突然現れた巨大生物…その光景に、光莉を除いた六人は茫然とする。
「お…おい…何だよ…アレ…」
そんな中、何とか慎太郎だけが、声を発する事が出来た。慎太郎の言葉で、他のメンバーもハッとする。
「! おい、あそこ!」
啓介が道の途中に置かれている、資材置き場を示した。
「あそこに隠れるぞ!」
慎太郎の言葉に、啓介、悟、桃華、理亜も賛同し走り出した。灯莉もそれに続こうとしたが、光莉が巨大生物の方を見たまま、立ち止まっている事に気付いた。
「何やってるの光莉君! 早く隠れるよ!」
「!」
灯莉に手を引かれた光莉は、巨大生物の方を見たまま、資材置き場へと灯莉と共に隠れた。
「何なんだよ、あれ…」
資材の陰から様子を伺いながら、慎太郎が呟いた。
巨大生物はその場で立ち尽くして、辺りを見回している。
「あれって…怪獣?」
悟が小さく呟いた。
「それは映画の中での話でしょ?」
桃華がそう返した。
「でもあれは、その映画とかに出てくる、怪獣そのものだぞ?」
桃華の言葉に、啓介が告げる。
「亀の怪獣…なのか?」
理亜が巨大生物の正体を、推測する様に呟いた。
理亜の言うとおり、巨大生物は二足歩行であったが、その姿は亀に酷似していた。
「あんなデカい亀居るかよ…」
慎太郎が再度陰から見て言った。
巨大生物は、まだ辺りを見回している。
「…あの怪獣…何かを探しているのかな…」
灯莉はあの巨大生物の動作が、何かを探している様に見えた。その時…
バッ!
「!?」
突然光莉が、資材の陰から飛び出した。
「光莉君!?」
灯莉は光莉の突然の行動に、理解出来ず叫ぶ。
「何やってるんだよ、光莉!!!」
慎太郎も大声で叫んだ。
「……」
しかし光莉は何も答えずに、巨大生物の方を見つめた。
「!」
すると巨大生物も、光莉の存在に気付いて見つめる。
「逃げろ光莉! アイツお前に気付いたぞ!」
啓介が必死に叫んだ。
普通に考えれば、あの巨大生物は光莉に襲い掛かるかも知れない…資材の陰に隠れた六人は瞬時にそう思った。
「光莉君! 逃げて!」
灯莉は光莉に死んでほしくない為、必死に逃げる様に叫んだ。
「大丈夫だよ、灯莉」
しかし光莉は、穏やかな声で言った。
「え…?」
灯莉は光莉が何故そんな事を言うのか、全く理解出来なかった。
巨大生物は光莉を見下ろしたまま、全く襲おうとはしてこない。それどころか何処か優し気な目で、光莉を見つめている。
光莉は制服のポケットから、あの勾玉を取り出して、巨大生物に見せる様に掲げた。
『…君なんだね…』
「!」
何処からか穏やかな声が、光莉の耳に聞こえた。
「クアァァァ…」
巨大生物は甲高い声を上げると、沖の方へと歩き出した。やがてその巨大な姿は、夜の闇と海によって見えなくなった。
「光莉君!」
すると灯莉が駆け寄ってきて、他の五人もやって来る。
「何だったんだ…あれは…」
慎太郎が茫然と呟くが、それに誰も答えられなかった。
そんな中光莉は、手にある勾玉を見つめていた。
やがてパトカーのサイレン等が聞こえてきて、駆け付けた警察によって、光莉達は保護された。