スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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3話 プレジデントという男(後編)

用意してもらったドレスに着替え、マスカレードを着用したハリーがカジノのゲームに興じている。周囲の豪華に着飾った客やスタッフも皆、仮面で顔を隠している。

 

「アクセル、アンタは遊ばないのかしら?」

 

アクセルもまた平服に着替えその様子を後ろから眺めていた。

 

「ああ、俺はいい・・・。」

 

「・・・ノリが悪いわね。せっかくプレジデントが軍資金まで用意してくれたってのに!」

 

「賭け事は好きじゃないんだ、これがな。」

 

「ふむ、まあこの施設のメインはここじゃない。ついてきたまえ。」

 

カジノのゲームをそこそこに、二人はプレジデントについていく。

プレジデントに案内されるまま地下に赴くと、そこには巨大な空間があり中央のリング取り囲むように客席が設置されていた。

 

「ここは、闘技場か?」

 

リングの中では海パン姿の男がクリーチャーの群れに囲まれている。

 

「セクシー!ダイナマイトボム!!」

 

海パン男の身体が発光し、地面を殴りつけるとその周囲で光が弾けクリーチャーを一掃する。

 

「ウィナー、ブラックメーン!」

 

控えていた審判のバニーガールが海パン男に近寄り、その身に腕を上げ勝利をたたえる。

 

「アイア~ム、魔中年マッチョメン!ブラ~ックマン!」

 

海パン男、ブラックマンも両腕を上げ、自分をアピールする。

 

「ふざけたように見えて、とんでもない男だな。」

 

アクセルがブラックマンを見てそう評価する。

 

「だろう、彼はこの闘技場の目玉選手だからね。さて、次の挑戦者は・・・」

 

プレジデントが改めてリングを見ると、そこへ筋肉質なスキンヘッドの男が登場する。

 

「Lヒガンテ、我が社の新型サイボーグ義体だよ、大統領。」

 

客席に座っていた身なりの良い男が仮面をつけたボーイからドリンクを受け取りながらプレジデントに話しかける。

 

「奇遇だな社長、キミも来ていたのかい?」

 

プレジデントが男に話しかける。

 

「知り合いか?」

 

「彼はロバート・ゴードン、東亜錬金技研という会社のCEOだ。」

 

プレジデントが知り合いの男、ロバートを紹介する。

 

「東亜錬金技研、工業用の大型機械やサイボーグ義体の開発に従事している最近急成長中の企業ね。」

 

ハリーがそう補足する。

 

「なに、所詮はメルコール・コングロマリット傘下の小さな会社ですよ。よろしく、ハリー・ホプキンスさんにアクセル・アルマ―さん。」

 

ロバートはそう言って握手を求める。

 

「なぜ俺の名を知っている?」

 

名乗った覚えのないアクセルはプレジデントを見るが、プレジデントは手のひらを上に向け素知らぬ顔をする。

 

「フフフ、この世界において私に知らないことは無いんだよ。キミの乗っていたロボット、アシュセイバーだったか?あれも興味深いロボットだ。」

 

ロバートは差し出した右手をひっこめながら続ける。

 

「実は私も最近似たようなロボットを手に入れてね・・・っと、生身の人間は視覚情報を共有できないんだったな。キミにも見えるように可視化してあげよう。」

 

ロバートが掌をかざすと空中にスクリーンが現れ、映像が映し出される。そこには封印戦争やアイドネウス島で共闘したパーソナルトルーパー、R-GUNの姿が映し出される。

 

「・・・!?」

 

「私はこれがキミの機体と関係あると踏んでいるんだが?」

 

「さあ、見たことないがな。それよりもいいのか?ご自慢の新商品がやられているぞ?」

 

アクセルができるだけリアクションをとらずにとぼけていると、リングではブラックマンがLヒガンテにとどめを刺そうとしていた。

 

「セクシー!タイフーン!!」

 

ブラックマンはLヒガンテにとびかかりながらその頭を両足で挟み、そのまま反対側の地面へと叩きつけた。

 

「あれってスコット・スタイナーのフランケンシュタイナーじゃない?なんで自分の技みたいに披露してんのよ?」

 

ハリーは旧西暦のプロレスラーを引き合いに出し、ブラックマンの動きをパクリだと騒ぎ立てる。

ダウンしたLヒガンテが運び出されリングの中央には再び審判のバニーガールがマイクを持って立っている。

 

「さーて、ホストが登場したところでワタシもお仕事をさせていただきマース!ネクストチャレンジャー、カモーン!」

 

バニーガールがそう叫ぶとリング上の空間が歪み、そこから3Mほどの白い起動兵器と帽子をかぶったカラスの怪人が複数現れた。

 

「あれは・・・まさか!?」

 

現れた起動兵器にアクセルが反応する。機体の中央には人間のような女性が埋め込まれている。

 

「何者だ貴様!?」

 

ブラックマンがバニーガールに尋ねる。

 

「ワタシはシース、逢魔北米支部のエージェントデース!プレジデント・マーク、お命頂戴シマース!」

 

カラスの怪人[レッドハッタ―][ブルーハッタ―][オレンジハッタ―]、そして起動兵器[百夜]が暴れだし、観客が混乱する。

 

「プレジデント様、ロバート様、ここは避難を。」

 

ボーイの一人が避難を促す。しかしそのボーイはプレジデントが席を立とうとした瞬間、所持していた剣で斬りかかってきた。

 

「つまらんマネをしてくれる。」

 

直前でアクセルがボーイの剣を蹴り飛ばし、その剣を手に取る。

 

「・・・なぜ僕の行動がわかったのです?」

 

その切っ先をボーイに付きつけると、ボーイはアクセルに問いかける。

 

「その仮面には見覚えがある。貴様も逢魔だろう?」

 

アクセルはマスカレードではなく顔の一部を覆うような白い仮面、逢魔のシンボルのようなその仮面を見たときから警戒していた。

 

「僕たちはソード、シース様の忠実なる部下。」

 

ソードが「僕たち」と告げると、周囲から複数の同じ顔に同じ仮面をつけた青年が現れ剣を構える。

 

「ふむ、これは自分で処理すべき案件だな!」

 

ソードの一人が剣による衝撃波を繰り出すと、プレジデントがアームズの安全装置を外しフォースフィールドでそれを防ぐ。その後エネルギーを纏った拳をソードにくらわせた。

 

「社長、キミも手伝いたまえ。」

 

プレジデントはロバート・ゴードンにそう促す。

 

「奴らの狙いはキミのようだが?これは貸しにしておくぞ、大統領。」

 

ロバートはポケットに手を入れたまま立ち上がりソードと対峙する。

 

「アームズを装着したニューヨーク・ドミニオンの大統領と東亜錬金技研サイボーグ社長の共闘。・・・欲しいのとは違うけどまあまあの記事にはなりそうね!」

 

ハリーもスカートのすそを破り臨戦態勢をとる。

 

「プレジデント、ここは任せるぞ。」

 

「キミはどうするつもりかね、アクセル?」

 

「俺はあのウサギを仕留める!」

 

アクセルはそう言ってリングに飛び降りた。

 

 

▽▽

 

 

ブラックマンがレッドハッタ―たちをなぎ倒し、シースに迫る。

 

「ゲタフレイム!」

 

ブラックマンは炎を纏ったゲタを飛ばすが、シースは水属性のマシンガン[フラッドガン]でそれを打ち落とす。

 

「どんどん行きマース!」

 

シースが剣と盾[フレイムソード]と「アースクロック」を取り出し斬りかかる。

炎の斬撃を寸前で避けたブラックマンに向けて盾がかざされる。

 

「レイト・フォー・ザ・アンダー!」

 

時計のような意匠の盾からエネルギーが発生し、ブラックマンの動きを止める。その後、ブラックマンは拘束されたままトランプ爆弾で爆撃された。

 

「これで終わりデース!」

 

爆発でダメージを負ったブラックマンに向けて百夜の拳が追撃される。

 

「誰が終りだって?」

 

ブラックマンは百夜の拳を全身で受け止め、その巨体をシースに向けて投げ飛ばした。

 

「オー!イッツデンジャー!」

 

シースは慌てて百夜を避ける。

 

「なかなかやりますネ、マッチョメン!ですがここで更なるゲストの登場デース!」

 

シースがそう告げると百夜の前で空間が歪み、全身が赤と金の鎧で覆われた新たな戦士が現れる。

それと同時にリングに降りたアクセルがその戦士に蹴りを入れた。

 

「てめえは確かアクセルじゃねえか!?いきなり何しやがる!?」

 

「それはこちらのセリフだ、何故貴様がこの世界に現れる?」

 

アクセルは見知った戦士に問いかける。

 

「決まってるだろ?そこの逢魔の連中に金で雇われたのさ。俺の名はマークハンター、プレジデント・マークを狩る男だぜ!」

 

百夜の発生させた次元の穴から現れたのはアクセルがかつてエンドレスフロンティアで出会った傭兵まがいの賞金稼ぎ、マークハンターだった。

 

「・・・名前だけじゃねえか。」

 

 

▽▽

 

 

「ルナティックヒール!クレセントサマー!」

 

ハリーがソードの一体に連続で蹴りを叩きこんだ後で、弧を描くように蹴り上げる。

 

「これで止めよ!ルナーエクリプス!」

 

更に空中でクレセントサマーと同じ軌道の蹴りを繰り出し追撃した。

ソードがダウンするとハリーの後ろから拍手が聞こえる。

 

「ふむ、実に華麗な戦い方だ。流石だよハリー。」

 

「生身の人間にしてはやるようだね。」

 

プレジデントとロバートがハリーの戦いをたたえる。床には複数のソードが倒れている。

 

「・・・流石なのはあなた達の方でしょ?」

 

ハリーが一体のソードに全力で当たっている間にプレジデントとロバートは残りを片付け、涼しい顔をしていた。

プレジデントがダウンしたソードに接近し回収を試みるが、ソードたちは煙となって消え去った。

 

「既存のバイオロイドとは全く別の人工生命体・・・興味深いが回収は不可能か・・・残念だ。」

 

「カメラにも映ってないわ・・・なんなのこいつ等?」

 

ハリーがカメラのデータを確認しながらぼやく。

 

「逢魔と言ったか・・・確か少し前に世界各国の特殊機関や格闘家、教師に市長にサラリーマン、果ては女子高生やアイドルなどの混成部隊によって壊滅させられたテロリスト集団だったな?」

 

プレジデントがかつて逢魔がもたらした混乱をかいつまんで説明する。

 

「なにその話、超楽しそうじゃない?」

 

一般には一切知らされていない事件の概要にハリーが食いつく。

真実は更に奇怪で、超未来の戦士や異世界の騎士たち、平家の亡霊に悪魔まで、その参加メンバーはかなり無秩序だった。

 

「話によればその構成員はヨウカイと呼ばれるジャパニーズゴーストだったとか・・・ひょっとしてキミのお仲間じゃないのかね、社長?」

 

「何のことを言っているのか・・・私はゴースト犯罪者とは関係ない。ひと段落したところで私は帰らせてもらうよ。」

 

ロバートはこれ見よがしにとぼけて見せ、立ち去って行った。

 

「まあいい、本人に聞けばわかることだ。さて我々もあのグラマラスな子ウサギちゃんに会いに行くとしよう!」

 

プレジデントはウキウキしながらリングに向かった。

 

 

 

 

「フレイムブリット!」

 

「地斬疾空刀!」

 

アクセルはマークハンターの銃撃を避けながらソードの剣[シルバーエッジ]で反撃する。

マークハンターは衝撃波をガードするが、アクセルはその隙に距離を詰める。

 

「この距離、もらった!」

 

アクセルは斬りかかるがマークハンターはビームサーベルでそれを止める。

 

「接近すりゃ勝てると思ったかい?あめえよ、パワースラッシュ!」

 

マークハンターの斬撃により、シルバーエッジがへし折られる。

 

「水流白虎爪!」

 

武器を失ったアクセルは指先に気を集中させ、マークハンターの腕部装甲をえぐり、マークハンターはその手に持っていたサーベルを手放した。

 

「接近すれば勝てると思ったのさ、これがな!」

 

「やるじゃねえか、アクセル!だが勝負はこれからだぜ、ストライクパンチ!」

 

「玄武剛拳!」

 

二人の拳が激突する。

 

「スーキだらけデスネー!」

 

両者が拳を交えていると、背後からシースが接近しフレイムソードで襲い掛かる。

 

「そうはさせんよ!」

 

炎を纏った刃がアクセルに届く前にプレジデントが割って入る。

 

「オー、手間が省けマース!」

 

シースはそのままプレジデントに斬りかかるが、プレジデントはそれを避けながらシースの腕を取り、腰を抱き寄せる。

 

「ダンスなら私が付き合おう。」

 

「それは光栄デスネー、スケベオヤジ!」

 

シースは一瞬で二人に分身する。

 

「ヴァーディクト・スプラーッシュ!」

 

両腕に仕込んだナイフを展開し、前後から挟み込むようにプレジデントに斬りかかり、プレジデントは咄嗟に距離を取る。

 

「美女が二人に増えるとは・・・なんと幸せな技だ!?」

 

「そんな事を言っている場合か!?」

 

アクセルとプレジデント、シースとマークハンターとがそれぞれ体制を立て直す。

 

「ところで君は何故私を狙う?依頼人は居るのかね?」

 

プレジデントは答えるわけがない質問を投げかける。

 

「この世に正しきカオスをもたらすのがワタシたち逢魔の目的デース!」

 

案の定、要領を得ない答えが返ってくる。

 

「プレジデント個人を狙う事が世界に混乱をもたらすと?」

 

今度はアクセルが問いかける。

 

「イエース!プレジデントが管理しているアレを解き放てば、この世界は一時的に大混乱シマース!ワタシのクライアントはその混乱から得られるエネルギーを所望しているのデース!」

 

シースはクライアントの事は比較的どうでもいいと言わんばかりにぺらぺらとしゃべりだす。

 

(世界の混乱をエネルギーに変える・・・なるほどな。ならばコイツの依頼人とは・・・)

 

アクセルは一人で何かを納得する。

 

「一時的にというのは?」

 

「アレが動き出せば世界は滅びマース。そこのスケベオヤジはアレの事を理解できて・・・!!?」

 

「ブラックキャノン!」

 

プレジデントが突如シースに向けてエネルギー弾を発射する。

 

「そろそろ口を閉じたまえ・・・。」

 

先ほどまでの飄々とした態度とは打って変わって冷酷な顔を見せる。

 

 

「ドリルヘッドバット!」「ジャベリンスロー!」

 

ブラックマンが百夜に向かって身体を回転させながら滑空し頭から突っ込み、その反対側からもハリーが身体を回転させながら低空で蹴りこむ。

 

「機能・・・停止」

 

百夜は半壊し、その場で動かなくなる。

 

 

「向こうもケリがついたようだな。後はお前達だけだ・・・。」

 

百夜が破壊され、残る相手はマークハンターとシースを残すだけとなった。

 

「プレジデント、あのマークハンターという男は金を積めばすぐにでもこちらになびくが?」

 

アクセルはかつてウンザリしたマークハンターの性質をプレジデントに説明する。

 

「ほう、それは解りやすいな。実力もあるようだし私としては異論はない。言い値で払おうじゃないか。」

 

プレジデントが支払いに同意する。

 

「見くびるんじゃねえぞアクセル!俺が金を裏切るような男に見えるか!?」

 

マークハンターが拳を握りながら力強く主張する。

 

「結局どっちの意味なのかしら?アタシも大概だけど、なんだか話してて訳が分からなくなるわね・・・。」

 

ハリーがマークハンターの主張に困惑する。

プレジデントが懐から小切手帳を取り出しマークハンターに向けて放り投げる。

 

「好きな金額を書きたまえ。」

 

「俺の名はマークハンター、プレジデント・マークのための狩人だぜ!」

 

「変わり身はや!?」

 

マークハンターが一瞬で寝返り、ハリーが再び困惑する。

 

「ン~、これは流石に旗色が悪いデスネー。ここは撤退させてもらいマース!」

 

シースはそう言いながら半壊した白夜の上に飛び乗る。

 

「待ちやがれ!ここまでの料金をもらってねえぞ!」

 

「土壇場で裏切っておいて何を言ってるのデスカ?」

 

マークハンターの狂った発言に、シースが本気で引く。

 

「それではこれにてグッバイでーす!」

 

シースと白夜はその場から消え去った。

 





【キャラクター出典紹介】

Lヒガンテ [電神魔界(AC)][ゴーストチェイサー電精(SFC)]

マークハンター(CV:矢尾一樹)[ガイアセイバー(SFC)]

シース(CV:三石琴音)   [PXZ2(3DS)]
ソード(CV:うえだゆうじ) [PXZ2(3DS)]

【ちょっと語らせて】

ナムカプ及びPXZの世界が新西暦ではないことはムゲフロEXの時点で明言されているのでもはや辻褄は合ってないのですが、マークハンターをこの世界に連れてこようと思ったら逢魔を引っ張りだした方がはやいので、せっかくニューヨークだし北米支部を登場させてみました。断じてシースが好きだからという理由ではありません。
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