スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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3話 人狼

「ハンドガンナーズ?」

 

「ああ、取り調べの結果、ゴースト以外のチンピラ共が持っていた銃はやはりオリジナルだった。そしてそれを売りさばいているのがハンドガンナーズと呼ばれる正体不明の密輸組織だ。」

 

ゴースト課のオフィスでヴィレッタが取り調べの内容を近藤から聞いている。

 

「やはり前回の事件におけるゴースト以外の犯人、最初に立てこもっていた連中は金で雇われただけのチンピラだったらしい。事件の際にオリジナルを提供されたと供述している。」

 

 

「またハンドガンナーズか・・・」

 

「事件の時もそうだったけど、サイボーグでも頭をかいたりするのね?」

 

やれやれと言わんばかりに頭をかく魔魁の仕草を見て、ヴィレッタがそうつぶやく。

 

「ん?・・・ああ、癖みたいなもんだな。変か?」

 

「いいえ、人間だった頃の名残があるのはむしろ好ましいわ。」

 

「なんか仲良くなってない?」

 

その光景を衣世が少々不満そうに見ている。

 

「それで今回の事件でそのハンドガンナーズの正体については進展はあったのか?制御体が取引を認識できなかったという事はやはりゴーストの仕業かしらね?」

 

ヴィレッタがあらためて近藤にそう訊ねる。

 

「いや、私はゴースト犯罪者の類ではなく国外の銃器メーカーや軍需産業のいずれかが絡んでいると睨んでいる。」

 

「候補は?」

 

「米国のハバン社、独逸のダニエル・インストゥルメンツ、英国のグリムズ商会・・・もちろん今は東亜錬金技研も候補の一つだ。」

 

(ダニエル・インストゥルメンツはともかく、グリムズ商会、まさかこの時代でその名を耳にするとは。)

 

ダニエル・インストゥルメンツ社はこの先、ヴィレッタの時代まで続く老舗銃器メーカーであり、PT用の装備である銃火器、更にはゲシュテルべンやガータイドといったカスタム機の開発まで成し遂げている企業だ。

そしてグリムズ商会、ヴィレッタが経験したL5戦役の戦犯の一人であり、部下であるライディ―スにとっては仇だったアーチボルト・グリムズの祖先による軍需企業である。

 

「回りくどい言い方はよせ、近藤さん。どうせそれらは本命じゃないんだろ?」

 

そう言って近藤をせかす魔魁にも心当たりがあるように思える。

 

「上海ドミニオンのタッカード社、そして・・・メルコール・コングロマリットだ。」

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

地球連邦が樹立して50年、世界には大国にありながら地球連邦政府に隷属しない「ドミニオン」と呼ばれる12の巨大都市国家が存在していた。

その一つ、「上海ドミニオン」は、タッカード社をはじめとする企業集合体に支配される都市国家である。そこでは企業の利益が優先され、とどまることを知らぬ生体実験や環境破壊により、都市の一部はスラム化し、ドミニオンは確実に病んでいた。

「上海ドミニオン」、この都市に、野望、復讐、逃亡、それぞれの目的を秘めて、戦士たちが集おうとしていた。

 

 

 

 

 

「つまり、中国は地球連邦に参加しているけれど、ここ[上海ドミニオン]は独立して一つの国を成しているという認識でいいのかしら?」

 

魔魁、衣世、そしてヴィレッタはハンドガンナーズの調査のため上海ドミニオンを訪れていた。

辺りには高層ビルが立ち並び一見かなり繁栄しているように見える。

 

「そうよ、更に世界には上海ドミニオンの他にも12の都市国家が存在するのよ。」

 

上海ドミニオンの街中を歩きながら魔魁や衣世からドミニオンについての説明を聞く。もはや衣世はヴィレッタにこの時代における当たり前の情報が欠落したものとして説明してくれる。

 

「そして制御体の目が届かないこの国であれば武器取引も可能だ・・・。」

 

「・・・記憶があるとかないとかじゃなく、ヴィレッタは私たち制御体連合国家やこのドミニオンの仕組みに引っかかってるみたいね?」

 

衣世がヴィレッタの様子を見ながらそう訊ねる。

 

「あなた達にとっては自然な形なのね。そこに疑問を感じるのは不自然かしら?」

 

「衣世はもちろん、俺にとっても生まれる前からそうだからな。今の世の中に疑問を持っているのは旧西暦を知る老人たちくらいさ。・・・この上海ドミニオン以外はな。」

 

「・・・含みのある言い方ね。」

 

「この上海ドミニオンは俺たちから見ても異質でな・・・独立国家を謳っているが政府や明確な統治者は存在しない。より巨大な企業に強い決定権がある。そのため違法な兵器開発や生体実験も黙認されている。」

 

「あなた達の制御体連合国家とは真逆ね。そんな仕組みでは生活できずに犯罪を犯すものも多いでしょうね。」

 

「むしろ、他の国で犯罪を犯したゴーストがこの国に流れ着いてくることも多いみたいよ。」

 

(まったく・・・過去の時代とは言え、ここまで世界の情勢が混乱しているなんて・・・混乱の時代とはよく言ったものだな。)

 

「私たちはこの国でタッカード社を調べればいいのね?」

 

「メルコール・コングロマリットも、本部はイギリスだが今は拠点をこの上海ドミニオンに移している。総帥であるメルコール自身もこの国にとどまっているらしい。」

 

「そのメルコールなる人物が本命というわけね・・・?」

 

ヴィレッタは魔魁の話を聞きながら、ビルが立ち並ぶエリアから徐々に人気のない路地裏の方へと歩いていく。

 

「でもどうしてそれが分かったの?各ドミニオンには制御体の目が無いのに・・・現地の警察から情報提供でもあった?」

 

今度は衣世が魔界に問いかける。

 

「現地の民営警察は巨大企業の下請けでしかない。犯罪者には上層部が賞金を懸け、賞金稼ぎが躍起になって捕まえる。現地警察はその犯罪者を牢に入れておくだけだ。」

 

それで秩序を保っているつもりならば、とんでもない話だ。こういう国にこそ制御体による監視が必要だろう。

 

「けれど現地警察がその有様だと、私たちだけではどうすることもできないだろう。」

 

「他に協力者がいるのさ・・・・!?」

 

歩を進め、如何にもと言ったスラムの繁華街にたどり着いたところでそれは突然現れた。

上半身の筋肉が発達した人間の体に、獣のような顔と鬣、そして全身には爬虫類のような鱗を纏った怪物が現れた。

 

「クリーチャーだ!クリーチャーが出たぞ!!?」

 

スラムの住人が怪物を見て叫ぶ。

 

「協力者って、この怪物の事かしら?」

 

「違う!」

 

ヴィレッタと魔魁は銃を、衣世はハンマーを構える。

クリーチャーは空中に飛び上がり、回転しながら向かってくる。ヴィレッタと魔魁が銃撃し、衣世がスパイラルキックで迎撃する。

 

「とどめよ!ロケットハンマー!」

 

衣世のハンマーの頭が柄の部分から切り離され、炎を発しながらクリーチャーに向かって飛んでいった。

次の瞬間、それを遮るように獣の影が現れ妨害する。

 

「おいおい、なに人の兄弟を虐めてくれてんだよ?・・・ってお前、バイオロイドか・・・」

 

現れたのはクリーチャーに比べて人間に近いフォルムの犬ようなの怪人だった。

 

「先に襲い掛かってきたのはそいつの方だ。」

 

魔魁が怪人にそう反論する。

 

「仕方ねえだろ、人の縄張りに踏み込んじまったんだからなぁ!」

 

怪人はそう言いながら襲い掛かってくる。

 

「お前、アンディ・ブラッドか?」

 

魔魁は怪人の拳を受け止めながら訪ねた。

 

「変わった知り合いがいるのね。協力者って彼の事かしら?」

 

「だから違うって!半年前、旧ロサンゼルスの生化学研究所から脱走した生物兵器。その後アンディ・ブラッドと名乗り、世界各地で騒ぎを起こしている逃亡犯だ。この上海ドミニオンでも賞金を懸けられている。」

 

「逃亡犯だと!?俺が悪いってのか!?勝手に生み出しておいて生体兵器が禁止されたとたんに殺処分にされそうになったんだぞ!」

 

アンディ・ブラッドはそう言ってあらためて魔魁に襲い掛かる、衣世が横合いからそれを防ぐ。

 

「・・・魔魁はやらせない!」

 

「何だお前、なんで生物兵器のくせに処分されずに人間と一緒に居んだよ!!」

 

アンディはそう激高し素早い動きで衣世に連撃を加えていく。

 

「くっ!・・・ローリングハンマー!」

 

衣世は身体を縦回転させながら同時にハンマーを振り回す。

 

「フットスマイル!」

 

アンディもまた同じように縦回転からの蹴りを繰り出し、互いの技が激突する。両者が退がり体制を立て直そうとする瞬間を狙って魔魁とヴィレッタはアンディに発砲するも、アンディはそれを難なく避ける。

 

「コイツ!?」

 

その動きにヴィレッタが驚く。

 

「邪魔すんじゃねえ!」

 

アンディがそう言って雄たけびを上げると、下水道から数体のクリーチャーが現れる。

 

「ちっ!」

 

魔魁とヴィレッタがクリーチャーに阻まれる中、衣世とアンディの戦闘は継続する。

 

「ファイアストーム!!」

 

衣世が今度は横回転しながら炎を纏いハンマーを振り回す。

 

「あめえよ、大地列伝!!」

 

アンディは地面に衝撃波を走らせ衣世を迎撃した。

 

「くっ、まだ・・・。」

 

衣世はかなりのダメージを受けたが、なんとか立ち上がる。

 

「さがっていろ衣世、こいつは俺がやる。」

 

魔魁はそう言ってノーチラスをしまい、拳を構える。

 

「本気で行くぞ!」

 

(銃を使わない方が本気なのね・・・)

 

「気を付けて魔魁、こいつ私より速いわ。」

 

衣世が魔界にそう助言する。

魔魁がアンディとの戦闘を開始する。アンディはそのスピードを生かし魔界に加熱式クロ―や蹴りで攻撃を加えていく。

魔魁もまたそのスピードに合わせて要所でカウンターを入れていく。

 

「なんだよコイツ、これが人間のパワーか!?」

 

「スピードそのものよりも、この獣じみた動きがやっかいだな・・・」

 

魔魁とアンディが互いを厄介な相手だと認識する。

 

「まどろっこしいのは辞めだ!」

 

アンディの前身がエネルギーに包まれる。

 

「なんだあの力場は、ただのバイオロイドじゃないのか!?」

 

魔魁が危険性を察っし咄嗟にソニックバスターを撃ち込むもチャージが足りずアンディのエナジーフィールドに阻まれる。

 

「超・大地列伝!」

 

アンディがそのパワーを地面に叩きこもうとした瞬間、一陣の疾風がアンディに超高速で接近しその技を遮った。

 

「そこまでだ、アンディ・ブラッド」

 

現れたのは全身に青いプロテクターを身につけた男だった。

 

「若きスラムの帝王、ハン・ジュン。こいつは旗色が悪いな。ここは退かせてもらうぜ!・・・おい猫娘、お前も処分される前に早くそいつらから逃げることをお勧めするぜ。」

 

アンディはそう言い残してクリーチャーたちと下水道に入っていった。

 

「大きなお世話よ!魔魁は私を捨てたりしないんだから!」

 

アンディの言葉に衣世は戸惑いと怒りをあらわにした。

 





【キャラクター出典紹介】
 
クリーチャー    [電神魔傀(AC)][ゴーストチェイサー電精(SFC)]

アンディ・ブラッド(CV:二又一成) [アームド・ファイター(PS)]
ハン・ジュン(CV:森川智之)    [アームド・ファイター(PS)]



【ゲーム概要】

[アームド・ファイター]
1999年にプレイステーションから発売された3D格ゲーです。
プロデューサーとして寺田さんが、アシスタントプロデューサーとして森住さんが参加されています。



【ちょっと語らせて】

クリーチャーはキャラクターとして紹介しちゃいましたが、ステージの途中に登場するただの雑魚キャラです。

アンディ・ブラッドの加熱式クロ―はゲーム内のシナリオでは装備として紹介されていますが、実際にプレイしてみると他のキャラ同様、パンチとキックで戦います。クロ―なんて一切使いません。
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