スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
「ううぇ~い・・・ヒック!」
ニール・マクダニエルが酒瓶を片手に夜道を歩いている。
『・・・・』
その前にボロボロの布で身体を隠した大きな人影が現れる。
「なんだぁ、てめえは?」
『・・・・ターゲット、ニール・マクダニエルヲ確認・・・評価テストヲ開始スル』
人影が機械的な音声を発するとフードの中の目元が赤い光を放つ。布から片腕を覗かせると、その手が刃の形に変形する。
「・・・弟子入り志願ってわけじゃなさそうだな・・・ヒック!」
ニールがそう言って構える、しかしその時にはすでにニールの腹部は斬り裂かれ大量に出血していた。
「なん・・・だと・・・!?」
ニールはその場で倒れこみ、人影は夜の闇に消えていった。
▽▽▽
「天地丸の奴、先走りやがって・・・!」
『魔封童子に変身するためのアイテムなんだ、天地丸が慌てるの仕方がないだろう。』
鬼雷石を盗み逃走した攻牙忍軍を追っていった天地丸を、更にコウタがバトルレーサーで捜索していた。
「しかし変身するのに道具が必要ってのは不便な話だよな?俺だったらとっくに無くしちまってるぜ。」
『自分の力を委ねた相手の発言としては不安になる言葉だな、幸いファイター・ロアへの変身にアイテムは存在しないが。』
「だったらいいじゃねえか・・・なにか見えたぜ!?アレかもしれねえ!」
コウタが上空から街中を見下ろすと、屋上や屋根を高速で移動する人影を発見する。
『コウタ、この先は市街地だ。人混みに紛れられると捉えるは難しくなる。』
「てやんでいべらぼうめ!この俺から逃れられるもんかよ!」
コウタが人影を追いかけようとした時、突如竜巻がバトルレーサーを襲った。
「なんだ!?」
コウタは竜巻を躱しながらあたりを見渡す。
「ギュイイーン!」
風と共に現れたのは白い女性型の怪人、ヴァルキュリアだった。
「こないだの白いEATER!?」
「ギュイイーン!」
ヴァルキュリアはコウタが戦闘態勢を取る前に再び竜巻で牽制し、巨大な槍でバトルレーサーを叩き落とした。
「ぐわあああ!?」
コウタは高高度から市街地に落下していった。
▽▽▽
街の公園で二人の青年が立ち会っている。一方は叶エイジ、そしてもう一方は一宮流格闘術の使い手、岩瀬圭である。
「はああっ・・・はあっ!」
エイジは素早く接近し肘打ちを繰り出す。
「甘いぜエイジ!」
岩瀬圭はエイジの肘を受け止めながら払い蹴りでエイジを転倒させる。
「このっ!」
エイジが体制を崩しながら蹴り返そうとした瞬間、身体が硬直する。圭はそれを避けながらエイジの顔に拳を繰り出し、寸止めした。
「また腕を上げたな、エイジ。」
「いえ、やはり俺なんてまだまだですよ、圭さん。」
圭はエイジの腕を取り引っ張り起こした。
「あちゃ~、負けちゃったか・・・どんまい、エイジ!」
「それにしても、暑いのによくやるわね?」
ベンチでは日向ランと一宮ちあきがアイスをかじりながら二人の組み手を見ていた。
「ただ最後の動きはおかしかった、また体調に異変でもあったのか?お前の身体の・・・スタップ細胞だっけ?」
「VOL細胞です、なんです?スタップ細胞って・・・?」
「スタップ細胞は~、ありま~す!」
「言いたいだけよね、それ。」
ランが叫ぶと隣に座っていた一宮ちあきがツッコんだ。
▽
「・・・とまあ、そういう訳で、サトルさん・・・他のEATERたちと接触したときから身体の中のVOL細胞がザワついて収まらなかったんですが・・・。理屈は解りませんが、こういう時は武術の稽古でもすれば結構安定するんです。早く調子を戻して仲間と合流したいんですが・・・。」
「それで俺のところに来たのか。けど焦りは禁物だぜ。」
エイジと圭もベンチに座り、缶コーヒーを口に運ぶ。
「ランちゃんも、大変だっわね?」
「う〜ん、大丈夫。もともとまともな再会が出来るなんて思ってなかったし、エイジが居てくれてから・・・」
ランは気にする素振りを見せず、気丈に振る舞う。
「最初はニールさんの道場に行ってみたんだけどね、こんな公園で喧嘩するのは目立つし・・・。」
ランが話題を変える。
「喧嘩じゃなくて組手な・・・。けどニールさん、どうやら入院中らしいんです。何でも、夜道で何者かに襲撃されとか・・・命は取り留めたらしいんですけど・・・。」
「ふ~ん、状況にもよるけど、不意打ちだったとしてもニールを倒すなんて相当な手練れね。」
「ま、ニールなら生きてさえいりゃ、そのうち元気になるだろ。」
ちあきと圭がかつて同じ格闘大会に参加していたニール・マクダニエルの件をそう心配する様子もなくまとめる。
「俺も他流試合は師匠から禁止されてるし、エイジみたいな頑丈な奴が組み手に付き合ってくれるなら願ったりだ。」
「圭さん、エイジをサンドバッグみたいに言わないでよ!おじいちゃんが言うには気の力がVOL細胞を抑制するのに一役買ってるんじゃないかって・・・文字通り気休め程度らしいけど・・・。」
「ランちゃんのおじいちゃんって元科学者でしょ?ちあきが言うのもなんだけど、気の力がどうのこうの言ってていいの?」
ちあきがアイスの棒を咥えたま喋る。
「ちゃんと科学者だよ。気の力とは別に今ちゃんとした薬を持ってこっちに向かってるの。」
「気の力はちゃんとはしてないのかよ・・・。けど科学者でありつつ日向流古武術の師範、正に文武両道、ランちゃんのおじいさんはすごいんだな。」
圭がランの祖父を褒めるとランは「えへへ」と笑う。
『・・・ターゲット、イワセ・ケイ、イチノミヤ・チアキヲ確認・・・評価テストヲ開始スル』
突如、機械的な音声と共にボロ布を纏った人影が現れ、圭に攻撃を仕掛ける。
「なんだぁ!?」
「連環風断脚!」
圭が攻撃を躱すと同時に、ちあきがその人影を連続で蹴り上げる。
人影は空中で身を翻し、着地する。
「なんだコイツは!?」
ボロ布が破れ、露になったその姿は紫色の外装に赤い髪を生やした忍者のようなアンドロイドだった。
「そいつの名はシゥグアイ、メルコール・コングロマリットによって作られた暗殺用アンドロイドさ。」
シゥグアイの後ろから若い軽薄そうな男と真面目そうな女、そして虚ろな表情の男が現れる。
「お兄ちゃん!?」
「サトルさん、カオリさん・・・それにアンタは確か・・・藤堂タツヤ!?」
エイジとランが日向サトル、簑島カオリ、藤堂タツヤを見て警戒を示す。
「メルコール・コングロマリットってあの世界一の複合企業体?あなた達とはどういう関係なの?」
ちあきが訪ねる。
「我々はメルコール様の協力者です。今回はお互いのターゲットが一か所に集まっていたため、共同戦線を張ることにしました。」
何処からともなく声が聞こえ、空間が裂ける。そこから銀髪の女性が現れた。
「次から次へと・・・アンタはなんだ破廉恥な恰好しやがって!」
「ちょっと、圭!?」
圭が現れた女の身体のラインが分かるほど露出したボディースーツ姿を見てそんな感想を述べ、ちあきがそれを睨みつける。
「私は武装船団国家ナガーの幹部、闘姫アテファリナ。以後お見知りおきを・・・それもあなた達がそのシゥグアイを相手に生き残る事が出来ればの話ですが・・・。」
「ナガーだって!?サトルさん、一体どういう事だ・・・!?」
エイジの言葉をよそに、シゥグアイが圭に襲い掛かる。圭は刃と化したシゥグアイの腕を受け流しながら肘で反撃する。
「圭!?」
「こっちは大丈夫だ、ちあき!それよりもエイジとランを・・・」
ちあきが圭に促されエイジたちに駆け寄ろうとすると、目の前には簑島カオリが立ちはだかる。
「あなたの相手は私よ、一宮ちあきさん?」
「ちあきの事を知ってるの?・・・悪いけど、ちあきは貴方の事知らないわよ?」
「でしょうね・・・。あなたはPOSで活躍した有名人だもの。けれどその強さを手に入れるために相当な鍛錬が必要だったでしょう?」
「何が言いたいの?」
「努力して強くなったあなたを、身体にVOL細胞を投与しただけの私が圧倒したら愉快だと思わない?」
カオリの周りで竜巻が発生しその体を覆う。
「ギュイィィィン!」
竜巻の中から白い女の怪人、ヴァルキュリアが現れる。ちあきは間髪入れずにその頭部に飛び蹴りを喰らわせた。
「別に思わないけど?」
「なら思い知らせてあげるわ、ヴァルジャベリン!」
ちあきの蹴りを頭部に受けたヴァルキュリアはそう言い返し、ヴァルジャベリンでちあきに襲い掛かる。
「連環天烈脚!」
ちあきはヴァルジャベリンを避けながら連続で蹴りを叩きこんでいく。
「くっ!?・・・この!!」
ヴァルキュリアはちあきの攻撃を受けながらヴァルジャベリンを振るう。
「あまい!」
ちあきはヴァルジャベリンによる連撃を全て蹴りで防ぎ、その切っ先を地面に踏みつけ、天高くジャンプする。
「空転崩!」
ちあきは空中から身体を回転させ、ヴァルキュリアに体当りを喰らわせた。
「くぅっ!?・・・フフフ、まさか生身の人間に接近戦で後れを取るなんてね・・・流石だわ。」
ヴァルキュリアはさして悔しがるそぶりも見せずにちあきを称賛する。
「貴方の動き、薙刀かな?ちゃんと努力はしたみたいじゃない?」
「それも所詮は学生の部活動レベル、あなたからみたらお遊戯でしかないでしょう?」
ヴァルキュリアはちあきの実力を前にして自虐的な発言をする。
「そんな事ないわよ。ちあきは『ちはやふる』のファンだもの。」
ちあきは旧西暦の薙刀漫画を引き合いに出す。
「面白いわよねアレ・・・気が合いそう。」
「ひょっとして仲良くなれるかしら?」
「無理ね・・・嫌いなのよ、いい年して自分の名前をそのまま一人称に使うような女はね!」
ヴァルキュリアはそう言って両手を正面に掲げ竜巻を発生させる。
「ヴォル細胞の恩恵が肉体的な強化だけだと思わない事ね!ヴォルストリーム!!」
「きゃあああ!?」
ちあきはヴァルキュリアが発生させた竜巻によってズタズタに引き裂かれ、吹き飛ばされた。
▽▽
「カオリさんが白いEATER・・・!?という事は・・・」
エイジがカオリの変身を見て驚き、その後藤堂タツヤに目を向ける。
「向こうもおっぱじめやがったな・・・さあ、こっちも始めようぜ、叶エイジ!」
アテファリナとサトルが静観する中、藤堂タツヤがエイジに詰め寄る。
「待て、藤堂タツヤ!そもそも俺たちが争う理由は無いはずだ!」
「理由ならあるさ・・・飢えを満たすという、最もシンプルで原始的な戦いの理由がな!」
タツヤの足下が割れ、炎が舞い上がり爆発する。
「グオォォォン!!」
爆炎の中から黒い怪人、ヴォルハザードが現れる。
「やはりアンタが黒い奴か・・・!?」
「さあ、テメエは俺が喰らってやるぜ、エイジ!」
ヴォルハザードはそう言ってエイジに襲い掛かる。
「潰れろ、ヴォルリッパー!」
ヴォルハザードの腕が巨大化し、その腕でエイジを殴りつけた。
エイジがヴォルハザードの腕を受け止める。その姿は既にヴォルテックスに変化していた。
「どうやら、やるしかないようだな・・・タツヤ!」
ヴォルテックスはそのままヴォルハザードの巨体を持ち上げ、投げ飛ばす。
「ヴォルカノン・・・ぐっ!」
再びヴォルテックスの身体が硬直しそのヴォルカノンは明後日の方向に発射される。
「はん、どこ狙ってんだよ!ヴォルフレイム!」
「ぐわあああ!」
ヴォルハザードが胸部から火球を発射しヴォルテックスに直撃する。
「エイジ!」
ランがヴォルテックスに駆け寄り、回復を行う。
「ヴォル・テクスチャードタイプ『ヴォルテックス』・・・・ルシファードが苦戦したというからどれほどの物かと思っていだけど、大したことないようね・・・」
アテファリナがヴォルテックスを見下すように語る。
「いや、どうやら奴は本調子じゃないようだ・・・。」
サトルはそう言ってヴォルテックスとランに近寄っていく。
「・・・お兄ちゃん。」
「ヴォルに抗おうとするな、エイジ。」
「何を・・・?」
「俺たちとの接触でお前の中のヴォルは活性化している。それに抗わず受け入れればお前は次のステージに行ける。」
「勝手な事言ってんじゃねえぞサトル!そいつは今から俺が・・・!」
獲物を横取りされそうになったヴォルハザードがサトルに文句を言うと、サトルはそのくぼんた目をギョロりと回しタツヤを見る。
「タツヤ・・・少し黙れ。」
「・・・ちっ!」
タツヤがサトルの圧に負け、食い下がる。
「俺たちEATERは人間を超え、進化した存在・・・さあエイジ、ヴォルを受け入れ、ヴォルの導きに全てを委ねろ、そして俺たちと共にナガーに仕えるんだ。」
「・・・バカなことを・・・!?そんな事するわけが・・・ぐうっ!?・・・頭が・・・!!?」
サトルの発言にエイジが反論しようとした時、強烈な頭痛に襲われ、変身がとかれる。
「そうか・・・残念だ。」
サトルの瞳が赤く光ると、その腕部が刃に変化し、切っ先をエイジに向ける。すると間にランが割って入った。
「止めて、お兄ちゃん!」
「どけ、ラン。・・・失敗作に用はない。」
サトルはランの声を無視して突き飛ばし、エイジに近づいていく。
「ダメ、このままじゃエイジが・・・お願い、あたしの中のヴォルよ、今こそあたしに力を貸して!あたしの身体はどうなってもいい、だからもう一度、あの日、あの炎の中で目覚めたあの[力]を!!」
ランの身体が光に包まれる。
「あれは、進化の光・・・そう、目覚めるというのね・・・ヴェルベット。」
ランの放つ光を見てアテファリナがそうつぶやく。
光の中からピンク色の魔法使いのような意匠の戦士が現れた。
【キャラクター出典紹介】
アテファリナ [スーパー特撮大戦2001]
シゥグアイ [クリティカル・ブロウ]
【ちょっと語らせて】
VOL細胞を気の力で抑制するなんて設定は原作[ゲームスーパー特撮大戦]には存在しませんが、[クリティカル・ブロウ]では物語を構成する要素として気の力[プラーナ]が用いられるので、両作品を共演させるにあたり設定を追加してみました。