【Freu(n)den】柚子がレイに戻ってしまった件について   作:ところで例の件だが

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ドイツ語
Freunden……友達(複数形)

わずかな希望になるかもしれないもの


Freunden

「彼は決意を決め、世界を再度分離させようとした。しかし、統合しつつある世界を無理やり、しかも再度分離させることはとても危険なことだった。四つに分離どころか、千々に千切れて、世界が世界として機能できない危険性があった。つまり、世界の崩壊を招く可能性が高かった。俺を含む多くの人は彼を止めようとした。しかし、出来なかった」

 

「そんなにデュエルが強かったの?」

 

「そうじゃない。彼はデュエルに負けそうになったら相手のデュエルディスクを叩き割ったり、不正カードを使って無効にしたり、自身の得意な領域に相手を引き摺り込んだりした。そして、デュエル関係なしにカード化したり、洗脳して尖兵として扱ったりした」

 

「もうデュエル関係無くね、それ?」

 

「そうだね。もう関係ないね。彼はデュエルをぞんざいに扱った。デュエルこそがズァークが強い力を持てる最大の理由だったのに。そして、僕のデュエルディスクを叩き割った彼が世界を分離できる場に来た途端、とうとうデュエルパワーは底を突き、すべてのカードは石化し、力を失った」

 

「エネルギーが尽きたってことは世界の再分離を防げたってことだろ? 良かったじゃないか」

 

「そうでもないんだ。この世界そのものが『デュエル』と『カード』で成り立っていたんだ。それらの力を失った今、世界はいずれ完全消滅する」

 

「どっちにせよ、世界は滅ぶのね」

「うわー、面倒くせぇ」

「……ってか、そもそも『デュエル』って何?」

 

 舞網市のファーストフード店。

 シェークとポテトの片手間にするには物騒過ぎる話題だ。唇に付着したケチャップを親指で取りながら、刀堂刃が呟く。

 

「なんで、真澄もこんな奴、拾っちまったんだか」

 

「仕方ないだろ。僕たちが高校の合格発表の結果を伝えに進学塾に来たとき、赤馬社長に門前払いされている『此の男』を真澄が思わず助けてしまったんだから」

 

「だって、可哀そうだったし。ねぇ、貴方、本当に社長の知り合い? 社長は貴方のこと知らないって言っていたけど」

 

 その呟きに志島北斗が乗っかり、助けた張本人の光津真澄が質問する。

 

「『デュエル』が完全に無くなってしまったからね。だから、この世界から『デュエル』に纏わる記憶も全て消滅してしまった――絆も何もかも」

 

 寂しそうに笑う男に進学塾の三人組は顔を見合わせた。なんとも吹っ飛んだ話だ、ファンタジーにも程がある。

 

「貴方を助けたとき、最後まで話を聞くって言っちゃった以上、どんな与太話でも聞いてあげるわ。それで貴方は私達に何をして欲しいの?」

 

「デュエルをして欲しい」

 

 男が真面目くさった顔で言う。その顔を見た三人は目を点にしてしまった。

 

「デュエルをして欲しい、と言ったって、僕たちはデュエルを知らないから出来ないよ。ほかを当たってくれ」

 

「そうだ、君たちを含めて、この世界の住人はデュエルを知らない。だから、もっと遠くの別世界の、別次元の、別の時間軸――つまり、パラレルワールドからデュエルを学ぶしか方法が無い。この世界の住人である君たちがパラレルワールドでデュエルを学ぶことで、君たちを介して、この世界がデュエルを思い出す。皆にデュエルの記憶が蘇り、またデュエルができる世界に戻れるはずなんだ」

 

「おい、真澄! この男、やっぱり変だ! 話を聞くのは辞めようぜ!」

 

 刃が真澄に意見する。しかし、真澄は目の前にいる男同様に真面目くさった顔付きで、彼に問い掛けていた。

 

「私たち、四月から高校生なの。それって、春休み中に終わることかしら? そもそも無事に帰れるの?」

 

「次元転送装置の動作に問題は無かった。時間のことについても気にしなくて良い。向こうと此方の時間の流れは異なるから、思っている以上に早く帰れるはずだ。君たちの安全は保証するよ、絶対に」

 

「安全を保証するなら、どうして貴方はいかないの?」

 

「僕は……もうデュエルを楽しめないんだ」

 

 男は目を伏せて応えた。

 

「パラレルワールドに行った際、君たちがデュエルで感じた気持ちと感情がダイレクトに世界に影響されるんだ。だから、デュエルを楽しめず、デュエルを手段にしか思えなくなってしまった僕が行ったところで、デュエルはただの手段として、この世界に蘇るだけになってしまう」

 

「よく分からないけど、デュエルというものは戦うための『手段そのもの』なんでしょ?」

 

「そうではない。そうではないんだけど、僕はもうそれを思い出すことは出来ない」

 

「でも、デュエルとやらが蘇ったら、また榊遊矢だっけ? が世界を分離するために大暴れして、世界がまた大変になるじゃない?」

 

「裏を返せば、今は何処へ行ったか分からない彼が僕の前に再び現れるチャンスにもなる」

 

「現れたら貴方はどうするの? デュエルとやらをして、彼を止めるの?」

 

「いや、デュエルはしない。そもそも、彼はデュエル(決闘)をしない。ただ自分が勝つためだけに攻撃をしてくるだけだ。だから僕は僕の命を代償にして彼を……榊遊矢を斃す!」

 

 そう言い切った男の瞳は火を入れた炉のように燃え盛っており、真澄は「ふうん」と漏らした。

 

「まさか、真澄、こんな見知らぬ男の与太話を信じる訳じゃないよな?!」

 

 北斗の問い掛けに真澄は応えた。

 

「私たち、中学校は別々で進学塾だけの繋がりだったじゃない?」

 

「え? まぁ、そうだけど、それが何の関係が……?」

 

「私は北斗と刃と友達になれて良かったって心から思っているの。でも、高校はバラバラだし、私なんて遠くに行っちゃうし、塾も今日でオシマイだし、四月から新しい生活が始まったらきっと今まで通りの仲には戻れないと思うの」

 

「真澄……」

 

「だから、最後に北斗と刃との三人の思い出が欲しい。一夏の冒険とも言える思い出が」

 

 真澄は瞳を宝石のように輝かせて言った。

 

「私、行くわ。それに貴方の瞳、ちっともくすんでやしないんだもの」

 

 行く気満々の真澄に、北斗と刃は顔を見合わす。しかも、自分も行くことになっている。こんな訳の分からない男の与太話を信じるなんて論外だ、此処は反論せねば、と北斗が思った瞬間だった。

 

「一夏ならぬ、中学生最後の冒険か。胸が踊るじゃねぇか!」

 

 単純な性格の刃に北斗は頭を掻き毟りたくなった。

 

(どうする? ……ってか、このままだと僕だけ除け者……?)

 

「北斗は行きたくなさそうだし、二人で行くしか無いわね、刃」

 

「仕方無い。二人で頑張るか、真澄」

 

「待ってくれよ! 行かないとは一言も言っていないじゃないか! ええい、僕も行くよ! 二人だけ危険な真似はさせないからな!」

 

「決まりね!」

 

「ありがとう、三人共!」

 

 男は平伏する勢いで感謝の言葉を告げる。

 

「なら早速転送装置のところへ行こう! 移動しながら詳しく説明するよ。榊遊矢の父親、榊遊勝が何を企んでいるか分からないうえ、僕のデュエルの記憶もいつまで保つかどうか」

 

「ちょっと待って。私たち、貴方の名前も知らないわ」

 

 一秒でも惜しいと駆け出す男に真澄が声を掛ける。その声に男は振り返ると、自己紹介をした。

 

「僕の名はデニス、デニス・マックフィールドさ」

 

 

 

おわり




この後……

真澄・北斗・刃の三人は様々な遊戯王世界に渡り、遊戯王の主人公たちからデュエルの楽しさ・誇り・絆を教えてもらい、三人は自分等の世界にデュエルの記憶を奪還させることに成功する。
それと同時に世界の分離を目論む榊遊矢が現れ、デニスがデュエルを介さずに遊矢ごと自爆(相打ち)をしようとする。
そんなデニスを真澄たちは止め、遊矢にデュエルの楽しさを思い出させようとデュエルを申し込む。

デュエルのチカラを信じず、デュエル中に花火を打ち上げる、ビーチフラッグをし始める、デュエルディスクを壊そうとする、不正カードを使って強制終了を狙う遊矢に、真澄たちはデュエルの楽しさを伝えることが出来るのだろうか?

そして、榊優勝の狙いは?

書きたいところだけ書いたので、話はここまででございます。





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