スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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4話 点火

二機のジンライがメディウス・ロクスを抱えて移動している。その周りを守るように更に複数のジンライが陣形を取り、そしてそれを追うようにアルブレードと二機のキャニスが戦闘を行っていた。

 

「くっ!R-2が調整中とはいえ、やはりアルブレードでは・・・!」

 

アルブレードは三機がロールアウトされている。三号機は改造されアルブレード・カスタムとして鋼龍戦隊で運用されていたが、今ライディ―スが乗っているのはそれとは別のただのアルブレードである。

乗り手が凄腕とは言え量産型ジンライを相手取るには力不足だった。

 

「きゃああ・・・!!」

 

被弾したキャニスの中でアクア=ケントルムが悲鳴を上げる。

 

「アクア、お前は汎用機での戦闘経験が無いんだ、無理はするなよ」

 

「大丈夫よヒューゴ、いつかどこかで三体の試作機の良いとこ取りした高性能な量産機に乗っていた気がするもの。」

 

「なんだそれは・・・」

 

アクアのメタ発言にヒューゴが困惑する。

 

「俺も少し自惚れていたようだ。ジンライの量産型・・・・ジンライ本体に比べて大した脅威とはとらえていなかったが、あれは鋼龍戦隊の戦力があってこそか・・・!」

 

量産型ジンライ、ヴァルシオンに続く量産型の特機だが、前者はデチューンされた量産型とはいえ単機で戦局を変えるほどの機体だった。逆にジンライは数とそれを利用した連携戦闘を得意とする上で、特機ならではの耐久力と格闘能力を有する。慣れないキャニスでもまた、相手をするのは厳しい。

 

「それにしても急にジンライが動き出すなんて、いったい何が起こっているのよ!?」

 

「ジンライが何者かに乗っ取られているのか?アクア。AI関連においては俺よりもお前の方が詳しいんじゃないか?」

 

「それほどでも・・・ヒューゴが褒めてくれるなんて珍しいわね・・・ってそんなこと言ってる場合じゃないわよ!」

 

「・・・もういいか?ならしかけるぞ!」

 

「私をいつも一人で盛り上がってるみたいな扱いしないで!もっとリアクション取りなさいよ、パートナーなんだから・・・!」

 

「漫才の相方になった覚えはないんだがな!」

 

「いいコンビだと思うが・・・」

 

二人のやり取りを聞いていたライディースがそうつぶやく。

 

「俺もそう思う。」

 

一件、皮肉にも聞こえそうなライディースの言葉をヒューゴは素直に肯定する。

 

「チャクラムシューター、セット!」

 

ヒューゴとアクアはダブルガナリーを手前のジンライに斉射し、ライディースがチャクラムシューターで斬り裂く。しかしジンライにはさほどダメージを与えられず、逆に左右の別のジンライから大量のクナイが浴びせられる。

 

「きゃああ!!」

 

「アクア!ぐおおおっ!?」

 

ライディースは回避を成功させるがヒューゴとアクアは被弾、その後ジンライはヒューゴとアクアそれぞれに短刀で斬りかかってくる。

そこから三機はジンライに囲まれ防戦一方となる。

 

「もう無理よ!いったん退きましょう!」

 

「まだだ!まだいける!」

 

三人が苦戦する中、一機のジンライが被弾する。

 

「無事か、二人とも!」

 

援軍に駆け付けたのはラーズアングリフとアシュセイヴァーだった。

 

「なんでこんな所にラーズアングリフが・・・乗っているのはラミア少尉ですか・・・?」

 

救援に現れた二機の存在にヒューゴが疑問符を打つ。

 

「かつて俺が使っていた機体だ。どうやらこのグランドクリスマスに持ち込まれていたらしい。ネバーランドといいMKⅢの右腕といい、ガイアセイバーズには随分と手癖の悪い奴が混ざっていたようだな、これが!」

 

アクセルがアシュセイヴァーから答える。

 

「アクセルさんも・・・!」

 

「ヒューゴ・メディオ、お前はいつも俺が来る頃にはやられているが、どうやら今回はまだ無事のようだな。」

 

「軽口のつもりかもしれませんが、笑えないですね。」

 

「ソウルゲインではなくアシュセイヴァーか・・・当てにさせてもらっていいんだな、アクセル・アルマ―!」

 

ライはアクセルの腕もアシュセイヴァーの性能も認めているにもかかわらず、あえて挑発的な言葉を投げかける。

 

「少なくともそのエルアインスの出来損ないよりはマシだ・・・ライディース・F・ブランシュタイン。」

 

(アクセルさんはともかく、ライディ―ス少尉の名前はフルネームで呼ぶには長すぎるわね。)

 

アクセルとライディ―スのやり取りを聞きながら、アクアはそんなことを考えていた。

 

「来るぞ!」

 

話している途中でジンライがアシュセイヴァーにクナイを投げる、

 

「フン・・・。」

 

アクセルはそれを咄嗟に切り払った。

 

「シシオウブレード、なんでこんな物が・・・まあいい、使ってみるさ!」

 

アクセルはアシュセイヴァーに装備されていたシシオウブレードでジンライに斬りかかり、更に至近距離からファイアダガーを発射し撃墜した。

 

「すごい・・・ソウルゲインの時とは全然違う戦い方なのにあんなに強いの!?」

 

ラーズアングリフの動きを見てアクアが驚きを口にする。

 

「お前たちの方は随分と苦戦していたようだが・・・ミタール・ザパトの作った機体出なければ調子がでないんじゃないか?」

 

「・・・・。」

 

アクセルの言葉にヒューゴは沈黙する。

ミタール・ザパトの作ったTEアブソーバーは優秀でヒューゴ達に合った機体だった。ヒューゴ自身もそのことについて異論はなかったが、ミタール・ザパト自体は好ましく思っていなかったヒューゴにとってその言われ方は愉快ではなかった。

 

「そうでないなら、お前達の実力を示せばいい。」

 

「・・・・了解!」

 

(人を焚きつけるのが上手いわね、この人・・・)

 

通信を聞いていたアクアはアクセルに対しそんな感想を抱く。

 

「アクア、お前の機体は消耗が激しいようだが・・・まだいけるか?」

 

ラミアが一番ダメージが多いアクアにそう訊ねる。

 

「は・・・はい、もちろんです!私だけこんなところで退けません!」

 

「ならば後方支援に徹してくれ、くれぐれも無理はするな。」

 

ラミアがアクアに指示を出すその様子をアクセルはじっと聞いていた。

 

「・・・ヒューゴ、教導隊ではW17がお前たちの上官なのか?」

 

「明確にそういう格付けがあるわけじゃないですけど、ラミア少尉がカイ少佐の副官のような立場にいます。俺とアクアは新参者ですし、他の三人はかなり若いですから・・・。」

 

「生まれた年月で言うならゼオラやアラドよりもW17の方が下だろう・・・などと指摘するのは幼稚だな。」

 

アクセルは複雑な表情を浮かべながらそう自嘲する。

 

「はい、それに年齢を言うならばこの場における最年長者はアクア少尉になります。」

 

「ちょっ、ちょっとラミア少尉!?余計なことを言わないでください!って、アクセルさん、年下なの!?」

 

「22か23だったか・・・こちら側に転移してきたことで曖昧になっているが、特に気にしていなかった。そもそも一度は死んだ身だしな、これが。」

 

「どっちなんです!!」

 

アクセルが22歳であれば23歳のアクアが最年長という事になる。

 

「同い年だったとしても最年長であることに違いはないだろ・・・。」

 

「ヒューゴは黙ってなさい!」

 

「ヒューゴ少尉、アクア少尉、そろそろ仕掛けるぞ!最悪メディウス・ロクスは破壊してしまっても構わん!」

 

(Wシリーズが人間を率いるか・・・レモン、流石のお前もここまでは予想していなかっただろう・・・)

 

「俺には指示は無いのか、W17?」

 

「ご冗談を・・・・私が牽制します。リニアミサイルランチャー、アクティブ!」

 

「同時に仕掛ける!」

 

ラーズアングリフのリニアミサイルランチャーに合わせるようにアシュセイヴァーのハルバードランチャーが複数のジンライに全体攻撃を仕掛ける。

隙をついてジンライが二機に斬りかかろうとするが、それをアルブレードが阻む。

 

「そのパターンは見飽きた!」

 

ライがGレールガンで迎撃に当たる。

アクセルとラミアの増援によってようやく戦線を押し上げることが可能となったが、その間にもメディウス・ロクスとの距離は離れる一方だった。

 

「・・・数が多すぎるな。戦闘が長引けばいずれこちらの弾薬が尽きることになる。そのまえにメディウス・ロクスを捕えたいところだが。」

 

「なら、メディウス・ロクスを直接狙います!アクア、フォローを頼む!」

 

「ちょっとヒューゴ!・・・ああもう、解ったわよ!」

 

「・・・この状況ではやむを得んか。ヒューゴ少尉、俺が隙を作る!」

 

ライディースはそう言ってグラビトンランチャーを構える。

 

「アルブレードのENでは多用はできないが・・・アクア少尉、タイミングを合わせて同時に撃て!」

 

ジンライたちがバックルから手裏剣を展開し一斉に投げつけてくる。

 

「ターゲットインサイト、グラビトンランチャー、シュー!!」

 

ライディースが飛来する手裏剣を巻き込むようにグラビトンランチャーを発射する。アクアもそれに合わせてダブルガナリーをWモードで斉射した。

ダメージを負ったジンライにシシオウブレードとレーザーブレードを同時に構えたアシュセイヴァーが突撃する。

 

「斬り裂く、双刃閃!!」

 

アシュセイヴァーが高速でジンライに接近し連続で斬りつける。その後ろにはブーストハンマーを構えたラーズアングリフが待ち構えていた。

 

「とどめだ!」

 

ブーストハンマーによって粉々に爆散するジンライ。

その間にヒューゴは加速しメディウス・ロクスの進路を塞ぐように移動し待機する。

ヒューゴのキャニスが無理やりメディウス・ロクスに取りつく寸前で、別のジンライに左右から短剣で突き刺された。

 

「ヒューゴ!!?」

 

それを見ていたアクアが叫ぶ。

 

「忌々しい身体だが、耐久性だけは生身より上だ!」

 

ヒューゴは大破しかけたキャニスの爆発をものともせずコックピットから飛び出し、そしてそのままメディウス・ロクスに取りつき、外側からコックピットを開く。

 

「ヒューゴ少尉!!まさかその身体でメディウス・ロクスに乗り込むつもりか!?」

 

「そんな・・・AI1が取り外されているからって、もしまた取り込まれでもしたら今度こそどうなるか解らないわよ!?」

 

ライとアクアがヒューゴの動向を制止する。

 

「多少の無茶は承知の上だ!」

 

「全然多少じゃないわよ!」

 

「だが敵の狙いがコイツである以上、今この状況を打開するにはこれが一番有効な手段だ!」

 

ヒューゴはそう言ってメディウス・ロクスのシートに座った。

メディウス・ロクスが起動するとともに、何の因果かかつてヒューゴが乗っていたガルムレイドから奪い取ったTEエンジンに火が入る。

 

「・・・身体がザワつくな、やはり俺の身体のラズナニウムに影響が出ているのか。・・・だが支障が出るレベルじゃない、これならなんとか・・・」

 

ヒューゴ自身も気づかないうちに身体を構成するラズナニウムがメディウス・ロクスのそれと同調し、アクアやAI1が行っていたTEエンジンの出力制御に成功する。

 

「行くぞ、メディウス・ロクス・・・イグニッション!」

 





【ちょっと語らせて】

味方を登場させ過ぎてやはりデルタ7だけでは足りないと思い、その後どうなったのか語られていないメディウス・ロクスと量産型ジンライを引っ張り出しましたが、味方にしてどうすんだよ・・・といった感じです。

各キャラクターが自分の機体に乗っていないのはぶっちゃけ単なるデバフです。
ライにはぜひアルブレードで負けてほしいですね。
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