ガンダムSEED DESTINY IF ~もしも彼女がいたならば~    作:鯱出荷

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第三話

ティルム「お兄ちゃんが出撃したって本当ですか!?」

 

ミネルバ内にて横にいたMS技術スタッフ、ヴィーノ・デュプレの胸倉を掴みガクガクと揺らす。

 

ヴィーノ「お、落ち着いて。ティルム。他にもMSは出たけど、旗色が悪いみたいだからインパルスも出撃させろって…」

 

ティルム「お兄ちゃんは体調悪いんです!あぁ、もう!昨日私が起動テスト付き合ってもらわなければ………」

 

急にピタリと黙り込むティルム。ヴィーノは怒ったり黙ったりどうしたものかと、困惑する。

 

ティルム「そうだ…。そうだ、そうだ!プラント内だったら、今のあの子でも問題ない!!」

 

掴んでいた胸倉を放し、ハンガーへと駆け出す。傍観していたヨウランが「おい!」と叫ぶ。

 

ティルム「ブリッジに連絡してください!私のガンダムで出ます!!」

 

ヴィーノ「ってえええぇ!?あれまだ未完成なんじゃ!?」

 

ティルム「装甲は完成してます!出力は3割程度ですが、お兄ちゃんの盾ぐらいには!」

 

だけどと言い掛けるヴィーノに、マッドが口を挟む。

 

マッド「無駄だ!兄貴と一緒で何を言っても聞かないのだから!ティルムちゃん!せめてMMI-M8A3を持っていってくれ!その機体には飛び道具がないだ ろう!」

 

ジンの76ミリ重突撃銃のことだ。本体供給型のビーム兵器は無理としても、トリガーを引くだけの実弾系などは非常用にと互換性を取り入れている。

 

自らの機体の開発者でMS技術スタッフでもあるティルムは、瞬時にそのことを理解する。

 

ティルム「ありがとう!」

 

機体に乗り込み、起動と突撃銃の武装を終える。

そこへ通信が入った。ミネルバ艦長であるタリア・グラディスだ。

 

タリア『ヨウランから連絡を受けました。非常事態だから特別に許可しますが、無茶と無理はしないように』

 

ティルム「了解です!ガンダムレストレイン!ティルム・ニックス、行く!」

 

 

 

***

 

 

 

シン『こいつらぁ…!!このままじゃ、捕獲どころじゃないっつのに!』

 

負傷したらしく戦線離脱してしまったザクウォーリアーがいない今、インパルスは3体のガンダムを同時に相手にしていた。

 

ステラ『こいつぅぅぅ!!どうして堕ちない!?』

 

ステゥング『落ち着け、ステラ。確実に追い詰めてきている。このまま……って!!!』

 

ズダダダッ!!

 

反射的に横に飛ぶと、さっきまでいた場所に銃弾と土煙が起こる。

 

アウル『また新手か?っっってぇぇぇ!?またガンダムかよ!?』

 

さすがにもうないだろうと思っていたガンダムの登場に、アウルは仰天する。

 

シン『はぁ、はぁ…。そ、その機体、ティルムか?』

 

全身を黒塗り、背にクモの足のようなものがある独特の機体。

自分が何度も製作を手伝った、ガンダムレストレインだ。

 

ティルム『うん!大丈夫?お兄ちゃん』

 

シン『大丈夫だけど、お前その機体はまだ』

 

ステラ『堕ちろぉぉぉ!!』

 

ガイアは四足獣型のMAに変形し、機動力を使ってインパルスを襲う。

インパルスの体を半回転させ、避けた勢いそのままにガイアの頭部に肘鉄を入れる。

続けとばかりに、アビスがレストレインに攻撃を仕掛ける。

 

アウル『返り討ちさ!』

 

ビームランスを構え、レストレインの懐に飛び込む。

 

ティルム『うぅっ!ええい!!』

 

レストレイン右腕の爪が、破れかぶれな動きでアビスを攻撃する。

アビスは相手を突き刺そうとランスを構えていたため反応が遅れ、それに当たってしまった。

 

スティング『アウル!!』

 

スティングの緊迫した呼び声にかかわらず、返ってきたのは気楽な声だった。

 

アウル『…へへっ♪ステラ!スティング!こいつは見掛け倒しだ!ちっともパワーがない!』

 

実際、多少よろけたもののアビスは転倒もしてないし傷一つない。

 

ティルム『やっぱり駄目……!?』

 

アウル達の通信は入ってきていないが、平然とするアビスを見て落胆の声を上げる。

 

レストレインのエンジンはまだ未完成なので、今は出力の3割も出せていない。

それでも攻撃が決まればなんとかなると思っていたのだが、見積もりが甘かった。

 

シン『ボケッとするな!ティルム!!倒せないなら隙を作るだけでいい!!』

 

ハッと我に返ると、慌てて突撃銃の引き金を引く。

絶望感と役目のない自分を救ってくれるのは、やはりいつも兄だと感じながら。

 

アウル『へっ!当たっても大したことない攻撃なんざ、恐くないね!!』

 

スティング『おい!もうこれ以上の戦闘は時間的に無理だ!離脱するぞ!!』

 

ステラにも同様の通信を送る。

 

ステラ『あと少し!!あと少しでこいつ等を…!』

 

じゃあとアウルが呟く。

 

アウル『ここで死ねよ。ネオには言っておくよ。さよならって!』

 

スティングが咎めるが手遅れだ。その言葉に、ガイアは動きを止める。

 

ステラ『死ぬ…?死ぬのは、死ぬのはいやぁぁぁぁぁ!!』

 

インパルス達に背を向け、上空へと飛び出していく。それをカオスとアビスが追う。

 

シン『くそ!あいつらっ!ミネルバ!フォースシルエットを!!』

 

ティルム『お兄ちゃん、私も…』

 

レイ『おれが行く。レストレインは飛行と宇宙空間での活動が不可能だったはずだ。戻れ』

 

ルナマリア『アタシもいるわよ~。引継ぎはしっかりやるから、安心して♪』

 

白いブレイズザクファントムと紅いザクウォーリア。レイとルナの機体だ。

 

レイ『ルナマリア。お前もだ。足のケーブルから煙が出てるぞ』

 

ルナマリア『ほぇっ?ってああぁ!あのバカ整備員!後で引きずり出してやる!!臓器を!』

 

シン『仮にも女のセリフか。レイ!追うぞ!』

 

会話の間にフォースシルエットの装着を終え、インパルスはザクファントムと共にガイア達を追って飛び出す。

ティルムは心配そうに、それを目で追う。

 

ティルム『大丈夫だよね…?お兄ちゃん達……』

 

ルナマリア『アカデミー卒業生の赤服コンビよ。平気に決まってるでしょ。さ、何も出来ないアタシ達は帰りましょ。早く戻ってあいつ等の臓器摘出し ないと』

 

物騒なことを本当にするつもりらしい。それを聞いていないのか、ティルムはまだ上空を見つめていた。

 

 

 

***

 

 

 

ルナマリアはミネルバに戻り機体整備を例の整備員に全て押し付け、艦長に報告しに行く途中だった。

 

通信で十分だと思うが、戦闘中と平時とはまた情報が異な る可能性があるからだという。しかもそれが義務付けられているからたまらない。

 

ティルムはレストレインの整備のため、艦長報告は後回しだ。

最も機体を理解しているティルムがいないと作業スピードが上がらないからだ。

 

そこでふと、1機のザクから降りた人物を銃を突きつけ囲んでいるのに気づく。

 

片方はさっきまで気を失っていたのか、目の焦点が合わないままふらつく女性。

そしてその女性を支える男性だった。

 

男性は銃を突きつけられたことに気を悪くしたのか、大声で喋る。

 

アレックス「こちらはオーブ首長国代表カガリ・ユラ・アスハ様と、その護衛アレックス・ディノだ!先ほどジンから連絡を受けたはずだ!デュランダル議長に お会いしたい!それとアスハ様の治療をお願いする!」

 

ルナマリア(そんな怒鳴らなくても。こっちはついさっきMS盗まれて大変だったから、またMS泥棒だと思ってもしょうがないじゃない)

 

そう思いつつルナマリアが銃を下ろしてという前に、後ろの女性が声を上げる。

 

カガリ「アスラン!私は大丈夫だ」

 

ルナマリア「あすらん?あすらんって、あのアスラン?」

 

ルナマリアの言葉に、カガリはしまったという顔。アスランと呼ばれた自称アレックスはため息をつきつつ、頭を抱える。

 

ルナマリア(ふ~ん。よくわからないけど、まさかあのアスランがオーブにねぇ。でも何でオーブに……ってオーブ!?まっずい!あの兄妹が知ったら大 変!!)

 

アスランと呼ばれた男性がしたように、ルナマリアも頭を抱え込んでしまった。

 

 

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