まじか
ま、いっか
すみませんでした。
「不気味だな」
「あぁ」
支地山に入ってから滝のように襲ってきていた骸骨たちの猛攻が病んだ。
夏油が索敵用に散策させていた呪霊たちにも反応はない。
しかし、それが引き返す理由にならない彼らにとって迷わず足を運ぶことは当然であった。
「傑」
「何だい?」
「鈴木悟って名前、めっちゃ現代風じゃね?」
「ああ、それね。私もここにくる前調べたんだけどさ。鈴木という名字は昔からあるみたいだよ。和歌山から熊野信仰を広めるために全国各地に神官としていたようだから平安にいてもおかしくはないんじゃないかな?」
「へぇ〜」
「それとも下の悟が同じで親近感持った?」
「んなわけねぇだろ」
「あっはは、悪かったね。
それにしても千の術式を持つか……私のように呪霊もしくは式神を操る呪術師だったのかな」
「興味ないね……察するにあの骸骨たちを操ってたんじゃないの?」
「宿儺のように呪物を現代まで残しておける人物なんだ。それ相応の実力ということなんだろうね」
「あっそ。それより俺はなんでこの任務に俺たちが繰り出されたかの方が気になるね」
「それは……」
「こんな辺鄙な地に毎年人手不足の呪術師二人、それも上澄みが。相当上は焦ってんのかな?」
「隠れていた平安の遺物に非術師にも視認可能な未知の怪物の出現、長年隠し通してきた事実が暴かれそうにもなればこうなるさ」
「ほんと人のいない田舎で良かったよ」
「失礼とかないのかい」
五条に呆れにも似た感情を抱きながらも夏油は索敵の呪霊たちへと意識を向ける。
今になっても先ほどまでウジのように湧いていた骸骨の骨一本も見つからない。
(なぜ反撃をやめた。呪力を他のことに割いているのか、そもそもここまではっきりと術式が呪物になっても発動できるものなのか?)
「悟、少し急ごう」
「んぁあ?」
「嫌な予感がしてきた。何より早く終わ……!!」
「どうした」
「二級の呪霊が祓われた」
「そいつってさっきまでの骸骨じゃ勝てないやつ?」
「100体いようが勝てないさ」
「とにかく、その倒したやつを叩くか?呪物の回収が先?」
「呪物に近づくほど怪物の強さは増す。守るように湧いてくるのなら結局当たる」
「強さはわかんねぇけど二級をワンパンできるなら二手に別れるのは悪手か?」
「いや、破壊も任務のうちなんだ。多分呪物を破壊すれば骸骨も湧かなくなるだろう。他の呪霊に反応はない。おそらく敵は一体、私が一人で頂上に赴く」
「オーケー、そいつをぶっ倒したら俺も向かう」
「敵が何体いるかはわからないんだ。油断するなよ」
「はっ!誰に言ってんだよ」
刹那、夏油に入ってきた視覚情報
五条の真後ろに自身よりも数倍は大きな体格、黒と紫の色が混じり合ったボロ布を羽織り、歪な形の頭蓋骨がもつ暗闇から赤い眼差しが二人を見ていた。
明らかな異物であり怪物、夏油の行動が五条に呪霊を飛ばしその場から離すことになるのは咄嗟の出来事であった。
「悟!!」
嫌な予感がした。それが理由だった。五条悟、五条家相伝の無下限呪術を操る彼にとって攻撃はただただ無駄なことにしかならない。だから、夏油自身は五条を庇う必要がなかった。五条を襲う相手が何か特殊な対策を持っている人間である場合その限りではないが、今、五条の後ろにいるのは平安の呪術師の呪物の創造、五条の術式特性を知るはずもない。しかし庇った。その夏油の感じた嫌な予感とはもしかしたら当たっていたのかもしれない。
五条を押し出し、謎の異業の攻撃を受ける呪霊
その末路は「死」そのものであった。
夏油の支配下内の呪霊が死んだ時と同じ反応ではなく明らかに人為的な負のオーラがあたりには広がっていた。
(発見距離から2キロは離れてるぞ!直線でも時速100はくだらない!別個体か!?)
「悟!大丈夫か!?」
乱暴な押し出しで五条が傷つくとは思えないが未知が多過ぎる今、一挙手一投足が死ぬ要因になりうる。
「ノープロブレム!傑、行け!」
「はぁ?!」
「任務は呪物の回収か破壊!移動スピードも応用力もお前んほうが上だ!早く行け!」
事実ではある。このまま五条と夏油二人で目の前の異形を倒すのならば夏油の呪霊を身代わりに優位に立ち回れるだろう。しかし、骸骨が長い間湧き続けていたのなら、先ほどのように雑魚骸骨のポップ数を無くして強力な個体を再び生み出してくるだろう。それが必ずしも1体目を倒す後とは限らない。呪物を破壊して供給を停止させた方が良い。しかし、夏油の懸念はあの異形の繰り出した攻撃、あれはおそらく五条の無限を越えれる。勘と憶測でしか判断していないいい加減な推理だが決して疎かにしては行けない何かが引っ掛かっていた。
その空白の思考に外界から声がかけられる。
「俺たち最強!?」
不意に投げかけられた五条の問い、それはつまり『お前は友を信じれるか?』に他ならなかった。
「ああ、そうだね」
嘴が異様に肥大したペリカンのような呪霊を出現させ夏油は空へと飛び出す。
置き去りになんて言葉にはならないことを願いながらも頂上を目指した。
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「俺が手こずる相手じゃなけりゃいいけどな」
五条はグラスをポッケにしまい戦闘態勢に移行した。
目の前に立つ異形の背後には藍色の円状の浮遊する物体、12のローマ数字を浮かべ時計を連想させる長針と短針を持つそれ、枝のように細く見える骨ながらも力強さを感じさせる腕で握っているのは禍々しいオーラを放つ黒鉄色の鎌
正に死神
(こいつ、術式が霞んでよく見えねぇ)
六眼が写し出す世界には異形の術式情報が重なり合ったように映る。
そして、凍りついた両者の均衡が解かれたのは異形の動きが最初だった。
『同時』に五条の背後に周った異形
それはコンマ1秒の差もなく元いた場所からかき消えて瞬間移動した
「同じ手に引っ掛かるかよ!」
それでも対峙するのは現代に生きる異能
呪力に反応する速度も動力も一般のそれを凌駕している。
異形から放たれた超重量の螺旋球を後ろ返りで回避した。
(何だ今の、引き寄せられる力が、、。俺の蒼と似たようなもんか?)
すかさず異形は
五条の背後に再び入り込んだ。
しかし、五条の次なる行動は回避ではなく迎撃
一度、攻略を見せているにも関わらず同じ手を使ってきたということは何かの対策を持ってきた可能性が高い。ならばその裏に周り攻撃を与えるが吉と判断をした。
「See you」
五条の蒼を乗せた拳が今、異形の頭蓋骨に、
その鉄拳は空を進む。
それよりも五条の驚きの原因は目の前の異形がとてつもないスピードで攻撃を回避したことにあった。自分の目では追えなかったがもしも呪力で強化した肉体能力なら踏み込んだ地面が綺麗過ぎる。と言うよりも異形だけがビデオ映像の倍速で動いていたような。
(やっぱり移動だけだ。攻撃は同時にできない。)
先の瞬間移動も今、行われた移動もそのスピードを活かした攻撃は大きな威力を持つはず。
術式の特性で攻撃が不可能ならこの状態にも説明がつく。
(まぁ、あの傑の呪霊が受けたアレだけ警戒しときゃいいか)
一層、異形からの視線の鋭さが尖ったいくのを感じる。
言葉を発さずとも理解できる激昂、ギアが上がる。
(呪力の減り具合からみてもそんなに瞬間移動、連発はできねぇだろ)
「グォオァァァァァァァ!!!!」
異形の咆哮と共に陣が形成され、そこから放たれた雷撃
龍の頭を模した雷は空を白く染め上げ五条に向けて走って行く。
それでも無限を越え五条に当たるには至らず、辺りの木々を焦がし尽くす。
その間に懐へと駆け寄る五条
「効かねぇよ!」
今度こその一撃
回避の術の暇も無く、五条の拳が炸裂した。
蒼を乗せた打撃は異形を吹き飛ばし、木々を薙ぎ倒しながらも
物理的にありえない減速を行う。
異形は目の前の魔法をことごとく無効化する男にわずらわしさを感じていた。
ならばと無効化しずらい接触する魔法へとシフトする。
時間停止からの即死魔法
まずは動きを止め、、、、
否
呪物、異形から見れば守るべき対象に何かが近づいている。
そして、その気が命取りとなる
この時、これを待っていましたと言わんばかり
五条は術式を異形に向ける
(やっぱ、呪物に近づくやつがいればそっちに気がいくよな!!)
無下限呪術
術式順転
出力最大
「蒼」
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頂上に近づく夏油
嘴から顔を覗かせ目的の呪物を捜索する。
しかし、それは呪力量に示せば居場所をすぐに特定ができた。
地上からの攻撃に最大限の警戒で注意しながら進む。
目の前にある祠。それはただ、木製の屋根と壁
扉を開けた中にあるビー玉ほどの赤い宝玉
雨風が古くから野晒しに当たっているのなら平安からのものはとっくに崩れ落ちていてもおかしくない。広葉樹が多い階層構造のためもあるかもしれないがそれよりも夏油の気を引くもの。
「封印がない?」
宿儺の指のように呪物を纏う封印の札が目の前の呪物にはない。
それ以上にやるべきことのある夏油
「まぁいい、早いところ壊しておくか」
特攻型の呪霊を出現させ、攻撃の命令を出す。
同刻、夏油の背後から声がかかる。
「夏油くん、どんな女がタイプかな?」
「?!」
「こんにちは」
「あ、、なたは」
「特級術師 九十九由基って言えば分かるかな」
日本に数えられるらほどしか存在しない特級の一人
任務も受けず奔放な自由人
誰彼構わず女性の趣味を聞く狂人
そんな人がなぜここに
「呪物の回収任務、私が請け負った」
「悟、、、五条がこの呪物が生み出した妖と戦っています。そちらの対処をしないと」
「あぁ、それね。彼なら大丈夫だよ」
九十九は何の躊躇いもなく回収対象の呪物を祠から手に取り手荷物に入れた。
「んんぅ、、、ま、いっか」
少し考えるような動作の後
九十九が取り出した物は水色と燻んだ青のグラデーションがかかった半透明の宝石だった。水晶の中には赤い光が這い出ようともがいているように見える動きで輝いていた。
それを掲げて唱える。
「
次の景色は澄んだ空と晴れた景色
いま、九十九が何かしらの呪具を使用した後に先ほどの森林から木が軒並み倒された場所へと一瞬にして移ったのであった。
「おっと」
立っていた足場も変わったことからバランスを崩しかける。
九十九由基があの呪具を使う際に放った言葉
テレポーテーション
そのまま、転移の意味だが
(呪術師が少ない英語圏にそのような呪具があるか?)
しかし、夏油の思考も転移した場所の状況により中断さぜるをえなかった。
五条が異形に攻撃を放った丁度だった。
その五条の視線の先には、薙ぎ倒された木々と土埃
それがはけた後に姿を見せるは
立ち上がる異形
夏油よりも直に戦った五条の方が驚きが大きかったのだろう
「はぁ?!まだ、生きてんのかよ!!」
すぐさま臨戦態勢に入る五条に対し九十九が言った。
「もう戦う必要はないよ。ボーイズ」
九十九が鈴木悟が込められている宝玉を異形へと翳した。
ブラックホールに飲み込まれてるがごとく異形はゆっくりと宝玉へ吸収され、完全に収まっていく。
「モンスターボールかよ」
「あっはっはっ、言えてるね」
夏油が燻る疑問を九十九にぶつけた。
「九十九さん、どうしてここに?」
「古からの縛り。それが解けてきたんだよ」
「縛り?」
「もともと、不死の身体を持っていたのが鈴木悟だ。それを絶ってまで何かの縛りを結んだんだろう」
「不死?よく知ってますね」
「ただの入れ知恵さ」
「……助けなんていらなかったでしょ」
「どうだろう、君が戦った怪物のHPでいうなら半分も削れてなかったんじゃないかな?」
「蒼を耐えられるやつなんて」
「まぁ、五条くんがこれの相手をしたのは正解だったねぇ。夏油くんなら瞬殺だったかも」
「ふぅ〜ん。てことだ。傑、これではっきりしたな」
「相性の問題だよ。気を落とすことはない」
「いや、落としてませんよ」
見てくれてありがとう!