呪われた魔導師   作:カゲセンヨ

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第十話

【訓練後】

 

「スバル・ナカジマ二等陸士です!!。」

「エ,エリオ・モンディアル三等陸士であります。」

「きゅ,きゃり,キャロ・ル・ルシエ三等陸士です。」

「…………ティアナ・ランスター二等陸士です。」

 

「改めて宜しくお願いします。ルルと言います。……階級は准尉です。」

(なんか緊張するな~この子たちはあの時一緒にいたから,

 ユダのこと知ってるんだよね……あまり意識せず楽しく楽しく……。)

 

 

「いえ,あのルル准尉,ルル准尉の方が階級も年齢も上なので,敬語で話さないで下さい。」

フォワード4人の総意をスバルが代表でルルに話した。

 

 

「そうかな?分かったよ。じゃあ皆も階級とか敬語とか無しにしてもらえると嬉しいよ。」

ルルはスバルから言われたことを了承し,こちらからも要望を出す。

 

 

「敬語はさすがに…じゃあ今まで通りルルさんとお呼びします。」

スバルは恐縮しながら答える。

 

 

「ありがとう。気軽に話してもらえるととても嬉しいです。」

スバルの態度とは反対にルルは皆に笑顔を向けながら答えた。

 

 

「じゃ,じゃあ行きましょうか?(…微妙に敬語無くなってないし…まあいいけど。)」

 

 

 

「そうだね。」

 

 

…………………………………………………

……………………………………………

………………………………………

…………………………………

……………………………

 

 

「(皆どうしたんだろう………訓練の時なんかより暗い?僕何かしちゃった…?

  訓練の後で疲れてる?……それともユダのことを気にしてるのかな……。)」

 

 

「(どうしよ~ユダってヤツについては触れないほうがいいよね……。

  昔のことも話したくないかもしれないし……

  いつもはティアが何とかしてくれるけど,最近元気ないし…ここは私が……)」

 

 

「(男同士で仲良くしたいけど,何話したらいいんだろう……。)」

 

 

「(わたしから話しかけるのは無理です~。)」

 

 

「(……強さの秘訣を知りたいけど……あの過去から想像は付く……聞かない方がいいか。)」

 

 

 

「「「「「……………。」」」」」

無言で施設を周歩いていく5人。

 

 

「きょ,今日は施設を一通り回ればいいと伺ったんですが。」

スバルが勇気を振り絞ってルルに話し掛ける。

 

 

「そうだね。医務室と食堂とはやてさんの部屋と…あとちょこちょこは知ってるんだけど,

 細かいところはまだ分からなくて……。」

 

 

「そうですか………

 そ,そういえば……最初に会った時は助けて下さってありがとうございます。」

 

 

「………え?……い,いや……。」

(御礼言われたからって舞い上がるな……落ち着け……。)

 

 

「………?」

隊長達と戦ってる時すら冷静だったルルの少しあわてた姿が珍しく不思議に思うスバル。

 

 

「映像見せてもらったけど,あの後すぐ,なのはさん達が来てたみたいだね。

 皆の訓練も見せてもらった限りじゃ,あの敵くらい大丈夫そうだったよね。

 気絶しちゃった僕運んでもらったり…余計なことしてごめんね。」

 

 

「い,いえ。囲まれて危なかったですし,助けてもらったのは事実ですから。」 

(なんで謝まられるの~笑ってどういたしまして~とか言ってくれると思ったのに…)

 

 

「うん。ありがとう。(ナカジマさんか……いい子だな。)」

 

 

「い,いえ………。」

(だから,なんでこっちが感謝されるの~~!!) 

 

 

 

 

「「「「「…………………。」」」」

再び無言で歩いていく5人。

 

 

 

(皆やっぱり何か気まずそう?……僕相手だと話しにくいのかな…

 僕が年上なんだから,何か話題を提供しないと…)

 

 

 

「ルシエさんは召喚魔導師なんだよね?」

 

 

「は,はい。」

急に話しかけられあわてて答えるキャロ。

 

 

「訓練じゃ分からなかったんだけど,ルシエさんは何を召喚するの?」

 

 

「えっと,竜…です。あとキャロと呼んでください。」

 

 

「分かったよ。キャロさんだね。

 竜?あ、もしかしてこの竜?

 誰かの使い魔かと思ってた。召喚してるんだ。

 竜ってすっごい強いんだよ。昔戦ったことがあってね。」

(あの話してみよう。面白いと思うんだけど。)

出来るだけ明るくフォワードの皆に話しかけるルル。

 

 

「(戦ったことあるんだ……)」

ルルの話のテンションとは裏腹にスバルには嫌な予感がよぎる。

 

 

「畑を荒らす魔物の退治のはずだったんだけど,

 何故かそれが竜でね。竜の巣に退治しに行けってことになっちゃって,

 何匹もいて囲まれちゃってね~死ぬかと思ったよ~すっごい強かった。」

身振り手振りも交えながら,ルルは状況を説明していく。

 

 

「(囲まれたんだ……そしてそれ……たぶん騙されてるから……)」

数秒前に感じた嫌な予感が当たり,ちょっと伏し目がちになるスバル。

 

 

「そ,そうなんですか。た,たしかに竜って強いですよね~。」

騙されてると感じながらも,なんとかルルに答えるキャロ。

 

 

「そうそう,それで「こんなに強いのに畑なんて荒らすかな?」なんて思って,

 一旦逃げて,畑を見張ってたんだよ。そしたら,畑荒らしてたの村の子供だったんだよね。

 下手に報告してその子供がいじめられたりしたら可哀そうだから,その子叱らなきゃと思って,

 その子と話してたら,何故か僕が畑荒らしの犯人に間違われちゃってね~。面白いでしょ?」

一通り話を終え,皆の顔色を伺うルル。

 

 

「えっと……ごめんなさい。」

ルル本人が話出したとは言え,過去の話はすべきではないと

暗黙の了解として思っていたキャロは謝ってしまっていた。

 

 

「え?どうして?(なんで謝られる…?)」

 

 

「その,嫌なこと思い出させてしまって…」

 

 

「嫌なことって……なにが?」

心底不思議そうな顔をして問いかけるルル。

 

 

「だって…嫌な思い出なんじゃ…?」

 

 

「どうして?………あぁそうか,心配しないで,竜たち怪我してないよ。

 もちろん村人さんたちもね。皆優しいね~。」

(竜か誰かが怪我したかどうか気になったのか。

 話自体はあんまり面白くなかったかな…でも皆本当にいい子みたいだな。)

自分なりの解釈をし,笑顔で皆に答えるルル。

 

 

「えっと…そう…ですか。」

無理して笑ってるわけでは無いことは分かったが,

釈然としないままキャロは答えた。

 

 

<<なんだろう…この感覚の違い…私が変なんでしょうか?>>

 

 

<<キャロだけじゃないと思うよ…私もなんか……モヤモヤするというか…。

 エリオ,とりあえずもっと明るい話を…。>>

 

 

<<えぇ!?僕がですか?あ,食堂着きましたよ。>>

 

 

「えっと…もうご存知だとは思いますが,ここが食堂です。」

話題を変えるようにエリオが紹介する。

 

 

「すごいおいしい食事がいっぱいだよね。」

 

 

「ルルさんはどんな食べ物が好きなんですか?(食べ物の話なら…)」

スバルに明るい話をするように頼まれたエリオは,出来るだけ明るく話題を振る。

 

 

「ん~そうだね~ここで出てくる料理本当に何でもおいしいよね。

 それ以外だと………栗…かな?」

 

 

「栗料理ですか?どんなのがあったかな?」

 

 

「料理とかあるの?栗の皮剥いて食べてただけだけど…。

 モンディアルくん物知りだね。」

 

 

「…あ,あのエリオって呼んで下さい。

 ほ,ほかに好きな食べ物ありますか?

(剥いてって…拾って食べてたエピソードだよね…。)」

 

 

「分かったエリオくんだね。

(確か名前って普通ファミリーネームで呼ぶんじゃなかったかな……?

 今まで呼んだ人ほとんど直すように言われたし…ファーストネームで呼んだ方がいいのか…)」

 

「他にはね。えっと蛇とか…蛙?あぁ,お米ってすごいおいしいよね!

 ここだといつも出してくれるんだけど,昔も時々食べれたんだ。」

食事の味を思い出しながらなのか,少し嬉しそうに答えるルル。

 

 

「へ,へぇ~そうなんですか?(うぅ苦労が見え隠れするなぁ…)。」

ルルの話し方と反比例し,少し語尾の小さくなっていくエリオ。

 

 

「き,嫌いな食べ物はあるんですか?」

 

 

「そうだね。基本的に何でも食べるけど…あれは苦手かな。毒キノコ」

 

 

「ど………そ,そうですか。」

 

 

「うん。すっごいキレイな色してるのが多くてね。

 食べた時もおいしいんだけど,後々辛くなるからね。苦手なんだよね。

 まぁどうしようもなくなったら食べるしかないんだけど…。」

 

 

「あ,あはははは,そうですよね。後々辛いですもんね。あ,あはははは。」

 

 

<<エリオ……明るい話……>>

 

 

<<……ごめんなさい……。>>

 

 

「ちょ,ちょっと座ってお話ししましょうよ!」

また話題を変えるようにスバルが食堂の席に座るよう皆に話しかける。

 

 

「そうだね。皆のこと聞きたいな。」

(やっぱり僕が話した後はなんか皆暗いな…面白くないかな。笑ってほしいんだけど。)

 

 

 

「…………すいません。私ちょっと…お手洗いに行ってきます。」

皆が座っていく中,ティアナが暗い顔でルルに話しかける。

 

 

「えっと,分かったよ。ここで待っていればいいかな?」

ティアナが気にしないようにできるだけ明るく答えるルル。

 

 

「いえ,私のことは放っておいて頂いてかまいません。」

 

 

「そっか……とりあえずここで皆と話しておくからね。」

 

 

「……はい。」

振り返り,ドアに向けて歩いていくティアナ。

その姿はどう見ても落ち込んでいる様子であった。

 

 

「ティア!!………大丈夫?」

思わず椅子から立ち上がり,歩いていくティアナを呼び止めるスバル。

 

 

「…大丈夫よ。」

立ち止まったものの,後ろを向いたまま答えるてドアに向かって歩き出すティアナ。

 

 

「……分かった。」

上司の前なのもあり,これ以上踏み込むべきではないと判断し,椅子に座るスバル。

 

 

…………………………

 

……………………

 

………………

 

食堂の席に座った4人を微妙な空気を包んんでいたが,

ルルが感じた疑問を話し出した。

 

 

「彼女,調子悪いのかな?」

 

 

「えっと…少し悩んでるみたいで…。夜遅くまで訓練してるし…。」

 

 

「そうなんだ。どうしてなのかな?」

 

 

「ルルさんに助けてもらった時もそうなんですけど,この間も……ちょっと…色々あって…。」

 

 

「何があったの?」

 

 

「えっと……

 

……………………………………………………

 

………………………………………………

 

…………………………………………

 

……………………………………

 

………………………………

 

 

ティアナの過去のことを知っている限り話すスバル。

 

 

「ティアナさんの過去にそんな事があったんだ…」

 

 

「でもこれは秘密っていうか!発表されたことと違うくって。

 私もあんまりくわしくは知らないといいますか…。」

 

 

「そうなんだ。」

 

 

<<ス,スバルさん,そんなに話して大丈夫なんですか!?>>

気になったエリオがスバルに尋ねる。

 

 

<<いや,なんでだろう…なんか話しやすくってつい…>>

エリオに指摘され,はじめて自分がたくさん話してたことに気づくスバル。

 

 

「この間のガジェット討伐の時のことも気にしてたし……

 ユダから言われたこt……!!(やばっ!!」

過去の話から話題を変えようとして,あせってユダの話題を出してしまった。

 

 

「え?ユダが何か言ってたの?」

ユダの名が出て少し目の色が変わるルル。

 

 

「いや………その……………。」

 

 

「ユダが何か言ってたのなら僕にも責任がある。話してくれないかな?」

 

 

「いえ,ルルさんは……責任無いと思いますけど。」

 

 

「それでもユダは僕が持ってきたんだ。お願いだ!教えてほしい。」

スバルに頭を下げるルル。

 

 

「あ,頭上げてください。ルルさんが大丈夫なら話すのは全然問題ないと言いますか…。」

 

 

「僕が大丈夫ならって?」

頭を上げ,スバルの顔を見ながら,本日何度目になるかになる心底不思議そうな顔をするルル。

 

 

「……い,いえ話しますね。(この人本当に自分のこと気にしないのね…。)」

 

 

「うん。ありがとう。」

 

 

 

 

「そうは言っても大したことは無くて,

 「才能無くても強くなれるよ。良かったね」みたいなことを言われてて……。」

話すことを覚悟したスバルではあるが,実際のところ詳しくは覚えていなかった。

 

 

「………どういうこと?」

 

 

「その時は色々混乱することが多くてあんまり覚えてないんですけど…。

 でもその言葉聞いてティア考え込んでたと言いますか…。」

 

 

 

「……混乱って?」

 

 

「それは……ま,まあいいじゃないですか!

(あなたの過去のこと聞いたからです……。なんて言えるか―!)」

 

 

「そうだね。まずはティアナさんに言ってた……

 才能無くてもってティアナさんに向けて言ってたの?」

 

 

「そう……だったと思います…。」

 

 

「…………?」

(ティアナさんが才能無いって……意味不明だな……。

 才能無くても強くなれる…良かったね………か。

 努力の大切さのことでも言ってたのかな。

 落ち込む理由がない気がするんだけど…。

 あ,そうかティアナさん本人じゃなくてもティアナさんの近しい人に

 才能がないと思われる人がいて……

 それじゃあ,ユダがティアナさん励ましてるだけだな…。

 「才能無くても強くなれる良かったね」……これで考え込むんだから…

 「才能ある人は強くなれないよ残念」って意味で受け取った…のかな。

 だったら,才能ある人も強くなれるよって励ましてあげたら…。)

 

 

「ティアナさんに,才能ある人も強くなれるよって………ん?ちょっと待ってね…。」

(これ当たり前だな……おかしな方向に考えを進めてるのか…。

 すぐに答えの出るものでもないか…皆にも考えさせちゃうし…。)

 

 

「「「……………?」」」

(な,なんか変なこと言ってなかった?)

 

 

「色々教えてくれてありがとう。

 すぐには思いつかないけど僕も考えてみるよ。

 ティアナさん元気になってくれるといいね。」

 

 

「そうですね。相談とかしてくれるといいんですけど…。」

 

 

「大丈夫だよ。今日話してみて皆いい子だし…

 訓練みたいに助け合えると思うよ。」

 

 

「「「は,はい。」」」

 

 

「今日は案内ありがとう。

 また訓練なんかも一緒にできるといいね。」

 

 

「「「はい。それでは失礼します。」」」

解散し,時間も遅くなったのでそれぞれ自分の部屋に戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

ルルが自分の部屋で横になりながら,今日の出来事を思い返している。

 

 

 

(う~~~~~~~~ん。

 僕の話すると皆気まずそうにするな…。

 でもティアナさんの話の時は暗い話だったけど,

 気まずさは無かったかな…。

 あんまり自分の話はしない方がいいのか…。)

 

(はやてさんがやりたいこと見つけといてって言ってたな…。

 ティアナさんを元気になってもらいたい。皆ともっと仲良くなりたい。…かな。

 でも皆僕と話するの気まずそうだし…どうやって仲良くなったらいいんだろう…。)

 

(相談相手………いなくなっちゃったし……。

 誰かに相談…?仲良くなりたい相手に「あなたと仲良くなりたいんですけど…」って…

 どう考えても変だな…どうしたらいいか分からないな…。自分で考えるしかないか……。)

 

(皆と仲良くなるには,僕の悪いとこ見つけて直さなきゃいけないから,

 まずはティアナさんに元気になってもらえるように頑張ろう。)

 

 

 

「あんまりまだ眠くないな…少し散歩にでも行かせてもらおう。」

 

 




主人公は別に頭は悪くないですが天然入った世間知らずです。
次回もいろんな人との会話予定。
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