呪われた魔導師   作:カゲセンヨ

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第一話

この世に生れ落ちてからいろんなことを学んできた。

 

 

感情を殺してはいけない

 

― 僕の感情がないと,相手が面白くないらしい

 

 

相手のいうことに反論しないほうがいい

 

― 僕に反論されると,相手が不快に感じるらしい

 

 

人は自分より重い存在である

 

― 比べるまでもない

 

 

人への感謝を忘れてはいけない

 

― 自分に話をしてくれるだけで感謝に値する

 

 

人に迷惑をかけてはいけない

 

― 生きているだけで迷惑なのだから,これ以上迷惑をかけてはいけない

 

 

 

いろいろなことを学んできた。相手の行動から察したこともあるし,相手やデバイスから直接聞いたこともある。

僕は鈍感ではないと思う。得意というほど傲慢でもないが,人の気持ちを考えようと努力してきた自信はある。

 

 

生みの親からは,

 

「お前を生むんじゃなかった」とか

 

「お前がいると本当に迷惑」とか

 

「お前と話をするのは本当に面倒だ」とか

 

「黙ってないでなんとか言え!クズ!」とか

 

「人様に迷惑をかけるな。自分が人間と同等だと思っているのか!」とか言われていたと思う。

 

うるさいからといって指の骨を折られたこともある。

 

ガソリンを飲まされて,タバコを押し付けられ,なんで燃えないのかと蹴られたこともある。

 

あまりいい思い出ではないので記憶はあいまいだ。

 

名前を呼ばれたことはほとんどないが,「ルル」というのが僕の名前だ。

 

名しか無いのは,僕には家族名を使って欲しくなかったかららしい。

 

 

 

最後は交通事故だった。

 

小学校1年生の時,僕の目の前で両親が撥ねられた。

 

僕は,救急車を呼び,周りの人に助けを求め,テレビで見たままに人命救助をした。

 

両親は最後まで「お前のせいだ…お前が代わりに死ねばいいのに…」と言っていた。

 

僕は両親が動かなくなるまで救助活動を続けた。

 

この時には僕はもう泣かなくなっていた。泣くと殴られるから。

 

僕は泣かずに両親とお別れした。

 

 

 

他に特に身寄りもなく,人に迷惑をかけないように隠れて生活していこうと思っていた。

 

幸いいつから持っているか分からないが、僕はデバイスを持っていた。

 

形状は指輪で,名前は「ユダ」

 

僕が両親から罵倒された時や殴られた時に励ましてくれたインテリジェントデバイスだ。

 

生活の相談相手はユダでいいとして,

 

小学1年生の僕が人に迷惑を掛けないように生活するには,魔法の修行が必要だ。

 

 

 

そんな時、僕の前に現れたのはシオンと名乗る一人のフリーの女魔導師だった。

 

なんでも僕の魔導師としての力を利用したいとのことだ。

 

僕は人の役に立てると思ってすぐに了承した。

 

 

 

 

シオンの元で修行を始めたが,僕には大した才能はないらしい。

 

僕のできることはバリアを形成することだけ。

 

バリアに関しては,いろいろな形状を形成することができ,広範囲のバリアを作ったり,形成したバリアの上

に乗ったり,剣の形状にして切りかかったり,ボール形状にして打ち出すこともできる。

 

魔力の量も大きくはなく,他の魔導師は別の魔法で行うようだが,僕はこれで修行していくしかない。あとは物や生物の解析も得意だった。

 

構成物質や構造を解析し,弱点を探り,そこにメスをいれていくやり方が僕のスタイルになった。

体の構成を解析し,病気の元に攻撃を加えることで,体調の治りが早くなったりと,結構便利な能力になっている。

 

バリアジャケットは黒いローブの形をしていて,フードを被れば顔をほとんど隠すことができる。

 

武器はバリアの形状変化で対応しているのでデバイスは指輪のままだし,防御もバリアの形状変化で対応しているのでバリアジャケットの防御力もほとんどない。

 

根本的な魔力量・戦いの才能なんかは本当に素人同然だった。

 

僕に才能がなかったからなのか,シオンはきびしかった。本当に容赦なく殴られた。

 

失敗しては殴られ,練習を見られては罵倒され,成功しても殴られていた。

 

しかし,僕みたいなやつを拾ってくれたこと,魔法を教えてくれたこと,とても感謝していた。

 

だから,きびしいのはきっと僕を叱咤激励してくれてるからだし,名前を一度も呼んでくれないのは,認めてくれた時に初めて呼ぶつもりなんだと思っていた。

 

この時は嫌われてるとは思っていなかった。

 

 

 

 

8歳のころから,僕は一応の力をつけ,シオンと一緒に仕事をするようになった。

 

仕事とは言ってもただの手伝いで,シオンの魔法が周りに危害を加えないようにバリアで守ったり,相手を拘束したりする程度である。

 

 

 

そこから一年経ち9歳のときには,その辺の魔獣には遅れを取らない程度にはなっていた。

 

ある日,魔獣退治の依頼があり,シオンと共に現場に向かうと魔獣に囲まれた。依頼時に言われた数よりもはるかに多い数であった。一体一体は強くはないが,なんとも数が多い。

 

魔獣を解析し,コアの位置を把握,その位置へ魔力弾もしくは魔力剣を打ち込む。

 

僕は自分とシオンの周りをあまり多くの敵に囲まれすぎないよう,ドーム型のバリアで囲いながら戦っていた。

 

しかしその中の一体が,あろうことかバリア内に地中から出現し,シオンの背中を切り裂いた。

 

 

「シ、シオンさん!!」

 

 

地面に倒れ,倒れたシオンにとどめを刺そうと何体かの魔獣が襲おうとしている。

 

 

「うぁ…うぅ……うおおぉぉぉおおお!!」

 

 

僕はバリアを三角錐形状に形成し,相手に突撃する。

 

僕の高速移動・飛行方法はバリアでの足場を移動させて行っているので,急制動・急加速は得意分野である。

魔獣達の胴体を次々と引き裂いていく。残った魔獣を撃退し,シオンの所へ向かう。

 

寝ているシオンを抱きかかえる。

 

 

「大丈夫ですか?シオンさん!シオンさん!!」

 

 

「お………し………」

 

 

「何ですか?シオンさん。ちょっとまって下さい。すぐ治療できるところを…

 ユダ!何か方法はない!?」

 

 

『御主人様。この辺には医療技術の発達している星や戦艦の反応はありません』

 

 

「くそっ!一番近くの星は!?……シオンさん?どうしたんですか?」

 

 

「おま……お前が…死ねば…よかったのに…この………疫病神が…」

 

 

「…ごめんなさい…シオンさん…なんとか助ける方法を……」

 

 

「呪ってやる…呪って…やる…呪って…やる……」

 

 

「………ごめんなさいシオンさん。僕は…やっぱり迷惑かけていたんですね…。ごめんなさい。

 …ユダ……一番近い星はどこ?」

 

 

『ここから3時間は必要です』

 

 

「……3時間………シオンさん…ごめんなさい。僕が貴方を看取ることになりそうです…。」

 

 

「呪っ……や……」

 

 

シオンから力が抜け,ルルの腕にかかる力がぐっと重くなる。

 

 

「……さようなら…………もう一人の母さん…」

 

 

ルルは力無く立ち上がった。

 

 

「ユダ……これからどうすればいいかな……」

 

 

『御主人様は不器用ですから人に誤解されることがよくありますが,人の為に働いていればいいんじゃないでしょうか。今までと同じでいいと思います。』

 

 

「そう……だね…。少しでも人に迷惑をかけないように…人助けをしながら生きていこう…」

 

 

『そうですね御主人様、人の為に動くことは間違いではありません。御主人様の行動は私が見ています。そして私が認めます。頑張っていきましょう御主人様』

 

 

「ああ,がんばるよユダ。ありがとう…」

 

 

その時から僕とユダの生活が始まった。

 




次回から原作キャラが出てくる予定です。


投稿というのは初めてです。原作もくわしいというわけではありません。
誤字脱字,改善点・矛盾点ありましたらアドバイス頂けたら,前向きに処理するつもりです。

基本的には軽く読み進めてもらえたらと思います。
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