スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters 作:舟太郎
『大変よお兄ちゃん!誰かが戦っているみたい!』
Gサンダーゲートが八幡平を出発し、十和利山に向かった直後、ショウコは前方で戦闘を確認した。
「なんだあの機体・・・パーソナル・トルーパーなのか!?」
薄紫色の20M級の機体が巨大な鬼の集団と格闘戦を繰り広げている。
コウタは明らかにこの時代の物ではない見慣れぬ機体に疑問符を打つ。
「鬼族の方も、あんなに大きい連中は見た事がありません!?」
高野丸も起動兵器と同サイズの鬼の姿に戸惑う。
『このエネルギー反応・・・あの鬼どもはガルバストーンを利用し巨大化しているようだ。』
モニターにロアが姿を現し、高野丸の疑問に答える。
「なんなんですか、がるばすとーんと言うのは!?」
『コンパチネイションに存在する惑星ガルシアで採掘される石だ。特殊なエネルギーで生物を巨大化させる性質を持っている。』
「って事はあの鬼どもの背後には奴らが居るって事か・・・!」
コウタはロア由来のアイテムの登場にダグブールやプシュケルを思い浮かべる。
「渋谷に現れた連中か・・・。」
横で話を聞いて零児もダイダル兵が最初に現れたときの事を思い出す。
『お兄ちゃん!?天地丸さんが!!?』
一同が困惑する中、天地丸がGサンダーゲートの上で鬼雷石を掲げていた。
「魔封童子、推参!・・・忍法、飛行術!」
天地丸は雷を纏い、魔封童子に転身すると、空を飛んで鬼たちの方に向かって行った。
「天地丸の奴また勝手に・・・!?」
「ちゅーか何でもありじゃな、あやつ・・・。」
当たり前のように空を飛ぶ魔封童子を見て小牟が呟く。
「天地丸さんは僕と出会う前はずっと一人で戦ってきましたからね。平時でも山にこもって修行ばかりですし、基本的には優しい人ですけどあまり他人に配慮しません。」
高野丸がそう漏らす。
「とにかく、俺もバトルレーサーで出るぜ!」
コウタはそう言って、ファイター・ロアに変身した。
▽
「オルゴンスラッシュ!」
クストウェルの拳が緑色に光る。そのまま鬼を殴るとその光は結晶化し、砕けては消える。
エ=セルダはコンボ攻撃でそのまま次々と鬼を殴り飛ばしていく。
「オルゴンショット!」
緑色のエネルギーがクストウェルの拳の形状を維持したまま発射され、鬼を撃退する。
「勝てぬ相手ではないが、数が多いな・・・」
人間の集団であれば仲間が倒されれば恐怖で怯むところだが、鬼たちはそれを意にも介さずクストウェルに向かって行く。
「おりゃあああ!!」
そこへ人間サイズの黒い戦士、魔封童子が現れ巨大な鬼を蹴り飛ばした。
「黒き鬼の化身・・・ではアレが時空の息子か・・・!?」
「ファイター・ビームボウ!」
黒い戦士、魔封童子の後ろからファイター・ロアが現れ、光の矢を斉射する。その更に向こうには巨大な戦闘機の影も見える。
「この時代の戦闘機に、アームド・ファイターと言う奴なのか・・・!?今の段階でこの星の人間に接触するわけにはいかんが・・・どうする・・・?」
突如、魔封童子やファイター・ロア、後方の戦闘機、巨大化した鬼たち、それどころか風や音までも、空間の全てが停止する。
「これはステイシス・フィールド!?」
「やれやれ、律儀な男だ。その機体にもラースエイレムは積まれているだろうに・・・」
上空からクストウェルとは別の機体が現れる。細身だがサイズはクストウェルよりも一回り大きい。
「ラフトクランズ・・・!?」
「何をしているエ=セルダ殿、早くこの場を離脱するのだ。」
「何故お前が・・・と考えている時間も無いな。この場は感謝する!」
▽
「なんだぁ!?今一体何が起こったってんだ!?」
目の前で戦っていたはずのロボットが突然姿を消し、コウタが戸惑う。
『コウタ、今は戦いに集中するんだ!』
ロアがコウタにそう促す。
「魔封童子だ、やっちまえ!」
残っている巨大な鬼たちが金棒を振り回し魔封童子やファイター・ロアに襲い掛かる。
「やべえ!?」
「Gミサイル、発射!」
「ぐおおお!?」
Gサンダーゲートが援護に入り鬼を攻撃する。
「はあぁ・・・手裏剣術、風車!」
魔封童子が手のひらの上で巨大な風の手裏剣を生成すると、その手裏剣は巨大な鬼を切り裂きながら飛ぶ。
「マジで出鱈目なヤツだな・・・けど負けてらんねえぜ!巨大鉄球!」
コウタは巨大化させた鉄球で鬼の頭部を殴りつけた。
「なかなかやるじゃねえか小僧・・・ヒックッ・・・それに・・・久しぶりだな魔封童子よう・・・ヒックッ。」
鬼たちの中から一体の鬼が現れる。胡坐をかいて瓢箪から酒を飲みながら浮いている、その鬼は巨大化こそしていなくとも通常よりも大柄である。
「なんだこの酔っぱらいの鬼は?」
「貴様は酒吞童子!?」
現れた鬼を見るや否や、魔封童子は破邪の拳で殴りかかる。
「ヒック・・・相変わらずせっかちな小僧だぜ・・・鬼餓魍呼衝!」
酒?童子は黒いオーラを纏った掌底で破邪の拳を受け止める。
「・・・酒酔哮!」
酒を口に含み黒い霧を吐き出し、魔封童子に浴びせる。
「ぐわっ!?」
その直後に背後から別の鬼が現れ金棒で殴りつけた。
「はっはー!どうだ魔封童子!」
「ぐっ・・・・貴様は温羅!?卑怯な・・・!」
「へっへっへ、戦に卑怯もくそもあるかよ!」
「てめえ!?」
コウタが鬼に向けてビームガンを撃つが、更に別の鬼が割って入りビームを切り払う。
「月の子は去ったようだが、人の子がこれほどの力を持っていようとはな・・・。」
「また増えやがったか!?」
「危ねえ危ねえ、助かったぜ大嶽丸!」
温羅が現れた鬼をそう呼び、二体の鬼は酒吞童子の左右に並び立つ。
「我が名は大嶽丸。お主とは初めましてだな鬼の子、それに人の子よ・・・。」
大嶽丸は自らもそう名乗る。
「大嶽丸・・・[田村語り]に登場する鬼か・・・。」
Gサンダーゲートの中で零児がそう補足する。
「温羅の方は[桃太郎]のモデルになった奴じゃな?滋賀県や香川県、それに京都の鬼が何故こんな所に大集合しとるんじゃ?同窓会かのう?」
「だと良いんだがな・・・霊穴がある所に鬼が集まっているんだ、悪巧みに決まってる。ショウコ、俺たちは居りて霊穴に向かう。どのみち空中じゃ役に立てないからな・・・。」
「了解です!」
Gサンダーゲートが高度を下げ、零児と小牟、高野丸が降下する。
「行かせぬよ・・・三明の剣。」
大嶽丸の周りに三振りの剣が現れ、宙を舞いながら零児、小牟、高野丸を襲う。
「チっ・・・火燐、地禮!!」「水漣!」
「鬼餓魍呼衝!」
零児と小牟が大嶽丸の剣を切り払ったところに酒呑童子が迫る。
「スパークボンバー!」
上空に黒い雲に乗ったグレート雷門が現れ、酒吞童子に雷撃の弾を浴びせる。
「孔雀の杖よ!」
その隙に高野丸が杖を掲げると、三人は光に包まれ十和利山に飛んでいった。
「ちっ、逃がしちまったか・・・酔いがさめたぜ。」
スパークボンバーを受けた酒吞童子の表情が変わる。
「てめえが酒吞童子だな?覚悟しな、こちとらてめえのせいで迷惑してんだ!」
人違いならぬ鬼違いで物質界に召喚されたグレート雷門が酒吞童子に食って掛かる
「見慣れねえ鬼族・・・お前さん、何者だい?」
酒呑童子が尋ね、それに対してグレート雷門は衣装を脱ぎ捨て名乗った。
「俺様が守天だぜ!」
▽▽
『封印!』
霊穴を前に遮光器土偶の時空が発光し始める。
「させぬわ!」
悪路王の部下の鬼達が時空に襲い掛かり、術を妨げる。
『こんな連中でこの俺を止められると思うなよ、悪路王!』
「ほざけ時空童子!そんな姿で何ができる!!」
『・・・土偶烈波!』
時空が無数に分身し、その分身体が次々と体当りを始める。
「うおおお!?・・・おのれ小癪な!!」
分身たちが鬼達を次々と撃退していく中、それに対抗するように鬼たちも時空の分身体を砕いていく。
『こんな死にぞこないに苦戦されては困るな・・・』
『!!?』
突如、霊穴の中央に黒い怪人、ダグブールが現れ、触手からレーザーを放ち時空の本体を破壊した。
▽
「鬼共と、あれは渋谷に現れた怪人、ダグブール・・・どうやらロアの予想通りだったようだな。」
零児たちが霊穴にたどり着くと目の前には悪路王と配下の鬼、そしてダグブールの姿があった。辺りにはバラバラになった遮光器土偶の破片が散乱している。
「貴様は・・・高野丸?それにこの時代の退魔師共か・・・。」
鬼の一人、悪路王が話しかけてくる。
「僕を知っているのか?」
「この悪路王を忘れたとは言わせんぞ!」
「今度は悪路王だと!?」
その名に反応したのは零児だった。
「いや悪路王伝説の舞台は岩手県平泉じゃろ?前回出て来んか!」
小牟がメタ的なツッコミを入れるが、悪路王は一応前回から登場している。
「高野丸よ、かつての恨み晴らさせてもらう・・・もっとも今の貴様はその時よりも幼いようだが・・・。未熟な貴様に出会えたことは僥倖だである、今ならば容易く屠れようぞ!」」
「どういう意味だ!?」
「高野丸、奴はおそらくキミが元の時代で将来的に敵対する相手なんだろう・・・。長い年月をかけて復活した奴と、時間を超えてきたキミとが今対峙しているんだ。」
会話を聞いていた零児がそう補足する。
「なんだかややこしいのう・・・タイムパラドックス的に今こやつを退治して大丈夫なんじゃろうか?」
「高野丸がここで倒されれば矛盾が生じるが、現代に復活したヤツを始末するのは問題ないはずだ。」
『だがそれはそうた易くはないぞ・・・』
霊穴の中央でダグブールがそう発すると、霊穴から更に二体の鬼が現れた。
「あれは・・・夜叉と羅刹!?」
「久しぶりだな高野丸!」
新たに現れた鬼と高野丸が互いに反応する。
「今度は大陸の鬼か・・・!?」
「夜叉に羅刹・・・毘沙門天の眷属、そして八部衆にも数えられる強力な奴らじゃぞ!?」
『その通り・・・さあ、修羅の兵法、見せてくれよう・・・』
ダグブールがそう述べると霊穴から更に2~3M級の機械兵が現れる。
「こいつは・・・確か羅刹機!?」
零児はクロノスやリトスと言ったエンドレスフロンティアで修羅共が使役していた機体の登場に驚く。
『さよう・・・無限の世界にて主を失い行き場を亡くしていた機人たちよ・・・』
「ん?東京のゲルダは別に死んどらんはずじゃが・・・?」
「凍鏡だ・・・。死んではいなくとも修羅の文化や羅刹機の性質を考えれば敗北した主に付き従う者は少ないだろう。アルクオンがアインストの残留思念に惹かれたように、残った羅刹機共が新たな主を求めて彷徨い出でたという事か。」
零児と小牟はエンドレスフロンティアでの修羅との結末を思い出しながらそうつぶやく。
「その通りじゃ、こやつ等の力でかつての屈辱を晴らしてくれようぞ、高野丸!」
現れた鬼の片方、羅刹がそう答えると羅刹機はその周りに集まってくる。
「なんじゃなんじゃ!?まさか羅刹機じゃから羅刹に付き従っとるんか!?」
「妖魔にとって名は力そのもの・・・名を知られ、呼ばれ、恐れられ、忌み嫌われ、敬われ、奉られることで存在を確立し、事象に干渉する。羅刹機と言ったか・・・羅刹の名を冠するはそれ自体が我に下ると事を意味するのだよ。」
「名を名乗れば因果は巡るという事か・・・のう零児、儂も有栖小牟になってやってもいいんじゃぞ?」
「そのうちな。」
「目の前でいちゃつくなーーー!!!」
羅刹が剣を構え炎を纏いながら斬りかかってくる。それに合わせて夜叉が竜巻を起こした。
「風牙!」
高野丸は羅刹の攻撃を錫杖で受け止めながら風の刃で夜叉の竜巻を相殺する。そこへ更に羅刹機が高野丸に襲い掛かる。
「二門、電鋼刹火!」「水憐、時雨の型!」
零児と小牟がそれぞれ抜刀からの連続斬りで羅刹機を撃退する。
『流石にやるようだが・・・霊穴がある限り我が軍勢は無限だ・・・』
ダグブールによって再び霊穴が光りだす。
「また!?どんどん出てくる・・・このままじゃ・・・」
高野丸が弱音を漏らす間も敵は増え続ける。
「こうなったら出てきたところをぶん殴っちゃる!!」
小牟は現れる鬼に対して思いっきり錫杖を振り下ろす。その位置はこれまでの鬼たちに比べてかなり低い。
「ゔっ・・・・!?」
現れた鬼は頭を殴られ妙な声を出す。よく見るとそれは小牟や零児の良く知る鬼族の少女だった。
「・・・ゴメン。」
小牟は思わぬ登場人物を前に素で謝る。
「・・・いきなり何をするか!この駄狐が!!?」
その小柄な鬼の少女が激怒する。その後ろに3M級の蒼い鬼のような意匠の人型ロボットが現れる。
「ただではおかぬぞ!」
少女が踊りだすと蒼いロボットその全身に仕込んだ重火器を展開していく。
「ひゃあ・・・謝ったじゃろうが!?」
「マズい、高野丸、物陰に隠れるんだ!」
零児と小牟は高野丸と共に邪鬼銃王から距離を取る。
「邪鬼銃・弾鎖!梵波!封印破!」
鬼が踊ると蒼いロボットは腕のガトリング、脚部のマシンガン、肩口からミサイル、腹部からキャノン砲を次々と発射し、辺りの羅刹機や鬼族が流れ弾で吹き飛ばされていく。
「ふう、踊った躍った・・・妾は満足じゃ!」
「落ち着いてくれたか、錫華姫?」
零児が鬼の少女に声を掛ける。
現れたのは守天と同じエンドレスフロンティアの式鬼、錫華姫だった。
【キャラクター出典紹介】
錫華(CV:能登麻美子) [無限のフロンティア(NDS)]
酒呑童子、温羅、大嶽丸、夜叉、羅刹 [ONIシリーズ]
【アイテム紹介】
ガルバストーン [ザ・グレイトバトルⅤ]ゲーム上のアイテムではなく、物語の舞台となる惑星ガルシアの資源として扱われている鉱石
孔雀の杖 [ONIシリーズ] ONI2ではリレミト、4・5ではルーラの効力があるアイテム
【補足】
天地丸の忍法、飛行術。これもONIシリーズ1作目におけるルーラみたいなもので、本来はけっしてこんな舞空術のような効果はありません。
酒吞童子、夜叉、羅刹は作中で倒せば召喚術として使用できるようになるキャラクターです。温羅と大嶽丸に関しては話しかけると戦闘に突入するだけのボスキャラになります。(外見もゲーム内では単なる金棒を持った鬼ですが、伝承の類を元にかなりアレンジしました。)
何気に酒吞童子はGB版皆勤賞のため全登場回数で言えば天地丸より多いという事実に今気づきました。(ACゲームの天地丸を含めれば同じかも?)
使ってる技名はSFC版の鬼神降臨伝ONIのものです
時空は原作ゲームでは残留思念を土偶の中に残している程度で、実際には戦闘シーンなどはありません。よって土偶烈波などという技も無いのですが、SFC版の幕末降臨ONIに登場する神降ろし(召喚術)で使用できる遮光器土偶の攻撃を元にしています。
タイトルは[バトルコマンダー 八部衆、修羅の兵法]から
【超余談】
この作品とは別にこんなの書いてみました
https://syosetu.org/novel/391620/