番外戦士になりたい蜘蛛騎士くん   作:熊0803

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プロローグを追加させていただきます。

楽しんでいただけると嬉しいです。


プロローグ : 怪人総進撃

 

 

 

 破壊された都市。

 瓦礫が散乱し、まともに立っている建物も殆どないほどに荒れ果てた場所では今、まさに人類の行く末を決める決戦が始まろうとしていた。

 

『オオオォォ!!アルファァァァ!!』

 

 全長50mを優に超える肉の怪物。流動する紫の肉塊はかろうじて生物の形を保ってこそいるものの、理性は既に失われ、ただ周囲に破壊をもたらす災害と化していた。

 

 名を【オメガ】。怪人たちの王である。

 約一年前、突如として日本に現れた人類の敵である怪人。その親玉であり、怪人を生み出す能力を持った存在である。

 

 そして、この荒れ狂う肉塊に立ち向かう4人の戦士がいた。

 

「お前ら!!今ここでとどめをさすぞ!!」

 

 黒色の戦闘スーツを纏う少年が、スーツの調子を確かめながら声を張り上げる。

 

「うん!!」

「ここが正念場や!!」

「気合入れるよ」

 

 それに応えるのは、赤、黄、青の彩色豊かな戦闘スーツを纏った少女達。

 方やライダー、方や戦隊ヒーローのような様相の4人組は、自分たちよりも遥かに巨大なオメガに臆することなく攻撃を開始した。

 

 

 

 その戦場からかなり離れた地点。誰にも知られることなく蠢く者達がいた。

 二足歩行でありながら、人間からは明らかに離れた姿をした異形の存在、怪人である。

 

「オメガ様が奴らを引き付けている今こそが好機。1人でも多くの人間を殺し、黒騎士とジャスティスクルセイダーに絶望を与えてやるのです!」

「ビィィィム!!」

「ドロドォォォ!!」

「「「ウオォォォ!!」」」

 

 顔がスマホのようになっている怪人の命令と共に、他の怪人たちが歩みを進める。

 ある怪人は顔と両腕に光線銃が付いており、ある怪人は全身が泥で構成されており……各々が特殊な能力を持った、多種多様な怪人達。それらは皆、ヒーロー達との戦いで倒されてきたはずの者たちだ。

 地獄から這い出てきた亡者の群れはヒーロー達の背後をつき、今まさに、無辜の人々の命が脅かされようとしていた。

 

「さあ、往けぇ!!」

「待てぇぇぇぇぇい!!」

「ぬぅ!?」

 

 頭上から降り注ぐ謎の声。怪人達は足を止め、周囲を見回す。やがて一体の怪人が、崩壊したビルの屋上に立つ黒い影に気がついた。

 

「あそこだ!」

「何だあいつは!?」

「トゥッ!!」

 

 勇ましい掛け声とともに、影の主は頭からビルを飛び降りる。

 そのまま宙で反転し、ヒーロー着地で降り立った影の主の姿に怪人達はざわめいた。

 

「なっ、黒騎士!?」

「ギギィッ!?」

「ビィィィム!!」

 

 ある者は驚愕し、ある者は威嚇するように咆哮する。

 彼の姿は先程、オメガと対峙していた黒色の戦闘スーツに酷似していた。

 【黒騎士】と呼ばれる彼らの天敵とも言える戦士の姿を、怪人達は彼に重ねていた。

 

「レーザー怪人ビィム、錠前怪人ロック、汚泥怪人ドロドロ、掌底怪人ハンデス、技巧怪人テクニカ、まなこ怪人アイ……うわ、クモ怪人もいる。見ない顔もいるけど、一部の強敵除いて全員集合。まさにクライマックスって感じだね」

「馬鹿な!?黒騎士は今、オメガ様と戦っているはず……貴方いったい何者です?」

「何者?そりゃあ勿論、君たちを送り返しにやってきた地獄からの使者……って所かな」

「ふざけた事を。たったひとりで我々を相手取ろうとでも?」

 

 そう、一人だ。数では圧倒的に怪人達が有利だろう。

 相手が自分たちの天敵ではないと分かり、怪人達は侮るような視線を少年へと向ける。

 

「ああ、確かにひとりさ。それでも、ここから先は通行止めだ。猫の子、いや怪人一匹たりとて通さないよ」

「どうやら余程の死にたがりのようですねぇ。皆さん、身の程知らずに分からせてあげなさい」

 

 スマホ怪人の一言で、怪人達は少年へと向かって一斉に攻撃を仕掛ける。

 一斉掃射される光弾やビームが大爆発を起こし、辺り一面を覆うほどの粉塵が舞い散った。

 

「所詮、黒騎士の偽物程度では我々の足元にも及びませんでしたねぇ」

「ウェブストリンガー!」

「なにッ!?グッ!?」

 

 突如、一体の怪人が粉塵の向こうへと引きずり込まれるように消える。

 

「がはっ!?」

「ごっ!?」

「ピギィッ!?」

 

 続いて頭上から重たい何かが叩きつけられ、何体かの怪人が悲鳴を上げた。

 直後、響く殴打音。激しく吹き飛ばされる怪人達の影。

 

「グエェェェッ!!グエッ!グエッ!グエェェェッ!!」

 

 煙に紛れてヒット&アウェイを繰り返されていると気づいた鳥のような姿の怪人が、両腕を大きく羽ばたかせた。

 巻き起こる旋風に煙が晴れると、そこには地に伏した怪人達の中に立つ、少年の姿があった。

 

「な……ッ!?これは……」

「この再生怪人軍団を指揮してるのは、そこのスマホ怪人って事でいいんだよね?つまり君さえ倒せれば、君の計画は瓦解するわけだ」

「小癪な……調子に乗るなよ、人間風情が!!」

「黒騎士くん達が頑張ってるんだ、邪魔はさせない!!」

 

 少年と再生怪人軍団による、知られざるもう一つの最終決戦。

 たった1人の戦場で、少年は大地を蹴り宙を舞い、瓦礫から怪人達の攻撃まで利用して戦い続ける。

 

 

 

 

 

 これは、人々の希望と輝く戦士達の舞台裏。喝采なき奈落に秘められた戦い。

 

 

 

 

 人も知らず世も知らず、尊い生命と愛を守る男の物語である。

 

 

 

 

 

 






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