スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
エントランスに多数の警察官が横たわっている。
黒い怪人、ヴォルハザードは倒れた警察官の一人を踏みつける。
「ぐわあああ!?」
警察官はうめき声をあげる。
「止めろ!貴様の相手は吾輩だろう!?」
倒れていた一人の男が立ち上がり、ヴォルハザードに食って掛かる。
「なんだ・・・まだ生きてたのか、大佐さんよ?」
レイモンド・ノーマンはそのボロボロの身体で右腕を構える。
「うおおお!ブーステッドナックル!!」
レイモンドはヴォルハザードに突進しながらその機械の右腕でフルパワーの右ストレートを繰り出す。
「馬鹿の一つ覚え、それじゃ勝てねえってのがわからねえようだな・・・ヴォルリッパー!」
巨大化したヴォルハザードの腕がレイモンドの右腕を砕き、そのままレイモンドを殴り飛ばした。
「ぬおおお!?」
ヴォルハザードが倒れたレイモンドに近づく。レイモンドは残った左手でヴォルハザードの足首を掴む。
「ほう、半分生身のくせにしぶてえじゃねえな。」
「・・・吾輩は、まだ負けん・・・!」
「もう負けてんだよ、ザ~コ。」
ヴォルハザードは両腕を巨大化させ、倒れているレイモンドを連続で殴り続ける。
「タツヤ、アテファリナから命令よ、撤収しましょう。」
簑島カオリがヴォルハザードに撤退命令を伝える。
「あ?なんだよこれからって時に・・・よっ!」
ヴォルハザードはそう言って倒れたレイモンドをさらに蹴り上げる。
「へへへ、命拾いしたなぁ、大佐さんよ。」
藤堂タツヤと簑島カオリはそう言って立ち去って行った。
▽▽▽
「アチャ~、ヤラレチャイマシタ~。トホホ~」
上半身だけになったベルヴァが嘆く。
「ベルヴァ、大丈夫なの!?」
「ミテワカルトオリ、ゼンゼンダイジョブデハアリマセン~」
慌てるヴィレッタに対し、身動きが取れないベルヴァはそんな風に答える。
「・・・とりあえず平気みたいね。」
ヴィレッタはベルヴァをよそにエージェントと対峙する。
「理解不能・・・単独で私とやり合えると思っているのか・・・?」
エージェントは正面からR-GUNに斬りかかり、ヴィレッタはそれを避けながらツインマグナライフルで反撃する。
しかしその砲撃はエージェントの盾に阻まれる。
「ハイストレーネ・・・!」
怪物の顔のようなエージェントの盾から高出力のエネルギー砲が発射される。
「・・・当たりはしない!!」
ヴィレッタはエネルギー砲を避けるも、そのポテンシャルの差に四苦八苦する。
「こうなったら・・・トロニウムエンジン、ハーフドライブ!」
普段20~30%に抑えているトロニウムエンジンの出力を50%まで上げ、レーザーブレードを展開する。
「レーザーブレード・・・R-GUN、ブルーフラッシュ!」
R-GUNはトロニウムのエネルギーを纏ったレーザーブレードを横一文字に振るう。
エージェントはその斬撃を正面から受け止めるが、自分の半分以下のサイズしかないR-GUNのパワーに押し切られる。
「トロニウムを利用した兵器・・・愚かな・・・」
「トロニウムを知っているのか!?」
「宇宙を破壊する力・・・古来よりこの宇宙においてはトロニウムをより多く所持した者が勝利を約束される・・・だがその威力は己をも滅ぼすことになる・・・」
コックピット内に警告音が流れる。
「っ!?もう限界が・・・!?」
「どうやら限界のようだな・・・そろそろ終わりにしよう・・・」
エージェントがそう言うと上空のストーンサークルが赤く光り、辺りには再びアインスト群が現れる。
「増援!?・・・これ以上は・・・!?」
R-GUNが活動限界を迎え停止し、アインストに囲まれる。
突如光の槍が多数飛来し、縦横無尽に駆け巡りアインストを次々と貫いていく。
「いったい何が・・・?」
「これは・・・まさか・・・」
突然の出来事にヴィレッタが戸惑い、エージェントが警戒を示す。
上空を見上げると70M級の薄緑色の巨人が浮遊している。アインストを砕いた槍が上空に飛翔し、巨人の翼を形成するように集まっていく。
「あれは・・・特機なのか?」
「現れたか・・・」
エージェントが上昇し、巨人と対峙する。
「さあ、示しなさいアヴァターラ、私の可能性を!」
現れた巨人、アヴァターラのコックピットの中で金髪の少女がそうつぶやく。
「懲りぬ奴よ・・・如何に心理に触れようとプログラムを書き換えることは出来ぬ・・・エルンストノイギーア・・・」
エージェントは身体の各所にある仮面からエネルギー弾を放ちアヴァターラを攻撃する。
「ニューメラス・ビロウ!」
アヴァターラの翼が再びパージされ、機体の正面で盾となり弾丸を防ぐ。
「アーカーシャの記録を管理するSYSTEM、生命の可能性を否定する者よ・・・。」
その後ニューメラス・ビロウはアヴァターラの肩にドッキングし、砲身のような形態となる。
「その命、神に返しなさい・・・リインカーネーション!」
アヴァターラは両肩から高出力のエネルギー砲を発射し、エージェントを直撃する。
「私を倒しても無駄だ・・・SYSTEMが存在する限り私は何度でも蘇る・・・」
直撃を受けたエージェントはそう言い残して光の中で消えていった。
「さて、後は・・・」
ニューメラス・ビロウが再び飛翔する槍となってストーンサークルを破壊していく。
「味方なのか?あの機体は一体・・・?」
アヴァターラはヴィレッタに接触する事なくその姿を消した。
▽▽▽
「こっぴどくやられたものね・・・。」
医務室でサイボーグ用の調整ベッドで横たわっている魔傀とレイモンドを見てヴィレッタがそうつぶやく。
それ以外の普通のベッドにも負傷した警察官で埋まっている。
「それじゃ外すわよ・・・?」
「ああ、やってくれ・・・。」
ヴィレッタは肩だけが残った魔傀の両腕をパージし、新品と付け替えていく。
(人間サイズだけどDGGに近い構造、魔傀の身体もおよそこの時代のテクノロジーではないわね。)
ヴィレッタはソニックバスターが組み込まれた人工筋肉の腕を取りつけながらそんな考えをめぐらす。
「ん・・・これでいいはずだけど・・・魔傀、神経を通してみて・・・。」
「ああ・・・。」
魔傀は腕を回した後、手のひらでグーとパーを繰り返し動作確認をしていく。
「問題なさそうだ。手間をかけさせて悪かったな、ヴィレッタ。」
「今後はもっと慎重に戦った方が良いわね。貴方のパーツはもう在庫が無いみたいだから・・・。」
魔傀はそれに対し「肝に銘じるよ」と答え、ヴィレッタは更に「肝臓残ってるの?」と返した。
「レイモンド大佐の方はどうかしら?」
ヴィレッタはレイモンドの手当てに当っている医療スタッフに尋ねる。
「重症ですが・・・それ以前にこの腕が重たくて治療に移れません。」
スタッフはレイモンドの身体の向きを変えようとしても機械の右腕のせいでそれが出来きず、悪戦苦闘している。
「そうでなくとも全身義体の魔傀刑事とは違い、生身の部分が残ってるせいで医療と機械工学の両方の専門的な技術が必要になってきますから・・・。」
サイボーグと言ってもレイモンドの場合は欠損した肉体を機械で補っているため、その構造は全身義体の魔傀と比べて扱いが難しい。
「そう・・・けれど出来ることはしましょう。・・・まずはこのごつい腕を外したいけど・・・魔傀、ちょっと支えてて・・・。」
「・・・こうか?」
魔傀が腕の形をした巨大な鉄の塊を持ち上げ、ヴィレッタが肩の連結部分をアンクランプしようとするが、うまく外れない。
「・・・ダメね、フレームが完全に歪んでるわ。」
「とりあえず今は無理やり引っこ抜くか?」
「却下。」
「どうせ後で全部新しくするしかないんだろ?」
「あなたとは違って胸部パーツが生身の身体と連結されてるのよ?無理やり引っこ抜いて内臓に影響が出ないとも限らないでしょう?」
とは言えレイモンドを治療する上でこの巨大な腕は邪魔でしかない。
「肩のパーツを少しずつ分解していきましょう。時間はかかるけどそれが一番確実だわ。」
ヴィレッタはそう言って工具箱を取り出し、レイモンドの腕を分解していく。
「・・・これで外れたはず。魔傀、ゆっくり引き抜いてもらえるかしら?」
魔傀は言われるがままに支えていたレイモンドの腕をスライドさせ、その胴体から外した。
「ありがとうございます!これで残りの傷の治療に移れます!」
担当していた医療スタッフがヴィレッタと魔傀に礼を述べる。
「後はお願いね。・・・さてと」
ヴィレッタが立ち上がり身体を伸ばす。
「本官もヴィレッタ少尉に治してもらいたいであります!」
横たわる警察官の一人がそんな事を言う。
「悪いわね、人間の治療は専門外なの・・・。」
ヴィレッタはそう言って警察官の要望をスルーする。警察官は「そんなぁ・・・」と嘆きながら悲しい表情を見せる。
「私はR-GUNを見てくるわ。工場にはベルヴァの修理をしているディラン博士が居るはずだけど、あなたはどうする?」
ヴィレッタが魔傀に尋ねる。
「俺は研究棟とエントランスの様子を見てくる。現場百辺って奴だ。」
ヴィレッタは「・・・まるで刑事みたいね。」とつぶやき、魔傀はそれに対し「刑事だよ」答えた。