スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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9話 冥王の島

 

「それじゃあコウタや天地丸とはしばらく別行動になるんですね?」

 

喫茶店で事の経緯を聞いた叶エイジがそう確認する。

 

「ええ、あなた達には引き続きTDFの作戦に参加してもらう事になるわ。」

 

顔合わせを済ませたヴィレッタがエイジにそう説明する。

 

「あ~あ、アタシもコウタくんの妹に会ってみたかったな~」

 

エイジの隣に座っていたランがそんな感想を述べる。

 

「いずれ顔を合わせる機会もあるわ。」

 

「・・・ヴィレッタ少尉はサトルさんに会ったんですよね?どんな様子でしたか?」

 

エイジが思い出したかのようにヴィレッタに問いかける。

 

「私は直接は接触していないけれど、そもそも会話できる状況じゃなかったらしいわ・・・。」

 

ヴィレッタは幽霊課が日向サトルと接触した時の事をエイジたちに伝える。

 

「ひょっとするとVOL細胞の浸食がすすんでおるのかもしれんな・・・」

 

カウンター席に座る老人が魔傀の話を聞き会話に混ざってくる。ランとサトルの祖父、日向清次郎である。

 

「VOL細胞は時間がたつにつれ徐々に宿主の体を蝕んでいく・・・その浸食が脳に達した時、宿主の人格は失われ理性のない怪物と化す。出来ればランとエイジには変身を控えてもらいたいが・・・」

 

「もう、そのことは散々話し合ったでしょ?おじいちゃん!」

 

「自重はしますが・・・俺の身体がこの先どう変化していくかはわかりません。ならばこの命、正義のために使いたい!」

 

「しかしじゃな・・・。」

 

「本人が言ってるんだ、こういうタイプにはやらせてあげるしかないわ。それに彼と日向サトルとは違う、日向サトルの変貌はアインスト・・・SYSTEMを吸収した事も少なからず影響しているでしょうしね・・・。」

 

立場上、言っても聞かない人間を多く知っているヴィレッタがそう言ってエイジをフォローする。

 

「謎の生命体、SYSTEMか・・・。ひょっとすると奴らも放浪する外宇宙生命体、VOL(Vagarious Outer Life)と近い存在なのかもしれん。」

 

SYSTEMの話を聞いた清次郎がそう推察する。

 

「ノーヴル・ディラン博士も似たような事を言っていたわ・・・。」

 

「ノーヴル・ディラン博士じゃと!?」

 

その名を聞いて清次郎が驚く。

 

「ご存じなのですか?」

 

「ああ、儂が若い頃に師事していたバイオロイド研究とロボット工学の権威じゃ。まだご健在じゃったとはな・・・。」

 

「だったら同名の別人ね。清次郎博士の師なら生きていてももはや後期高齢者でしょう?ノーヴル・ディラン博士はまだ10代の少女だったわ・・・。」

 

ヴィレッタはそう言いながらも、ノーヴル・ディランという存在に感じた違和感を思い出す。

 

「さてと、私はそろそろ地下施設の調査に戻るわ。」

 

ヴィレッタはそう言って休憩を終え、店内に空いた穴から地下に降りて行った。

 

 

 

 

地下施設に戻ると、ラミアをはじめとするガイアセイバーズの面々が瓦礫の撤去作業に当たっていた。

中でもマリー・フィリップスが何故か張り切って作業に当たっている。

 

「はっはっはっは!鉱山で採掘作業のバイトをしていたこの私にとって、瓦礫の撤去などたわいのない作業だ!」

 

マリーはそう言いながらホームヘルパーロボットのランスロットと協力して次々と瓦礫を撤去していく。

 

「あの女性はお金持ちのはずじゃなかったかしら?」

 

ヴィレッタがラミアに尋ねる。

 

「マリー・フィリップス。フィリップス財閥の令嬢であり、POSの主催者です。聞けばPOS開催にあたり莫大な借金を作り、借金返済のためにリクセント公国で金の採掘作業を行っていたとか。」

 

リクセント公国は新西暦180年代後半に差し掛かってもなお、掘れば金が出てくる金脈だ。それが130年以上前ともなればなおさらである。

 

「それで、何か見つかったのかしら?」

 

ヴィレッタは瓦礫の先のコンピュータールームに入室し、調査している隊員たちに問いかける。

 

「どうやら奴らは東京の地下を観測していたようです。けれど特に変わった事も無かったようですが・・・。」

 

(東京の地下を・・・いったいなぜ?)

 

「それと、ゴーストの本拠地らしき位置情報が判明しました。」

 

隊員はモニターにその位置情報を表示する。

 

「この場所は・・・!?」

 

モニターを見たヴィレッタが驚く。そこには南太平洋にあるマーケザス諸島沖の小さな島が映っていた。

 

「この場所は・・・アイドネウス島・・・!?」

 

 

 

 

 

 

「アイドネウス・・・目には見えない者か。」

 

伊豆基地の作戦室で魔傀が呟く。

 

「ギリシャ神話に登場するハーデスの別名、死神ギルリアンの居城としては相応しい名前ね。」

 

ミラ・ロマノアが魔傀の言葉に続ける。

 

「我々は起動兵器の積み込みを終え次第、魁龍改でアイドネウス島を目指す。」

 

ライが一同にそう説明する。

 

「あなたも同行するつもりかしら、作戦参謀殿?」

 

ミラがライに尋ねる。

 

「ああ、ジンライの例もある、連中にどんな隠し玉があるかは分からないからな。起動兵器の数は多い方が良いだろう。」

 

「ギルリアン・エルダインはかつて制御体連合国家の情報軍を壊滅させたほどの男だ。警戒は当然だが、であれば魁龍改単艦で攻め込むのは無謀じゃないか?フジワラ参謀。」

 

魁龍改の責任者であるアリッサ・グリムズが物申す。

 

「ええ、ですので我々極東支部と同時に、ワシントン支部とシドニー支部からも部隊を出撃させ、3方向からの同時に進行する予定です。」

 

「ワシントン支部・・・プレジデント・マークの横槍が入るんじゃない?」

 

ニューヨークドミニオンの大統領、プレジデント・マークはギルリアンと結託している。

ミラはそのプレジデントの影響下にあるワシントン支部が予定通り援護してくれるかを案じている。

 

「直前になって裏切られたらたまらないわね・・・。コウタと警備班は六本木でアクセルやその仲間と共闘したと言っていたけど・・・今回はどう出るか。」

 

上海でアシュセイヴァーと交戦したヴィレッタは当然の疑念を持つ。

 

「だが今ワシントン支部にはレイモンド・ノーマン大佐が居る。負傷しているが、この作戦に横槍が入るようなら教えてくれるはずだ。それに・・・」

 

魔傀が一拍おいて答える。

 

「例え俺一人になろうとも死神・・・ギルリアン・エルダインは叩き潰す・・・」

 

 

▼▼▼

 

 

「TDFにここの情報は漏れたぞ・・・ギルリアン」

 

髪を逆立てた忍び、刃零がオフィスの椅子に座るギルリアン・エルダインにそう伝える。その傍らにはネプチュ~ンが立っている。

 

「刃零・・・ふん、紫電はやられたか?ガイアセイバーズと言ったか、TDFの新設部隊は・・・まさかジンライを倒すとはね。」

 

ギルリアンが刃零にそう返す。。

 

「・・・攻牙忍軍は今後俺が率いる・・・問題あるまい?」

 

「引き続き我々に協力するなら構わないよ、攻牙忍軍の本来の後継者はキミだからね。それよりも・・・この場所が知られたのならTDFは近いうちに攻め込んでくるだろうね。」

 

「どうするギルリアン・・・物量戦を仕掛けられればひとたまりもないぞ・・・」

 

「いいや、回収したダイダル兵を解析した結果、あの連中とのパイプも出来た。そこにメルコール・コングロマリットやナガーの戦力が加われば、こちらの戦力はもはやTDFなど敵ではないわ!」

 

傍らに立っていたネプチュ~ンがそう口にする。

 

「まあ地球連邦政府やTDFなどはどうでもいいんだが、機は熟したと言える。・・・この戦力をもって制御体連合国家を滅ぼす。」

 

ギルリアンは改めて自分の目的を口にする。

 

「その手始めにガイアセイバーズに参加する電神、魔傀元聖を始末するとしよう。」

 

 

▽▽▽

 

 

「うおおお!」「はあっ!」

 

航行する魁龍改の格納庫では岩瀬圭とアームド・ファイターのカイ・シュリスと立ち会っている。

 

「圭さん、がんばれー!」

 

「・・・・・。」

 

その傍らではランが圭を応援し、エイジは両者の動きをじっと見つめている。

 

「一宮流、霞!」「斬波心脚!」

 

「止めなさい!」

 

両者の蹴り技が交錯しようとした時、マリー・フィリップスとドミヌラが割って入る。

 

「何をしているんです、あなた達は!?」

 

ドミヌラが二人を叱責する。

 

「いやぁ、ちょっと手合わせをしてたら熱くなっちまってな。」

 

圭が反省したそぶりを見せる。

 

「久しぶりに会ったと思ったら相変わらずだな。こういう事をするなら私も混ぜろ、岩瀬圭!」

 

マリーが圭に怒鳴る。それを聞いたドミヌラは「そうじゃないでしょ」と頭を抱える。

 

「それにしても生身でアームズと互角にやり合えるとは・・・POSの出場者は皆このレベルなのか?」

 

カイが自信を無くした様子で尋ねる。

 

「当然だ!POSは私が私財を投じて開いた最強を決める大会だぞ!集まった格闘家も規格外の猛者ばかりだった!」

 

マリーが胸を張ってそう主張する。

 

「いや、お前もかなり強かったぜ、カイ。もしアームズの出力を抑えてなければこっちがヤバかった・・・。俺もアームズを使ってみようかな。」

 

圭はそう言ってカイと握手を交わす。

 

「ダメだよ圭さん!そんな皆川亮二先生にデザインされた顔でアームズを欲しがっちゃ!」

 

「ラン、お前の発言の方が絶対にダメだよ!?」

 

ランの発言にエイジがツッコむ。

 

「ゴメンゴメン・・・確かに名前はアームズだけど、どちらかと言えばスプリガンの・・・」

 

「AMスーツじゃない!」

 

エイジも結局言ってしまった。

 

「単純に強い人間がアームズを身につければより強くなると言うものではありませんよ。アームズにはアームズでの戦い方があります。生身では圭の方が強くても、いま同じスペックのアームズを着用して勝負すればカイが勝ちます。」

 

「刀や銃と同じで、アームズの扱いが得意な人間が勝つって事か・・・そう聞くと俺には向いてないかもな。」

 

圭がドミヌラの説明にそう納得する。

 

「それにしても岩瀬圭、よくこの作戦に参加する気になったな?一宮ちあきは来ていないのだろう?」

 

「ああ、・・・ちあきは単位がやばいらしい。俺はエイジとランが行くってんで、ほっとくのもどうかと思ってな。」

 

圭はそう言ってエイジを見る。

 

「ゴーストとの決戦なら、ナガーが出てくる可能性は高いですから。奴らとの戦いを人任せにしたくない。」

 

エイジはそう言って拳を握る。

 

「各々、思うところはあるようだが、当てにさせてもらうぞ?」

 

 

「盛り上がっているみたいね・・・。そろそろ作戦開始なのだけれど。」

 

「頼もしい限りです。義体を乗り捨てるゴースト相手では起動兵器での制圧よりも白兵戦がカギとなりますから。」

 

格闘家たちの様子を見てヴィレッタとライがそう語る。

 

「それにしてもまたしてもあの島に攻め込むことになるとは・・・。」

 

「・・・ライ少尉はグランドクリスマス攻略には参加してなかったはずだが?」

 

ラミアがライに尋ねる。

封印戦争におけるガイアセイバーズとの決戦の際、地球はバラルの結界に覆われた。

月面でオペレーション・レコンキスタに参加していたSRXチームはグランドクリスマスことアイドネウス島攻略には参加していない。

 

「DC戦争の際にも、ハガネは単艦であの島に攻め込んだことがある。」

 

「という事はヴィレッタお姉さまも・・・?」

 

「・・・私はその時はマオ社のスタッフとして宇宙でヒリュウ改に身を寄せていたわ。」

 

そしてヒリュウ改はライの父であるマイヤー・V・ブランシュタイン率いるコロニー統合軍の本拠地であるコロニー[エルピス]を制圧し、その後ジュネーブ降下作戦を阻止。首魁であるマイヤーはその際に戦死している。

 

「・・・当時のヒリュウ改の戦力はハガネよりも少なかったと聞いています。」

 

ライはあえて自分が話を続けようとする。

 

「マオ社から出向していた私とラーダを含めても、戦力はヒリュウ改一隻と起動兵器が9機しかなかった。」

 

アルトアイゼン、ヴァイスリッター、ヒュッケバインmarkⅡ、ジガンスクード、量産型ゲシュペンストmarkⅡが2機、ゲシュペンストmarkⅡタイプR、シュッツバルト、そしてR-GUN、小規模な作戦行動なら十分だったが、コロニー統合軍を丸ごと相手にするには無謀としか言いようのない戦力だった。

 

「たったそれだけの戦力で艦隊に殴り込みを・・・?」

 

話を聞いたラミアが呆れた顔を見せる。

 

「提案したのはキョウスケだったわ。」

 

「ああ・・・。」

 

その名を聞いてラミアは納得する。

 

「懐かしい話もここまでよ、そろそろ出撃の準備を・・・。」

 

「了解!」

 

ヴィレッタが二人にそう促し、それぞれが機体に乗り込む。

 

「これよりオペレーション・ゴーストチェイサーを開始する!」

 

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