スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
「EATER試験体004の性能や格闘家共の実力は想定内だが、あの赤いのは何者だファディータ?」
武装船団国家ナガーの黒騎士ルシファードとファディータが上空に停滞する歪な戦闘機、ケルバーンから様子を見ていた
「該当なし、完全なるアンノウンです、ルシファード。武装や先ほどの変身システム、共にこの星の技術レベルをはるかに超えています。」
「地球の技術ではないという事か・・・東亜錬金技研が回収したあの規格外の巨大ロボットといい、この星にはとんだイレギュラーが紛れているようだな・・・。」
「どうしますか、ルシファード?」
「しばらく様子を見る、戦闘データを収集しておけ。」
「了解しました。」
▽▽
「もう、遅いよ店長~。」
ランが喫茶店の店長、東郷兵馬に相違って詰め寄る。グレーのベストに蝶ネクタイ、眼鏡をかけ口元には髭を蓄えた一見穏やかな雰囲気の老人だが、その姿に似つかわしくないはずの日本刀がなぜか様になっていた。
「ごめんよ、刀がなかなか見つからなくてね・・・ランちゃん、これ持ってて。」
東郷兵馬はそう言いいながら再度刀を抜き、鞘をランに渡す。
「何で一回収めたの?」
「なんとなくその方がカッコいいかと思ってね・・・。」
兵馬はそう言って眼鏡を上げる。
「うおおお!日本刀じゃねえか!?もっとよく見せてくれよマスター!」
日本刀の登場に親日家のテンションが爆上がりする。
「ニールさん、今それどころじゃないよ。」
どうやらニールとも馴染みがあるようだ。
そんなやり取りをしながら兵馬とニールはクリーチャーを討伐していく。
「あの人は東郷兵馬、喫茶店の店長だけど、実は示現流の達人だ。」
「強えのは見りゃわかるさ。向こうは任せて俺たちはこっちに集中できそうだな!」
ファイター・ロアとヴォルテックスはネプチュ~ンとマーマンの方へ向き直す。
「むむむ、こうなれば・・・」
20M級の機械仕掛けの怪物が現れる。
「巨大兵器!?街中でなんつうもんを出しやがんだ!」
「これぞナガーより購入した新兵器、ギガントである!」
「買っただけのくせに威張んな!」
ギガントの巨大な腕が振り下ろされ、ファイター・ロアとヴォルテックスは避けるように左右に飛ぶ。
「ヴォルキャノン!」
ヴォルテックスの腕が巨大な大砲に変形し、高出力のエネルギー弾が発射される。
それを受けたギガントはダメージを負うも決定打にはならない。
「うおおお!大鉄球!!」
ファイター・ロアもそれに合わせて鉄球で殴りかかると、鉄球が巨大化しギガントを怯ませる。
「効き目が薄いな。」
「あの図体じゃ仕方ねえさ、根気よくひたすらダメージを与えてきゃそのうち倒せらぁ!」
「・・・せっかちに見えて意外だな。」
「耐久力の高い相手には皆で熱血しながらひたすら攻撃しまくんのが基本だぜ!」
ファイター・ロアがボス戦の基本を口にすると、そこへ一台の大型車両が現れる。現れたのはUCMAの01式二連ビーム砲だった。
「アレはたしかUCMAの二連ビーム砲、ライ少尉たちが来てくれたのか!?」
車両から見覚えのない男が現れる。
「誰だ?」
「俺はUCMA特殊部隊隊長、沢健司だ。EATERの監視任務を中断、これよりゴースト及びナガーの掃討へ移る、各員配置につけ!」
サワ隊長の支持の元、部下たちはクリーチャーを掃討しつつ、二連ビーム砲の準備を行う。
「連装粒子ビーム、発射!」
ギガントに向けて二連ビーム砲から砲撃が浴びせられる。
「今だ、爆弾鉄球、食らいやがれ!」
ファイター・ロアはダメージを受けたギガントに再び鉄球で殴りかかり、そのまま鉄球から鎖をパージする。すると鉄球が大爆発を起こした。
「おのれ、どうなっているのだルシファード!?貴様らのギガントがやられてしまったではないか!!」
ネプチュ~ンが怒鳴り散らす。
そこへ黒騎士ルシファードとファディータがファイター・ロアやヴォルテックスの前に降り立つ。
「そう怒鳴るな、だからこうしてアフターサービスに来てやったってるんだ。ファディータ、そっちの赤いのは任せる、奴との実践データも収集しておけ。俺はEATERをやる。」
「了解です、ルシファード。」
ルシファードとファディータが戦闘態勢に移る。
「エイジ、黒いのの目当てはお前みたいだな・・・しゃあねえ、女の方は俺が引き受けるぜ。」
「またまた意外だな・・・女性は殴れないタイプかと思ってたけど?」
「まあ以前はそうだったんだが・・・ちょっと前に行った異世界ではやたら強いの女どもとドツキ合ってたからな、あんまり気にならなくなった。」
コウタはエンドレスフロンティアで出会った戦士たちを思い返しながらそう答える。
「・・・異世界で女とドツキ合い???」
意味不明の説明にヴォルテックスは首を傾げる。
「いや女だけじゃねえけど・・・その話はまた今度してやるよ!つーかその姿で首傾げんな、違和感すげーから!」
ルシファードとファディータがファイター・ロアとヴォルテックスに迫る。
「ヴォルブレイド!」
ルシファードがヴォルブレイドを腕の装甲で受け止める。
「斬れない!?」
「貴様たちEATERは我々ナガーの尖兵として開発された存在だ。本来貴様を指揮する立場にある俺に与えられたこの融機鋼にはVOL細胞を抑制する特性があるのだ!そして・・・」
ルシファードは喋りながらヴォルテックスに連続で蹴りを叩きこんでいく。
「そんなアドバンテージが無くとも、俺の方が強い!」
ヴォルテックスはルシファードの蹴りを受け止めると同時にその胸部に目掛けて肘打ちを繰り出す。
「そうとも限らないんじゃないの?」
「フン・・・どうやら躾が必要のようだな!」
▽
「今のうちに・・・。」
ファイター・ロアとヴォルテックス対ルシファードとファディータとの戦闘が続く中、ネプチュ~ンが逃走を図る。
「何処へ行くつもりだい?」
その前にはクリーチャーをあらかた始末し終えた東郷兵馬が立ちはだかる。
「舐めるなよ、あのファイターやEATERならばいざ知らず、貴様ごときジジイがこの儂とやり合おうてか!」
ネプチュ~ンは槍を構え連続で突きを繰り出す。
「ふはははは!どうだ儂の突きは!手も足も出まい!!」
兵馬はその攻撃を避けながら調子に乗るネプチュ~ンの腕を切り落とした。
「バカな・・・人間ごときが儂の腕を・・・!!?」
ネプチュ~ンが斬られた腕を抑えながらうずくまる。
「ジジイの相手はジジイで十分なんだよ。」
兵馬はそう言って蹲るネプチュ~ンに距離を詰める。
「ぬう、ほざけ~!」
ネプチュ~ンは電撃で兵馬の目をくらませる。
「・・・逃げられたか。まだまだだな、僕も・・・。」
電撃がやんだ後にはネプチュ~ンは姿を消していた。
▽
ファイター・ロアの前にファディータが膝をついている。
「ファディータっつったか、もう降参したらどうだ?どうあがいたってアンタじゃ俺には勝てねえよ。」
「そのようですね、しかし私があなたに敵わない事は私が降参する理由にはなりません。」
ファディータはファイター・ロアに圧倒されても冷静な態度を崩そうとしない。
「メディカル・ブラスト!」
ファディータが半壊したギガントに向けて光を放ち、それによってギガントが修復されていく。
「いっ!?そんなんありかよ!!?」
ギガントの復活にファイター・ロアが驚く。
「おい隊長さん!もう一回・・・!」
ファイター・ロアがもう一度サワに援護を頼もうとした瞬間、ギガントの胸の青い球体が発光し衝撃波を発生させる。
「ルシファニウム・カッター」
ファディータがギガントの兵装の名称を口にしたときには、二連ビーム砲は既に吹き飛ばされ横転していた。
「くそっ!一体どうすりゃいいんだ!?」
「デストロイヤー・ブラスト!」
ファディータが光の弾丸、デストロイヤー・ブラストを発射し、ファイター・ロアが避けたタイミングでギガントの巨大な爪が振り下ろされる。
「しまった!?」
しかし、ファイター・ロアの前に突如、全身を黒い鎧で包まれた戦士が割って入り、ギガントの巨大な爪を受け止めた。
「だ・・・誰だアンタ!?」
顔を覆うその兜には鬼のような角と赤く長い髪があしらわれている。
「・・・・。」
鬼は無言でギガントの爪を蹴り砕き、手から火炎を放ちギガントに浴びせる。
『コウタ、詮索は後だ。この機を逃すな!』
「ああ、分かってんよロア!バーナウ・ファー・ドラグ!!」
ファイター・ロアの額のクリスタルが発光し、そこから複数の炎の龍が現れギガントに襲い掛かる。
鬼の炎と炎の龍によってギガントは焼き尽くされた。
「なんだアイツは?またしてもアンノウンか!?一体なんだというのだ!!?」
ヴォルテックスとの戦闘を続けていたルシファードが突如現れた鬼の存在に苛立つ。鬼は立て続けにルシファードに襲い掛かる。
「貴様・・・!!」
ルシファードは鬼の拳を受け止め、反撃する。
「エイジ、俺たちも・・・!」
「待て、ファイター・ロア!」
ファイター・ロアとヴォルテックスが鬼に加勢しようとするとサワ隊長がそれを制止する。
「なんだよ隊長さん!」
「あの黒いアームズが味方かどうかもわからん以上、ここは様子を見よう。よく観察し、少しでも奴らの情報を得るんだ。うまくいけば両方捕らえることができるかもしれん。」
「何言ってんだ!アイツは俺を助けてくれたんだ、放っとけるか!」
ファイター・ロアはファイター・ビームガンでルシファードに攻撃する。ルシファードはバリアでそれを防ぐが、その隙をついて鬼が拳を繰り出しルシファードの頭部に直撃した。
ルシファードの頭部装甲が割れ、中から黒髪の男の顔が現れる。
「迫水・・・迫水タクマ!?」
サワ隊長がルシファードの素顔を見てそう名前を口にする。
「ルシファード、ここは撤退を・・・。」
上空に待機していたケルバーンが地上まで下降し、その上からファディータが撤退を促す。
「ちっ、勝負は預けるぞ!」
ルシファードは顔を抑えながら飛び乗り、ケルバーンは飛び去って行った。
「・・・・。」
「な・・・何だ?」
鬼もまた無言でヴォルテックスをしばらく見つめ、その後一瞬で姿を消した。
▽▽
「叶エイジ、日向ラン、TDF極東支部まで同行願おう。」
UCMA特殊部隊の隊員たちがエイジとラン、更にはコウタまでを取り囲む。
「またこれかよ・・・。」
コウタが不機嫌そうに様子を見ている。
「仕方あるまい、EATERの力は野放しにしておくには危険だ。キミもそうだぞ吾妻コウタ。」
「だったら三人は僕の方で預かるよ。所在さえ分かっていればそれでいいだろ?どうやらキミたちTDFはエイジくんやランちゃんとはいい関係を築けていないようだしね。」
喫茶店の店長、東郷兵馬が口をはさむ。
「民間人が口をはさむことではない!もしもEATERが暴れだしたとき、あなたに対処できるのか!?多少腕が立つ程度ではどうにもならんぞ!」
「それならキミたちにも無理なんじゃないかい?」
「貴様・・・我々を愚弄する気か!!?」
サワ隊長が兵馬に対して怒鳴る。
「話は聞かせてもらった。」
そこへ現れたのはTDF極東支部指令シュワルツ・V・ブランシュタインだった。後ろにはキタクラ班長とライも控えている。
「シュワルツ指令!?なぜこんなところに!!?」
サワがシュワルツに敬礼する。
「お久しぶりです、兵馬先生。」
シュワルツは兵馬に挨拶をする。
「先生はよしてくれ。キミに何かを教えた覚えはないよ、シュワルツ。」
「なっ・・・!!?」
サワは畏まるシュワルツとシュワルツを呼び捨てにする兵馬の様子に唖然とする。
「叶エイジ、日向ラン、それにコウタ、キミたちがそこの喫茶店チェストを拠点とするならばこちらとしては問題はない。」
「チェスト?」
コウタが改めて兵馬の喫茶店を見ると看板には大きく『チェスト!』と書かれている。
「知恵を捨てすぎだな・・・。」
ライがチェストの語源の一説を用いながら失礼過ぎるツッコミを入れる。
「その代わりという訳ではないがコウタ、もしEATERが暴走し、人に害をなすようなことがあれば、その時はキミが止めるんだ。」
「・・・言われるまでもねえぜ!」
「それと連絡係としてフジワラ隊員は置いていく。落としどころとしてはこんな所だな・・・。なお三人の生活費はこちらから出させてもらおう。」
「マジか!だったら俺も世話になるぜ!!」
シュワルツの申し出にニールが喜ぶ。
「三人って言ったじゃん!ニールさんは関係ないでしょ、早く帰りなよ。」
ランがニールに帰宅を促す。
それと合わせるようにシュワルツとUCMAも撤収していった。
「ありがとう、店長。」
エイジとランが改めて兵馬に礼を述べる。
「いいよいいよ、気にしないで。その代わり今後はうちの店で好きなだけ飲み食いしてよ。全部シュワルツに請求するからさ。」
【キャラクター出典紹介】
サワ・ケンジ[スーパー特撮大戦2001(PS)]
【ちょっと語らせて】
スーパー特撮大戦におけるバイオ系主人公ヴォルテックスとメタル系主人公ルシファード。この二人をどう共演させるか考えた結果、ルシファードを悪者のまま引っ張ってヴォルテックスの敵として登場させるという超シンプルな内容に収まりました。
ギガントに関しては本来巨大兵器ではなく人間サイズの雑魚です。UCMAの隊員たちでも簡単に倒せます。
余談ですがキタクラ班長とサワ隊長は原作ゲームの最終ステージには自軍から離脱していて使用できず、何故かモブ顔の隊員たちだけは残ってるんです。・・・変なゲーム。