「いやぁ流石にあの数は無理があった!どうにかできなくはないけど如何せん弾が足りない!」
「あんな自信満々で登場したのに酷い体たらくじゃないあんた!?」
「仕方ないだろこちとら仕事帰りなんだ弾数足りないに決まってるだろ!」
「そんな自信満々に言い切られるといっそ清々しいですね……」
「んー、まああの数だったしね……」
「というかさっきその子の言った通りマーケットガードに来られても困るんだ、別にいいじゃないか撤退しても」
『やっぱりさっき自信満々で契約求めてきた人が言う言葉ではないですね……』
「酷い言われようだなぁ僕!」
結局あれから挟み撃ちで不良共の第一波を退けることには成功したものの予想以上に規模が大きい奴らだったのかどこからともなく増援が湧いてきたせいで撤退を余儀なくされてしまった。まああれ以上やったらマーケットガードのお世話になりかねないし撤退以外の選択肢は無いに等しいんだけど……どうも初対面の胡散臭さは抜けきっていないらしい、いやぁ失敗した。にしてもわざわざブラックマーケットに来るなんて一体何が目的なんだか、此処には違法兵器と違法兵器と違法兵器しか独自の物はないぞ、遊び半分で来たわけじゃなさそうだけど……
「にしても君たちはどうしてこんな無法地帯に?美味いもの食べたいなら他所行った方がいいよ、此処大半がぼったくり価格だし」
「え、ええと私はペロロ様限定グッズを買いに……」
「おじさんたちはちょっと探し物を探しに来たんだよねぇ」
「……?あれ目的一緒じゃないの?確かにさっきその子に道案内頼んでたけど……」
「だってあんた胡散臭いじゃない、いつ裏切るか知れたもんじゃない奴よりヒフミの方が信頼できるわよ」
「うーん理不尽、手助け兼道案内って言ったと思うんだけど」
「まあまあ、一応契約した以上そんなことしないと……思うよ?」
「ねえ泣いていい?僕泣いていい?此処まで依頼人に信用されてないの初めて……いや割とあったな」
「やっぱこいつ今からでも契約破棄できないの先生?」
「それは本当に泣くぞ!!!!!!」
いやぁダメか、いつものムーヴが通じるのはブラックマーケット内だけかなこりゃ。かといってこれをやめようにももう染みついちゃってるしこうしないと生きていけないからやめるにやめれないんだけど……
「……というか何処から来たのさ君たち、わざわざ団体様で来るほど外の学園が困ってるとは思えないんだけど」
「私たちはアビドスで、ヒフミがトリニティ。そこの先生はシャーレから」
「うん見事に全部わからないな」
「えっ」
『え?』
「……いやまぁシャーレは知らないだろうけど……」
……あれなんかマズい事言った?
「……流石にトリニティがわからないは嘘でしょう?あの三大学園のトリニティよ?」
「さんだいがくえん……ああ、なんかたまーに聞くねそれ。なるほど、トリニティとやらはその一つなのか」
「いやいやいやいや!?流石に知ってない方がおかしいですよ!?貴方も元々は何処かの学園に通ってたんでしょう!?」
「ん、あー……」
「僕気づいたら此処に居たからさ。もしそういう学園に通ってたとしてもないんだ、記憶。というか此処で生きてく以上そんなものあったところでなんだけどね」
「……」
「……ごめん、聞かなきゃよかった」
「ご、ごめんなさい……無神経なこと言っちゃって……」
「いや別に気にしてないしなんなら気にも留めてないけど。あんま興味ないし、記憶とか」
正確にはこの世界での記憶が目覚めてからの2年間しかないだけでこの世界に来る前の記憶はあるんだけど……まあ記憶喪失って体にしておこう。
「とりあえずこっちとしては金だけもらえりゃそれでいいのよ、そういうわけで道案内なら任せてくれ」
「……ごめんやっぱり胡散臭い」
「泣いていい?」
「道案内するんだから泣いてもらわれると困るんだよねぇ」
「じゃあやめる」
「やめるんかい!」
「仕事が出来なくて報酬貰えないってのは論外じゃん、ね?」
「一応助けてもらったからちゃんと払うよ?」
「じゃあサボって」
「それはダメ」
「ですよね、んじゃまあ何を探してるのかだけ……」
『ええと、私たちが探しているのは……』
「うん、見事に見つからないね。そもそも廃番兵器って何処から持っていかれたかとかほぼわかんないよ、中古品なのか在庫処分なのかも判明していないんだし」
「流石にかぁ。メアリーなら知ってるかもと思ったんだけど……」
「把握してるのはよく使う店とたまに行く良い店だけだよ。全部の店とか多すぎて覚えられるわけないじゃん。君たちだって地元のあれこれ全部覚えてるわけでもないでしょ?」
「そうですね……それにしてもここまで情報が無いのは妙ですけど……」
「それはまあそうだけど……やっぱりなんかムカつく」
「まあまあセリカちゃん落ち着いて……あ、丁度いいところにたい焼き屋さんがあります!あそこで休憩していきましょう!」
「……おっと、あの店が見えたってことは此処中心街か……こんなとこまで来て大丈夫なの君たち?」
「し、正直大丈夫ではないですが……アビドスの皆さんには助けてもらった恩がありますから……」
「此処まで来た以上何か持ち帰らずには帰れないから」
「アッハイ、心配無用でしたか」
数時間後、アビドス御一行の求める廃番兵器とやらの手掛かりは影も形もなく、気づけば企業様が支配する中心街まで来てしまっていた。……正直此処で違法品扱ってるとは思えないんだけどなぁ。まあいいか、たい焼き買うらしいし便乗しよう、店主とは顔なじみだし顔パスで1個もらえたりしないかな。いやないか、傭兵として会ったことはないし。
「あ、メアリーさんもいります?美味しいですよ」
「それじゃあお言葉に甘えて……うん、いつも通り美味い」
「いつも通りって……もしかして常連だったりするの?」
「プライベートではね、流石に傭兵活動してる中で寄るわけにはいかないよ。支障が出るし」
「あー、道理であんまり店主に顔見せないように……」
「そゆこと、仕事とプライベートは分けておきたいのさ。あ、これもしかしてお金取る奴……?」
「流石にそこまで経済は逼迫してるわけでも……ありますね……」
「なんでたい焼き買う余裕あるの?????」
「まあまあ、とりあえずたい焼き食べちゃいなよ」
くそう、こちとら1週間栄養食品と水、最悪水だけで過ごすこともちょくちょくあるのにたい焼き買う余裕あるなんて……これが経済格差……!
「……思えば2週間ぶりにカロリーバー以外のまともな食品を口にした気がする、うまい」
「2週間……!?」
「何をどうしたらそこまで経済状況逼迫するんですか……!?」
「いや、傭兵って知名度ないと高い依頼とか入ってこないんだよ。弾薬費とかで結構使っちゃうしまともな食事がとれるのなんて1週間に1回あればいい方で……」
「……大変なんだね、傭兵って」
「安定した収入がないからねぇ……とはいえ学籍なし戸籍なしの不審人物が就ける職業なんてこれくらいしかないのよ、世知辛いね」
「……良かったらシャーレで雇おうか?」
「ん―保留、そもそもシャーレが何するところかわからないし」
「そっか、待ってるね」
「諦めないんだ……」
シャーレねぇ、興味はあるけど如何せん何をしてるところかわからないのが怖い。見たところ慈善活動でもやってるっぽいけど裏で何か企んでる可能性も無きにしかずだし……ん?
『お取込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!』
「……あれマーケットガードじゃん、やっば」
「マーケットガード?」
「さっきヒフミちゃんが言ってたと思うけど……まあいいか、隠れな。流石にここで騒ぎ起こすのもまずいって」
追ってきたのかはたまた別の理由かはわからないけど唐突なマーケットガードの襲来。一体何が……現金輸送車?ああ、カイザーローンの……「あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの……!?」……うん?
「あそこは泣く子も黙る暴利でお馴染みカイザーローンだけど……知ってるの?」
「知ってるも何も……」
「……あー、大体察したけど聞いておこうか」
どうも話を聞くにアビドス御一行はカイザーローンからとてつもない借金をしていて毎月の利息を返すので精一杯らしい……億を超える借金とか初めて聞いたぞ、僕の年収何年分だそれ。んでちょっと確かめたいことがあるから証拠を手に入れたい、と……ふむ。
「証拠と言ってもさっき確認してた書類くらいしかなさそうだけど……入手手段あるの?」
「それにもう銀行の中ですし……」
「正直絶望的としか「ホシノ先輩、ここは例の方法しか」な……うん?」
例の方法?
「なるほど、あれかー。あれなのかあー」
「「ええっ?」」
「あ……そうですね、あの方法なら!」
「あの方法?」
「う、嘘っ!?本気で!?」
「まって全然話が見えてこないんだけど、ヒフミちゃん混乱してるし」
「あの方法って……何ですか?」
真面目になんだ、潜入とかでもするのか?
「残された方法はたったひとつ」
「銀行を襲う」
「はいっ!?」
「え、えぇ……?」
……
こいつら、しょうき?
メアリーは こんらん している!