スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
「ユーゼス博士!」
ミーティングの後ヴィレッタはユーゼス・ゴッツォに声を掛ける。
「キミは確か・・・ヴィレッタ・バディム少尉だったな?私に何か用か?」
(・・・・私の・・・バルシェムの存在を知らない?とぼけているのか?)
「いえ・・・博士はどういう経緯でピースキーパーに?」
「随分と不躾ですね、貴方になんの関係が有るというのです?」
ユーゼスの隣に立つドミヌラが間に立ち、ヴィレッタを遮る。
「そう邪険にするな。」
そこへ魔傀も割って入る。
「ドミヌラだったな?お前はこの二人の顔を見て何も思わないのか?」
「・・・似ている、とは思いますが。それが何か?」
このユーゼスはイングラム・プリスケンと同じ顔をしている。それは当然、性別は違えどヴィレッタとも酷似しているという事を意味する。
「ヴィレッタは記憶喪失なんだ。それが突然自分に似た顔立ちの人間が現れれば気になるのは当然だろう?」
(そうだった・・・そう言えば私は記憶喪失と言う設定だった。)
ヴィレッタは魔傀のフォローで自分のウソを思い出す。
「博士がそれに付き合う理由はありません。」
「ドミヌラ、少しさがっていろ。」
ユーゼスがドミヌラに告げる。
「ヴィレッタ少尉、妙な偶然だが私にも過去の記憶が無い。ひょっとするとお前と私には何か関係が有るのかもしれないが、今の私にはどうでもいい事だ。」
ユーゼスは一拍置いて最初の問いに答える。
「私がピースキーパーに入ったのは、人類の手から地球を救うためだ。」
▽▽
「大尉、どうでしたか?あのユーゼス・ゴッツォは・・・?」
ライが車を運転しながらヴィレッタに尋ねる。
「現時点で報告できるような会話は出来ませんでした。・・・というかこの場合、私かラミアが運転するべきよね、作戦参謀次官殿?」
「止めてください・・・」
ライはヴィレッタの軽口に若干嫌そうな顔を見せる。
そして何故かラミアはあたりまえのように後部座席に座っている。
「私は人造人間ですんで運転免許を取ったことが無いのです。」
(起動兵器のパイロットが言う事かしら?)
「それにしてもよくこの短期間でその地位まで上り詰めたものね・・・?」
「ライ少尉はコウタやこの時代の民間人で構成されているUCMA別働班を指揮し、ゴーストやダイダル兵、一般の犯罪者まで次々と撃退していたと聞いています。そしてシュワルツ指令がそれを惜しみなく評価した・・・。」
後部座席からラミアがそう説明する。
「自分はコウタたちに作戦を伝えていただけです。けれど今後、自分は参謀本部に詰めることになる。大尉には自分の代わりに彼らの指揮を執ってもらう事になります・・・。」
ライがヴィレッタに意外と難しい注文を付ける。コウタはともかく、あくまでも協力者であって部下ではない人物に軍の指揮下で動いてもらうにはそれなりの信頼関係が必要になってくる。
「コウタ以外のメンバーは?」
「基本的にはEATERの試験体である叶エイジと日向ランと行動を共にしています。後は別働班に所属しているわけではありませんが、協力してくれる格闘家や探偵が数名います。」
(・・・格闘家に探偵、心当たりがあるけど。)
ヴィレッタは以前の事件で遭遇した岩瀬圭や一宮ちあき、天斉小五郎を思い出す。
「ゴースト犯罪の発生率から見ても、恐らくは東京のどこかにゴーストのアジトがあるはずです。」
ライは自分のこれまでの経験からそう結論付ける。
「ですが我々はこの時代の犯罪にだけ対処しているわけにはいきません。元の時代に戻るための方法を見つけなくては・・・。」
後ろからラミアが進言する。
「そのためにはシステムXNのような転移装置が必要になります。」
「ギリアムやラージが居るならともかく、私たちだけでそれを準備するのは現実的ではないわね。」
ラミアのいた平行世界ではヘリオス・オリンパスこと、ギリアム・イェーガーが修復していたオリジナルの転移装置[アギュイエウス]とは別に、そのコピー品である[リュケイオス]や、デュミナスとのリンクによって転移現象を引き起こした[時流エンジン]と言った人の手によって作られた転移装置が存在していたが、素人だけで用意するのは不可能である。
「今のところ、私たちが接触できそうな転移装置はダイダルゲートの他には南極のクロスゲートくらいだけど・・・・」
封印戦争の折、南極の遺跡で発見されたクロスゲート、リ・テクノロジストのジョシュア・ラドクリフによれば封印戦争以前には発見されていなかったらしく、接触できる可能性は低い。
「その事ですが、コウタが紹介したい人物がいるらしいです。」
「この時代で紹介したい人物?」
「コウタが言うには転移現象や平行世界といった概念に精通している専門家らしいです。なんでも、エンドレスフロンティアで共に戦った仲間らしいのですが・・・そろそろ着きます。」
ライがとある喫茶店に車を止める。看板には大きく『チェスト』と書かれていた。
▽
「へいらっしゃい!・・・って、あれ?」
ライに案内され訪れた喫茶店の店内で、若い店員がヴィレッタ達を出迎える。元の時代の仲間の一人コウタ・アズマだ。
「コウタくん、その挨拶は止めてよ、八百屋じゃないんだからさ。」
店のマスターらしき老人がコウタの接客態度に苦言を呈する。
「へいへい・・・えっと、三名様でよろしいですか?」
学ランを脱ぎ、エプロンをしたコウタが棒読みでヴィレッタに尋ねる。
ヴィレッタ達は奥の席に案内されコーヒーを注文する。
「それであなたは何でこの喫茶店で働いているのかしら?」
「いいだろ別に、世話になってんだから店の手伝いくらいするさ。出動時以外は他にやることも無いしな。」
コウタは少し照れるように答える。
「彼はお客さんの評判は良いんだよ。」
マスターがコーヒーを落としながら答える。
「短気で不器用で口調はちょっとあれだけど、意外とまじめだし気配りもできる。女性や高齢のお客さんに人気なんだよ。若い男性客とはたまに揉めるけどね・・・。」
話していると店の扉が開く。
「ちわ~、三河屋で~っす!」
「紛らわしい登場の仕方をするな小牟。本当に三河屋さんかと思うだろう。」
入ってきたのはお揃いの赤いジャケットを着た男女、有栖零児と小牟だった。それを見たコウタは「よっ!」と軽く挨拶を交わす。
「コウタ、彼らが例の?」
ライがコウタに尋ねる。
「ああ、俺やアクセルさんがエンドレスフロンティアで出会った零児さんと小牟だ。」
コウタがそう紹介する。
「有栖零児、特務機関[森羅]のエージェントだ。」
「同じく小牟じゃ・・・ってコウタよ、なんで零児はさん付けでわしは呼び捨てなんじゃ!?」
小牟を名乗る少女が自分の扱いに物申す。
「・・・なんとなく。」
「もっと年長者を敬え!」
(年長者?)
「はいはい、わかったよ、小牟婆ちゃん。」
「誰が婆ちゃんじゃ!?」
「どうしろってんだよ・・・?」
(仲が良さそうね・・・。)
ヴィレッタは出会い頭に軽口を叩けるコウタと小牟の間柄に感心する。
「コウタから大体の事情は聴いている。よろしく頼む、ヴィレッタ・バディム大尉。」
「今はTDFのヴィレッタ・バディム少尉よ。」
ヴィレッタはそう言って零児と握手を交わす。
「ライディース・F・ブランシュタイン・・・この時代ではフジワラライと名乗っている。」
ライも続けて自己紹介をする。
「ほうほう、ラララライとな。とんだフジワラマーケットじゃのう!」
「人の名前をいじるとロクなことにならないぞ。」
零児が小牟の名前いじりを窘める。その声には妙な説得力がある。
「ん?」
零児がラミアの顔を見て立ち止まる。。
「アシェン、お前もこっちに来ていたのか?」
「人違いでございますです。」
ラミアがきっぱりと否定する。
「いや、しかし・・・」」
「その人はラミア・ラヴレスってんだ、似てるけど別人だぜ。」
「そう言えばコウタが初めてアシェンと会ったときに混乱しておったのう。今度はその逆パターンと言うわけじゃな?」
「ラミア・ラヴレスです。」
ラミアがそう言って軽くお辞儀をする。
「なんじゃろう、この物足りなさは・・・。その顔でそんな普通に挨拶されると逆に悪口が欲しくなるのう・・・。」
小牟の謎の発言にラミアが首を傾げる。
「コウタ、これからいろいろと情報交換をしたいところだけど・・・仕事は何時までかしら?」
「ん、そうだな・・・」
コウタは店の時計を見る。
「お客さんも少ないし、コウタくんは休憩行ってっていいよ。積もる話なら店の奥を使ってくれても構わない。」
マスターがそう言って気を聞かせてくれる。
「んじゃ遠慮なく・・・」
コウタに続き零児と小牟、ライとラミアが続けて奥の休憩室に入っていく。ヴィレッタも頼んだコーヒーを持ち運びながら休憩室に向かう。
「!!!?」
しかし入室した瞬間、床が抜け落ち、ヴィレッタは地の底へ落下していった。
▽▽
「ううぅ・・・・ここは一体・・・?」
喫茶店の床から落下したヴィレッタが目を覚ます。辺りには人工的に作られた壁が続いている。
「かなり深いわね・・・・痛っ!?」
自分が落下してきた穴を見上げても地上の光が見えない。いくらヴィレッタが人造人間だとは言え、落下のダメージは大きかった。
「軍事施設か、それとも何かの研究所か。なぜ東京の地下にこんなものが・・・未来にはあるけれど。」
140年後、浅草の地下にはコウタの祖父、キサブロー・アズマによって建造されたBFベースが広がっている。
ヴィレッタは身体を引きずりながら通路を進む。
「・・・っ!?」
突如、背後から拘束され首元には冷たい感触が走る。
「何者だ・・・」
背後から冷たい声でそう問われる。
(気配が無かった・・・油断した?・・・いえ、負傷しているとはいえこの状況で敵の接近に気付けないわけがない。)
この状況が既に後ろの相手がただ者ではない事を物語っている。
「その顔・・・TDF所属、ヴィレッタ・バディム・・・東亜錬金技研の支部を壊滅させた女か・・・」
(私の事を知っている?東亜錬金技研・・・いや、ゴーストの一味・・・!!?)
「おりゃあああ!」
「・・・!?」
ヴィレッタが思案していると別の人物が現れ背後の男に対して攻撃を仕掛ける。背後の男は咄嗟にそれを躱した。
「とうとう見つけたぞ、刃零!」
現れたのは忍び装束に身を包んだ少年だった。そしてヴィレッタを拘束していた刃零と呼ばれた男もまた、忍び装束に身を包んでいる。
「地張流か・・・」
刃零が少年をそう呼ぶ。
(地張流・・・では彼がライの言っていた天地丸なのか・・・?)
刃零の拘束を解かれたヴィレッタは状況を飲み込めずにいる。
「紫電は何処だ!?鬼雷石を返してもらうぞ!」
天地丸はそう言って手裏剣を投げる。刃零はそれを避けながら距離を詰め、天地丸に連続で打撃を加えていく。
「・・・くっ!?」
刃零は防御する天地丸を掴み、蹴り上げ、更に蹴り飛ばした。
「ぐわっ!」
天地丸は壁に叩きつけられ気を失う。
「未熟・・・鬼の力が無ければこんな物か・・・」
刃零はそう言ってゆっくりと天地丸との距離を詰める。
(劣勢ね・・・私が下手に加勢できるような戦いでもないけど・・・。)
ヴィレッタは拳銃を構える。
「・・・くっ!?」
しかし刃零は一瞬で無数の手裏剣を放ち、ヴィレッタに浴びせる。
「刃零よ、何をしておる?」
そこへ更に、紫色の忍び装束を着た大男と部下らしき忍者集団が現れる。
(この姿、たしか攻牙忍軍の紫電・・・。)
「ほう、天地丸を仕留めたか・・・・でかしたぞ刃零よ!」
「そっちの女はTDFの隊員だ・・・」
刃零がヴィレッタを差し、紫電に伝える。
「TDFの隊員だと・・・?おい女よ、一体どうやってここを見つけた?」
巨大な忍者、紫電がヴィレッタに顔を近づけ問いかける。
「・・・家の床が抜けて落ちて来ただけよ。」
「ぬぬぬ・・・そんな見え透いた嘘で吾輩を騙せると思うな!」
紫電は自分を欺こうとするヴィレッタに怒りをあらわにする。
(・・・本当の事なのだけれど。)
「ふん、まあいい。後でじっくり聞きだしてやろう。おい新入り、こやつ等を拘束して牢にぶち込んでおくのだ!」
「あ・・・はい!」
耳に覚えのある声で返事が聞こえる。
「・・・って、ヴィレッタ大尉!?なんでこんなところに!?」
忍者たちの中から忍び装束のようなフォルムの黒い鎧を身につけた女の子が現れ、ヴィレッタを見て驚く。
「ファイターエミィ・・・ショウコなのか!?」
ヴィレッタは突然の予想外の仲間の登場に驚く。
「むむむ!?新入り、さてはお主、スパイであったか!?」
「え?・・・え~っと・・・忍法[花霞の術]!」
ショウコが印を結びそう叫ぶと、光の花びらが舞い散り辺りを包み込む。そしてその後、激しい光と共に爆ぜた。
「ぬおお!?まさか新入りがこんな術を使うとは・・・!!?」
光が止んだ後にはヴィレッタと天地丸、そしてショウコの姿は消えていた。
【ちょっと語らせて】
ガイアセイバーでは街に入ると、その街の中で選択肢の中から行先を選び施設内や民家に移動するんですが、東京のハヤサカさんの家を歩いていると床が抜け、敵の秘密基地に移動するイベントが存在します。・・・それがやりたかった。
エミィの「忍法、花霞の術」はバトルドッジボールの必殺技です。なので忍者たちに混ぜました。