翌日、約束通りキリトとアスナの両方からメッセージが届いた。
内容としては《グリムロック》《グリセルダ》《シュミット》《ヨルコ》《カインズ》はかつて同じギルドのメンバーだった。
……いやグリセルダって誰? シュミットは確か攻略組のギルド《聖竜連合》の幹部だったはず。何度かボス攻略の時に顔を合わせた記憶がある。
グリセルダ某については次の行に書いてあった。
曰く、かつてのギルドのリーダーでありグリムロックの奥さんで半年ほど前に殺されたらしい。
死んだ、ではなく殺された、というのはどうも当時ギルド内ではレアアイテム──指輪だったらしい──がドロップし、それをギルドで使おうという意見と売って儲けを分配しようという意見が現れた。最終的には多数決で売却に決まった。
そして競売にかけるためにギルドリーダーのグリセルダが出掛けた。だがグリセルダは帰って来なかった。
その後しばらくしてグリセルダが死んでいたことが《生命の碑》で分かったらしい。死因は《貫通継続ダメージ》だったという。
そんなレアアイテムを持った状態で圏外に出たとは考えにくい。それに死因が《貫通継続ダメージ》となると十中八九プレイヤーによるものだろう。考えられる一番の可能性は《睡眠PK》か。
だが問題はグリムロックだ。ギルド解散の後からは誰も連絡が取れないらしく、今どこで何をしているのか把握できていないという。このままでは本当に人海戦術で探さなければならなくなってしまう。
「メンドクセェ……」
どうやらこれからシュミットとヨルコを対面させるらしい。もう少し詳しい情報が欲しいからオレも行こうかな。
◆ ◆ ◆
第五十七層・主街区マーテンのヨルコが泊まっている宿にシュミットを呼ぶのだという。
宿と部屋の位置はわかった。中の方はキリトとアスナに任せて大丈夫だと判断し、オレは別の建物の屋根から彼らの様子を見つめる。
この事件の全容について大体の仮説はできた。ただ動機だけがいまだに分からない。《圏内殺人事件》を起こした理由ではなく、もっと根本的な動機が───
「───誰だあれ」
視線の先には、オレのいる屋根とは別の屋根に漆黒のローブを来た男(背格好からの推測)が立っており、オレと同じ方向、つまり今キリトたちの居る宿屋の方角を見つめていた。
明らかに怪しいが、どうしよう。圏内だと攻撃の類は効かない以前に届かない。捕まえるというのが不可能なのだ。
困ったなぁ、と考え込んでいるとヨルコと思わしき女性が窓際の方へと寄ってくるのが見えた。まあずっと座っていても疲れるだろうし席を移動するのはよくある事だ。
だが街の中に風が吹き、ヨルコの長い髪が揺れ背中が露になったときオレの瞳はそれを捉えた。
ヨルコの背中には黒い
そして前後に頼りなく揺れた後、ぐらっと大きく窓の方に倒れ込み、地面へと落下・青いポリゴンを巻き散らして跡形もなく消滅した。
……間違いなく、今あの宿周辺には誰もいなかった。あの黒ローブの男にしても何の動作も起こしていない。
こうなってくるとオレの仮説がいよいよ信憑性を増してくる。というかこれはほぼ確定だろう。
逃げていく黒ローブの男をキリトが追いかけていく。それを眺めながらオレは屋根の上に腰を下ろした。
「はあ。帰って鍛冶がしたい」
◆ ◆ ◆
「おいどういうことだムラマサ! 説明してくれ!」
目の前でヨルコ氏が殺されたことに震え上がっていたシュミットを送り届けた後、既に日が沈んだ街の中でオレはキリト、アスナ両名に詰め寄られていた。
あの後、キリトは結局黒ローブの男を捕まえられずに戻って来た。あと一歩という所で転移結晶を使われたらしい。
「説明? 何の」
「黒ローブとヨルコさんのことだ! お前が外から見張ってたんじゃなかったのか!?」
キリトが声を荒げて攻め寄ってくる。目の前で再び圏内殺人を目撃して、それも犯人と思わしき人物を逃がしたのだ。冷静さを欠いてしまうのも仕方がないだろう。
けれどそれは彼が大事なことを見落としている証明に他ならない。
「わかったわかった、ちゃんと説明するよ。というか、オレたちはもう今回の件から手を引いた方が良い」
「手を、引く……? まだ圏内殺人の手段がなにもわかっていないのよ!? それじゃあこの先、他のプレイヤーが狙われたらどうするのッ!?」
「それこそ心配の無駄だろ。なんせ
「「……は?」」
オレの言葉の意味を理解できていないのか、呆けている二人に座るよう促す。
大体、この事件に対するオレの興味はとうに失せている。さっさと終わらせて帰りたいのだ。
「もう面倒くさいから結論から言うぞ。
「「───は? …………はあ!?」」
驚愕の叫びを漏らす二人が落ち着くまで黙って水を啜る。この世界だと飲み水はタダで手に入るからコスパが良くて実に助かる。噴水の水を飲むなんて現実じゃ考えられない事だ。
「い、生きてるって……だって……だってわたしたち、ゆうべ確かに見たのよ? 黒い槍に貫かれて、窓からぶら下がったカインズさんが……死ぬところを」
「違う。お前達が見たのは
「だ、だからそれがこの世界での《死》でしょう?」
「いいや、その現象だけなら再現は簡単なんだよ。やろうと思えばオレにだって出来るし、ネタが割れればキリトたちにも再現可能なマジックだ」
「ま、マジックって………」
言っている意味が分からないと、アスナは力なく首を横に振った。対してキリトの方は何やら手を顎に宛てて考え事をしている。
キリトはともかく、アスナにはもう少し説明が必要だろう。
「まず圏内ではいかなる手段でもプレイヤーのHPは減少しない。例外はデュエルだけだ。これが絶対の前提になる。けれどアンチクリミナルコードの対象になるのはプレイヤーだけでオブジェクトは関係なしに損傷を受ければ耐久値が減る。これは昔に実験した」
「っ! そうか、そういうことか! 確かにあの時カインズのアーマーは槍に貫通されてた。槍が削っていたのはカインズのHPじゃなくて、鎧の耐久値のほうだったのか!」
「ああ。キリト、お前はカインズ氏を『重装備を着込んだプレイヤー』と言っていたろ。それを聞いた時からずっと違和感があったんだ。なんで食事をするのにそんなガチガチに鎧を着込んで行ったんだ、って。そしてその理由は」
「───ポリゴンの爆散エフェクトを可能な限り派手にするため。そして鎧が壊れる瞬間を狙ってカインズは結晶でテレポートした、か。……となるとヨルコさんの《消滅》も」
「トリックは同じと見て間違いないだろうな」
圏内ではそもそも武器が刺さることはない。寸前で紫の障壁が発生して阻まれるためだ。
だからまずカインズ氏は、圏外であの槍を鎧ごと自分の胸に突き刺し、結晶を使って教会の二階に転移、自分の首にロープを掛け鎧が破壊される寸前に窓から飛び降りた。あとは鎧の破壊とタイミングを合わせてもう一度結晶を使って転移すれば《死》を偽装することが可能である。
ここまで説明するとアスナは声に出さず瞑目しながら長く息を吐いた。するとすぐにきゅっと唇を噛む。
「で、でも。ヨルコさんは確かにやたらと厚着はしてたけど、スローイングダガーはいつ刺したの? 圏内じゃコードに阻まれて、体に触れる事すらできないはずなのに」
「だから最初からだよ。オレは部屋の中にいなかったけど、よく思い出してみてほしい。アスナたちが部屋に入ってから一度でも、ヨルコさんは背中を見せようとしたか? 恐らくアスナたちが訪ねるってメッセージを見るや否や圏外に出て背中にダガーを刺したんだろう。マントやローブを使えば宿屋まで怪しまれずに戻ることもできる。後はタイミングを見計らって窓まで移動して後ろを向く。そこで初めて背中に突き刺さったダガーの存在に気が付くって寸法だ」
「そして自分から窓の外に落下した………そっか、あれは転移コマンドをわたしたちに聞かれないためだったのね。…………てことは、キリト君が追いかけた黒ローブは……」
「シュミットは『グリムロックはもっと背が高かった』って言ってたんだろ? じゃあカインズだろうな。実際、あの黒ローブはヨルコさんが落下して消滅するまで何も行動を起こしていなかった。ただ屋根の上から見つめているだけで、動き出したのはキリトが飛び出してからだ」
オレがそう断言すると二人は視線を宙に向け、短く嘆息した。
が、不意にキリトが思い出したかのように身を乗り出す。
「だが俺たちは昨夜わざわざ黒鉄宮まで《生命の碑》を確認しに行っただろ。カインズの名前には確かに横線が刻まれていて、死亡時刻も死因も確かに……………………………いや待てよ。まさか
「
「えっと……確か、K、a、i、n、s、だったかな」
「そうだ。けれど昨日、二人がカインズ氏とグリムロックの名前を探しているとき、オレは別の場所で《Caynz》という名前を見つけた。読みは同じく《カインズ》で間違いないだろう」
「なるほど……」
「え……じゃ、じゃあ……」
アスナは顔を強張らせ、声のトーンを低める。
「あの時……わたしたちがCのカインズさんの偽装死亡を目撃した瞬間、同時にアインクラッドのどこかでKのカインズさんも貫通ダメージで死んだってことなの? 偶然、てことはないわよね……? まさか………」
「……なにを考えてるのか想像がつくから言っておくが、そうじゃない。生命の碑の死亡表記には《四月二十二日、十八時二七分》としか書かれていない。このアインクラッドで四月二十二日を迎えたのは昨日で二回目だ」
「あっ………………」
アスナはしばし絶句し、次いで同じように力のない笑みを浮かべた。
生命の碑に刻まれるのは《月》《日》《時間》のみで《年》までは表記されていない。つまりKのカインズが死んだのは一年前の昨日だったのだ。
考えてみれば簡単な話だ。ヨルコとカインズはかなり早い段階で同じくカインズと呼べる誰かが去年の四月に死亡していることに気付いた。そしてそれを利用すればカインズの死亡を偽装できるのではと思いついた。評価すべきはここに《圏内殺人》というとびきりの演出を付け加えたことだろう。
同じ読みのできる他人の死亡表記。貫通継続ダメージによる圏内での装備破壊。それと同時に行われる転移結晶の行使。この三つをもってして圏内でのPKを限りなく真実に見せかけたのだ。
「では、なぜこんなことをしたのか。まあアスナたちの話を聞く限り、動機は《指輪事件》の犯人を炙りだすことだろう。かつてのギルドメンバーが犯罪禁止コードをすり抜けて殺されたんだ。事情を知っている人間なら次は自分かもと考えるだろう。そして恐怖に駆られて動いたのが……」
「シュミットか……」
オレは頷いて露店で買ってきた串焼きを頬張る。物欲しそうな目で二人が見てくるが無視する。そんなに欲しいのなら自分達で買ってきてください。
「……でも、それじゃあ彼が《指輪事件》の犯人だったってこと……? あの人がグリセルダさんを殺して、指輪を奪ったの……?」
「さあ?」
肉を飲み込んで串を適当に放り投げる。宙を飛んだ串はやがて地面に落下してポリゴン片となって散っていった。
ゴミの処分に関しては仮想空間の方がずっと楽で良い。その代わりなのかはしらないが、食材の耐久値が短すぎるのが玉に瑕だが。
「『さあ?』ってあなたね……っ!」
「そう目くじらを立てるなよ副団長殿。色々と仮説は立ててるけど、どうしても動機の部分で行き詰まるんだよなあ。シュミットが犯人って線はまずないだろうけど」
「動機って、《指輪事件》のか? それはやっぱり指輪の売却に反対してた人たちが自分たちの思い通りにいかなかったからじゃ……」
キリトの言葉に眉を寄せる。
オレはこの二人伝いに話を聞いただけだが、このSAOというゲームのシステムを考えるとグリセルダ氏を殺すよう仕向けた人間が誰か自ずと見えてくる。
だがそうなると犯行動機と指輪はあまり関係ないという結論にも至るのだ。犯人は間違いないだろうが動機が分からないという現状にやきもきしてしまう。
「ちなみにキリトはシュミットが指輪事件の犯人だと思ってるのか?」
「……いや。無関係ってことはないだろうが、確信は持てていない」
「だろうな。オレの考えだとシュミットは犯人じゃない。ソードアート・オンラインのシステムを考えると犯人は別の人物で間違いないだろう」
「ソードアート・オンラインのシステム?」
キリトの問い返しに対して頷く。
「キリト、このSAOにおける《結婚前》と《結婚後》で一番の違いはなんだ?」
「えっ!? え、えっと、それはその……お、お互いが愛し合っていること……?」
「システムの話だって言ってんだろ。だれがそんな馬鹿みたいな話しろっつったよ。お前にはがっかりだ」
「そ、そこまで言うかっ!?」
「───ムラマサ君が言いたいのは《アイテムストレージ共通化》のことね?」
「さすがは副団長殿、正解だ。ほら真っ黒剣士、お前も見習え」
阿呆なことを抜かすキリトに代わって正解を言い当てたアスナに拍手を送る。
このソードアート・オンラインでの結婚システムでは、結婚したプレイヤーのアイテムストレージは完全に統合される。所持容量限界は二人の筋力値の合計にまで拡張されるのだ。
「勿体ぶるなよ。それがどうしたって言うんだ」
「別に勿体ぶるつもりはないんだけど……。───グリセルダさんはグリムロック氏と結婚してたんだろ? だったらグリセルダさんが殺されたとき、共通化されていたアイテムはどうなったんだ?」
拗ねているのかぶっきらぼうな態度のキリトに問い返す。するとキリトもアスナも揃ってパチパチと瞬きを繰り返した後、考え込むように顎に手を当てた。
「……確か離婚時のストレージの扱いは自動等価分配とか交互選択分配みたいに幾つかオプションがあるって聞いたことがあるわ」
「けど離婚ってのは双方が合意の上で成り立つものだろ? 逆に言えば合意がなければシステム的離婚もできないはずだ。つまり今回のように死別の場合は………………………どうなるんだ?」
「一応、相手が同意しない場合でも離婚は可能だ。ただその場合アイテム分配率を自分0%、相手百%に設定しないといけなくなる」
「……やけに詳しいな。まさかお前、俺の知らない所で結婚を───」
「そんな訳ないだろ。以前、ヒースクリフ団長殿と調査したんだよ。結婚システムは詐欺に利用される可能性があるからな」
実際に《ストレージ共通化》を利用してレアアイテムを盗む結婚詐欺が起きたことがある。その際に他にも穴があるのではと血盟騎士団団長殿に調査を依頼したのだ。オレとしても無知を無知のままにしておきたくなかった。
だが目の前の剣士はさすがに無知がすぎる。戦闘に関係ないこととは言え、この世界で生きている以上どのようなことであれ詳細な情報は持っているに越したことはない。
「話が逸れたが、これで最初の疑問に戻る。つまりグリセルダさんが殺されたとき、そのアイテムはどこに消えたのか。普通のPKであれば殺した犯人のもとにドロップするだろうが、結婚していた場合は話が代わってくる。結婚しているプレイヤーが死ぬ場合、システム的には『同意は貰っていないけど強制的に離婚した』ということになる。つまり……」
「グリセルダさんが殺されたとき、ストレージに入っていたアイテムは全て旦那であるグリムロックの元に転送された……? じゃあグリセルダさんが持っていた指輪は最初から奪われてなんかいない……?」
「いいや、指輪は奪われたと言っていい。グリムロックは自分のストレージに存在する指輪を奪ったんだ。だから指輪事件の黒幕はグリムロ………………、────────────────────」
「? どうしたムラマサ?」
キリトの声を無視して思考の海に潜る。
今キリトたちに説明したように、指輪事件の黒幕はグリセルダさんの旦那であるグリムロックと考えて間違いないだろう。けれど何かを見落としている気がしてならない。
少し状況を整理してみよう。
まず、カインズとヨルコが結託して《圏内殺人》を演出し、カインズは自分の死を偽装した。目的は恐らく《指輪事件》の真相、リーダーであったグリセルダを殺して指輪を盗んだ犯人を炙りだすため。
カインズの死を偽装することで動揺し、行動に移してきた人物、シュミットとヨルコが対話を行った。そしてその最中にカインズと同じ手段でヨルコもまた自分の死を偽装した。
ではなぜヨルコまでもが死を偽ったのか。もっと言えばなぜ《圏内殺人》を演出しグリセルダのローブを使ってまで犯人をグリセルダの亡霊と思い込ませようとしたのか。
これに対しては仮説が立てられる。万が一にもシュミットがグリセルダを殺した犯人だとは思わないが、まったくの無関係というわけでもないだろう。シュミットは今、復讐者の存在を信じ切って極限まで追い詰められている。そんな彼がこれから起こす行動は限られてくるだろう。例えばそう、グリセルダの墓標へ赦しを乞いに行くなど。
この世界が仮想空間とはいえ、死んだ人間の墓を作ることは別に珍しくない。アスナたち血盟騎士団の本部にもあるはずだし、キリトも一時だけ所属していたギルドメンバーの墓標に時折花を持って行っている。だから亡くなった人のお墓があるのは不思議な事ではなく、シュミットの性格を知っているのならヨルコとカインズは今まさにグリセルダの墓でシュミットが現れるのを待ち構えているだろう。
(違う、そこじゃない。まだ何か引っかかっている。……そうだ、カインズたちが使用した貫通属性武器の製作者は《グリムロック》。彼らはあの武器をいつ手に入れた? ギルドが解散する前? いや違う。継続ダメージ特化の貫通武器なんてモンスターには何の有効打にもならない。あの武器が効果を最も発揮するのはプレイヤーが相手だった場合だ。そんなものを当時から作っていて、尚且つギルドメンバーにも周知だったとは考え難い。とすると《圏内殺人》のトリックを思いついた時にグリムロックと連絡を取り合い、作成を依頼したと考えるのが妥当。その時に作戦の内容をグリムロックにも話していたとしたら? もっと言えば《指輪事件》の時、グリセルダ殺しを行ったのがグリムロック本人ではなく別の第三者だったとしたら? アリバイを作るために汚れ仕事専門の
「お、おいムラマサ……? 何かあったのか?」
「───アスナ、ヨルコさんとフレンド登録してたよな!? 向こうから登録解除されていなければ現在地を追跡できるはずだ! 確認してくれ!」
「え、ええ……? えっと……いま十九層のフィールドにいるわ。主街区からちょっと離れた小さい丘の上……」
「了解。アスナは他の攻略組メンバーに連絡してそこに援軍を呼んでくれ。オレとキリトは一足先に向かうから」
「ちょ、ちょっと待ちなさいっ! 何がどうしてそうなったのか全っっ然、わからないんだけど!?」
「詳しくはメッセージで送る」とだけ言い残してキリトの襟を掴んで転移門まで走る。途中、キリトが何やら騒がしかったが、走りながら事情を説明すると途端に顔を引き締めて静かになった。
これからの作戦をキリトに伝える。できればオレの予測など当たらなければいいのだが、どうにも嫌な予感がずっと離れない。
本当、厄介なことに巻き込まれてしまったものだ。
主人公が《結婚》のシステムについての調査を情報屋アルゴではなくヒースクリフに依頼した理由:一年以上の付き合いの中で、彼がGM、あるいはその関係者である可能性を8割5分で疑っているため。その可能性を言及していない理由は、単に確信をもっていないのと現状はプレイヤーの味方として攻略に貢献しているから。