ペルソナ 神器になった少年 作:織田
あとストレガが原作どおり桐条武治の実験として取り上げるつもりです。
シャドウの力を元にした「時を操る神器」を作るに当たって実験のアプローチとしては二つのアプローチが当初より考案されていた。
まず一つ目は純粋にシャドウそのものを集めて研究するという方法だ。シャドウの特徴を科学的に分析することで、制御方法も見つかるのではないかと考えたアプローチの仕方でエルゴ研究所にいる大半の研究員は、その部署に所属していた。岳羽詠一朗など優秀な研究員を外部からスカウトしてきて、大半の研究員が所属する。シャドウの力を操るに当たってシャドウそのものを操るという考え方は考案されていたアプローチの中では主流とされていた。所謂、メインともいえる部門であった。エルゴ研究所の第一部門である。
多くの研究者はシャドウという未知なる力に魅せられやりがいのある仕事だとして没頭した。実際この部門では桐条鴻悦に近い立場のある「研究者」のおかげで多大な成果を残すことに成功している。ある「研究者」は研究者にシャドウに関する知識を与え、明らかに20世紀の科学ではオーバーテクノロジーではないかと思えるような人型対シャドウ戦闘機を完成させることに成功するなど人知の及ばないはずの領域に到達させたのだ。そのある「研究者」の業績をまるで神のようだ、人知を超えた存在だと研究者がその「研究者」を尊敬し「研究者」に近づこうとしたのも無理はないだろう。まあ大半の研究員はそれで堕ちてしまうのだが。
「ぐああああああ、あああああ■■■■■■■」
「ぎゃあああああ、あああああ■■■■■■■」
「やめて、痛い痛い、イタああああ■■■■■■■」
そして二つ目のアプローチとして考えられた方法とはシャドウを人の体を通して操ろうという実験である。シャドウとは人間の集合体無意識の負の部分が制御を離れてしまうことで現れた怪物である。未来のアイギス妹曰く「自分の暗部を見つめる力がゼロになった時、制御を離れて外へ迷い出る」ものである。言うなれば人間の一部分である為、人間の体を通すことでシャドウの力を操ることができるのではないかという考えのもと始められた実験であった。エルゴ研究所の第二部門で行われている。
実際自分の無意識の負の部分であるシャドウを操るものはペルソナ使いと呼ばれて、実際に存在する。その為ペルソナ使いとしてシャドウと同じ力を操らせるというアプローチの仕方は人道的見地からは間違えているとしか言いようがないが、方法としては間違ていない。
ただある「研究者」が勧めた実験というのが問題ではある。自分のシャドウを制御させることによりペルソナ使いとして覚醒させる実験なら成功の見込みもあるだろう。ただ集めた他人のシャドウを人間に植えつけさせることを通してシャドウを制御させる実験ならどうであろうか。他者の負の部分を植えつけられ自分の力に変えることはハッキリ言って無理どころではない。絶対に失敗する実験である。実際桐条鴻悦の立ち会った第一回目の実験では死者を多数だし失敗に終わった。研究者達も実際この実験は成功率の低いもののとして見なしていて当初の目的とは違うもう一つの目的が存在する。
「もうやめて、この実験は失敗よ。こんな事許されるわけないわ」
涙ながらに若い女研究員は嘆願する。今日初めて実験に参加することになり、被験者に対してシャドウを植えつける作業を行った女性である。被験者に対して実験前に気軽に話しかけて安心させている分優しい性分なのだろう。ただ周りの研究員は無表情で佇むだけである。
「皆、早く実験をやめないと」
「君が殺したことになるね」
「・・!?」
一人の研究員が口を開いたにつれて、他の研究員も徐々に口を開いていく。
「まさか自分は悪いことをしていないとでもいうのかい」
「今日の実験でシャドウを植えつけさせたのは君だぜ」
「何が許されないんだい。君の行為だよ。目を背けるなよ」
「被験者を苦しめているのは君だ」
「人殺し」
「偽善者だね」
「!?私はそんなこと・・・・」
他の研究員は畳みかけるように言葉を重ねる。女研究員は重ねられた言葉に青ざめた顔になりながら声をつもらせる。
「まあ君がどうこの事を捉えるかどうかはどうでもいいさ」
「君がどう思おうとほら」
他の研究員達は心底どうでも良いといった風に扱い、ただ機械が告げる結果を示す。
「ピ――――――ピ――――」
「!?」
無情な電子音が示すのは心肺停止の証だった。自分が殺してしまったという事実に顔を青ざめる。
「そん・な・・」
「まあこれで君も」
「共犯だね」
そしてもう一つの目的が所謂踏み絵というような研究員の共犯としての罪の囲い込みであった。優秀な研究者を危険な実験に関わらせるには、情報漏洩の危険が伴う。其れを防止させるために引きずり込むというのが、もう一つの目的である。シャドウに飲み込まれる過程を観察するという実験を同時にこなすことができるというのが利点でもある。通常この実験に関わって生きている人など存在しない。その為この女研究員も完全な絶望の中に沈んでしまうのが、現実であるはずだったが。
「わあああぁぁぁん、わあああぁぁぁん」
「「「「!?」」」」
小さな少年の声が電子音の鳴り響く研究室の中響いた。女研究員はすぐさま唯一の生存者の男の子のところまで走っていく。他の被験者と違い黒い霧に包まれてシャドウに食われてしまう様子もない。
「馬鹿な生存者だと、これまで生きていたものなど・・・」
女研究員は少年を抱き占める。生きていてくれたことに。偽善であったとしても生きていたことを喜んで。
「・・・・対象が幼すぎた為シャドウを取り込んでしまったのか、だがしかし、それだとかなりの適正をもつことになるな、木下ヒカル。その少年は貴重なサンプルだ。だから・・」
「この子は私が面倒見ます!」
女研究員いやヒカルは涙目になりながらも声を張り上げる。
「あなた達は私の能力が欲しくてこんな事をしたんでしょ。研究には参加するからこの子には手をださないで」
「・・・・フンまあいい。これからは働いて貰いますよ木下先生」
研究員達は無表情なまま今の実験で取れたデータに興味を映した。目に確かな狂気を宿しながら。
その出会いが木下ヒカルと「神器」となる少年の初めての出会いでした。
まだ全然主人公が書けてないな・・・・・