ガメラ 星の戦士達   作:黒猫キッド

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01・水の夢

「……」

 久遠 光莉 中学一年の男子生徒。彼はベッドで寝ていた筈だが、何時の間にかこの水中に居り、水中を漂う感覚を感じていた。そして不思議な事に、水中にも拘わらず息苦しさを感じない。

「また…この夢…」

 光莉がこの夢を見たのは、これが最初ではなかった。ここ数日前から同じ夢を何度も見ていたのだった。そして何時も水中を漂っていた。不思議な事にその夢を見ても、一切恐怖心等は抱かなかった。

 また何時もと同じ…そう思っていた時であった。

「!……」

 薄暗い水の奥から、誰かが自分を呼ぶ様な感じがした。

「誰? 誰が呼んでいるの?」

 光莉はその存在に、問いかける様に大声を上げる。すると…

「!??」

 光莉の目の前に、何か大きな存在が近付いてきた。そしてその存在は緑色の瞳で、光莉を見つめるのであった。

 

※         ※

 

「うわぁああ!?!?!?」

 大声と共にベッドから起き上がる光莉。

「ハア…ハア…」

 辺りを見回すと其処は、自分の部屋であり、窓からは朝日が差し込んでいる。すると光莉の部屋に近づいて来る足音が聞こえた。

「どうしたの、光莉君!?」

 部屋に飛び込んできたのは、光莉と同じ年位の、制服の上からエプロンを着けた女の子であった。

「あっ…灯莉…ごめん…夢を見たみたいでね…」

 呼吸を整えながら、光莉はその女の子、灯莉にそう答える。

「もうっ! 起こしに行こうとしたら、急に大声が聞こえたから、ビックリしたよ!」

「ごめんごめん」

 素直に灯莉に謝罪をする光莉。

「もう良いよ。朝ご飯出来ているから、早く着替えて来てね」

 そう告げると部屋を出て行く灯莉。光莉はベッドから降りるとパジャマを脱いで、壁に掛けてある中学の制服に着替えた。

 光莉は先程の夢の事が気になった。

「あの夢…何時もと違かった…」

 妙な不安を感じるのだが、部屋に掛けられたカレンダーを見て、気持ちを切り替えて部屋を出た。

 カレンダーの今日の日付には、『自然教室』と記載されていた。

 今日から行われる光莉が通う中学の自然教室。其処で光莉は自分の運命を大きく変える事になるとは知らなかった。

 「何時もの夢じゃなかったの?」

「うん」

 テーブルに向かい合って座っている光莉と灯莉が、朝食をとりながら話をしている。その内容は今朝の夢であった。

「でっかい生物…かな? それが僕を見ていたんだ」

「最近、そんな夢ばっかり見ているね、光莉君」

 灯莉はそう言いながら、パンを食べる。

 先程灯莉が言っていたとおり、光莉は最近同じ夢ばかりを見ていた。水中を漂う不思議な夢だが、不思議と怖さは無かった。しかし今回に限り、何時もとは違うパターンだった。

「自然教室が近付いて、不安でも感じているんじゃない?」

 そう灯莉が告げると、光莉もそう考えてしまう。

「そうかな…」

「そうだよ。自然教室が終われば、きっと見なくなるよ。それより早くご飯食べよう」

「…そうだね」

 光莉と灯里は朝食の続きを取る。

 

 ※       ※

 

 光莉と灯莉は名前は似ているが、双子の姉弟ではない。光莉は『久遠』という名前であり、灯莉は『音神』という名前であった。

 では何故二人が同じ家で暮らしているか説明しよう。

 光莉と灯莉は生まれた時からの幼馴染であり、親が友人同士であるのが切っ掛けであった。

 光莉は両親と三人家族であり、灯莉は父親と二人家族であった。母親は灯莉が幼稚園の頃、病気で亡くなっていた。

 その光莉の両親と灯莉の父親は、今現在仕事の為にアメリカに渡米していた。その際に光莉の両親が、灯莉の父親に対して、『年頃の娘を一人にするのは不安だろう

? ウチの光莉と一緒に住まわせた方が良いんじゃないか?』と提案し、灯莉は光莉の家に同居する事になった。

 その為今はこの家には、光莉と灯莉だけである。

 

 ※      ※

 

「おじさんは簡単に承諾したけど…幾ら幼馴染とはいえ、同じ年の男の子が居る家に住まわせるなんて、よく出来るよね…」

 自室にて自然教室に持っていく荷物をカバンに詰めながら、光莉が独り言を呟いた。

「そりゃ…僕は灯莉をどうしようとは思わないけど…灯莉がね…」

 光莉は灯莉の事を考えながら思う。

 幼馴染の灯莉は、光莉から見ても美少女であり、可愛らしさと美しさを兼ね備えていた。実際に中学に入学して、既に一月以上経過しているが、何度か告白されているのを知っていた。

 だが告白の理由は、単に灯莉の顔だけではなかった。

「灯莉…胸…大きいからな…」

 本人には当然言えないが、光莉から見て灯莉の胸は、同年代の女子に比べて、圧倒的に大きかった。

「正直僕も目のやり場に困る時もあるし…」

 カバンを閉めながら、溜息交じりに呟く。

「おまけに…好きなんて…言えないよね…」

 先程告白の事を述べたが、実は光莉も灯莉の事が好きであった。だがそれは顔や胸ではなく、純粋に灯莉の事の事が好きなのである。

 だが顔や胸目当てで告白する輩が多い今、自分が告白しても同じ扱いされてしまうと考え、あえて告白をしないのであった。

「それに…僕は只の幼馴染だし…」

「どうしたの、光莉君?」

「わぁ!?」

 何時の間にか灯莉が、光莉の部屋に入って来ていた。

「ど、どうしたの?」

「もう出発しようと声をかけたんだけど、返事が無いから見に来たんだけど…何か、私の事を考えていた?」

 

 僅かに独り言を聞かれたのか、灯莉が尋ねてくる。

「い、いや…何でも無いよ…じゃあそろそろ行こうか? 灯莉は先に玄関に行っていて」

「うん」

 光莉に言われて、灯莉は玄関へと向かう。

「…光莉君…私の想いに気付いているかな…」

 小さく独り言を呟く灯莉。実は灯莉も光莉の事が好きなのであった。だけど幼馴染という考えから、想いを伝えていなかったのであった。

 光莉と灯莉はお互いを想いながらも、相手の想いには一切気付いていなかった。

 

 

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