ガンダムSEED DESTINY IF ~もしも彼女がいたならば~    作:鯱出荷

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第六話

カガリは先ほど物思いにふけっていた部屋に戻っていた。

 

しかし、考えていることは先ほどと違っていた。

今度はあの少年のことでだ。

 

アレックス「カガリ、考えても仕方がない。ああいう考えを持つ人もいるさ」

 

カガリ「私達と違う理念を持つ人がいることぐらい、わかってる。でも彼は私達の理念により、家族を殺されたんだ」

 

それもオーブ側によって。自分の弟の手で。オーブの考えを信じてくれていたというのに。

 

カガリ「お父様が苦しみながらお決めになったことは、理念を守れ、皆の願いを守れたのだと思っていた。だが彼にとっては、ただ一番大切な者を奪っただけ だ」

 

アレックスはため息をつく。

 

カガリは行動力もあり男性並みに度胸もある。だが精神面ではまだまだ弱く、一度はまってしまうとなかなかそこから出てこられない。

 

ここで非情になり、「彼には悪いが、仕方がない。運がなかった」と思えるような性格ではないのだ。

 

カガリ「なぁ、アスラン…?私が、オーブがあるから彼のような少年を生んでしまったのか?あんな、心の底から人を憎める少年を」

 

アレックス「カガリ…。いいから少し休め。鬱な気分で物事を考えても、悪いほうにいくだけだ」

 

小さな声で「…わかった」と言うと、フラフラとベッドに横になる。あの様子では、すぐに眠りに付くだろう。

弱々しい彼女を見て、アレックスは決心した。自分にできることなら力になりたいと。

 

 

 

***

 

 

 

ルナマリア「あら。いいんですか?姫様から離れて」

 

カガリが寝付くのを待って、アレックスは外に出ていた。

ルナマリアは、ティルムを送っていった帰りだろう。

 

アレックス「ああ。……彼女だって父親も友達も亡くしている、あの戦争で。何もわかってないわけじゃないさ」

 

ぼそりというアレックスに、ルナマリアが口を開く。

 

ルナマリア「先ほどの発言が気に障ったなら彼に謝罪させますし、アタシも謝ります。ただ失礼を承知で言いますが、今後彼らにあんなこと言うのはやめてもら えないでしょうか?」

 

アレックス「あんなこと?」

 

ルナマリア「『下らない理由』」

 

ああ、と思い出す。

 

その前のやり取りや、知らなかったことを踏まえてもあれは言い過ぎた。

もし目の前の彼女と立場が逆で、そんなこと言われたら憤怒しないわけがない。

 

そこでアレックスは、先ほどあった出来事を思い出す。

 

アレックス「そういえばあの金髪の子は。彼女も家族を失っているのか?」

 

とりあえず、フリーダムが関係しているのは間違いないだろう。

彼女のフリーダムに対する執着心は、わずかしか見せなかったとはいえ尋常ではない。

 

話題を変えられたことに憤りを覚えたのか、ルナマリアの視線がきつくなる。

 

ルナマリア「……当事者でないアタシが答えることではないので。では」

 

敬礼すると、ルナマリアは振り返らずそのまま行ってしまった。

 

 

 

***

 

 

 

ザクに乗り込んだルナマリアは不機嫌だった。

初めて会ったときはボロボロで、ようやく笑えるようになった自分の大切な人を軽視する彼らに対して。

 

彼らから見ればシン達など知らないのも当然なのだが、自分に言わせれば、本当に犠牲になった人達の事を考えていればシン達のことも知っているはずだ。

シン達が理念の踏み台にされた気がしてならない。そして彼らはそんなこと少しも気にしている様子もない、と。

 

もっともそれは誤解で、表面上動揺しないのは代表の威厳を保ち続けなければいけなかったからだ。

さらに下手に謝罪をすると、今までオーブがしてきたことの 否定になってしまう。

 

重要な立場だからこそ、慎重な対応が必要なのだ。

決してカガリ達が気にしていないわけではない。

 

レイ『何をイライラしてるんだ?』

 

不思議そうに通信越しから尋ねるレイに、『べ・つ・に!』と返す。

そこへシンからも通信が入る。声のトーンから、さっきのことは切り替えたようだ。

 

シン『だったら良いこと教えてやるよ。さっきヴィーノから聞いたんだけど、あのアレックスも作業に参加するってよ』

 

シンとしては、ルナマリアが尊敬する(と思われる)人物と同じ戦場に立てるという意味で言ったのだ。

決して嫌味ではない。

 

ルナマリア『…後ろから蹴り飛ばしてやろうかしら(ボソッ)』

 

シン『……何か言いました?』

 

どうしてだろう?緊迫した外部より、横にいる味方一人に黒いものを感じる…。

 

ルナマリア『んーん。何も。それより、シン愛しの義妹君は?』

 

ハンガーを見ると、レストレインは固定されたままだ。

 

レイ『前にも言っただろう。まだあの機体は飛行すら出来ないのだ。宇宙なんてとんでもない』

 

もし出たら、宇宙を永遠に放浪することになる。

 

アレックス『アレックス・ディノ。発進準備完了した』

 

アレックスの通信とほぼ同時、メイリンからも通信が入る。

 

メイリン『状況変化。ユニウスセブンにてジュール隊がアン・ノウンと交戦中』

 

アレックス『ジュール?イザークか?』

 

 

 

***

 

 

 

メイリン「アン・ノウン使用MSは、ジン ハイマニューバ2型と判明。各機、対MS戦闘用に装備を変更してください」

 

ブリッジ要員であるバート・ハイムが、索敵で見つけた物に気づく。

 

バート「さらにボギー1確認!」

 

アーモリーワンで、ガンダムを奪った部隊の母艦だ。 シン達がMAと戦闘した際見かけ、以降こう呼んでいる。

 

アーサー「ええぇぇぇ!?どういうことですか!?」

 

タリア「アーサー、うるさい。…わからないわ。でも本艦の任務がジュール隊の支援であることに変わりないわ」

 

軽いイジメだ。

 

メイリン「カウント終了次第、各機発進願います」

 

カガリ「現状は!?」

 

ブリッジにカガリがやってきた。いま把握している情報を伝えると、カガリは顔を曇らせる。

 

カガリ「…そうだ。アスランは?」

 

周りを見渡すカガリ。

 

デュランダル「おや、ご存知なかったのですか?彼は自分も作業を手伝いたいと言ってきて、今MSで発進したとこですよ」

 

 

 

***

 

 

 

イザーク『ええい!何なんだ!こいつらは!』

 

所属不明のジンに、自分の隊員を次々と倒されるイザークが叫ぶ。

 

ディアッカ『落ち着けって。まず工作隊とメテオブレーカーを優先しないと』

 

イザーク『わかっとるわ!この女助けるため寝返った挙句、フラれた男が!!』

 

ディアッカ『ヒドッ!?お、お前だって恋人いないじゃねぇか!』

 

イザーク『お、俺にはシホがいる!!(照)』

 

ディアッカ『コォォングラッチュネーショォォォン!!』

 

泣き叫びながら、ガナーザザクウォーリアはM1500、オルトロス高エネルギー長射程ビーム砲を放つ。

しかし正確な射撃も、所属不明のジンは全機回避に成功する。

 

イザーク『ちぃぃっ!こいつら、生半可な実力じゃない!!』

 

ディアッカ『いつからなんだ!?友人の俺に内緒で!きっかけは!?振り向いてもらう方法は!?キスってやっぱりレモン味なのか!?』

 

イザーク『レモンだと!?シホの唇はそんな低俗なものでは…………現状を把握しろぉぉぉ!!』

 

少なくとも、回線全開でやる会話じゃない。

 

サトー『ふざけるなこのヒヨッ子共がぁぁ!!』

 

ほら。テロリストの方々は怒り心頭です。

 

テロリスト『そうだ!うらやましいじゃねぇかこんちくしょー!!』

 

サトー『お前もだトルストォォォー!!』

 

一部は違った意味のようです。

 

スティング『ちっ。ネオの奴はまた高みの見物か』

 

ステラ『ネオ…忙しい…』

 

アウル『こいつらのせいかよ、こいつが動き出したのは!』

 

今回の騒動をザフトの仕業と誤解した、正式名『地球連合軍特殊部隊ファントムペイン』が参戦する。

わずかな差でミネルバも到着する。

 

ルナマリア『顔は女神・手足は白雪姫・宇宙を泳ぐ様はマーメイド。ルナマリア・ホークが支援するわ!』

 

シン『顔は巨神兵・手足はトド。宇宙で溺死しろこの半魚人』

 

戦場の兵士に、嫌なイメージが広がる。

 

ルナマリア『シンー♪今晩お部屋に行っちゃうぞ☆』

 

彼女の場合夜這いではなく、夜襲を意味する。

 

シン『俺が悪かったです!!』

 

レイ『ふむ。確かに手足がトドの半魚人女が部屋に来るのは、同室の身として御免だな』

 

ルナマリア『レ・イ~?』

 

レイ『…ふざけるのもほどほどにしろ。奴らの射程範囲に入る』

 

「あ、てめぇ」と言うルナマリアの横から、通信が入る。

 

アレックス『それぐらいにしておけ。あとくれぐれも目的は戦闘じゃないぞ!』

 

シン『わかってますよ。けど撃ってくるんだ!あれをやらなきゃ作業もできないでしょ!』

 

アレックス(あぁ、この騒がしさに協調性のなさ。クルーゼ隊を思い出すよ…)

 

物思いにふけっていると、シンとレイにガイアとカオスが。ルナマリアにサトー、トルスト達のテロリスト組が襲い掛かる。

 

イザークはアビスを相手にする気だ。

アレックスやディアッカ達と違い専用機・専用色なので、目立つからだろう。

 

残りのテロリスト数機が、ディアッカ達に向かう。

 

ステラ『あのときの奴!』

 

シン『あぁ!またかよ!』

 

レイ『シン!とにかくこいつらをユニウスセブンから離すぞ。ミネルバが誤解を解くため、敵艦に国際救難チャンネルで呼びかけているらしい』

 

シン『誤解?何の!?』

 

レイ『奴らがこの出来事をおれ達のせいだと考えてる可能性があるからだ。あいにく、今こいつらの相手をする時間はない』

 

ガイアがビームサーベルで切りかかってくる。それをインパルスは寸前でかわす。

 

シン『くそっ!捕獲とか引き離せとか、そんなのばっか!』

 

愚痴りながら、こちらもビームサーベルを振りかざす。

ガイアに柄の部分をシールドで防がれるが、インパルスは加速を加えてユニウスセブンとは逆の方向に押し飛ばす。

 

ステラ『こいつぅぅ!』

 

スティング『ステラ!』

 

レイ『お前はこっちだ』

 

ブレイズザクファントムはこちらに向かいながら、正確な射撃をしてくる。

 

並のパイロットなら近づいたところを返り討ちにできるが、このパイロット相手では 自信がない。機動兵装ポッドもエネルギー消費が激しいため、リスクが高すぎる。

 

結局接近を許すわけにはいかず、後方に下がりながら反撃するしかなかった

 

スティング『こいつら!足止めが目的か!!』

 

 

 

***

 

 

 

ルナマリアはテロリストのジン3機と戦闘に入っていた。

 

テロリスト『うおおぉぉぉ!』

 

ジンのビームライフルを赤いザクウォーリアは軽々と避け、反撃でこちら側に被弾させてくる。

 

テロリスト『くそが!』

 

テロリスト『落ち着けよ。こっちは時間を稼げば勝ちなんだ』

 

実際はザフトの工作隊が破砕作業に入っているので、ルナマリア達のほうが彼らの足止めをしたいのだが

 

ルナマリア『守りに入っちゃ負けるわよ!!』

 

それを悟られないようにと、積極的に接近する。

 

テロリストが慌てて回避運動を取ろうとするが、それが逆に無防備な体制を作ってしまった。懐に入ったザクが、ビームトマホークでジンの胴体を切り裂く。

 

テロリスト『エメル!ちぃ!!』

 

日本刀型の重斬刀を、勢いよく横に払う。ルナマリアにはかすりもしない。

 

ルナマリア『甘い甘い甘い!そんなんじゃ最近の女の子は満足しないわよ!!』

 

テロリスト『うぅ……。昔付き合った彼女に言われたセリフ…』

 

サトー『戦えぇぇぇ!!!』

 

ルナマリア『そんなあなたには、この幸運を呼ぶ黄色か白のチューリップが……』

 

サトー『お前何しに来たぁぁぁ!?しかも黄色いチューリップの花言葉は【望みない恋】、白いチューリップは【失われた愛】だろうがぁぁぁー!!!』

 

恋人や失恋した人にはあげてはいけない花である。最近のテロリストは花言葉にも詳しいようだ。

 

 

 

***

 

 

 

向かってきたテロリストの大半をディアッカに押し付け、アレックスはメテオブレーカーと工作隊の護衛にまわっていた。

 

工作員『よし!こっちの作業も完了した!ご協力感謝します!』

 

アウル『こいつらが実行犯か!!』

 

離脱して作動させようとしたとき、イザークのスラッシュザクファントムを引き離したアビスが3連装ビーム砲を放つ。

それが工作隊の一部に直撃する。

 

アレックス『くっ!』

 

アウル『まだまだ!』

 

そのままビームランスを構え、アレックスのザクウォーリアに接近戦を仕掛ける。

 

イザーク『させるかぁ!』

 

追いついたイザークが両肩のハイドラガドリングビーム砲を使い、アビスに攻撃の態勢を作らせない。

さらに向かってきたテロリストを一掃し終えたディアッカ も合流する。

 

アレックス『すまない。イザーク』

 

ディアッカ『お?その声、アスランか?久しぶりー。聞いてくれよ~。イザークの奴、俺に黙って恋人とキス…』

 

イザーク『そそそそそそんなことよりアスランはこんなところで何をしてますですの!?』

 

何故かラクス口調だ。いや、ラクスよりおかしい。

 

アレックス『今はアレックスなんだが…。いや、こうなったのには色々と』

 

すると突然ユニウスセブンが大きく揺れる。メテオブレーカーが作動したのだ。

 

 

 

***

 

 

 

ミネルバのブリッジに、ユニウスセブンが半分に割れたことが伝わる。

 

カガリ「よし!!」

 

タリア「いいえ。まだまだです」

 

「へ?」というアーサーに、タリアは続ける。

 

タリア「もっと細かく砕かないと。この程度では意味がありません」

 

レイ達からの通信で、ジュール隊と思われるMSが次の破砕作業を再開していること。

さらに3機のガンダムとテロリスト達も健在、こちらも戦闘を再開してい ることが伝わる。

 

バート「っ!艦長!ボギー1から帰還信号が打ち出されました!」

 

デュランダル「ふぅ。ようやく信じてくれたか」

 

タリア「そうかもしれませんが、高度からかもしれません。このままいくと地球の引力に巻き込まれてしまいますので」

 

少し思考したあと、タリアは後ろの座席にいるデュランダルとカガリを見る。

 

タリア「こんな状況下に申し訳ありませんが、議長方はボルテールへお移りいただけますか?ミネルバはこれより大気圏に突入し、限界まで艦主砲によるユニウ スセブンの破砕を行いたいと思います」

 

アーサー「はいぃぃぃ!?か、艦長、それは…」

 

タリア「どこまで出来るかはわかりませんが……。でも出来るだけの力を持ってるのにやらずに見ているだけなど後味悪いですわ」

 

デュランダル「そうか。すまないが、後は頼む。では姫も」

 

差し出された手に、カガリは首を横に振る。

 

カガリ「私はここに残る。アスランがまだ戻っていない。それに、ミネルバがそこまでしてくれるというのなら私も一緒に!!」

 

デュランダル「代表がそうお望みでしたらお止めはしません」

 

「それでも」と言おうとしたアーサーより前に、議長が答える。タリアは議長の発言に人知れずため息をつく。

 

タリア「わかりました。それとレイ達に帰還信号を出して。もう限界高度ギリギリよ」

 

 

 

***

 

 

 

ガイア達が撤退し手薄になったシン達は、残ったテロリスト達を片付けていた。

 

レイ『!シン。信号弾だ。ミネルバもタンホイザー砲撃を行うらしい。おれ達も撤退するぞ』

 

シン『…ん?レイ!先に戻ってて!』

 

そう言うと、何故かインパルスはユニウスセブンの方へ行ってしまう。

「おい!」と呼び止めるが、インパルスと違うザクはこのままミネルバに帰還するしかなかった。

 

 

 

***

 

 

 

アスラン『せめて、これだけでも』

 

ユニウスセブンにいたのは、残ってメテオブレーカーを作動させようとしていたアスランだった。

そこへインパルスがやってくる。

 

シン『何してるんです!帰還命令が出たでしょう!通信も入ったはずだ』

 

アスラン『わかってる!だがミネルバの主砲といっても、外からの攻撃では確実とは言えない。君は早く戻れ』

 

シン『~~~!』

 

メテオブレーカーに近づいたかと思うと、アスランの作業を手伝い始める。

 

シン『あん……あなたみたいな人が、なんでオーブになんか…』

 

アスラン『………』

 

作業中の沈黙を気にしたのか、アレックスが話しかける

 

アスラン『アーモリーワンの戦闘で偶然聞いたのだが…』

 

シン『はい?』

 

アスラン『君はどうして、また戦争が始まるのを待っていたんだ?』

 

シンの口が閉ざされる。

 

アスラン『復讐のためか?それともオーブがしてきたことが間違いだったと証明されるからか?もしそうだとしたら、君が平和を望む者を非難するのは間違って いる。結果はどうあれ、彼女は平和のために奮闘している』

 

今までなら「うるさい」の一言で片付けていただろう。

 

しかしほんの少しだけ見るところがあるかもしれないと感じた彼に、シンは口を開いた。

 

シン『戦争しないと、守れないものだってあるんです…』

 

アスラン『なに?』

 

あと一息で作業が終了するところで、ビームライフルの銃撃を受ける。

 

アスラン『っ!まだいたのか!!』

 

サトー『これ以上はやらせん!!』

 

全弾撃ち尽したビームライフルを投げ捨て、シン達を急襲する。

 

テロリスト『同感!…残ったのは、俺らだけっすか』

 

サトー『トルスト…。せめて、お前だけでも…』

 

テロリスト『はっ!何を今更!惚れた女と同じ所で死ねるなら本望さ。ナチュラルにやられた、人生最初で最後の恋人のな!』

 

テロリストとサトーを、それぞれシンとアスランが向かい打つ。

 

シン『こいつ!ルナが相手してた奴らか!』

 

テロリスト『名前聞いてないけどきっとご名答!大丈夫。彼女は撤退したさ。……お前さんには関係ないけど、俺の女、結構ひどいこと言うけど笑顔が素敵な奴 だったんだぜ』

 

シン『…え?』

 

テロリスト『女は生きてる内に孝行しろってことさ!』

 

一瞬の隙をつき、インパルスの足にしがみつく。

 

シン『な!?』

 

テロリスト『心配いらねぇ。これ用の火力は減らしてある。やられてユニウスセブンが破砕しちまったら、本末転倒だからな』

 

「何を!」と言おうとするが、その前に気づく。彼がしようとしていることに。

 

テロリスト『へっ。悪くない人生だったぜ、フィミー……。行く場所が天国と地獄、違うのが残念だがな!』

 

カッ!と光があふれ、ジンが自爆した。周りにジンの残骸が飛び散り、インパルスも爆風にのまれる。

 

アスラン『シン!!』

 

サトー『トルスト達の、私の家族のこの墓標!落として焼かねば世界は変わらぬ!!』

 

気を反らしたザクに、ジンが突進する。

 

サトー『ここで無残に散った命の嘆きを忘れ!撃った者たちと、なぜ偽りの世界で笑うか!貴様らは!』

 

アスランは思い出す。ここで母レノア・ザラが死に、それが原因で父パトリック・ザラがナチュラルを恨み始めたことを。

 

サトー『軟弱なクラインの後継者共に騙され、ザフトは変わってしまった!なぜ気づかぬか!我らコーディネイターにとって、パトリック・ザラのとった道こそ が唯一正しきものとぉ!!』

 

アスラン『な…に…!!』

 

動揺して動きを止めたザクに、サトーはトルスト同様自爆を仕掛けようとする。

 

シン『くそぉぉぉ!』

 

吹き飛ばされ体勢を崩しながらも、インパルスは残り少ないビームライフルを連発する。

その中の一つが、サトーの機体を貫く。

 

サトー『忘れるなっ!この行い、やがてコーディネイターのためとなることをぉぉぉ!!!』

 

サトーの叫びと共に、ジンが爆発した。シンとアスランの心に、大きなわだかまりを残して。

 

 

 

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