ガンダムSEED DESTINY IF ~もしも彼女がいたならば~    作:鯱出荷

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第二話

???「だから我が国の技術と人材を、兵器開発に流用しないでもらいたいと申し入れているんだ!!」

 

買い物帰り、シン達と別れミネルバに行こうとしたティルムが見たのは、議長室前で議長に罵声を浴びせている女性だった。

 

ティルム「マッドさん。あの人、誰ですか?」

 

近くにいるミネルバMS技術スタッフリーダーである、マッド・エイブスに質問する。

マッドはなぜか狼狽したように答える。

 

マッド「てぃ、ティルムちゃん!?シン達と外出したんじゃ!?」

 

ティルム「……?お兄ちゃんの体調が悪いので、買うもの買って早めに戻ろうって…」

 

すると「とりあえずもめてるみたいだから」と、周りの人間達が自分を奥へと押し出す。

 

ティルム「ちょ!?え!え!えぇ!?」

 

マッド「艦長や議長には、俺が責任持って言っとくから!早めにミネルバの方に行っとこう!」

 

そのままズルズルと引っ張られ、その場に残った係が慌てたように扉を閉める。

 

ティルムは何が起こったのかわからず、ただ呆然とするだけだった。

 

 

 

***

 

 

 

アスランことアレックスは、さきほど怒鳴っていた女性、カガリをとにかく落ち着くようにとたしなめる。

このギルバート・デュランダルという新議長の、カガリを見る視線に気づいたから。

 

アレックス(この男、まるで子供扱いをするような目でカガリを見ている)

 

冷静を欠いた状態では、この議長の手の上で踊るだけだ。

 

カガリ「そ、そうだな。すまない、アスラン…」

 

アレックス「アレックスだ。…いいんだよ、カガリ。俺は君さえいれば…」

 

カガリ「アスラン…」

 

コホン、とデュランダルが咳払いをする。

 

デュランダル「盛り上がっているところ大変申し訳ないのだが、いちゃつきに来たのなら帰ってもらえないか?」

 

カガリ「す、すまない。ユウナから解放されるのは久しぶりでつい…」

 

アレックス「カガリ、謝る必要なんてないさ。議長は彼女と上手くいっていないから八つ当た…」

 

デュランダル「誰かこのバカップルつまみ出せ!」

 

カガリ「落ち着いてください!お父さん」

 

デュランダル「私は君達のような子供を持った覚えはない!!」

 

下手すると隠し子疑惑が浮上する、問題発言だ。

 

デュランダル「とにかく!姫はオーブ防衛戦で難民となり当国に受け入れたオーブ国民を、軍事関係の職に就かせるなと?」

 

カガリ「そうだ!」

 

アレックスは、一瞬デュランダルの口元が緩んだことを見逃がさなかった。

 

デュランダル「それは困りました。彼らは自分の意思でこの道を選んだのです。そんな彼らに圧力をかけて、職業の制限をしろということですか。彼らの長所を 生かせる職業には就かせるなと」

 

カガリ「な!?」

 

前もって技術者になることを禁止していたならともかく、既に就職している彼らにそんなことは出来ない。

 

仕事の選択権がある限り、長い間技術者をしてきた彼 らにとって一番の仕事は、結局技術者なのだ。

 

しかも、今の待遇はかなり良い。

辞めさせるとなったらその技術者から反発があるだろうし、辞めさせたからと いってまた良い環境に行ける保障はない。

 

デュランダル「それに技術を流用するなとの件ですが、当国はきちんと彼らの意思に基づき、彼らから技術を提供してもらっています。そしてオーブも連邦の GATシリーズのデータを盗用して、アストレイを開発したと聞きました。やってることは五十歩百歩で、オーブ側が咎める理由としては不十分では。それとも オーブは、『他軍からは流用するが、自国の技術には著作権や商標などの保護を掛けている』と?」

 

カガリ「そ、そんなわけ……」

 

デュランダル「ならば彼らが自分の意思で当国に協力してくれている以上、彼らの技術はオーブの技術ではなく彼らの技術です。そんな当国の技術者が当国に提 供した技術を、姫はオーブの技術だから使うな、と?」

 

デュランダルの余裕を持った態度と次から次へ出される反論に、カガリはつい口ごもってしまう。

だが今の話が、論点から外れていることに気づく。

 

カガリ「そんなことを言いに来たのではない!これはオーブの理念に反する!確かに元かもしれないが、彼らはオーブ国民だ!そんな彼らに理念に反することを させるな!技術や権利云々ではなく、人道的にやめてもらいたいと申しているんだ!!」

 

なにより、とカガリは続ける。

 

カガリ「強すぎる力は、また争いを呼ぶ!」

 

先の大戦でその中心にいたカガリは、そのことを十二分に知っている。

 

自分の仲間も弟も、その争いで傷ついたし傷つけた。あんなこと、もう二度と御免だっ た。

 

しかしデュランダルは、ゆっくりと首を横に振る。

 

デュランダル「姫、争いが無くならないから力が必要なのです」

 

認めよう。この男が自分より数枚上手だと。

 

だがここで譲っては、今後も含め言いくるめられてしまう。それだけは避けなければならない。

 

カガリが何か突破口を模索していると、突然エマージェンシーコールと爆音が鳴り響く。

 

アレックスは咄嗟にカガリを抱き寄せ、伏せさせる。

数秒して、兵士が駆けつけてきた。

 

デュランダル「どうした!?」

 

兵士「は、はい!ガイア・カオス・アビスの三機が、何者かに奪取されたようです!」

 

カガリ「!アスラン!あれ!」

 

カガリが指差す方向を見ると、遠くにかつて味方としても敵としても闘った機体があちこちで火柱を上げている。

 

アレックス「まさか……。ガンダム…?」

 

デュランダル「あれはザフトのMS、ZGMF-X88Sガイアガンダム・ZGMF-X24Sカオスガンダム・ZGMF-X31Sアビスガンダムです。それ ぞれ陸・宇宙・海での戦闘に特化しております。ちなみにガイアの型式番号「8」は陸戦4脚系の機体を表しており……」

 

アレックス「そんな説明言ってる場合じゃない!」

 

兵士「先ほどの爆発でシェルターへの通路が封鎖されてしまいましたので、デュランダル議長はミネルバへ!」

 

デュランダル「了解した。姫も我々と……」

 

火薬が残っていたのだろう。言い終える前に再度爆発が起こり、カガリとアレックスは爆風に飲まれ吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

***

 

 

 

アレックス「うっ…!」

 

爆風で全身を痛めつけられながらも、アレックスはゆっくりと起き上がる。

 

アレックス「ここは…?そうだ!カガリ!!」

 

あわてて周りを見渡す。するとすぐ側に横たわるように彼女はいた。

意識がないことに多少動転したが、気を失っているだけのようだ。

 

パイロット『気がつきましたか?』

 

上を見上げると、ジンがこちらを眺めていた。

今まで自分達を守っていてくれたようだ。

 

パイロット『お話しは伺っております。オーブ首長国代表カガリ様とその護衛の方ですね?先ほどミネルバに連絡を取りましたので、これから直ち…』

 

横からの突進に、ジンは近くのビルに叩きつけられ炎上する。

 

突撃したバクゥに似た機体は、敵機が炎上したからかこちらに振り返ることなく去って行く。

 

アレックス「おい!無事か!?」

 

大声で言うが、既にジンは原型を留めていなかった。

 

アレックス「くっ!このままじゃ…」

 

何か打開策を、と見渡すとここが格納庫であることに気づく。そして、目の前にZGMF-1000ザクウォ-リアがあることに。

 

アレックスは迷う。このままでは皆殺しだ。カガリだって意識を失ったままだ。

 

しかし自分は2年前のあの日からMSから離れた生活を送っていた。

もうMSに 乗らなくてすむ時代がきたのだからと。

 

アレックス「だが…!今!今目の前に守りたい人がいるんだ!!」

 

親友の言葉『今守りたい世界がある』を背に、アレックスはカガリを抱きかかえ、ザクウォ-リアに乗り込む。2年ぶりのMSに戸惑いながらも、何とか起動させる。

 

ザクウォ-リアのモニター越しの状況はひどいものだった。あちこちで煙があがり、MSの残骸が転がっている。

3体のガンダムは新しい獲物に気づき、アレックスに襲い掛かる。

 

スティング『まだいたのか』

 

アウル『さっさと終わらせ、よ!!』

 

アビスガンダムのランスを避けると同時、アレックスはトマホークで斬りかかる。

 

アウル『うおっ!こいつ、ちょっと違うじゃん♪』

 

スティング『だな。ステラ!畳み掛けるぞ!』

 

ステラ『それどころじゃない!!』

 

ステラのガイアガンダムを見ると、新手の巨大な剣を持つMSと戦闘していた。シンの乗るZGMF-X56S/βソードインパルスガンダムだ。

 

アウル『はぁ!?情報じゃガンダムは3機のはずだろ!?』

 

スティング『諜報部のミスだろうよ!』

 

そう言って、スティングのカオスガンダムはインパルスに襲い掛かる。

その時アレックスは、起動時に誤って入れた音声からインパルスのパイロットの呟きが聞こえた。

 

シン『待ってたよ…。また戦争が始まるのを!!』

 

 

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