スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
1話 鬼忍降魔録ONI(前編)
「いかがでごわすか、アクセル隊長?」
「ああ、悪くない。これならば通常の戦闘に支障はあるまい。・・・ごわす?」
アクセルとラミアは魁龍改の格納庫でアシュセイヴァーの脚部の応急処置を終え、動作を確認する。
「こいに懲りたならば、アシュセイヴァーによる近接格闘戦ばお控えなさってくりやんせ。隊長は別に射撃戦が不得意ちゅう訳ではなかでごわんしょ?」
ラミアの口調になぜか九州地方のニュアンスが混ざる。
「・・・少し会わん間に喋り方が悪化しているぞ・・・わざとじゃないだろうな?」
「トンデモございもはん、タイムスリップの影響にございもんそ。」
「・・・もんそ?」
アクセルはため息をつきながら片目を細める。
「それにしてもW17、貴様までがこの時代に来ているとなると、他にもいる可能性が高いな・・・。ちなみにヒューゴはニューヨーク・ドミニオンで療養中だ。それとR-GUNが東亜錬金技研という会社に鹵獲されているらしい。貴様の方は他のメンバーについての情報はあるか?」
「明確な情報は何も・・・ただ日本にTDF極東支部に協力する赤いアームド・ファイターが居るちこってす・・・。」
「赤いアームド・ファイター・・・可能性はあるな・・・。それにしても140年前とは言え、随分とレトロな艦だな。」
相手との会話よりも自分の思考と結論を優先する癖のあるアクセルは度々話題が飛ぶ。
「魁龍改、元んなった魁龍はこの時代よりも更に100年ほど前に龍琥王と共にバラルと戦い、それを打ち破ったとされとりもす。その際に轟沈した魁龍をグリムズ商会が一部サルベージし、足りん部品ば新たに作り直したんがこの魁龍改でごあんど。」
「・・・ごあんど?」
ラミアは魁龍の経緯を説明するが、アクセルは聞きなれない方言に意識が向く。
「こんな骨董品でバラルの戦力を退けたというのか?味方に龍虎王が居たとはいえ、ほぼ不可能に近い戦果だな。よほど優秀な人材がそろっていたのか・・・?」
アクセルはもはや喋り方にツッコむことはせず話を続ける。
「記録によれば当時の東郷家を筆頭に、ブランシュタイン家、そしてグリムズ家が手を結び作り上げた組織[オーダー]によって運用されていたようでごわす。」
「その因縁が俺たちの時代まで続いたという訳か・・・アリッサ・グリムズは信用できるのか?」
子孫であるアーチボルト・グリムズを知るアクセルは当然の警戒を示す。
「はい、グリムズ商会現会長アリッサ・グリムズはふっとかお方じゃと認識しておりもんす。現在は地球連邦軍の前身であるTDFと協力関係にあるちこって協力しとりもした。じゃどん、隊長と合流できた以上は・・・」
「いや、お前はこのままこの[同盟]に参加しろ。」
「じゃどん・・・!?」
「今は少しでもこの世界を取り巻く状況を把握したい。俺も今しばらくはプレジデント・マークの下で働くつもりだ。お互い、所在さえ分かっていれば問題あるまい、何かあればアシュセイヴァーにメッセージを送れ。」
「了解でもんそ。」
ラミアはアクセルの案を承諾した。
「話は終わったか?」
話しがひと段落したところでマークハンターが近づいてくる。
「声だけじゃなく顔も似てるな・・・っていうか同じだな。違うのは武装だけか・・・。」
マークハンターは誰かと比べるようにラミアを見る。
「・・・・。」
ラミアは今の会話をマークハンターに聞かれたかと警戒を示す。
「警戒する必要はないW17。そいつの名はマークハンター、俺やお前と同じくこの世界の住人じゃない・・・今の話も聞かれたところで問題はない、これがな。」
「ほいたら例のエンドレスフロンティアの・・・?」
「ああ、信用は出来んが頼りになる男だ。それでマークハンター、他の連中はどうしている?」
アクセルはその信用できない男に他のメンバーの状況を尋ねる。
「ハリーの奴はあっちこち取材して回ってる。ブラックマンの方は大したダメージは残ってねえ見てえだが、黒騎士のねーちゃんと何やらひそひそと話してたぜ。」
「ブラックマンと黒騎士が・・・?ブラックマンの事を[タルクス]と呼んだ黒騎士ミラ・ロマノア。ならばブラックマンは制御体連合国家とやらの回し者か・・・?」
アクセルは独り言のように続ける。
「主にTDFと制御体連合国家を中心とする[同盟]、その制御体連合国家からニューヨーク・ドミニオンに送り込まれた工作員、そしてTDFワシントン支部はニューヨーク・ドミニオンと癒着している・・・か。」
(地球連邦軍の前身でありながら明らかに各支部で連携の取れていないTDF、制御体という謎のコンピュータによって管理されている制御体連合国家、独自の権力を持つドミニオン、そこにダグブールやヘルザークと言った輩、混沌としているな。他の連中はこんな時代で上手くやれてるのか・・・?)
◇◇◇◇
『・・・・以前より東亜錬金技研がゴースト犯罪者と関与しているとの疑いがあり、制御体連合国家の幽霊課が強制捜査に乗り出しました。その際に巨大ロボットが現れ・・・・』
「なあライ少尉、あれって・・・。」
チェストのカウンター席で古い箱型のテレビで流れているニュース番組を見ていたコウタとライは画面に映るR-GUNに反応する。
「TDFのデータベースにはヴィレッタ大尉と同じ名前が記録されていた。まさかとは思っていたが・・・」
「ヴィレッタ大尉もこの時代に来ているってことか・・・。」
「ああ、それとこれも見てくれ。」
ライが通信端末でネットニュースをコウタに見せると、そこには見知った男の写真と「ハンサムボディーガード」という文章が表示されている。
「なにやってんだあの人・・・。」
「あの時あの島に居たどれだけのメンバーが転移に巻き込まれたかは予想がつかないが、これでただ帰還方法を探し実行するだけという訳にはいかなくなったな。」
ライは悩まし顔を浮かべる。
「上等だ、どっちにしろヘルザークの野郎を放置して帰るつもりはさらさらねえぜ!」
「とりあえず俺たちの基本方針は二つだ。他のメンバーの捜索と帰還方法の調査、そしてこの時代で犯罪を防ぎながら暗躍する存在を止める・・・。」
「それ三つじゃねえか?」
その時、店の扉が開きカランカランと鈴の音がなる。
「大変だよ!」
ランが慌てた様子で店内に入ってくる。
「なんだラン、何があったんだよ?」
喫茶店の隅で本を読んでいたエイジがランをなだめるように尋ねる。
「お化け!お化けが出たんだよ!!」
「お化けって・・・何かの見間違いだろ?」
「ほんとに居たんだから!一つ目小僧とか河童とか狸とかいろいろ!」
ランは真剣な表情で訴える。
「お化けね・・・妖怪か。コウタはどう思う?」
エイジはコウタに意見を求める。
「狸は妖怪じゃねえだろ?」
コウタがそうツッコんだ。
▽▽▽
『自分から進んでパトロールとは感心だな、コウタ。』
昼にランから聞いた話を踏まえて、コウタが一人で夜な夜な街を見回っている。
「散歩のついでだ。ランにはああ言ったが、妖怪じゃなくても生物兵器とかの可能性もあるからな。・・・つーかそもそもクリーチャーやギガントを目撃したくせに今更お化けが怖いとか、ありえねえけどな。』
『彼女は日向生化学研究所の娘だからな。本人もエイジもVOL細胞の被験者だ、生物兵器には耐性があるのだろう。』
「なら尚更お化けなんて怖くねえだろ。」
そんな話をしながらしばらく歩く。
『コウタ、この先に妙なエネルギーを感じる。』
「ちょっと行ってみるか。」
▽▽
「随分と久しぶりね。」
妙齢の女性と怪しげな老人が対峙している。
「彼奴めがこの時代に現れました、だっ・・・今は逢魔の沙夜様でしたな?」
「そう・・・これも巡り合わせかしらね。」
沙夜と呼ばれた女は目をつぶり、何か物思いふけるように振る舞う。
「今こそ我らの総力を挙げて彼奴めを・・・」
「人が来るわ。今は姿を消しなさい・・・。」
「御意・・・」
老人が姿を消すと、そこへコウタが現れる。
「アンタは確か・・・沙夜だっけ?」
「あらん、お久しぶりね、コウタくん。」
コウタを見つけた沙夜が不敵な笑みを浮かべる。
「・・・そういやアンタは妖怪の頭だったっけ?・・・ひょっとして妖怪の目撃情報はアンタの仲間か?」
「当たらずとも遠からず・・・けれど悪事は働いていないわよ・・・まだね。ちょっとたちの悪い奴に狙われてるの、良かったら助けてくれないかしら?」
沙夜はか弱い仕草をとりながらコウタに協力を求める。
「アンタなら自分で何とか出来るだろうが・・・まあいいぜ、袖すり合うも他生の縁ってな。」
コウタはかつて共に戦った有栖零児と沙夜の因縁を深くは知らず、その言葉を信用する。
「見つけたぞ妲己!」
突如目の前に忍び装束を着た少年が現れる。
「なんだあの忍者!?妲己って!?」
「来たわね・・・。コウタくん、あいつがその悪い奴。」
少年が沙夜に襲い掛かるが、コウタがそれを阻もうと間に立つ。
「邪魔をするな!忍法、火ばしり!」
少年は手から火炎を放射し、コウタはその炎に包まれる。
「効かねえよ!」
コウタは炎の中からファイター・ロアの姿で現れた。
「驚いたぜ、まさか炎を出してくるなんてな!?流石は忍者だぜ!」
「お前はあの時の・・・!?町を守るために戦っていたから協力したのに、まさか妲己の手下だったとは、よくも騙したな!?」
少年はファイター・ロアの姿を見て怒り始める。
「何言ってやがんだ?お前なんて知らねえよ!!」
少年の言葉にコウタが戸惑う。
それをよそに少年は懐から黒い石を取り出し高く掲げる。
「鬼雷石よ、我に力を・・・・!」
夜空に突如稲妻が鳴り響き、少年に雷が落ちる。すると忍びの少年は黒い甲冑を纏った鬼へと姿を変えた。
「魔封童子、推参!」
「アイツはこないだ助けてくれた鬼みたいな奴!おい沙夜、どうなってんだ?」
コウタは先日ギガントの撃退の協力してくれた鬼の姿に戸惑う。
「彼の名は天地丸、伝説の鬼[魔封童子]の力を継いだ忍なの。あなたと同じく時間を超えてこの時代に現れた存在、ただし未来からではなく過去からだけどね・・・。」
「過去の時代から・・・?」
コウタが沙夜の言葉を繰り返す。
「そ、大昔から私たち妖怪を突け狙っているの・・・。」
「地張の里を滅ぼした貴様だけは絶対に許さん!」
魔封童子は怒気をはらんだ声で沙夜に食って掛かる。
「おい沙夜、ひょっとしてアンタが悪いんじゃねえのか?」
魔封童子の様子を見て、コウタは沙夜に確認する。
「そう?自分たちは妖怪退治で生計を立ててたくせに自分たちがやられたら一方的に恨み言を言ってるのだから、随分と身勝手な話じゃなくて?」
「そう言われりゃそうなんだが・・・。」
現状、コウタにはどちらに非があるかは判断がつかないが、多少の付き合いがある沙夜に肩入れしたいという気持ちはある。
「という訳で、後の事はお願いね。コウタくん。」
沙夜はそう言ってコウタに戦闘を任せた。
「おりゃああ!!」
魔封童子は無数の手裏剣で牽制し、その後一瞬で距離を詰め、連続で打撃を加えていく。
「ちぃっ!!」
コウタは防御態勢で魔封童子の猛攻に耐える。
「邪魔をするな!妲己の手先め!!」
「待てって!ちったあ話を聞きやがれってんだ!!」
コウタはワイヤーを射出し魔封童子の拘束を試しみるも、捕える寸前でそれを避ける。
「くそっ、速えぇな!?・・・だったら!」
「てやぁぁ!」
コウタは再び距離を詰め殴りかかってくる魔封童子にクロスカウンターで拳を繰り出した。
「守ってくれてありがと、コウタくん。・・・ご苦労様!」
コウタと魔封童子が拳を交える中、沙夜の刀が後ろからコウタごと魔封童子を貫いた。
「・・・え?」
ファイター・ロアの変身が解かれ、コウタはその場に倒れこむ。
魔封童子もまた膝をつき元の少年の姿にに戻った。
「妲己・・・貴様!?」
「貴方の仇討ちは既に終わってるわ。私は既にあなたに討たれたもの・・・恨みがあるのが自分側だけだと思わないでね、天地ちゃん!」
沙夜の声のトーンが下がる。
「・・・さ・・や・・・!てめえ・・・!!」
倒れたコウタの腹部から血が流れ続ける。
「言ってなかったかしら?私は悪い女なの・・・。あなたも敵に回すと何かと厄介だからここで死んでもらうわ・・・ちょっと残念だけどね。」
沙夜はそう言って銃を突きつける。
「・・・ちっ・・くしょう・・・!」
コウタは生まれて初めて、生身で受けた見知った相手からの明確な殺意に恐怖する。
「おやすみなさい、コウタくん・・・。」
夜の空に銃声が鳴り響いた。
【キャラクター出典紹介】
天地丸/魔封童子 [鬼忍降魔録ONI(GB)]
【挿絵表示】
沙夜(CV:折笠愛) [ナムコ✕カプコン(PS2)][無限のフロンティア(DS)][プロジェクトクロスゾーン(3DS)]
【ゲーム概要】
[鬼忍降魔録ONI(GB)]
1990年に発売されたRPG。ONIシリーズはGBで5作品、SFCで2作品、ACのアクションゲームにアニメ化といい感じに展開されていたんですけど、PSのONI零を最後に気づいたら消えてたタイトル(DSにもなんかあったけど、別物過ぎてスルー)
【ちょっと語らせて】
ONI1のラスボスである妲己、当然ながらナムカプの沙夜とは全然別のキャラクターなのですけど、「これが同一人物だったら面白いんじゃなかろうか?」という妄想から同一人物にしてしまいました。
超余談なんですけど、ラミアの口調に関しては今現在GEOのレンタル落ちコーナーで購入した1990年の大河ドラマ「翔ぶが如く」を視聴中のため薩摩言葉を真似したかっただけです。次に登場する際にはたぶん普通に喋ります。