スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
1話 制御体連合国家
「修理の進捗状況はどうだ?」
赤い髪のサイボーグ、魔魁元聖がR-GUNの修理に当たるヴィレッタに話しかける。
工場内には二人が最初に会った東亜錬金技研の支社から回収したR-GUNの武装やパーツが運び込まれている。修理用のドローンがそれらを次々と取り付け、自動で調整していく。
「・・・・なんとか普通に動かせる程度には持ってこれたわ。まさか修理のフォローをしてもらえるとは思ってなかったけど・・・。」
(PT用のハンガーが無いのが痛いわね。プラスパーツの取り付けは難しそうだな・・・。)
大型リフトやクレーンで態勢は固定できているが、不安定で修理作業は順調とは言えない。それでも制御体連合国家の技術力は高く、制御体の管理する工場では140年後の機体であるPTの修理さえも可能とした。
「それにしてもR-GUNの修理までできるなんて、やっぱり制御体は凄いんだね!」
魔魁の後ろから衣世が顔を出し、そんな事を言う。
「R-GUNのデータなんて持っていないはずなんだが・・・この成長速度は異常だな・・・。」
自分の国を管理するシステムに対する疑念を口にする。
「ダメだよ魔魁、制御体に疑問を持つのは。この国において制御体は絶対なんだから!」
衣世が魔魁を窘めるが、ヴィレッタにとってはむしろ衣世やコンドウの制御体絶対主義の方が馴染まない。
「私の調整もここのラボでやってもらってるんだから。」
衣世や上海で出会ったアンディ・ブラッドとクリーチャー、この時代の生物兵器に関する技術は未来には存在しない。
(しいて言えばツェンドル・プロジェクトだが、コンセプトが違い過ぎるか・・・。)
「バイオロイドの研究が禁止されたのは衣世が生まれて以降という事かしら?」
ヴィレッタが自分の中のつじつまを合わせるように質問を投げかける。
「そのはずだが、今でも生物兵器による犯罪は減る気配がない。どこかしらで研究や製造され続けているようだ。現にこの国でも・・・・!?」
話していで施設の外から爆発音が聞こえてくる。
「なんだ!?」
「向こうは戦闘用バイオロイドのラボよ!」
衣世がいち早く異変に反応する。爆発はどうやら別の研究棟で発生したらしい。
そこへ幽霊課局長のコンドウから連絡が入る。
『揃っているか諸君、仕事だ。実験施設から実験体が脱走した。至急確保に向かってくれ。』
「今まさに現場の隣の棟にいるところだ!」
『脱走したのは戦闘用バイオロイド[J11特異体]、現状最強の生物兵器だ。こちらからTDFから出向中の軍人を向かわせたが、事態は急を要する。キミたちも追跡に当ってくれ。』
「TDFから出向中の軍人・・・私以外にも居たのか?」
コンドウの説明の中で出てきた何気ない情報にヴィレッタが反応する。
「俺も聞かされていない・・・」
「てゆーか、私たち意外にメンバーが居たことすら初耳だもんね。」
魔魁と衣世にとっても寝耳に水だったようだ。
『魔魁、キミも知っている人物だ。』
「秘密主義もほどほどにしてほしいもんだが・・・まあいい、今はJ11を止めるのが先決だ、急ぐぞ!」
▽▽
「ウッキョォォォォ!」
3Mほどの巨大な怪物が街で暴れている。
「ソニックバスター」「ロケットハンマー」
魔傀と衣世が同時に飛び道具で牽制する。
「魔傀、援護するわ!」
ヴィレッタも微力ながら同時に2式改自動小銃[マグナショット]で攻撃する。
「飛び道具じゃ手ごたえが分かりにくい、俺が直接叩く。衣世とヴィレッタはそのまま援護を・・・!」
魔傀はそう言って相手の姿形やサイズ差に臆することなく近接戦闘を仕掛ける。
「トリプルアッパー!」
魔傀は燃える拳を三連続でJ11に撃ち込む。
J11は一瞬のけぞるが、すぐさま体勢を立て直す。
「危ない!?逃げて魔傀!」
衣世がJ11の様子に危機感を抱き魔傀に退避を促すと、J11の全身の表皮が一瞬で無数の針状に変化し、辺り一面を貫いた。
「・・・当たっていたらハチの巣だったな。」
衣世の声に反応して咄嗟に退いた魔傀そうぼやく。
「よく奴の変化に気づけたわね、衣世。」
「うん、変よね。・・・なんでだろ?」
衣世は自分でも不思議そうに首をかしげる。
「しかしこれではうかつには近づけん。J11特異体・・・長引きそうだな。」
魔傀がそう言って再びJ11に対し臨戦態勢を取る。
しかしそこへゴースト犯罪者や生物兵器のクリーチャーたちが現れた。
「ワッハッハッハッハ!J-11特異体はこの儂がもらい受けるぞ!」
ゴーストたちの中から長いひげを蓄えた男が現れる。
「ゴースト犯罪者!?こんな時に・・・!?」
ヴィレッタがゴーストの出現に反応する。
「奴は指名手配中のゴースト、生物兵器専門の武器商人、ネプチュ~ンだったか?」
魔魁がネプチュ~ンを見てそう認識する。
「ほう、この儂をしっておるか・・・電神魔傀よ。」
「こんなところに何の用だ三流商人が・・・。」
「・・・これを見ても三流呼ばわりできるかな?」
上空に歪な戦闘機[ケルバーン]が複数現れ、[ギガント]を投下していく。
「・・・あれがナガーのギガントか!?」
「全然生物兵器じゃないじゃない!?」
衣世がもっともなツッコミを入れる。
「フハハハハハ!どうだこの戦力!貴様らも養殖サバのエサにしてくれるわ!」
(なんでサバなのかしら?)
「ヴィレッタ、J11の捕獲は俺と衣世でやる。奴らの相手は頼めるか?」
「ええ、そろそろソーラーパネルによるエネルギーチャージも終わってる頃だわ。」
ヴィレッタはそう言って腕の端末を操作する。すると上空から巨大な影が飛来した。
▽
「ライフル、ダブルファイア!」
R-GUNがツインマグナライフルで一体のギガントを早々に撃破する。
「おのれ、あんなものを用意しているとは卑怯な・・・!」
ギガントがやられ、ネプチュ~ンが驚嘆する。
「どの口が言っているんだ?」
「私たちも遅れてられないよ、魔魁!」
「だが数が多いな・・・・。」
魔傀と衣世がゴーストたちをなぎ倒していく。
「ウッキョォォォォ!」
そんな中、一体のギガントがその巨大な爪でJ11を掴み上げる。
「しまった!?」
「いまフォローを・・・ちっ!?」
R-GUNがJ11の救出を試みるが、ケルバーンによる上空からの砲撃に邪魔される。
「ワっはっはっはっは、J11を手に入れたぞ!」
ネプチュ~ンが高笑いし、J11を掴んだギガントがそのまま逃げようとする。
「ダメーーー・・・!!」
衣世が叫ぶとギガントは突如動きを止め、沈黙する。
(ギガントが停まった!?衣世の声に反応したのか?)
ヴィレッタが目の前の現象に戸惑う。
「何だ!?一体どうしたというのだ!?」
ネプチュ〜ンも動揺し声を荒げる。するとそこへ一人の大柄な軍人が現れ、ギガントの上に飛び乗った。
「アースブレイカー!」
大男はその鉄の拳を叩きつけ、ギガントを粉砕した。
「ギガントを生身で破壊だと!?何者だ・・・!?」
ヴィレッタがそれを見て唖然とする。
「レイモンド・ノーマン大佐!?生きてらしたのですか!?」
魔傀が現れた軍人、レイモンド・ノーマンに尋ねる。
「フ・・・こんな体だがな。」
レイモンド・ノーマンは機械の半身を見せながら魔傀に答える。
「だがこの吾輩がこのような体になった以上、キミには悪いが[最強のサイボーグ]の肩書は私が貰うぞ、[電神魔魁]よ。・・・ラウンドナックル!」
レイモンドは自分こそが[最強のサイボーグ]だと言わんばかりにギガントを殴り飛ばす。
「別に俺が名乗ってるわけじゃありませんが・・・バーニングソバット!」
魔魁もそう言って負けじとギガントを蹴り飛ばした。
「結局自分でぶっ飛ばしてるじゃない・・・。」
R-GUNのコックピットで魔魁とレイモンドの戦闘を見ながらヴィレッタがつぶやいた。
▽
「化け物どもめ、だがケルバーンの空からの攻撃には対応できまい!」
ネプチュ~ンが叫ぶとケルバーンからR-GUNに向けて砲撃が浴びせられる。
「航空戦力とは厄介な相手だが・・・レーザーブレード、アクティブ!」
R-GUNはバルカンで牽制しながら飛び上がり、ケルバーンを斬り裂いた。
しかしそこへ別のケルバーンから砲撃が浴びせられる。
「くっ!?数が・・・せめてもう一機フォローがあれば・・・。」
基本性能で上回っているとは言え、空に対する地形適応の低いR-GUNではケルバーンの群れに対し苦戦を強いられている。
「アレが例のR-GUNか・・・苦戦しているな。」
「どうやら相性が悪いようです。とは言え流石に上空の敵はR-GUNに任せるしかありませんが・・・」
「そうでもない、私のほかにも助っ人を用意している。」
レイモンドがそう口にすると15Mほどの巨大な人影が走って近づいてくる。
「オマタセシマシター」
「あれは・・・[ACー03ベルヴァ]。調整が終わったのか?」
「二―スラッシャー」
現れた青い巨人はケルバーンに向けて急上昇し、その勢いのまま飛び膝蹴りを食らわせた。
「これは・・・人型起動兵器だと!?」
突然現れた人型ロボットにヴィレッタが戸惑う。
「ヴィレッタ、そいつは味方だ!連携してケルバーンに当ってくれ!」
魔傀がヴィレッタに声を掛ける。
「[ACー03ベルヴァ]ト申シ上ゲマス。ト言ウ訳デヴィレッタ少尉、一緒ニ頑張リマショウ・・・トハ言エ、ワタシモR-GUNト同ジク陸戦用デスノデ、過度ニ期待サレテモ困リマスガネ」
「一機増えるだけで助かる。フォローを頼む・・・!」
R-GUNとベルヴァは協力してケルバーンの掃討に当った。
▽▽
「逃げられたようだな?」
魔傀とレイモンドがゴーストやギガントがあらかた片付けたが、気づけばネプチュ~ンの姿が無かった。
「残るはコイツか・・・」
魔魁がそう言ってJ11を見る。
J11も今は衣世に護衛され、大人しくしている。
「へんね、コイツ・・・・初めて会った気がしないわ」
衣世がJ11に対してそんな感想を抱く。J11の方も衣世が近くにいることで状態が安定しているように見える。
『ご苦労だったな諸君。そのバイオロイドは殺さんでくれ。軍の実験体で、うちで預かることになっていたものだ。』
そこにコンドウから通信が入る。
「幽霊課で・・・?」
「ねえ、だったらこの子に名前を付けていい?」
衣世がコンドウにそう進言する
『かまわんが、なぜ?』
「私ね、妹が欲しかったの」
『メス!?・・・なのか』
コンドウがそう驚く。
「そうよ。おい、お前、今日からお前の名前はゼル=ディアだよ。この名前はね・・・・(私の妹の)・・・」
「アリガトウ、イヨ」
「あら、あんたって喋れたのね?」
衣世は嬉しそうにゼル=ディアの背に飛び乗った。
「終わったみたいね?」
ヴィレッタもR-GUNから降り、魔傀たちに合流する。
「ヴィレッタ少尉だな?吾輩はレイモンド・ノーマン大佐である。以後よろしく頼むぞ。」
レイモンドはそう言って生身の方の左手で握手を求め、ヴィレッタもそれに答える。
「こちらこそ、よろしくお願いします。あの・・・TDFでの私の扱いはどうなってるのでしょうか?」
ヴィレッタがかねてより抱いていた疑問をレイモンドに投げかける。
「妙な質問だな?吾輩と同じく制御体連合国家に出向中という事になっているが・・・。他にもワシントン支部から科学者が一人、こちらに来ているらしいぞ。」
「ワシントン支部の科学者ですか・・・?」
「ああ、名前は確か・・・」
レイモンドは思い出しながら一拍置いて答える。
「ノーヴル・ディランだ・・・。」
【キャラクター出典紹介】
ゼル=ディア [電神魔傀(AC) ゴーストチェイサー電精(SFC)]
ベルヴァ [電神魔傀(AC) ゴーストチェイサー電精(SFC)]
レイモンド・ノーマン [幻影闘技(PS) クリティカル・ブロウ(PS)]
【ちょっと語らせて】
ベルヴァは本来人間サイズの戦闘ロボットですが、例のごとく勝手に大きいロボットに設定変更しました。散々迷ったのですけど人間サイズのキャラクターは足りてるので。
レイモンド・ノーマンのゲーム内での設定は「某国の軍人で特殊工作員」というものです。シンプルにTDFの軍人として登場させました。