スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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5話 伊豆基地

 

「ベルヴァ、調子はどうかしら?」

 

「ヨクハアリマセンネ~」

 

整備工場を訪れたヴィレッタが専用のキャリアに横たわるベルヴァに声を掛けると、当然の答えが返ってくる。

 

「身体が真っ二つであることを除けばほとんどダメージはないわ。」

 

そばで修理作業の指示を出していた金髪の少女、ノーブル・ディランがヴィレッタに話しかける。

 

「身体が真っ二つである時点で致命的なダメージだと思うけど・・・?」

 

ノーブル・ディランの言い回しにヴィレッタがツッコむ。

 

「断面を見てちょうだい・・・。」

 

ヴィレッタがベルヴァの腹部の切断面を覗き込む。

 

「ソンナトコロヲミラレチャハズカシ~」

 

「これは・・・切断面にダメージが一切ない?」

 

その断面はまるで研磨されたようにスベスベの状態だった。

 

「実体剣はもちろん、ビームによる刃だってこんな風には切断できない。物理的には1ミリも減ってないのよ。超極薄の刃による切断・・・いえ、切断ではなく分断と言った方がしっくりくるわ・・・。」

 

「超極薄の刃・・・。」

 

それを聞いたヴィレッタはグルンガスト二式の計都瞬獄剣を思い浮かべる。

 

「SYSTEMのエージェント、やはり一筋縄ではいかない相手だったようね・・・アレでおわったとは思えないけど・・・。そしてそのエージェントをあっさりと撃退した謎の特殊人型起動兵器、いったい何者なのかしら?」

 

ヴィレッタは誰となく疑問を口にする。

 

「さあ・・・?例の起動兵器に関しては他に目撃例も無いし、記録されているとはいえ実際に見たのはあなたとベルヴァだけ・・・情報が無さすぎるわ。あなたの話によれば今のところ敵ではなさそうだけれどね。」

 

ノーブル・ディランはそう言って濁す。

 

『ディラン博士、ベルヴァの修理状況は?』

 

近くのモニターにコンドウが映し出される。

 

「修理自体は簡単だけど、パーツの手配には少し時間がかかるわ。ガイアセイバーズとの合流は見送りね。」

 

『そうか・・・ならばヴィレッタ少尉、キミは魔傀と共に極東支部のガイアセイバーズに合流してくれ。』

 

「・・・私は構わないけれど、制御体連合国家がこの有様なのに魔傀まで一緒に来て平気なのかしら?」

 

そう答えつつも、コンドウに対する不信感が顔に出る。

 

『ああ、SYSTEMやナガーが制御体連合国家に現れた理由は不明だが、しばらくは仕掛けてこないだろう。』

 

コンドウはヴィレッタの様子を意にも介さず話を進める。

 

「ナガーはともかく、SYSTEMの出現は侵攻ではなく現象、一時的な撃退は意味をなさないわ。末端の怪物をいくら倒しても意味はなく、あの指揮官クラスのエージェントですらSYSTEMがある限り復活すると言っていた。この国の何が奴らを引き寄せているのかは分からないけれど、今ここの戦力を減らすのが得策とは思えないわね。」

 

ノーブル・ディランが端末を操作しながら訳知り顔でありながら要所をとぼけて口をはさむ。

 

『だからこそだ・・・。現状、制御体連合国家の戦力だけでSYSTEMに対抗するのは限界がある。TDFとの連携、ガイアセイバーズは名実ともに必要不可欠となる。』

 

「了解したわ。けれどR-GUNで日本の本土を移動するのは目立ちすぎるわね。ガイアセイバーズのメインベースであるTDF極東支部は富士山にあるのでしょう?」

 

ヴィレッタはR-GUN単独での移動に難色を示す。

 

『いや、ガイアセイバーズは現在建造中の人工島に新しい拠点を構えている。』

 

「新しい拠点?」

 

『ああ、その名もTDF極東支部、伊豆基地だ。』

 

 

▽▽▽▽▽

 

 

「見えてきた、アレか・・・随分と大規模な施設だな?」

 

魔傀がR-GUNの手の上から建造中の人工島を目視で確認する。

 

「ええ、アレが今の伊豆基地ね・・・。」

 

地球連邦軍極東方面軍伊豆基地、鋼龍戦隊のメインベースであり、後の世ではスペースノア級万能母艦をを建造できるほどの大規模な基地となる。

そしてヴィレッタにとっても使い慣れた拠点の一つと言える。

 

R-GUNが単身、伊豆基地に着陸するとラミア・ラブレスがヴィレッタを出迎える。隣には見覚えのない黒ずくめの女の姿もある。その女の顔を見て魔傀がげんなりした様子で頭を掻く。

 

「ヴィレッタ大尉、よくぞご無事で・・・。」

 

「久しぶりねラミア、再会できてうれしいわ。けれど大尉はよしてちょうだい、今の私は少尉よ。」

 

ヴィレッタはコックピットを降り、ラミアと再会の挨拶をかわす。

 

「ではヴィレッタ姉さまとお呼びしましょう。」

 

「・・・あったわね、そんな設定。エクセレンありきだけど・・・今はそれも悪くないわね。」

 

ヴィレッタが鋼龍戦隊ATXチーム所属エクセレン・ブロウニングと初対面した際、エクセレンからお姉さまと呼ばれる。そしてラミアがATXチームに所属していた時にはエクセレンから自分の事を姉さまと呼ぶように指示された。それによりヴィレッタはラミアにとっても間接的にお姉さまとなった。

 

「ズドゥラストヴィーチェ、魔傀!」

 

黒ずくめの女が魔傀に後ろから抱き着く。

 

「離れろ、ミラ。」

 

「相変わらず素直じゃないわね、嬉しい癖に。」

 

「仲間かしら?」

 

二人の様子を見てヴィレッタが尋ねる。

 

「話は聞いてるわ、あなたがヴィレッタ・バディムよね?、制御体連合国家情報部のミラ・ロマノアよ、オーチヌプリヤートナ。」

 

ミラは自己紹介しながらヴィレッタの手を取り握手を交わす。

 

「情報部・・・。」

 

ヴィレッタはミラの黒づくめの服装と紫の髪を見て知り合いを思い浮かべる。

 

(情報部色ね・・・)

 

「ラミア、とりあえず司令部に案内してもらえるかしら?」

 

「少々お待ちくださいまし、ヴィレッタ姉さま。そろそろもう一組合流する予定でして・・・丁度到着したようです。」

 

ラミアがそう言うと、そこへ一台のヘリが降下してくる。

ヘリの扉が開くとそこからアームズを身につけた金髪の女性、環境保護団体ピースキーパーのドミヌラが現れる。

 

「皆さま既におそろいのようですね、遅くなり申し訳ございません。」

 

ドミヌラが謝罪と共に挨拶を述べるとミラが「時間通りよ」と返す。

 

「彼女は?」

 

「環境保護団体ピースキーパーの工作員、ドミヌラ。共に戦う仲間だったりしちゃいますです。今回ガイアセイバーズに招集されたのは彼女ではなく、同じピースキーパーに所属する科学者でして、彼女はその護衛をするために一旦我々と別行動を取っていたのです。」

 

ドミヌラの後から一人の若い男がヘリを降りてくる。

 

「お前は!!?」

 

ヴィレッタが男の顔を見て驚嘆する。現れた男は髪の色こそ銀髪だが、その顔は紛れもなくイングラム・プリスケンだった。

 

 

 

 

「諸君、よく集まってくれた。TDF極東支部、およびこのガイアセイバーズ総司令官のシュワルツ・V・ブランシュタインだ。」

 

指令室の壇上でシュワルツ指令が集まった部下たちに挨拶する。

 

シュワルツの正面には新しく合流したヴィレッタ、魔傀、そしてイングラム・プリスケンと同じ顔を持つ銀髪の男が並んでいる。

 

(一体どうなっているんだ・・・)

 

ヴィレッタは男に対し、最大限の警戒と疑問を抱く。

シュワルツの左手には数名の兵士が並んでいる。兵士たちは未来の連邦軍で支給されているような制服ではなく、いわゆる軍人らしい迷彩柄の軍服を身につけている。

その中にはヴィレッタの部下であり、シュワルツにとっては子孫にあたるライディ―ス・F・ブランシュタインの姿もあった。

 

(ブランシュタイン家・・・遺伝子が強いのね。)

 

ヴィレッタはシュワルツと久しぶりに見るライディ―スの顔を見比べてそんな感想を抱く。

シュワルツの右手には車いすの老女を中心におよそ軍人らしくないメンバーが並び、その中にラミアや先刻のミラとドミヌラ、更にその隣には上海で出会ったカイ・シュリスの姿も確認できる。

 

(こっちのメンバーが話に聞く[同盟]ね・・・。)

 

心なしか魔傀の注意はカイ・シュリスに向いているようにも見える。

 

「まずは我々と同じくTDF所属のヴィレッタ・バディム少尉、制御体連合国家特殊警察機構幽霊課の魔魁元聖捜査官・・・。」

 

シュワルツが自分の正面に立つヴィレッタと魔傀を順番に他のメンバーに紹介するように呼ぶ。呼ばれた二人もそれに合わせて敬礼する。

 

「そして最後に環境保護団体ピースキーパーからTDF科学班に出向することになった、ユーゼス・ゴッツォ博士だ。」

 

ユーゼス・ゴッツォ、シュワルツはヴィレッタの隣に立つ銀髪の男をそう紹介する。

 

(イングラムの顔を持つユーゼス・ゴッツォ・・・偶然同じ名前とは思えないが・・・。)

 

ヴィレッタとライはユーゼス・ゴッツォを名乗る男を訝し気に見る

 

「では今後の方針を参謀次官の方から説明しよう。フジワラ作戦参謀次官、頼む。」

 

呼ばれてライが入れ替わるように壇上に立つ。

 

(作戦参謀次官!!?)

 

ヴィレッタは同じチームの部下だった男が自分の知らない間に出世している事に驚く。

 

(ライが作戦参謀次官に・・・私は少尉に降格されたのに・・・。)

 

「今ここにはにはTDF、制御体連合国家、ピースキーパー、グリムズ商会にフィリップスコンツェルンの代表者が集まっているが、我々はそのいずれかの組織に加担することは無く、その目的はあくまでもこの地球に起きている異変の調査や、人類を脅かす存在の撃退が主になっている。」

 

「異変というと?」

 

ライの言葉にヴィレッタが反応する。

 

「不自然な異常気象や火山の噴火、何もなかったところに突然島が現れると言った超常現象が起きているようです。」

 

「・・・・?」

 

ライが思わず普段通りの話し方でヴィレッタに返答すると、周囲の隊員たちはやや不思議そうな顔を見せる。

ライはかるく咳ばらいをし、説明を続ける。

 

「まずはこの地球圏を脅かす存在を整理していく。ゴーストや武装船団国家ナガーと言った比較的わかりやすい犯罪者集団。逢魔やハンドガンナーズのような正体不明の組織。そしてダイダル帝国やSYSTEMと言った人知を超えた謎の敵生体が確認されている。」

 

モニターにはゴーストやナガーの構成員、ダイダル帝国とその協力者、そしてヴィレッタが接触したエージェントなどの映像資料が映し出される。

 

「まずはゴースト、本来は犯罪者そのものを指す言葉だが、最近ある男をトップとしたテロ集団であることが判明した。ミラ少佐、説明を・・・。」

 

ライに促され、制御体連合国家情報部のミラ・ロマノアが壇上に上がる。

 

「男の名はギルリアン・エルダイン。表向きは東亜錬金技研社長、ロバート・ゴードンよ。その協力者には生物兵器のブローカーであるネプチュ~ンや、攻牙忍軍と呼ばれる独自の特殊工作員の存在も確認されているわ。」

 

ミラの説明と共に、モニターにはギルリアン・エルダインの顔写真が表示される。

 

「ギルリアン・エルダイン・・・。」

 

それを見た魔傀の眼の色が変わる。

 

(ロバート・ゴードン・・・いや、ギルリアン・エルダイン。奴が魔傀が追っていた男・・・)

 

ヴィレッタも初めてこの時代で目を覚ました時の事を思い出す。

 

「そしてそのゴーストに協力している犯罪組織、武装船団国家ナガーについてだが、信じたくない事実が発覚した。サワ隊長、お願いします。」

 

UCMA特殊部隊班のサワケンジ隊長にマイクを渡す。

 

「黒騎士ルシファード、そして幽霊課からの映像記録から闘姫アテファリナこの二名の顔が15年前に宇宙で行方不明となった迫水タクマとその姉である迫水リョウコに酷似していることが分かった。」

 

モニターには仮面の割れた黒騎士ルシファードと迫水タクマ、制御体連合国家に現れた闘姫アテファリナと迫水リョウコの映像が並べて表示されている。

 

「迫水タクマ、迫水リョウコは15年前にナンバーテンの調査に向かった宇宙要塞艦NAGARの乗組員だったが、NAGAREと共に行方不明となっていた。NAGARには他に当時のSIDOの長官だった迫水キイチ、タクマとリョウコの兄にあたる迫水リョウマが搭乗していた。」

 

続けて迫水キイチとリョウマの顔写真も表示される。

 

「まるで家族旅行ね・・・。」

 

ヴィレッタが皮肉めいた感想を口にする。

 

「TDFに統合される前の宇宙調査防衛機構、SIDOは連邦政府内でも相当な権限を持っていた。NAGARのメイン操縦士は俺が担当するはずだったが、迫水キイチのツルの一声で急遽、当時TDF空軍パイロットだったタクマが抜擢された。ここから推測されるのは武装船団国家ナガーの正体とは、行方不明となった宇宙要塞艦NAGARとその乗組員である可能性が高い。」

 

サワ隊長はそう結論を口にする。

 

「・・・年齢が合わない。」

 

実際に闘姫アテファリナと対峙した魔傀ががそうつぶやく。闘姫アテファリナと迫水リョウコの顔は明らかに同一人物だったが、あまりにも同一過ぎた。そしてそれは迫水タクマも同様だった。

 

「確かに、15年経過したとは思えないわね。」

 

ヴィレッタが魔傀の言葉に同調するが、似た事例を知っている。自らが首領として担ぎ上げていたレビ・トーラー・・・マイ・コバヤシの例を思い出す。

 

(15年前に消息を絶った宇宙要塞艦NAGAR。何者かによって鹵獲されたとしたら・・・だとすると現状、彼らの行動は自らの意志ではない可能性も出てくるわね。)

 

ヴィレッタが今の状況と自分の経験や知識と照らし合わせると、まとまらない推測が次々と湧いてくる。

 

「不明瞭な点は多いが、ゴーストとナガーが敵対組織としては分りやすい存在なのは確かだ。我々ガイアセイバーズは今後、ゴースト及び東亜錬金技研に対しては攻勢に出る。」

 

「ダイダル帝国やSYSTEMに比べて対処のしやすい組織から叩こうというわけか・・・合理的だな。」

 

ライが提示したプランに魔傀が納得する。ギルリアン・エルダインの首を狙う彼にとっては願っても無い方向性である。

 

「ヴィレッタ少尉と魔傀捜査官には実働部隊として、ユーゼス博士にはTDF科学班としてガイアセイバーズのバックアップと、自身の研究である大気浄化弾の開発に勤めてもらう。」

 

ライがヴィレッタ達の役割をまとめ、再びシュワルツに変わる。

 

「先ほどフジワラ参謀次官が述べた通り、このガイアセイバーズはTDFの一部隊ではあるが、決して地球連邦政府のための軍隊ではなく、参加しているいずれかの組織に組するものでもない。この地球の明日を守る英雄たちによるチームだ、諸君の働きに期待する。」

 

シュワルツが再び壇上に戻り、メンバーを鼓舞する。そして拳を振り上げ叫ぶ。

 

「セイセイセイバーヒーローファイト!」

 

(!!?)

 

シュワルツが発した謎の掛け声にヴィレッタは困惑する。

 

「セイセイセイバーヒーローファイト!」「セイセイセイバーヒーローファイト!」「セイセイセイバーヒーローファイト!」

 

(!!!?)

 

シュワルツの掛け声に反応し隊員たちも同じ掛け声を繰り返した。

 

「・・・何だこれは?」

 





【ちょっと語らせて】

「セイ、セイ、セイバー、ヒーローファイト!」スーパーヒーロー作戦のテーマソング[スーパーヒーロー作戦]の歌いだしです。ガイアセイバーズの掛け声にしちゃおうと思って使ってみました。

ヒーロー作戦未プレイの方の為にザックリ説明しますと、ユーゼスは最初はアルテウル・シュタインベックの顔で登場するのですが、ザラブ星人に命を助けられると同時に顔を失いイケメンに整形されます。
主人公であるイングラムorヴィレッタはその整形されたユーゼスがデビルガンダムの生体ユニットとするべく生み出した自分のコピー人間になります。
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