スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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第一章 混乱の時代
1話 電神魔傀


『目を覚ませ、ヴィレッタ。キミにはまだやる事があるはずだ』

 

夢の中で犬を連れた青年がヴィレッタに語り掛ける。

 

(聞き覚えのある懐かしい声・・・)

 

『キミならきっと大丈夫だ。』

 

(お前は・・・)

 

青年と犬は徐々にボヤケて消えていく。

 

(待て、行かないでくれ・・・!リュ・・・)

 

青年を呼び止めようとした瞬間、とあるビルの一室のベッドの上でヴィレッタは目を覚ました。

 

「目を覚まされましたか?」

 

目の前の身なりの良い男が話しかけてきた。

 

「・・・お前は?」

 

「私はロバート・ゴードン。この東亜錬金技研の社長を任されています。ここは我が社の一室です、倒れていたあなたを一時的に保護させていただきました。とはいえ特に治療の必要はなかったようですが・・・。」

 

「東亜錬金技研、聞いたことのない社名だな。」

 

(・・・ここは何処だ?・・・私はグランドクリスマスで戦闘を行っていたはず。・・・デルタ7の放った光で私はどうなったんだ?)

 

「R-GUN・・・私が乗っていた機体はどうした?」

 

「ああ、あのロボットなら地下で整備させていますよ。しかしかなり複雑な構造でシステム的にも不明瞭な点が多い。できればあの機体について詳しく話をお聞きしたいのですが・・・?」

 

「そのまま返してくれれば整備は必要ないわ。」

 

「そうはいかない、見たところ未知のテクノロジーが使われているようですからね。解析し再現できればいい商品になるだろう。」

 

「・・・R-GUNを商品に?」

 

R-GUNは特殊な機体ではあるが、いまや「未知のテクノロジー」などと呼ぶほどの代物ではない。新型のPTやAM、特機が次々と開発されていく中、コストが高く扱いづらい旧式のR-GUNに今更市場価値は無い。

 

「しかし困ったことに動かし方が解らない。」

 

「操縦はともかく、起動するだけならそう複雑でもないはずだが・・・?」

 

「そうなのかい?いちいち人の手で動かすような原始的な機械には慣れていなくてね。大抵の機械はゴーストを宿せば動かせるからね。」

 

「・・・ゴーストを宿す?」

 

(なんだ・・・コイツは何を言っているんだ?)

 

「しかしあのマシンはゴーストを宿そうとしても特殊なエネルギーで拒絶されてしまってね。・・・持ち主であるキミが大人しく我々に協力してくれると助かるんだが?」

 

(R-GUNの特殊なエネルギー・・・トロニウムか?)

 

「盗人猛々しいとはよく言ったものね・・・嫌だと言ったら?」

 

「キミに拒否権は無い。」

 

ロバートが指を鳴らすと部屋の扉が開き、青いプロテクターをつけた兵士たちがヴィレッタを取り囲む。

 

「なんだこいつ等は・・・?」

 

「取り押さえろ。」

 

部屋の外が突如騒がしくなる。

 

「何があった!?」

 

「侵入者を発見しました!」

 

「侵入者だと・・・どこのどいつだ?」

 

「これは・・・ゴーストチェイサー、“電神”魔傀です!」

 

「ちっ、制御体の犬か・・・どうやってこの場所を・・・。まあいい、あの男を呼べ!」

 

(何かトラブルか・・・どちらにせよ脱出の好機のようね・・・)

 

ヴィレッタは兵士たちの隙をついて部屋を後にした。

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

 

「ジェットアッパー!」「スピニングキック!」

 

赤い髪のサイボーグ[魔傀元聖]と長い耳と尾を生やしたバイオロイドの少女[衣世]とが兵士たちをなぎ倒しながら施設内を進んでいく。

 

「情報通り、ここはゴーストの巣窟だったみたいね、魔傀。」

 

「制御体による情報なんだ、謝りなわけがない。それにしてもこれだけのゴーストを従えているとは、東亜錬金技研、この会社はいったい・・・?」

 

突如、漆黒の鎧をまとった影が魔傀を襲う。

 

「何!?」

 

「ほう、今の攻撃を防ぐとは・・・噂通りなかなかやるようだな、ゴーストチェイサー電神魔傀よ。」

 

「その口調、アンドロイドの類ではなさそうだが・・・いったい何者だ?」

 

「俺の名はルシファード。[戦闘船団国家ナガー]の幹部[黒騎士ルシファード]だ。」

 

「ふん、よりにもよって黒騎士とは・・・気に入らん名前だな。」

 

「気をつけて、魔傀!船団国家ナガーは最近になって世界中のゴーストたちを支援している謎の犯罪組織よ!」

 

「犯罪組織とは言ってくれる。我らナガーと[鋼帝ゼファス]様に逆らうか・・・。」

 

「鋼帝ゼファスだと?ふん、まるで自分たちが支配者であるかの言い様だな。」

 

「鋼帝ゼファスさまこそ全能で全知なる創造主だ!ゼファス様が人類に警告を与え、人類を指導し、万物に対してその意思をお伝えになる。この全宇宙も、貴様を殺すも生かすも、ゼファス様の意のままなのだ!」

 

「犯罪者ごときが調子に乗るなよ。人類の管理は[制御体]の役割だ。」

 

「はっはっは、面白い、制御体の犬が我々に歯向かうというのだな?[ファディータ]、この男と少し遊んでいくぞ!お前は部下のバイオロイドを殺せ。」

 

ルシファードの隣に女性的なフォルムの装甲身に着けた戦士が現れる。

 

「了解です、ルシファード。データ照合・・・これよりKX-20を排除します。」

 

「番号なんかでアタシを呼ぶな!それに部下じゃない、魔傀の相棒よ!」

 

「衣世、そっちは任せたぞ。」

 

「うん、心配しないで。あんな奴に負けないんだから!」

 

衣世はそう言ってハンマーを構える。

 

「フッフッフ・・・勝負だ電神!」

 

「調子に乗るなよ、黒騎士!」

 

魔傀とルシファード、衣世とファディータがそれぞれ激突する。両者の戦いは熾烈を極め、一進一退の攻防は延々と続いた。

 

 

(なんだこの状況は・・・?)

 

その戦いを物陰からヴィレッタが観察する。

 

(見たところ彼らが侵入者?そしてパワードスーツの二人がロバート・ゴードンの協力者・・・ロバート・ゴードンが信用ならないからと言って侵入者側につくのは早計か・・・?)

 

ヴィレッタがそう思案する間に戦況が動く。

 

「やるな、だがこれでどうだ・・・メーザービット!」

 

ルシファードのウイングが開き、無数の刃が魔傀に向かって飛翔する。

 

「舐めるなよ、サンダーサイクロン!」

 

魔傀は雷を纏った竜巻を発生させメーザービットを吹き飛ばし、サンダーサイクロンはそのままルシファードに直撃する。

 

「止めだ、ソニックバスター!」

 

魔界は腕部を変形させ、高出力のキャノン砲を発射し追撃した。

 

(なんて戦いなの!?)

 

両者の戦闘にヴィレッタは驚愕する。

 

「・・・やったか!?」

 

「今のタイミングは見事、だが惜しかったな。」

 

爆炎の中からバリアーを張ったルシファードの姿が浮かんでくる。

 

「馬鹿な・・・無傷だと!?」

 

ルシファードの耐久力に魔傀が驚愕する。

 

「ちっ、化け物め・・・!」

 

「ククク、やるな電神魔傀よ、たかがサイボーグの分際で俺をここまで苦戦させるとは・・・経験からくる戦闘技術だけは大したものだな、しかしそれだけではこの圧倒的なポテンシャルの差は埋められまい。・・・融機鋼最大出力!!」

 

ルシファードの左腕にエネルギーが集まり球体を成していく。

 

(なんだあのエネルギー量は・・・このままではいけない・・・!)

 

「ちぃ、ソニックバスター、フルチャージ・・・!」

 

魔傀が苦し紛れにソニックバスターのチャージを開始するがルシファードの発するエネルギーには遠く及ばない。

 

「唸れ、重力子の弾丸、グラビティ・ナパーム!」

 

「来い、R-GUN!」

 

ヴィレッタがそう叫ぶと廊下の床を突き破り巨大な手が現れ、グラビティ・ナパームを阻む。

 

「何だと!?」

 

その衝撃でビルが崩壊を始め、ヴィレッタ達はR-GUNの手に乗り脱出した。

 

 

▽▽▽

 

 

「ちっ!なにが戦闘船団国家ナガーだ、役立たずが!構わん、Rースネイルを出せ!」

 

崩れるビルの最上階から状況を見ていたロバートが部下に指示を出すと東亜錬金技研敷地内の地面が開き、そこから20mを超える二足歩行のロボットが現れた。

 

「巨大兵器!?地下にあんなものを隠していたとは!?」

 

R-スネイルの腕部からミサイルが発射される。

ヴィレッタがR-GUNに乗り込み魔傀と衣世を庇う。

 

「くっ、プラスパーツと武装が外されている・・・、この状態でどれだけ戦えるか。」

 

ヴィレッタはRースネイルにバルカンを斉射する。R-スネイルは空高くジャンプしR-GUNの背後を取る。

 

「何だと!?」

 

R-スネイルは腕部からドリルを展開しR-GUNに突撃する。R-GUNはR-スネイルの胴体を抑えその攻撃を阻止した。

 

「なんだコイツは、無人機とも有人機とも違う・・・。これがゴーストを宿したマシンの動きだと言うの・・・?」

 

ヴィレッタが非常識な戦闘モーションに戸惑う中、R-スネイルは腕部を元に戻し至近距離からミサイルを斉射した

 

「くっ、このままでは・・・!?」

 

「バーニングソバット!」「ローリングハンマー!」

 

横合いから魔傀が自身よりも遥かに巨大なRースネイルを蹴り飛ばし、続け様に衣世がハンマーで叩き潰す。

 

「つくづく、とんでもない人たちね・・・」

 

装甲を破壊されたR-スネイルが再び動き出し走行し始める。しかしもはやその動きはぎこちない。

 

「ソニックバスター!」「ロケットハンマー!」

 

「これで終わりだ、スラッシュブーメラン!」

 

三者の追撃によりR-スネイルは完全に破壊された。

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「危ないところを助けられたな。」

 

「それはお互い様よ。私の方もあなた達が現れなかったら身動きが取れなかったわ。」

 

崩壊したビルディングの前でヴィレッタは魔傀と対面していた。

 

「俺は制御体連合国家、特殊警察機構、幽霊課の魔傀元聖だ。」

 

(制御体連合国家・・・聞き覚えのない国名ね。それにしても・・・)

 

「・・・とても刑事には見えないわね。」

 

「軍人上がりさ、捜査のいろはなんて持ってない。俺は犯罪者を叩き潰すのが仕事だ。」

 

(それで警察官が勤まるものなのだろうか?)

 

「アタシは衣世よ。あなたはひょっとして地球連邦国家の人?」

 

(こっちの娘は明らかに人間ではないな・・・おそらくは人工的に作られた生物兵器の類・・・人の事は言えないわね。)

 

「・・・地球連邦軍のヴィレッタ・バディムよ。よろしく、衣世。」

 

ヴィレッタは地球連邦国家という言い回しに引っかかりながら返答する。

 

「地球連邦軍?TDFの事か・・・という事は、そのロボットはTDFの新兵器か・・・?」

 

(TDF・・・Terrestrial Defense Force、たしか100年以上も前に存在した地球連邦軍の前身・・・なぜ今更そんな呼び方を・・・あの時デルタ7はいったい何をしたんだ・・・!?)

 

「一つたずねたいのだけれど、今は新西暦何年だったかしら?」

 

「変な事を聞くのね、今年はちょうど新西暦50年だよ。」

 

デルタ7の光によってヴィレッタが飛ばされたのは140年前の地球だった。

 





【キャラクター出典紹介】

魔魁元聖      [電神魔傀(AC)][ゴーストチェイサー電精(SFC)]

衣世        [電神魔傀(AC)][ゴーストチェイサー電精(SFC)]

ロバート・ゴードン [電神魔傀(AC)][ゴーストチェイサー電精(SFC)]

R-スネイル     [電神魔傀(AC)][ゴーストチェイサー電精(SFC)]


ルシファード    [スーパー特撮大戦2001(PS)] 

ファディータ    [スーパー特撮大戦2001(PS)]



【ゲーム概要】

[電神魔魁][ゴーストチェイサー電精]
電神魔傀は1994年に稼働を開始したバンプレストのアーケードゲームです。
基本的にはベルトスクロールアクションで、それに格闘ゲームのようにコマンド入力で必殺技を繰り出す要素を加えたゲームです。(要はストⅡキャラでファイナルファイト、みたいな感じです。)

その電神魔魁のスーファミ移植版がゴーストチェイサー電精なのですが、容量の都合で使用キャラやボスキャラに数か所の変更点があります。※今はプレミアがついてやたら高額です。

ちなみに開発はウィンキーソフトです。顔グラになんとなくウィンキー感が出てる気がします。
ムゲフロで小牟が自分の事を「新羅の電子の妖精、略して電精」などと言ってた記憶がありますが、たぶんその元ネタの一つ。

【ちょっと語らせて】

Rスネイルは電神魔傀の1ステージのボスですが、本当はたいして大きくありません。本来のサイズだとR-GUNで踏めば終わっちゃうので勝手に大きい事にしました。

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