ペルソナ 神器になった少年 作:織田
かなりチートの主人公になるつもりですが、本編入るまでが長くなる予定です
まずはチラシ裏から始めます。
プロローグ
シャドウとは無意識の表層に存在する人間の負の部分が制御できない怪物として現れたものである。シャドウが糧とする人間の負の部分としては、例えば七つの大罪に挙げられる。「暴食」、「色欲」、「強欲」、「憤怒」、「怠惰」、「傲慢」、「嫉妬」など人を罪に導く感情である。これらの感情は意識的に制御しがたいものであり、当然のことながらシャドウの力を自由自在に操るということは容易なことではない。
だがその禁忌の力に魅せられた男がいた。無貌なる神から貶められた哀れな男である。桐条鴻悦という男であった。自分の経営する会社を世界的な大企業とするまでに天才的経営センスを背景にしつつも必死に働き続けて、心を富と名誉など人から羨む称号を得る事で自分の心を満たした。がその結果、心が完全に満たされるわけではなく自分の生きる目的を失ってしまった。
そんな無為の日々を過ごす折に、「偶然」に黄昏の羽とシャドウを入手してシャドウの存在を知った。時間を、空間を操ることのできる神の如き力を手に入れられると男は、新たな生きる目的を見つけた。これで自分の心の空白を埋めてくれる。自分の輝かしい功績にまた新たな一ページが加わるのだと、今まで成功を収めてきた男は当然のように自分の成功を盲信し実験を開始して、・・・・あえなく失敗した。
「ぎゃああああああ■■■■■■■■■■」
「被験者がシャドウに飲み込まれていきます。制御不可です。すぐに鎮圧してください」
目の前の光景はその輝かしい成功とはかけ離れたモノであった。人が、人の命が無残に散っていく。研究員が慌てて被験者のもとに駆け付けるも被験者は黒い霧のようなものに飲み込まれていくだけてある。目の前の光景は男にとって許しがたいものであった。別に目の前の人の命が失われていくことに対して、悲しんでるわけではない。ただ自分にとって汚点となるもしくは破滅する実験結果となることが許しがたいだけである。もし自分が人を実験で殺したという汚点を多くの人々が知ってしまえば、失われてしまう。これまで築いてきた名誉が、富が。それだけは絶対に避けなければならない。富と名誉で心を満たした男は、他者を通じての繋がりを疎かにしていた。
だからこそ、この無貌なる神から目を付けられた。
「実験は失敗ですね。ご当主」
男に話し掛けるのは、黄金の羽やシャドウを男に持ち込んできたメガネを掛けたどこにでもいるような研究員であった。
「失敗?・・失敗だと。貴様どの口でそんな事を言うつもりだ。この実験は他でもない貴様がこの実験を勧めたのだろうが、この事が世間にしれてみろ。ワシは破滅だ」
男は研究員の襟首を掴み顔を赤く憤怒に変えながら凄んだ。
「貴様のせいだ、貴様がこの実験を勧めたのだ。責任は貴様がとるのだ」
「責任?・・・何を言っているのです。そんなもの取らなければよいじゃないですか。今我々がしているのは時間と空間を操る神の力を操る実験ですよ。この程度の犠牲些細なことじゃないですか」
悪びれた様子もなく研究員は男に応じる。その顔にはまるで罪悪感はない。
「シャドウを操る力さえ手に入れば全ては思いのままです。問題なんて存在しませんよ」
「・・・・・この事が暴露されればワシは破滅してしまうのだぞ」
「ここにいる皆は同罪ですよ。多くの人の命を奪ったという意味でね。だから裏切り者がでないようにしないといけませんね。そうすれば何の問題もありません」
「・・・・・絶対に成功させるのだな」
「それはモチロンです」
研究員はよどみない口調で嘘を吐く。まるで信頼の存在を全く信じていないように嘘を吐くのだ。
「・・・・・なら良い。研究員に今の実験を続けさせろ。絶対にばれない様に共犯者にしてな。ワシの富や名誉が失われるぐらいなら・・・・」
「世界が終ってしまった方が良い・・・ですか」
男の狂気に染まった呟きに続ける形で研究員は言葉を続ける。男はジロリと研究員にただ視線を投げかけるも無言のまま踵を返してその場から立ち去っていく。研究員は最後の狂気の意味を吟味すると、口を邪悪としか言えないほどに歪める。
(フッハハハハハハハハッ、ハハハハハハハ。素晴らしい狂気だ。後は適当にシャドウの知識を授けてやれば勝手に行動する事だろう。後は傍観者として行動させてもらうとするか。せいぜいこの『這いよる混沌(ニャルラトホテプ)』を楽しませてくれよ)
無貌なる神から弄ばれた男は自分の空虚を埋めるために行った実験から、歪み始めどうしようもないほどに堕ちはじめる。世界の破滅という道を開くまでに。
また同時に『這いよる混沌(ニャルラトホテプ)』すらも計算外となったことが唯一つあるとしたら。
実験の中で「神器」となる少年を生み出してしまったことだろう。