スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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2話 グランドクリスマス来訪

新西暦189年、封印戦争の最中、大統領特務部隊[ガイアセイバーズ]地球連邦政府に反旗を翻した。

戦争終結後、彼らの研究していた超技術のサルベージのために、連邦軍関係者やゆかりのある科学者たちが世界各地に存在するガイアセイバーズの拠点を調査していた。

デルタ7と交戦したヴィレッタ・バディム大尉とライディ―ス・F・ブランシュタイン少尉もまた、エリック・ワン博士と共に旧アイドネウス島[グランドクリスマス]を訪れていた。

 

 

 

 

「それで逃がしてしまったのか・・・そのデルタ7とやらは・・・?」

 

グランドクリスマスの一室でアクセル・アルマ―がヴィレッタに訪ねる。

 

「逃げられた・・・・という言い方は正しくないわね。あのデルタ7は戦うにつれて徐々に性能が上がっていた・・・あのまま戦闘を続けていれば負けていたのは私たちの方だったわ。」

 

トーチカ7でヴィレッタとギリアム、それにライディースを加え三機でデルタ7との戦闘に当たった。その時点でのデルタ7の動きは鈍く三機は優勢だったが、デルタ7は重装甲に自己修復機能を備え、PTの火力で仕留めきることは困難を極めた。

戦況が膠着状態に陥ったころ、突如デルタ7のボディが発光し、その場から消え去った。

 

「あの感じは次元転移ではなさそうだったが・・・」

 

ギリアムが当時の状況を思い出しながら証言する。

 

「ならば空間跳躍か・・・どちらにせよとんだ隠し玉が控えていたものだな。トーチカ1のイェッツト、トーチカ2のフラットフィッシュ、トーチカ8のNVユニット、そして今度のデルタ7、他のトーチカにも何が潜んでいるか解らんな、こいつは・・・」

 

アクセルの懸念はもっともである。そして現状、そのほとんどにこのエリック・ワン博士が絡んでいる。

 

「ワシのせいじゃないの。それにトーチカはあくまで連邦の研究施設であって、別にガイアセイバーズ専用という訳ではないでの。」

 

「それでワン博士、あのデルタ7とはいったい・・・?」

 

ライディースがワン博士にたずねる。

 

「あやつは人口生命体デルタ7、人間が人間らしさを持って成長していく過程を人工的に再現してみるための実験体での、あの姿はデルタ7による地球環境の再生を名目にあらゆる機能を紐付けた作られたマシンだの。」

 

「地球環境の再生・・・そんなことが可能なの?」

 

「マシンセルを用いれば理論上は可能です。もっともフェフ博士がマシンセルをそのように使うとは思えませんが・・・」

 

ソフィア・ネート博士がそう答える。

 

「デルタの名を冠しているなら、デルタセイバー・・・カオル・トオミネのプランでしょうか?」

 

ライディースは自分でもありえないと思う予想を口にする。

 

「・・・父がそんな事に興味を持つとは思えませんが・・・」

 

ガイアセイバーズ、デルタセイバーの責任者カオル・トオミネの娘であるミナキがライディースの意見をバッサリと切り捨てた。

やはりカオル・トオミネもまたイーグレット・フェフと同じく、およそ地球環境を憂うような人物ではなかったらしい。

 

「開発責任者はアルテウルだの。元々はこのグランドクリスマス発足の建前のようなプランだったでの。じゃがトオミネやフェフ、ミタールにエルデ・ミッテ、ガイアセイバーズに所属しておった科学者たちの研究成果が軒並みつぎ込まれておるの。」

 

ワン博士がそう説明する。

 

「ふん、ガイアセイバーズ、地球の救世主とはよく言ったものだな、これが。」

 

ガイアセイバーズの総司令官、アルテウル・シュタインベック。その正体はエアロゲイターと呼ばれる敵勢異星人の科学者だった。参加メンバーの名を聞いてますます環境再生とは程遠い機体なのではないかと思えてくる。

 

「・・・それで私が呼ばれたのね。」

 

エアロゲイターによって作られた人造人間であるヴィレッタは、現時点において連邦の他の誰よりもエアロゲイターの情報に通じている。

 

「・・・けれど私も、あの男が何を考えていたのかは図りかねるわ。」

 

ヴィレッタはそう言葉を発しつつも、ユーゼス・ゴッツォが純粋に地球環境の再生を目指していたとしても不思議ではないと感じていた。

ユーゼス・ゴッツォをはるか以前から知っていたような不思議な感覚がヴィレッタにはあった。

 

「あの機体はさらには自己進化、自己再生、自己増殖といった機能を持ちそれらをミタールとエルデが作っておった有機脳と予測回路が制御するらしいの。」

 

「そんな物を放置しておいて大丈夫なのか?」

 

ミタール・ザパトに関しては行き過ぎはあっても典型的な研究者といった印象しかないが、エルデ・ミッテについて言えば正真正銘の狂人である。一同が警戒心を募らせるのも無理はない。

 

「大丈夫ではなかった。その予測回路が出した結論は『地球環境の再生には人類の滅亡が不可欠』というものだったでの。実験は中止され、デルタ7は廃棄されたでの・・・」

 

「・・・・・・」

 

デルタ7が廃棄された経緯に対して一同が沈黙する。

 

「そして極めつけはアルテウルが極秘で開発していた動力機関、あやつは[ディスの心臓]、その試作機と言っておったの。」

 

「ディスの心臓・・・」

 

初めて聞く言葉だが何故かまたヴィレッタには覚えがあった。

 

「なんでも、憎しみや恐怖といった人間の負の感情をエネルギーとして取り込む装置らしいの。」

 

「人間の負の感情を・・・まるでルイーナだな。本当にそんな物をエネルギーに転用できるなら確かに環境には優しかろうが・・・。」

 

ルイーナ、封印戦争の折に出現した敵対勢力であり、その起動兵器やメリオルエッセと呼ばれる指揮官、ミーレスと呼ばれる兵隊に至るまで、その全てが人間の負の感情によって生み出された謎の存在である。

 

「そしてあのデルタ7はその限りないエネルギーを用いて進化していくという訳か・・・放置しておくと手に負えなくなりますね。」

 

ライディースが当然のように危機感を示す。博士の触れ込みが事実ならばデルタ7は今この瞬間もパワーアップし続けていることになる。

 

「例の・・・ダグブールといったか。あの怪人については?」

 

「話を聞く限り人間ではないだろう・・・アインスト、ダークブレイン、ルイーナひょっとするとあるいは俺が行っていたエンドレスフロンティアに由来する存在かもしれん、これがな。」

 

アクセルは少し前にエンドレスフロンティアという異世界を訪れている。そこでは悪魔や妖怪、獣人や妖精などが当たり前に生活していた。

そしてこの世界でもまた人知を超えた怪物が度々出現している。

 

「現時点では何も解らない。今コウタにこちらに向かってもらっている。ロアならば何か知っているかもしれないからな。」

 

(因果律の番人・・・奴は私の事をその模造品と呼んだ。・・・まさかイングラムに関わりのある存在なのか?そして・・・ディスの心臓、気になるわね。)

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「こんにちは、ヴィレッタ大尉。」

 

到着した大型戦闘機[Gサンダーゲート]から現れたのは、それに似つかわしくない二人の日本人学生だった。

 

「コウタ、ショウコ、わざわざ来てもらって悪いわね。」

 

異世界の戦士の力を宿した高校生、コウタ・アズマとショウコ・アズマ。ヴィレッタとライディースがその二人を出迎える。

 

「仕方ねえさ、またロアの知識が必要なんだろ?」

 

「ロアだけではない。コウタ、お前の力もまた必要になる・・・。」

 

ライディースはコウタにそう声を掛ける。

コウタには異世界の戦士ロアの意識が宿っている。地球連邦軍にとってはその戦闘力はもちろん、異世界の情報元としても得難い存在である。

 

「ライ少尉がそんなこと言うなんて・・・どうやらマジでヤバいらしいな。」

 

「ところでGサンダーゲートのフォルムが以前とは違うようだけど・・・」

 

ショウコたちが乗ってきたGサンダーゲートに、以前は見られなかったコンテナが複数装着されている。

 

「ドッキング式の居住スペースです。ラウルさんたちL&E社にお願いして作ってもらったんです。」

 

「後、Gサンダーゲート用の小型コンテナなんかも作ってもらってたよな、じいちゃん。」

 

「うん、今回もお願いされて途中になってた発明品をコンテナに入れて運んできたんです。どんな物かは聞いてないけど・・・あとは着替えとかもいろいろ。」

 

「また発明品か・・・アズマ博士は働きすぎではないか?」

 

ライディースがそう心配するのも無理はない。

タイミング的には長年にわたり一人でコンパチブルカイザーの修理とGバンカランの開発を同時に進行していたはず。その上で敵として現れ鹵獲したGサンダーゲートの調整、その発進設備やバトルレーサーの開発、その上で現在助っ人としてこのグランドクリスマスを訪れている。そこへ更なる新発明となると、量、速度共に異常としか言いようがない。

 

「いいんじゃねえか、楽しそうだし。キツそうならとっくにとめてら。」

 

そんな話をしながらヴィレッタは二人を作業に当たっていたキサブロー・アズマ博士の元へ案内する。

 

「おお、コウタ、ショウコ、よく来たな。」

 

孫の顔を見て作業を中断する。辺りには見知った顔が何人か共に作業に当たっていた。

 

「ラミアさんも来てたんですね。」

 

ショウコが地球連邦軍特殊戦技教導隊のラミア・ラブレス少尉に声を掛ける。

 

「ああ、ツェンドル・プロジェクトに参加していたヒューゴとアクアにも来てもらっている。」

 

ヒューゴ・メディオ、アクア・ケントルム、封印戦争において鋼龍戦隊に参加し共に戦った新たなる仲間であり、その後は教導隊に入隊した。

 

「今更だが、そもそもなぜ教導隊がこのグランドクリスマスに?」

 

ライディースがそう口をはさむ。

 

「ガイアセイバーズで使用されていたキャニスが今後、連邦軍で運用するに足る有用性があるかどうか、動作検証を行っている。」

 

「・・・キャニス、正気か?わざわざ連邦軍で運用する理由はなさそうだが・・・。」

 

「基本性能の高さは実証済みだ。興味があるなら乗ってみるか?元教導隊のライディ―ス少尉。」

 

ライディ―スはL5戦役後~インスペクター事件が勃発するまでの超短期間ではあるが、教導隊に出向していた時期がある。

 

「興味がないわけではないが・・・。」

 

ライディ―スの興味はキャニスの性能ではなく別のところにあった。

主にガイアセイバーズの一般兵が使用していた量産機であるキャニスだが出所には怪しい点が多い。

 

「んで、クロガネ組からはアクセルさんとトウマか・・・」

 

「あとはミナキも来てる。それにしてもクロガネ組って響き・・・反社会的勢力みたいだな。」

 

トウマがつまらない事を気にし始める。

 

「別にいいじゃねえか、元々なんちゃってお尋ね者集団なんだから。」

 

「随分な言い草だな、コウタ・アズマ」

 

「アンタが反論すんのかよ、アクセルさん。・・・いや、俺は当時の事は知らねえけど。」

 

アクセルはかつてインスペクター事件の折に暗躍していた敵対組織シャドウミラーの幹部だった。インスペクター事件の後、鋼龍戦隊に参加したコウタが直接敵対したことこそないが、現在鋼龍戦隊に協力的な人物の中ではシュウ・シラカワに次いで気の置けない人物である。

 

「久しぶりだな。」

 

「いや、しょっちゅう会ってんだろ・・・って、一言一言いちいちツッコミどころを作ってんじゃねえよ。」

 

「けど意外です。アクセルさんがおじいちゃん達と一緒に仕事してるなんて・・・」

 

ショウコがアクセルに話しかける。

 

「要請を受けたのはミナキだったんだがな、ワンダーランドの残骸を確認するために同行したのさ、アレは元々俺たちの船だからな。W17だけでも事は足りるが、思い入れが無いわけでもない。感傷に浸るつもりもないが・・・言わば一つのけじめだな、これが。」

 

シャドウミラー隊の母艦トライロバイト級、その最後の一隻[ワンダーランド]。ガイアセイバーズによって運用されていたその艦は封印戦争の際に、ここグランドクリスマスで轟沈した。しかしその残骸からも連邦軍にとって有用な技術や情報は得られるだろう。

突如地下から爆発音が聞こえ施設内が揺れる。

 

「何があった!?」

 

エレベーターから警備兵が上がってくる。

 

「大変です!グランドクリスマス内部に化け物が突如現れ調査員や警備員を虐殺しています!現在我々で対応に当たっていますが・・・!」

 

「どうやら来客のようだな。ヴィレッタ、ひょっとすると件のダグブールとやらかもしれんぞ。」

 

「だとすると普通の人間が生身で対抗するのは無理ね・・・。コウタ、来て早々悪いけどアクセルと一緒に対処をお願いできるかしら?こちらはデルタ7に備えるわ。」

 

「ああ、任せといてくれ!」

 

 





【ちょっと語らせて】

自分なりにデルタ7の設定とOGに登場する技術を擦り合わせてみたんですが、好き勝手に設定盛りまくってしまいましたね。できれば『異世界から現れた謎の敵勢体』みたいなのは避けたい上で、第二次OG時の鋼龍戦隊にとってチョロい敵にならないようにと考えた結果ですが・・・。

というか最初はこんなに味方を出すつもりもなかったのですが、ロアはもちろん出したい!ライダーモチーフの雷鳳は出したい!番号が17(ワンセブン)のラミアは出したい!といった感じに増えてしまいました。
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