「ムリムリムリムリムリムリムリ!!!!!!!!」
「いやぁ、手伝ってくれるんでしょ?」
「まさかこんなバカなことしでかすとは思ってないよ!!!」
「メアリーは元々フードあるから大丈夫」
「大丈夫なわけあるかぁ!!!!!」
ぼくはいま ぎんこうごうとうの かたぼうをかつがされようとしています わけがわかりません。
「というかヒフミちゃんはなんで逃げないの!?今からやること明確にブラックマーケットを敵に回すよ!?バレたら大変なことになるよ!?」
「さ、流石にこのまま逃げ帰るわけにもいきませんから……」
「変な所で律儀だなぁもう!とにかく僕は絶っっっっっっ対無理だから!加担したら最後ここで生きられなくなるから!」
「生きられなくなるってそこまで?」
「アシが付いたらまず闇銀行とマーケットガードが敵に回る、逃げ切るようなら懸賞金がかかる、四方八方敵だらけでジエンドなんだよこっちは!ブラックマーケットを脱出したところで行くアテもないんだ!確かに手助けするとは言ったが人生棒に振る選択肢を取るわけないじゃないか!」
『さ、流石にメアリーさんも共犯にするのはやめた方が……』
「……うん、胡散臭いとはいえ助けてもらった恩を仇で返すような真似は流石にやめましょう、シロコ先輩」
「ねえ僕其処まで胡散臭い!?」
「……そうだね、残念」
「何が!?」
もうやだ こいつら くるってる。
「というか先生は何か言わないの!?生徒を非行に走らせるの!?先生なのに!?」
「……責任を負うのが大人の役目だからね」
「何をどう!?ていうかちょっと苦笑いしてない!?」
おまえもか せんせい。
「ああもうやってられるか銀行強盗するなら勝手にやってくれ!僕はやらないからな!」
「気が変わったらいつでも言って、覆面は用意してないけど」
「気は変わらないし覆面もいらない!ついでに報酬もいらないから好き勝手どうぞ!」
「あっ、メアリー……」
もう付き合ってられない。コネとかそういうレベルの話じゃない、真面目に生きていく手段を失う可能性のある博打に付き合う程僕は愚かじゃないしマーケットガードを敵に回す勇気もない。あくまで僕が相手できるのはそこらの不良集団が限界なんだ、マーケットガード数人くらいなら勝てるだろうけど大量にとなると……うん、絶対無理!虎の子の「あれ」を使うにしてもタイミングを間違えればなんにもならないだろうし……はあぁ……
やってられるかと匙を投げた僕はアビドス一行から回れ右、関係者だとバレないようそそくさとその場を後にした……間違ったことはやってないよ、ね……
「……集まってるなぁ、マーケットガード。あいつらほんとにやったのか……正気の沙汰じゃない……」
十数分とかそのくらいでカイザーローンの近くにマーケットガードが集まり始めた。どうも本当に銀行強盗した挙句成功したらしい……さっき不良共をのした時も思ったけどあの子達強いなぁ、僕雇う必要なかったんじゃないか?まあいいや、僕にはもう関係のないこ……と……うっそだろ。
「ゴリアテ……?マーケットガードの秘蔵兵器を?わざわざ銀行強盗に?」
マーケットガードに交じって通路を封鎖し始めた白い機体を目にして思わず声が出た。たった1機で不良集団程度ならなんなく制圧できてしまうバ火力マシン、あれを直接見たことはあるけど余程のことがないと持ち出さない筈……やっぱ関わらなくてよかったなぁ、勝てっこないってあんなの。あの子達も制圧されて終わりだろう……契約は破棄したし、僕には何の関係も……
……
でも、流石にたい焼き奢ってもらった恩を何も返さないのは違うよな。ここで何もせずに逃げるのは人として何かやっちゃいけない気がする。……確かに生き抜くのも大事だけど、人として大事な何かを捨ててしまうのは、絶対違う。……うん、決まり。
「♪~♪~」
「……鼻歌?」
「無駄に上手いな……」
「あらそう?良く褒められるんだよねこれ」
自分を鼓舞する意味を込めて鼻歌を歌いながらマーケットガードの皆さんに近づいていく。……ん、アビドス御一行もご到着か、さっきみたいな挟み撃ちになるね。
「というかなんだお前、今こっちは忙しいんだ。とっととどっか、にぃ!?」
「悪いね、多分君たちが捕まえようとしてるの知り合いでさ。そのままドナドナされたら寝覚めが悪そうなんで邪魔させてもらうよ」
「チッ、伏兵か。まあいい、制圧しろ!」
鶴の一声であっという間に囲まれる。流石はマーケットガード、用意周到なことで。でもね……
「たった一人にこれとは怖い怖い、それはそれとしてこれなーんだ?」
「……あ?ただの手榴弾……っておい!?それは……!」
「あ、気づいちゃった?でも遅いよ。年取ってぼけたのか、なっ!」
万が一のために携帯している虎の子、閃光手榴弾のピンを引き抜き投擲。爆発音と共に広がる閃光で一瞬マーケットガードの視界を奪う……一瞬奪えれば充分だ。
「貰うよその盾!」
「何を、おぉ!?」
適当に一人警棒でぶん殴って気絶させ盾を奪い、まだふらついている残りをできるだけ無力化しようと警棒と盾というとても銃社会とは思えない装備で突っ込む。拳銃使ってもいいんだけどこの状況じゃ警棒の方がやりやすい、手あたり次第警棒で顔面を殴って無力化しながら走り続ける。そろそろ隙だらけの時間も終わりそうだ、離脱の準備を……っ!?
「……たった一人潰すためにゴリアテまで使うの?流石に慎重が過ぎない?君たちの狙いはあの覆面集団でしょ?」
「そのたった一人にこれだけやられれば使わざるをえまい、あいつらが此処を通過するまでにお前を無力化すればいいだけのこと!」
「いや通過させちゃだめじゃない?」
「揚げ足取りをぉ!」
「いやだって職務放棄ぃ!ちょちょちょちょ!?」
ゴリアテの両腕に備えられた二門のガトリングが正確にこちらを狙ってきた。ものの数発でパクった盾はあっけなく壊れ、数発モロに喰らってしまう……いってぇ、やっぱり僕には荷が重いってこいつの相手。
「流石に、きっついね、これは……でも僕に構ってる暇ある……?」
「時間稼ぎのつもりか?手負いにかける時間など……」
「いや、後ろ、来てるけど」
「へ?……なんだ、こっちに来るまで少しは余裕がぁ!?」
「……流石に拳銃くらい警戒しとけっての……いつつ……あっぶな!?」
カマをかけて指揮を執っていた奴をぶっ飛ばしつつ、ゴリアテのガトリングを躱すため咄嗟に其処らへんに止めてあった車に隠れて盾代わりにする。持ち主には申し訳ないが多分保険降りるだろうし許してくれ……いてて、やっぱあの機械おかしいって、主に弾の大きさ。ガトリングであれはだめでしょう……よし、射撃終わったな。今のうちに……っ!?
「こんな時に限って痛みで動きが鈍るとか……ある……?」
どうもさっき数発貰ったところが想像以上にやばいところだったらしく、遅れてきた激痛に怯んでずっこけてしまう。……流石に車も壊れちゃったし次は……無理そうだなぁ……
「……あはは、ゲームオーバーかな、これは」
なんとか力を入れて身体を起こせば待っていたのは銃口をこっちに向けたゴリアテ。さっき盾にした車は見るも無残な姿になり他に盾になりそうなものまで走ろうにも銃身が回り始めてるし十中八九詰みである。……目覚めたら何処に居るのかなぁ、人生終わったのはほぼ確定だけどせめてちょっとマシなところに……
「なーんで関わらないって言ったのに此処に居るのかわからないけど」
「お待たせ、メアリー」
「……やっぱり最初から僕を雇わなくても大丈夫だったんじゃない君たち?」
僕を無力化するはずだったゴリアテの弾丸は背後から迫ってきたアビドス御一行+αが攻撃したことで急転換して逸れ、どうにか九死に一生を得る。……わざわざ助けなくたっていいのに律儀なことだ、また貸しを作ってしまったような気がする。
「ま、とりあえず」
リーダー格らしいピンク髪……ホシノだったっけ?の一撃で僕が大苦戦していたゴリアテはあっさり破壊され。
「一緒に逃げる?」
「……それ以外選択肢、ないんだよね」
なんともないような顔で此方に手を差し伸べてきた……ああ。
羨ましいな、その強さ。
『封鎖地点を突破しました。この先は安全です』
「やった!大成功!」
「……まさか本当にやった挙句逃げ切るとは思わなんだ……いっつ……」
「まあやる以外選択肢はなかったからね~って、大丈夫メアリーちゃん?」
「平気……あのハイテク機械様のを何発か貰っただけだから……」
「あのガトリングを!?さっさと言いなさい手当するから!」
「あちょ、フード剥がさないで、やめて……」
「そんなこと言ってる場合か!さっさと脱げ!」
「せ、せくはら……」
アビドス御一行に便乗して逃走し、なんとか安全圏まで逃げることには成功。ただ、傷は隠しきれず無理やり着ていたフード付きのコートを剥がれる羽目に。やめて、とらないで……
「……あーあ、バレちゃった」
「フード剥がしたくらいで何を大げさ……な……」
「……ちゃんと栄養取ってる?」
「取ってるって……別にいいでしょ、個人の問題だし。それに傭兵はあんまり稼ぎがよくないの」
『それにしてもそれは……流石に倒れるレベルのものでは?』
この二年の生活の中で最初に比べて随分とやせ細ってしまった素顔がバレた。最低限の栄養と水だけならまあこうなるよねって話だけど……今は関係ないか、凄い可哀そうなものを見る目で見られている。
「……にしてもマーケットガードに手出しちゃったしこりゃあしばらくブラックマーケットには帰れないかな。ほとぼりが冷めるまでそこらで野宿生活でもしよう」
「野宿って……」
「……こうなるからって契約破棄したはずなのに、なんでメアリーはあそこで……?」
「んー、簡単な話」
「たい焼き奢って貰ったから、何もしないで帰るのは違うと思った。それだけだよ」
「え、それだけ?……って今はそんなことより手当!」
「うん、それだけ。恩は返すものだって昔言われた……気がするからっだだだだ!?傷口を抉るなぁ!?」
「あっごめん……」
「もういい、自分でやる……」
手当しようとしてくる黒髪の子を押しのけ、自分で応急手当を済ませる……あれ、なんで皆目を逸らすの?
『メ、メアリーさん……手当のためとはいえ、こんなところで脱ぐのは、流石に……』
「別によくない?僕は見られて困ることないし」
「ちょーっとおじさんたちが困るかなぁ……」
「あらそう、すけべなことで」
「いやぁ正直これは誰でも……」
「?」
この世界で女性の上裸とか見慣れてるだろうに不思議だなぁ、まあいいか。ささっと応急処置を済ませて服を着なおす、あ、視線戻った。
「……で、帰るんでしょ君たち?じゃあ此処までだね」
「此処までって……アンタはどうするの?」
「さっき言ったでしょ、ほとぼり冷めるまでそこらの自治区で野宿でもしてるよ。マーケットガードに手出した以上戻れば確実に捕まって死ぬより酷い目に遭うのは確定してるし」
「……流石にそんなことさせれないよ」
「ん、へーきへーき。昔は拠点すらなくて基本其処らで雑魚寝してたから。今じゃ毛布すらなくても何処でも寝れる」
「……ならほとぼり冷めるまで、シャーレに居る?」
「あ、諦めてなかったんだそれ。というかそもそも何するところなのさシャーレって」
「何でも屋、かなぁ……多分傭兵と似た感じだと思う」
「へー、ちなみに邪な考えとかは?」
「ない……かなぁ」
「ねぇ今の間は何?」
……シャーレかぁ、ほとぼりが冷めるまで傭兵としては働けないし当然収入も0、まともな飯すら食べられるか怪しいしなぁ……仕方ない。
「……まぁいいや。ほとぼり冷めるまで、ね?」
「うん、別にそのまま部員になってくれてもいいんだよ?」
「かんがえとく、生活が安定するならね」
「あら、意外とあっさり」
「戦利品?」
「誰がだ……まぁともかく」
「少しの間よろしく先生。あんま期待はしてないけど」
「うん、よろしくねメアリ―」
「あ、本名は明かす気ないから」
「別にそれでいいよ」
……成り行きでこうなったとはいえ、ブラックマーケット以外に伝手が作れたのはまあよしとしておこう。……1~2か月経てば大丈夫……だよね?さて、そうと決まればさっさと「ま、待ってって……あれ、メイ!?」……え?
「……アル、何で君がこんなところに?」
「メイこそどうしてこの人達と一緒に!?」
「まって本名言わないでバレ……はあ、手遅れか……」
……本名は明かす気ないって言ったのに絡まれたせいで秒でバレた。許さんぞ陸八魔アル。
・狭間メイ
2年前突然キヴォトスに放り込まれた元男。戸籍無し学籍無し武器無しの難易度インフェルノ状態からどうにかして傭兵メアリーとして生きていく術を身に着けた。尚恥じらいとかそういうのはあんまりないし、まともな食事もあんまりしてない。