダメだぜ♪案内してもらったレイとかいう奴に、今までシンが調べてきた物を聞いたんだ。あいつもクルーゼの知 り合いで、意気投合してね」

 

アスラン「どうせ俺は、人付き合い下手ですよ……………」

 

先日の挨拶回りを思い出す。

一日であんなに多くの敵を生んだのは、始めてかもしれない。

 

 

 

***

 

 

 

シン「はぁぁぁぁ……マジかよ…」

 

艦長から今後の予定を聞いたシンは、休憩室で頭をかく。

 

レイ「どうした?カーペンタリア基地を出て、スエズ攻略の支援がそんなに嫌か?」

 

シン「わかって言ってるだろ?」

 

レイ「………アスラン氏が、今後戦闘指揮を取ることになったことか?」

 

「そう。それ」と言いながら、椅子に座る。

 

シン「2年ぶりに戻ってきて、いきなり隊長だなんて……」

 

愚痴を言い続けていると、ズシリと頭におもりを感じる。

 

ルナマリア「仕方がないでしょ。実力あるんだから。あのディスさんも一時期はザラ隊にいたから、やりやすいだろうし」

 

シン「とりあえず、人の頭に肘を置きながら紅茶すするな…!」

 

しかも「ズズズッ…」と音を立て、行儀が悪い。

 

ルナマリア「いいじゃない♪時々こうやって、誰が目上の人間かを植えつけないと♪」

 

心配しなくとも、こんな人間を超えたいなどと考えもしない。

 

アカデミーでのお化け屋敷にて、ぶら下がった脅かし用のコンニャクを「お腹すいたから」と平然と食すような人間なんかに。

 

シン「まぁ、百歩譲ってあの人が隊長になることは我慢するよ」

 

レイ「そもそも、相手はフェイス。シミュレーターでも生身でも圧倒的。お前が言ったところで、どうにかなるものではないと思うが」

 

シン「正論で返すな。で、俺は我慢すればいいだけなんだが……」

 

人目を気にするように話すシンに、ルナマリアは言いたいことを理解する。

 

ルナマリア「…あぁ。ティーのこと」

 

シン「そ。どう見ても、あの人のこと気に入ってないみたいだし。……また、ストレスにならなければいいけど」

 

「う~ん」とルナマリアは考え込む。

 

ルナマリア「事情、話したら?」

 

シン「そうすると、確かにあの人はティルムに関わらなくなるけど余計な気を使いそうだからなぁ…」

 

ディアッカ「余計な気?」

 

シン「ザラ隊長が、あの人の息子だってこと。話を聞くとティルムはキラ・ヤマトと仲いいことをよく思ってないだけで、ザラ前議長の息子ってことは気にして いないんだ。だけど事情を話したら、ザラ隊長のほうが気にしそうで」

 

あちらを立てればこちらが立たず。

 

ディアッカ「まー、確かに。話によると、あの子の両親はザラ前議長に殺されたようなもんだし。恨みの対象があのおっさんじゃないってことは、やっぱキラ達の方?」

 

シン「そうそう………………どこからコメントしたらいいですか?」

 

平然と、ディアッカが同じテーブルに座っている。

 

ディアッカ「まあまあ。とりあえず、あのお嬢ちゃんの生い立ちならレイから聞いた」

 

ギロッと、シンがレイを睨む。

 

レイ「………肝心なところは言ってない」

 

ディアッカ「そういうこと。で?話してくれるなら、元アークエンジェル乗っていた身として色々協力するけど?」

 

確かに情報は欲しい。

けど…

 

シン「…無闇やたらに、言うことじゃないので」

 

それがいい。もし自分の症状をティルムが耳にし、自覚してしまったら。

その危険を冒してまで欲しい情報ではない。

 

ディアッカ「…そっか。余計なお世話だったな」

 

冗談が言える空気でないことを察したのか、あっさりと引いてくれた。

 

ルナマリア「ん?ディスさんもアークエンジェルに寝返ったのに、ティーは気にしてないようだけど?」

 

レイ「隊長と態度が違うのは、『戦後すぐにザフトに戻ったか否か』だそうだ。やるだけやって、戦後処理は人任せな姿勢が気に食わないそうだ」

 

シン「まったく。ティルムも、どういう基準してんのかわかんねぇよ………熱っーーー!!??」

 

何事かと慌てて振り向くと、なぜか不機嫌な顔をしたルナマリアが紅茶を首筋に注いでいる。

 

ルナマリア「ア・ン・タねぇ~!!いつものシスコン振りはどうしたの!?シスコンじゃないシンなんて、シンじゃない!!『シン』ていう名前の由来は、 『【シ】スコ【ン】』からという誇りを忘れたの!?」

 

レイ「なっ…!そうだったのか……!!」

 

シン「信じるな!しかも誇りじゃなくて、屈辱の間違いだろうが!!」

 

「そんなことより」と、シンが話を戻す。

 

シン「一体なんだよ?普段は『バカップル』とか、色々うるさいくせに」

 

ルナマリア「それはそれ。これはこれ。…で、アタシが言いたいのは、アンタはどんなことがあってもティーの味方じゃないのかってこと!!」

 

シン「それは…」

 

反論に対し、ルナマリアは目を閉じ、説教モードに入る。

 

ルナマリア「『それは』何?今が大変な時期だってこと、わかってんでしょ!?だからアンタは、何があろうとティーの味方でいないといけない。違う!?第一 シンは…」

 

数分それが続いたかと思うと。

 

レイ「ルナマリア」

 

ルナマリア「何!?今大事な話をしてるの!!」

 

レイ「誰にだ?」

 

言われて目を開けると、そこにはシンの姿はなかった。

 

 

 

***

 

 

 

シン「後でルナからひどい目にあっても、知りませんよ」

 

ディアッカ「もう十分にひどい目にあってると思う…」

 

説教中のシンを引っ張り出したディアッカが、呟く。

 

シン「それで、なんすか?いきなり『話がある』なんて」

 

ディアッカ「ん?あぁ。一回サシで、お前と話してみたくてな」

 

シン「すみません。俺、そっちの方の趣味はな『俺はミリアリア一筋!!』…そうですか」

 

この人も、隊長と同じ匂いがするのは気のせいだろうか。

 

ディアッカ「何か失礼なこと考えていないか?…それで本題だが、お前さんのオーブに対しての考えについてだ」

 

シン「…あんたも、オーブの思想以外認めないっていう人間ですか?」

 

途端に目つきが変わったシンを、落ち着くようにとたしなめる。

 

ディアッカ「そんなんじゃねぇって。ただあの時のオーブの決断は、悪くなかったんじゃないかって話」

 

その言葉に、シンが怒りで顔を赤くする。

 

シン「ふざけんな!!あんな暴挙のどこに持てはやす箇所がある!?あんな行動、『決断』と呼ぶことすら馬鹿げてる!!」

 

ディアッカ「でもなー。もし素直に降伏してたら、オーブ国内のコーディネイターは、ブルーコスモスの手でひどい目にあってたと思うぜ」

 

それについては反論できなかった。

オーブ降伏後、地球軍に取り入るために地元民がコーディネイターを地球軍に明け渡すという行為を知っているからだ。

つい先日まで近所付き合いしていた人間が、自分達を売る。この行為は、多くのオーブ在留コーディネイターを難民へと追い込んだ。

 

以下余談だが、自分もそれに巻き込まれそうになったらしい。

しかしその時は生きる屍と化していた、もしくは混乱していたか定かではないが、全く記憶に残っていない。

 

回復してしばらくして、トダカから『事前にそれを察知して自分を逃がしてくれた人がいた』ということを知った。聞いた当初はそれさえもどうでもいいと感じ ていたが、先日トダカ達と再会した際にこの事を思い出し、その人はどこにいるのかと尋ねてみた。

 

しかしその人物は名乗らず去ってしまい、居場所はおろか名前さえ見当も付かないという。

 

シン「ハッ!結果として、オーブのコーディネイターが危険な目にあったことには変わりないだろ!!無駄死にもいいところだ!!」

 

ディアッカ「仏さんを罵倒するのは感心しねぇなぁ。ま、人間そんな先のことまでわかんねぇって。制圧目標さえ破壊すれば、撤退も有り得たろ?」

 

シン「マスドライバー爆破したことだって、連合の怒りを買っただけだ!結局俺達は、オーブのお姫様を逃がすために捨てられたんだ!!」

 

ディアッカ「…言いたいことはそれだけか?」

 

突如、今までからかうような口調のディアッカが、真剣な顔つきに変わる。

 

シン「なっ…何がだよっ!!」

 

ディアッカ「お前さんはウズミ氏を後先を考えない人間だと思っているようだが、その逃がしたお姫様一派は、ただ殺しあうだけの関係だった地球とコーディネ イターの関係を止めた。お前さんが主張する、結果としてな」

 

シンが言葉を捜すが、ディアッカは喋り続ける。

 

ディアッカ「じゃあ聞くが、お前さんだったらどうした?即刻地球軍に降伏?コーディネイター皆殺しで、地球とプラントは永遠に殺しあうだろうな。フリーダ ムを明け渡して、見逃してもらうか?そうなったらNJキャンセラーで、核戦争。その間コーディネイターの安全の保証はない。もしコーディネイターの安全を 要求しても、あの体制の地球軍がそれを守ると思うか?」

 

シン「~~~!」

 

言おうとしたことに先手を打たれ、シンは押し黙る。

そんなシンを見て、ディアッカはいつもの気さくな表情に戻る。

 

ディアッカ「…あのな?俺は別にお前さんが、オーブを認めろって言いたいわけじゃないんだ。俺が言いたいのは、相手がどうしたら良かったのかも考えない で、毛嫌いするなってことなんだ」

 

シン「そんなこと…」

 

ディアッカ「お前さんが家族を殺されたっていう言い分もわかる。ウズミ氏がやるだけやって、責任も取らず後始末も人任せで死んでいったのが気に入らないの もわかる。さっさとオーブ脱出して、のこのこ戻って来てはふんぞり返ってる代表が憎いのもわかる。だけど、あまり感情に任せて放言をするな。周りが見えな くなるぞ」

 

床を見たまま、シンは返事をしない。

話を聞く姿勢にはなっているので、それで十分だった。

 

ディアッカ「『拒絶』するなら猿でも出来る。『批難』するならガキでも出来る。だけど『批判』出来るのは大人だけ。ちゃんと内容見てしてから、ヤジ飛ば すってことだ。これはガキには出来ねぇことだろ?」

 

「…長くなったけど」と、

 

ディアッカ「少しでいいから、相手のいい点を見つける。それから改めて、批判しないか?相手のすることなすこと、全部に言いがかりをつ…」

 

 

ゴガッ!!

 

 

鈍い音と共に、ディアッカの後頭部に回し蹴りが決まる。

こんなことする人物、一人しかいない。

 

ルナマリア「勝手にシンを連れてかない!これはアタシ達の物なの!!……シン、大丈夫?何か変なことされなかった?」

 

シン「俺のことより、この人のこと心配しろよ!!…あぁ!もう!これだからシリアスは嫌いなんだよ!!考える時間もねぇのかよ!」

 

突然の事態に頭の切り替えが困難な中、床でグッタリとしているディアッカを介抱する。

 

ルナマリア「とりあえず、ちょっとしか力入れてないから大丈夫よ」

 

シン「……『ちょっと』ってどれぐらい?」

 

疑いのまなざしを向ける。

 

ルナマリア「『ちょっと』はちょっとよ………避けられると嫌だから、全力でやったけど」

 

シン「それはちょっとじゃなくて『思いっきり』っていうの!!」

 

ディアッカを担ぎ、彼は医務室行きとなった。

乗艦して間もないというのに、頻繁に医務室の世話になる男である。

 

 

 

***

 

 

 

余裕を持って行動できたのは、ここまでだった。

インド洋にて配置についたミネルバは、敵軍の動きをキャッチする。

 

メイリン「熱源照合、ウィンダムです!数……30!?」

 

バート「うち1機はカオスです」

 

その言葉に、タリアが顔をしかめる。

 

タリア「あの部隊だっていうの?一体どこから?付近に母艦は?」

 

バート「確認できません」

 

アーサー「またミラージュコロイドでは?」

 

メイリン「………」

 

バート「………」

 

タリア「………」

 

その一言で、騒がしい現場が静寂に包まれた。

 

アーサー「…あれ?」

 

メイリン「海でミラージュコロイド?ありえませんよ」

 

バート「常識です」

 

マリク「なぁ?」

 

口々に言われ、恥かしさのあまり小さくなるアーサー。

そんなアーサーに、タリアは声をかけ、優しく微笑んでくれる。

 

アーサー「艦長ぉ…!」

 

目頭が熱くなる。

やはり、何だかんだ言っても自分に気を使っ…

 

タリア「今週中に、ミラージュコロイドに関してのレポートを提出。最低20枚、8000文字以上」

 

それはそれは、事務的な声だったそうな。

 

 

 

***

 

 

 

アスラン『…以上だ。突然隊長となって色々と思うところがあるだろうが、よろしく頼む』

 

出撃したシン達に、きびきびと慣れた手順でアスランが指示を出す。

そんなアスランに、ルナマリアが素直な感想を言う。

 

ルナマリア『さすがに落ち着いてますね。オーブ代表の結婚式中に、代表が誘拐されたというのに』

 

てっきり、半狂乱になってると思っていたのに。

 

アスラン『あぁ。そんなことぐらいで慌てるようではフェイス…聞いてないぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!?』

 

あっさり半狂乱。そして、上空にいる緑ザクの足を掴みかかる。

セイバーで。

 

アスラン『どういうことだ!?えぇ!?説明せぃや!!それに至るまでの経緯!式の最中と言ったが、式はどこまで行ったんだ!許容範囲は入場までだぞ!?誓いのキスなど、お父さん絶っ対許さんぞ!!あとどこの馬の骨か知らないが、誘拐実行犯の氏名と要求!!それと!』

 

シン『あの、隊長……。ディアッカさん、戦闘前に死去しそうなんですが…』

 

セイバーに足を掴まれ引きずり落とされようとするのを、緑ザクはグゥルにしがみつきながら必死に耐えている。

 

念の為フォースインパルスが落下地点に控えているが、落ちるまで助ける気はないようだ。

 

ディアッカ『ぐぐっ……!し、式はパレードまで!!実行犯はフリーダムとアークエンジェル!!要求は今の所なし!!』

 

なんとか落ちそうになる機体を制御しながら、懸命に質問に答える。

 

アスラン『フリーダム…?キラ達か?』

 

ディアッカ『そこまで知るか!何でもいいから早く離せ!!』

 

仲が良い二人は無視して、既に敵軍と通信可能な距離になったところでレイが思い出したかのように言う。

 

レイ『そういえばルナマリア。今回は名乗らないのか?』

 

ルナマリア『前回ので、さすがに懲りたわ……』

 

グッタリとうなだれる。いくら何でも、ハードゲイ呼ばわりは応えたようだ。

 

シン『では、不肖ながらわたくしが』

 

コホンと咳払い。

 

シン『【こちらに存在する赤い固形物こそ、人呼んで【人外兵器・妹子】!!趣味は『熊が捕まえた鮭を横取りすること』という、ちょっとお茶目な女の子!!】』

 

ルナマリア『小さな親切大きなお世話ぁぁぁーー!!』

 

通信越しに、連邦軍のひそひそ話が聞こえる。

 

ネオ『ふむ。多くは聞かないが、とりあえず俺に近寄らないでくれ』

 

紫のウィンダムが、後ずさりする。

 

シン『良かったな。これで敵に狙われる確立が減ったぞ』

 

ルナマリア『ほとぼりが冷めるまでおとなしくしてるつもりだったのに、コイツは………!!』

 

気のせいか戦場に行く度、人間として大切な物を失っていってる気がしてならない。

 

シン『それで、ルナ』

 

突然シンが、通信を他人から聴取されない秘匿用のものに切り替えた。

艦長には文章でこの通信の使用を要請し、ついさっき認可されたので文句を言われることはない。

 

ルナマリア『あら。戦闘前に、愛の告白でもしてくれるの?ロマンティック♪』

 

シン『ふざけるなよ。……ティルムのことだよ。意見をくれないか?』

 

アスラン達はともかく、シン達はただ無意味に騒がしくしていたわけではない。

出撃前のミーティング時から業務連絡以外、ティルムが一言も喋ろうとしないのだ。

 

にぎやかにしていれば気が紛れると思っていたが、どうにもうまくいかない。

 

シン『やっぱり、隊長の指示で動くのが相当嫌みたいなんだ。ほっとけば慣れると思っていた俺達の認識が、甘かった』

 

ルナマリア『さっきもティーに言ったでしょ?【とりあえず、一回従ってみましょ】って。指示が的確なら納得できるし、無能なら降りてもらえればいいし』

 

あからさまに不快感を示すティルムを、こう言って説得したのだ。

 

ルナマリア『それに、喋ってはくれないけど、話しかけたら目は合わせてくれるんでしょ?口にしないだけで、まだアンタに頼ってるから大丈夫よ』

 

シン『わかった。………悪い。今までティルムに返事されないってことがなかったんで、どうしたらいいのかわからなくて』

 

ティルムがシンの呼び答えに応じないということは、出会って以来初めてだった。それ故、シンも動転してしまっているのだ。

この動揺も、もし『悪化』してしまったら、という不安からだろう。

 

ルナマリア『少しはティーに信用されてるって自信持ちなさい。じゃ、切るわよ。あとで何か奢ってね』

 

通信を通常の物に戻す。

すると、どういう経緯かは知らないが…

 

ディアッカ『こっちはフェイスで艦長の、優秀な人材なんだぞ!!』

 

ネオ『聞き捨てならないな!こちらの艦長も数々の実績を残している!!』

 

なぜか、艦長自慢の真っ最中だった。

 

 

 

***

 

 

 

アーサー「あ、あの…もう、その辺で……」

 

青筋を浮かべるタリアに怯えながら、ディアッカ達の口論を止めようとする。

こんな時に限って、他ブリッジ要員は知らん振りだ。

 

ネオ『第一、女性艦長など男だらけの軍隊では無力にすぎん!!クーデターの際どうする!?』

 

ディアッカ『はっ!クーデターなんか起こったら、男も女も関係ねぇな!むしろ女性のほうが日常に華があって、そんな気起こらねぇよ!!』

 

ネオ『違うな!常に威圧感を持った男性のほうが…』

 

止まるどころか、ヒートアップ。

ちなみに、向こうのリー艦長も青筋を浮かべていたりする。

 

ネオ『…ぐぅ!だがこちらの艦長は、【堅物実直艦長】だ!クルーからの信頼も厚いぞ!!』

 

ディアッカ『へっ!それがどうした!!こっちの艦長はフェイスな上、【巨乳人妻子持ちワケあり美人艦長】なんだぞ!!』

 

その言葉に、ネオに電撃が走る。

 

ネオ『何だってぇ!?奥さん!!ぜひ、顔写真とメールアドレスの交換を!!まずはメル友からいかかでしょう!?』

 

 

ぶちっ!!

 

 

タリア「アーサー!!タンホイザーを前方のザクに照準固定!それからトリスタン、パルジファルを発射準備!!早く!やれるわね!?」

 

リー『整備兵!!大佐のウィンダムの自爆装置を遠隔操作に!それからカオスの複相ビーム砲、ビームライフルをロックオン!!急げ!やれるな!?』

 

両軍艦長、シンクロ率100%。

 

アーサー・スティング「『お願いだから落ち着いてください(くれ)!』」

 

そしてこちらも100%。

 

 

 

***

 

 

 

巻き添えを恐れた両軍が、戦闘を開始。

その引き金となった二人も、さすがに戦闘に参加する。

 

ネオ『ほぅ』

 

セイバーの卓越したMS操縦が目に入り、興味から通信を入れる。

 

アスラン『お前は…!?』

 

ネオ『君の噂は聞いているよ。赤いMS君』

 

アスラン『何!?』

 

もう自分の情報が出回っているというのか。

そうだとすると、2年前の情報や戦闘記録を洗いざらい分析されてしまっているだろう。戦後全くMSに搭乗していない自分にとっては、それは危殆以外の何物でもない。

 

そう危惧していたが…

 

ネオ『なんでも、【ハードゲイの紅鮭】と呼ばれているらしいじゃないか』

 

アスラン『人違いだ!!』

 

もちろん、原因はルナマリア。

 

ネオ『謙遜しなくてもいいさ………こっちで勝手に軽蔑させてもらうから』

 

人知れず、アスランの世評大暴落。

この噂はどこぞの大天使にまで広がり、それを聞いた元同僚達は心の底から彼を心配したそうな。

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