スーパーロボット大戦OG Time Dive Fighters   作:舟太郎

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4話 刑事と探偵

「久しぶりだな、魔魁元聖。余計な手出しをしてしまったかな?」

 

一行はハン・ジュンに案内された中華料理店の応接室に腰かけていた。

 

「いや、助かった。ハン・ジュン」

 

魔魁とハン・ジュンは互いに軽く挨拶をかわす。

 

「協力者って、彼の事かしら?」

 

ヴィレッタが魔魁に三度尋ねる。

 

「ああ、この上海ドミニオンで[若きスラムの帝王]と呼ばれる賞金稼ぎだ。彼が現れてからはこのスラムの有様も幾分かはマシになった。」

 

(これでマシになったと?)

 

外では今もあちらこちらで争い合う喧騒が聞こえてくるし、どうやら先刻の様にモンスターが現れることも少なくはないようだ。

 

「それで、タッカード社の様子は?」

 

「ここ最近、ニューヨークドミニオンの大統領、プレジデント・マークがタッカード社に出入りしているようだ。」

 

「プレジデント・マーク、大物だな。」

 

「・・・ニューヨークドミニオン。」

 

(メテオ2が落下した都市・・・それがこの上海ドミニオンの様に都市国家として確立しているのか?)

 

ヴィレッタがぼそりとつぶやく

 

「そちらは?」

 

「TDFのヴィレッタ=バディムよ。今は縁あってゴースト課に間借りしてるわ。」

 

「TDFとゴースト課が協力して犯罪捜査を行っているのか。それはいいニュースだな。」

 

「そんなに特別な事なの?」

 

ヴィレッタの所属していた鋼龍戦隊では様々な立場の人間が当たり前のように協力して戦っていた。そのせいか組織のしがらみを感じることは少なかった。

しかし、この時代ではそうではないらしい。

 

「それでそのプレジデント・マークとは?」

 

「ニューヨークドミニオンのリーダーであり、アームド・ファイターのチャンピオンだ。いろいろときな臭い噂の絶たない男だが、国民からは絶大な支持を得ている人物だ。」

 

「アームド・ファイター?」

 

「アームズと呼ばれる対人戦闘用機動強化服を身につけて戦う戦士の総称さ。俺もその一人だ。」

 

ハン・ジュンが自分の身につけているプロテクターを指さしながらそう答える。

 

「タッカード社が開発した軍事用の強化服だったが、その携帯性や攻撃力の高さから、アームズは戦場意外にも急速に普及していった。そして、アームズを身にまとい己の目的のために戦う者たちをアームド・ファイターと呼ぶようになっていったのさ。」

 

「ハン・ジュン、あなたのアームズもタッカード製なのかしら?」

 

ヴィレッタがハン・ジュンに尋ねる。

 

「いや、俺のアームズは自作さ。アームズはあくまでも強化服の総称であってタッカードが独占しているわけじゃない。元をたどれば日本の加輪上重工の[強化歩兵案]、そしてアメリカのハバン社による[AS(アーマード・ソルジャー)計画]を経て開発されたものだからな。」

 

近藤の話でハバン社の名はあったが、加輪上重工という名は初耳である。

 

「俺のノーチラスやお前に渡したビーグル、それにジェイスワットの装備全般を開発している企業だ。TDF極東支部との共同で行っていた秘密計画[強化歩兵案]だったが計画は頓挫。どういった経緯かは解らんが、その技術はTDFワシントン支部を通じてアメリカのハバン社に渡っている。そしてそのハバン社が[強化歩兵案]の技術を応用して提出したものが[AS計画]だったはずが・・・いつの間にかタッカード社がそれに酷似したアームズを開発、そこにはニューヨークドミニオンの大統領が一枚かんでいる可能性が高いと踏んでいる。」

 

今度は魔魁がヴィレッタにそう説明する。

 

「そして今、ハンドガンナーズがばらまいている[オリジナル]の製造に関しても、元々はハバン社に目星をつけていたんだが、どう考えてもハバン社には世の中に出回っている[オリジナル]の数を生産する力は無い。」

 

「アームズと同じようにハバン社の技術がタッカード社に流れ、タッカード社によって量産されている、そしてそこにはプレジデント・マークが一枚かんでいると?」

 

それまでの話を聞いてヴィレッタがそうまとめたところで、一人の少女がお茶を運んでくる。

 

「どうもありがとう。」

 

「・・・・・。」

 

ヴィレッタが礼を述べるも、少女から返答はない。愛らしい顔をしているがよく見ると肩と腕部のフォルムが不自然に大きい。

 

「それもアームズなのかしら?」

 

「その娘はハウスキーパータイプのアンドロイドさ。スラムに打ち捨てられていたのを拾って修理した物だ。マオ・シェリンという名前だ、と言っても所詮は機械、まともなやり取りは期待するだけ無駄だぞ。」

 

ハン・ジュンがそう説明する。

 

「ロボットにだって心は宿るわ。」

 

ヴィレッタはアンドロイドと聞いてむしろマオ・シェリンに興味を持つ。

 

「・・・ほう、クールそうに見えてロマンチストなんだな。悪くない。」

 

ヴィレッタの反応にハン・ジュンは嬉しそうな顔を見せる。

 

「私はヴィレッタ=バディムよ。よろしく、マオ。」

 

「・・・・・。」

 

ヴィレッタが改めて挨拶をするも、やはりマオからの返事は無かった。

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

「あそこがタッカード社の工場・・・」

 

魔魁はヴィレッタと共にタッカード社の工場を訪れていた。

 

「衣世は置いてきて良かったの?」

 

「ああ、アンディ・ブラッドにやられたダメージが残っていたからな。」

 

「身体よりもメンタルの方が心配ね。あの時衣世は、明らかにアンディ・ブラッドの言葉に動揺していたから・・・。」

 

(私にとっても他人ごとではないがな・・・。)

 

ヴィレッタはイングラムによって枷を外されたおかげで今こうして自分の意志で行動できているが、彼女もまた本来はバルシェムとして使い捨ての兵隊に準ずるはずだった存在だ。

 

「あんな言葉を気にする必要はないんだが・・・俺にとって衣世は道具でも兵器でもない、大事な相棒だ。」

 

そんなやり取りをしていると工場の入り口にやたらと派手な男が現れ、中を覗いていた。赤いシャツに白いベスト、長い髪を後ろでまとめている。

 

「あの男は・・・」

 

魔魁が呆れるような顔を見せ、男に声を掛けた。

 

「こんなところで何をしている、ヘボ探偵。」

 

「これはこれは不良警官殿、よしなに。」

 

魔魁に話しかけられ男は余裕の表情でそう言い返す。

 

「魔魁、知り合いかしら?」

 

「天斉小五郎、何度か事件の現場で遭遇したことがある私立探偵だ。と言っても腕っぷしだけが取り柄で推理や調査の方はからっきしだがな・・・。」

 

(・・・似た者同士じゃない。)

 

「お困りの際には天斉探偵事務所をご用命を・・・お嬢さん。」

 

「・・・・・。」

 

ヴィレッタは反応に困る。鋼龍戦隊にもナンパな人間は何人かいたが、軽薄な態度で彼女に接しようとする者はいなかった。

 

「それで・・・その探偵がこんなところで何をしている?」

 

小五郎の態度に反発するようにヴィレッタの口調が固くなる。

 

「人探しの依頼を受けてな、こちらのお嬢ちゃんがその依頼人さ。」

 

小五郎はそう言って後ろに控えていた、明らかにまだ10代くらいの東洋人の少女を紹介する。

 

「フェイ・エムラです、よろしくお願いします。」

 

ピンク色の愛らしい意匠のアームズを身につけた少女はそう名乗り、行方不明の父親捜しを天斉探偵事務所に依頼したことを告げる。

 

「エムラ博士の名は効いたことがある。かつては加輪上重工で[強化歩兵案]の肝である[強化軍服]の開発に従事していた科学者だったはずだが・・・。」

 

「つまりその父親がアームズの開発者として今はタッカード社に勤めている可能性が高いと・・・?」

 

魔魁の説明を聞いてヴィレッタがそう推測する。

 

「だとしたら、行方をくらませる理由はなんだ?」

 

ヴィレッタ達にとってタッカード社は調査対象だが、一般的には大企業である。隠す意味がない。

 

「いや、結論から言えばエムラ博士は現在、タッカード社には在籍していない・・・。」

 

「・・・探偵、ヘボなのもほどほどにしておけ。だったらどうしてお前はタッカード社を張ってるんだ?」

 

「まったく、悪態をつかなきゃ話もできないとは、それでよく警察官が勤まるもんだ。・・・最近、カイ・シュリスという違法なアームズを身につけた男がタッカード社の関連施設を単身で襲撃している奴がいてな、そのアームズには黒い山羊の刻印が施されているんだが・・・。」

 

「父が関わっていたであろうプロジェクト[GOAT]のマークがその黒い山羊の紋章だったんです。」

 

フェイは小五郎の話を遮るように口をはさむ。

 

「カイ・シュリスか、何度かあったことがある・・・たしかタッカード社のテストファイターだったはずだ。・・・近藤さん、何かわかるか?」

 

魔魁はそう言いながら近藤に連絡を入れる。

 

「愛想が無いわりに意外と顔が広いのね。」

 

「ヴィレッタ、愛想に関してはお前には言われたくないな。」

 

魔魁がヴィレッタにもっともな反論を行う。

そこへ通信機から近藤が話しかけてくる。

 

『そのタッカード社での新型アームズのテスト中にカイ・シュリスをはじめとする数名のテストファイターが何者かに襲撃された。メンバーはカイ・シュリスを残して全員死亡とされている、残ったカイ・シュリスもその後行方をくらました・・・。』

 

「そのカイ・シュリスが今になって現れ、違法なアームズを用いてタッカード社を襲撃していると?」

 

「不可解ね・・・。」

 

魔魁とヴィレッタは襲撃されたタッカード社のテストファイターがタッカード社の施設を襲っていることに疑問を抱く。

 

「とにかく、つまりお前たちのマトはタッカード社ではなく、その襲撃者、カイ・シュリスという訳か・・・。」

 

その時、タッカード社の施設内から爆発音が聞こえてきた。

 

「やれやれ、曹操の噂をすれば曹操がやってくるって奴かな?」

 

「どちらかと言えば遼来来と言った状況ね。」

 

小五郎とヴィレッタがそんな事言っている間に魔魁はノーチラスを構え、フェイはアームズを起動させた。

 

「言っている場合か!探偵、お前も付き合え!」

 

「よしなに、刑事さん。」

 

 





【キャラクター出典紹介】

マオ・シェリン(CV:藤野かほる) [クリティカルブロウ(PS)]
フェイ・エムラ(CV:高橋美佳子) [アームド・ファイター(PS)]

天斉小五郎(CV:関俊彦)   [プロジェクトクロスゾーン(3DS)]



【ちょっと語らせて】

このままでは古いマイナーゲームのキャラばかりになってしまうので、急遽プロジェクトクロスゾーンから天斉小五郎さんに登場していただきました。生身でも強くて警察と関われそうな忍者探偵、なんか丁度良い設定だったので。
新西暦に天斉探偵事務所が存在したのかとか、PXZがそもそも封印戦争直後の話なのでタイミングがかぶってるとか、細かい事は気にしない。
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