スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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2話 鬼忍降魔録ONI(後編)

「・・・どちら様かしら?」

 

沙夜が自分に向けて発砲してきた男に尋ねる。

 

「・・・ライ・・・少尉・・。」

 

コウタが男の姿を確認し、意識を失う。

 

「コウタから離れろ!」

 

沙夜に向けて発砲したライが警告する。

 

「そう、コウタくんのお仲間なの。随分と美形だけれど、出来ればもう少し幼い頃に出会いたかったわね!」

 

沙夜がそう言いながらライに撃ち返す。しかしライの前に光の壁が発生し、その弾丸を阻む。

 

「TDFが開発したバリアユニットだ。」

 

「ふうん、結構な装備だけど・・・どこまで持つかしらね!

 

沙夜はライに接近しながら[禊][焔][氷]の三本の刀を使い分けながら連続でバリアに斬りつける。

 

「瞬・華・終・刀!あっさひるBAN!ってね。」

 

そして拳銃[くろつち]でバリアを打ち破り、毒の手刀[鎬]がライに繰り出される。

 

しかしその手刀は異形の戦士に阻まれた。

 

「大丈夫ですか、ライさん!?」

 

「エイジ、いいタイミングだ!」

 

ライはすかさず沙夜に発砲する。沙夜は首を傾けその銃弾を避ける。

 

「いい腕ねお兄さん、それだけに読みやすいわ。それに・・・」

 

沙夜はヴォルテックスの姿を見て思案する。

 

「まあいいわ・・・ぬらりひょん、後の事はお願いね。」

 

「御意・・・。」

 

沙夜が言い残して姿を消すと同時に、何処からともなく怪しげな老人が現れる。

ぬらりひょんが地面に杖を付けると突如として妖怪の群れが現れる。

中には一つ目小僧や河童や狸も混ざっていた。

 

 

▽▽

 

 

「治癒術[地泉]。」

 

「・・・う、・・・うう・・。」

 

天地丸がコウタの傷を癒し、コウタは意識を取り戻す。

 

「気が付いたか?これで分かっただろう、お前はあの女に騙されていたんだ。」

 

「ああ、悪かったよ。そんで沙夜の奴は・・・?」

 

コウタそのままの体制で天地丸に尋ねる。

 

「逃げた。今は奴の配下の妖魔どもがお前の仲間たちと戦っている。」

 

「だったらこうしちゃいられねえな・・・!」

 

そう言ってコウタは立ち上がる。

 

「魔封童子つったか・・・付き合ってくれんだろ?」

 

「天地丸だ。いいだろう、妲己以外の妖魔も俺の仇敵だからな。」

 

コウタと天地丸が共闘を決めたとき、巨大な二体の影が目の前に現れる。

 

「お前たちの相手は俺たちだ!」「ヒャッハー!まさかあの魔封童子に復讐できる日が来るとは思ってなかったぜ!」

 

現れたのは沙夜の腹心である毒牛頭と毒馬頭、そしてその上空には更に悪天狗と業天狗を中心に無数のかまいたちが現れる。

 

「てめえらは・・・!?」

 

「馬頭と牛頭、貴様たちも復活していたか!?」

 

「毒牛頭と毒馬頭だ。かつての我らと同じと思うなよ!」

 

毒牛頭と毒馬頭はコウタと天地丸に向けて同時に毒霧を噴射する。

ファイター・ロアと魔封童子が霧の中から現れ毒牛頭と毒馬頭をそれぞれ蹴り飛ばした。

 

「変身したとはいえ、全く平気とはいかねえか・・・。」

 

コウタが毒でフラつきながらそうつぶやく。

 

「使え、解毒薬だ。」

 

魔封童子がコウタに丸薬を渡した。

 

「ヒャッハー!流石だぜ魔封童子よう!」

 

毒牛頭は愛用の斧[毒慟斧]を構え魔封童子と対峙する。

 

「仕方ない、ならば俺はお前で我慢してやるか、ファイター・ロバ!」

 

「誰がロバだ、この馬野郎!」

 

コウタが鉄球で殴りかかるも、毒馬頭の棍棒[毒錬棍]によって撃ち返される。

 

「その程度か?そんな事ではいつまでたってもロバのままだぞ!!」

 

毒馬頭は毒錬棍でコウタに殴りかかる。

 

「言ってろ!!」

 

コウタはそれを避けながらでビームガンとブーメランで反撃し、接近して更に打撃を加えていく。

 

「くらえ!ファイター・トルネード!!」

 

コウタは毒馬頭の腹部に膝蹴りをくらわせ、そして竜巻を纏った拳で追撃した。

 

「ヒヒィィィン!!?」

 

毒馬頭はその場で倒れ、煙となって消え去った。

 

 

 

 

「毒馬頭がやられたか。」

 

「牛頭よ、今度はお前の番だ。」

 

「ほざけ!」

 

毒牛頭は目の前の魔封童子に斧で斬りかかり、魔封童子は真っ二つに割れた。

 

「ヒャッハー!!」

 

しかし真っ二つになった魔封童子は霧のように消える。そして斬られた幻とは別の魔封童子が毒牛頭の後ろに現れた。

 

「・・・霧隠れ。」

 

「おのれ小癪な!」

 

毒牛頭が振り返ろうとしたとき、魔封童子の拳によって殴り飛ばされる。

 

「分身!」

 

二体に分身した魔封童子が同時に毒牛頭に仕掛ける。

 

「炎走り!」「双飛龍!」「雷の小太刀!」「疾風の太刀!」

 

「ぐおおお!」

 

毒牛頭が二体の魔封童子による怒涛の連撃に怯む。

その隙に分身を解除し一人に戻った魔封童子は、腰を落とし右足に力を溜めていく。

 

「止めだ・・・破邪の蹴り!」

 

魔封童子は毒馬頭に向かって跳躍し、その勢いのまま光る右足で渾身の蹴りを叩きこんだ。

 

「ブホッ・・・!!?」

 

毒馬頭は毒錬棍で魔封童子の蹴りを防ごうと構えるが、破邪の蹴りは毒錬棍ごとその胴体を蹴り砕いた。

 

 

▽▽

 

 

豆狸がライに向かって体当りしてくる。しかしその攻撃はバリアに阻まれ、豆狸は頭をぶつけ後ろに倒れた後、頭を押さえて蹲る。

 

「・・・・むぅ・・・。」

 

ライは豆狸に銃口を向けるも引き金を引くことを躊躇う。そこへ現れたランが豆狸をサッカーボールの様に蹴り飛ばした。

 

「ランか・・・!?チェストで待機しているように言ったはずだが・・・?」

 

「ライさんこそ何やってるの?ちゃんと倒さないとダメじゃん!」

 

「いろいろとやりづらくてな・・・今のは助かった、礼を言う。」

 

ライが礼を述べると、ランは満足そうに首を縦に振る。

 

「お化けが出たって最初に伝えたのはあたしだけど、思ってたよりなんか・・・すっごく妖怪だらけだね。ライさん、そろそろ左手の手袋を取ったら?」

 

「・・・俺の左手は鬼の手ではない。」

 

二人がそんなやり取りをしている隙に河童がランの背後に立つ。

 

「ガワガワガワガワ!尻子玉をいただくガワ!」

 

「ひえっ!変態だ!どうしよう!?」

 

「ガワ!!?」

 

河童がランのお尻に手を伸ばそうとした瞬間、ヴォルテックスのヴォルブレードによって真っ二つにされた。

 

「ラン、大丈夫か?」

 

「うん、ありがとうエイジ!危うくお尻を触られるところだったよ!」

 

「いや、たぶんそれじゃ済まなかっただろう・・・・。それにしても一体一体は大した敵じゃないが一向に数が減る気配がない。このままでは物量で押し切られる。」

 

ライがツッコミながら状況を分析する。

 

「ライさんはランを連れて退いてください。殿は俺が担当します!」

 

ヴォルテックスが戦況を把握し、ライに撤退を促すが、四つの陰に阻まれる。

 

「逃げられると思うな!」

 

新たに現れた砂かけ婆、子泣き爺、一反木綿、ぬりかべが三人を取り囲む。

 

「ゲゲゲ!すっごいメンバー、ヤバいよエイジ!まるで妖怪横丁だよ!」

 

「ヤバいと思うならゲゲゲとか言うなよ・・・しかも妖怪横丁って第5期だけだろ?」

 

有名なメンバーの出現にランのテンションが可笑しくなる。

妖怪たちがエイジたちに襲い掛かろうした瞬間、突如その動きを止め逃走し始める。

 

「なんだあの男は・・・!?」

 

ぬらりひょんがエイジたちの更に後方を見ると、黄色い雨合羽を着た虚ろな表情の男がたたずんでいた。

 

「・・・お兄ちゃん!?」

 

ランが男をそう呼ぶ。

 

「お前の覚醒はまだその程度か、エイジ?」

 

ランの兄、日向サトルがヴォルテックスに問いかける。

 

「サトルさん・・・。」

 

サトルはエイジの問いには答えずに妖怪たちに歩を進める。次の瞬間サトルの右腕が巨大な口となり妖怪たちを喰いちぎった。

 

「人間よりは食料に適しているようだ・・・悪くない。」

 

「バ・・・バカな!!?」

 

ぬらりひょんがサトルに驚愕する。

 

「グオォォォン!!」「ギュイィィィン!!」

 

地面が割れ、そこから巨大な黒い怪物が現れ、それと同時に空からは白い女性型の怪人が降りてくる。

 

「光栄に思え、化け物共。今日からお前たちは俺たちEATERの食料だ。」

 

二体の怪物はサトルの前に並び立つ。

 

「ヴォルハザード、ヴァルキュリア・・・喰らえ。」

 

サトルの言葉と共に黒い怪物[ヴォルハザード]と白い怪物[ヴァルキュリア]は妖怪たちを次々と襲っていく。

 

「EATER、奴らはエイジ・・・ヴォルテックスと同種の存在なのか!?」

 

EATERたちの登場にライが危機感を示す。

 

「さて・・・。」

 

サトルはそのくぼんだ目でギョロリとランの方を見る。

 

「ラン、どうやらお前は覚醒には至らなかったようだな。」

 

「・・・お兄ちゃん?」

 

サトルがランに近づいていく。

 

「待てサトルさん!」

 

「待つのは貴方のほうよ、叶エイジ?」

 

エイジがランに駆け寄ろうとした時、目の前に女性型の怪人ヴァルキュリアが立ちはだかる。

 

「お前は3年前の・・・それにその声はまさか、カオリさん?いや・・・今はいい!そこをどけ!」

 

「通りたければ力ずくでどうぞ。」

 

ヴァルキュリアはそう言って巨大な槍、ヴォルジャベリンを構えエイジに襲い掛かる。

 

「ラン、失敗作に用はないが、兄妹のよしみだ、俺が喰らってやろう。」

 

「・・・え?」

 

再びサトルの腕が口に変化し、ランの前で大きく開く。

 

「うおおおお!」「とりゃあああ!」

 

その口が閉じようとした瞬間、ファイター・ロアがランを庇いサトルの補食を止め、魔封童子がサトルを蹴り飛ばした。

 

「・・・赤の他人がいったいなんの真似だ?」

 

サトルがコウタと天地丸に尋ねる。

 

「てやんでいべらぼうめ!そりゃあこっちのセリフだぜ、ランはお前の妹じゃねえのかよ!?」

 

「兄が妹を害するなど、あってはならない!」

 

コウタと天地丸はランを殺そうとしたサトルに嫌悪を抱き、それぞれに弓を構える。

 

「ファイター・クロスボウ!」「双飛の弓よ・・・!」

 

ファイターロアと魔封童子が同時に弓を引き、サトルに向けて矢を放つ。

 

「・・・・」

 

サトルは無言で右腕を変形させ、二人の放った矢を喰いちぎった。

 

「・・・随分と妙な連中とつるんでいるな。・・・まあいい、ここは退いてやろう。」

 

日向サトルと二体の怪物はその場を後にし、辺りからは妖怪の気配も消えていた。

 

「お兄ちゃん・・・どうして・・・?」

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「彼女は平気なのか?」

 

天地丸が膝を落とすランを見てコウタに話しかける。

 

「気にかけてくれてんのか?」

 

「俺にも妹が居るからな。」

 

「へえ、そうなのか、奇遇だな。勝手に天涯孤独の身の上とかだと思ってたぜ。」

 

天地丸の言葉に親近感を覚え、コウタはショウコの事を思い出す。

 

「ランの事を何とかするのはエイジの役目さ。」

 

「・・・そうか。」

 

天地丸はそう答えながらこの場を立ち去ろうとする。

 

「天地丸と言ったか?キミはこれからどうするつもりだ?」

 

そばに控えていたライが天地丸を止めるように尋ねる。

 

「俺は妲己を追う、その上でこの時代にはびこる悪党どもをこらしめるつもりだ。」

 

「だったら一緒にやらねえか?」

 

コウタが天地丸に協力関係を求める。

 

「なに?」

 

「俺とそのライ少尉もアンタと同じでこの時代の人間じゃねえし、悪党どもを放っておくつもりもねえ。アンタが協力してくれりゃ心強いぜ。」

 

「・・・しばらく世話になろう。」

 

天地丸は少し考え、そう返答した。

 





【キャラクター出典紹介】

日向サトル   [スーパー特撮大戦2001(PS)]
ヴォルハザード [スーパー特撮大戦2001(PS)]
ヴァルキュリア [スーパー特撮大戦2001(PS)]

ぬらりひょん・妖怪各種 [鬼忍降魔録ONI(GB)]

毒馬頭・毒牛頭 [ナムコ✕カプコン(PS2)][無限のフロンティア(DS)][プロジェクトクロスゾーン(3DS)]

【ちょっと語らせて】
実は原作ゲーム「ONI1」において、魔封童子形態は防御力が上がるだけで術の類が使えなくなるため、総合的には通常の天地丸の方が強いんです。でもそれだと話が盛り上がらないからこの話では変身時の方が強くしました。鬼に変身した方が弱いって物語としてはちょっとありえないので・・・。

「特撮大戦」のEATERの設定として同じEATERを食べないと生きていけないという縛りがあるのですが、どう考えてもそれだと食料が少なすぎるだろうという事で人間やバイオロイド、妖怪も食べちゃう設定に変更しました。
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