まだまだ拙いですがよろしくお願いします。
聖王国編とても面白かったです。やっぱりシズの可愛さは正義
呪術総監部 平成18年6月25日
夜蛾学長殿
宮城県ーー市ーー町ーー村にて発見された未登録の呪術師についての報告、加えて調査任務要請
概要
宮城県ーー市ーー町ーー村にて準一級相当呪霊が発生
後述の未登録呪術師により討伐
通報により同氏を拘束後、事件の管轄を呪術機関に移動
未登録呪術師の獲得情報一覧
氏名 シズ デルタ
身長 145cm
年齢 不明 (推定14〜16ほど)
性別 女性
出身家庭 不明
生得術式 不明 (ライフル、ナイフを使用する姿を目撃者が証言)
対応
宮城県呪術調査所に連行
シズ氏への聴取の結果、自身の住居や発見までの経緯等の情報は不明
同氏が呪術界に協力的な姿勢を示し、同伴の呪術師の訪問を連絡
発見経緯
4月15日5時頃、宮城県ーー市ーー町ーー村ーー通りにて準一級相当呪霊が○○○ ○○氏、○○ ○○氏を襲撃。シズ氏により討伐後、近隣住民の通報により発見
要請
当総監部の元、準一級以上の位を一年以上保持する呪術師に宮城県ーー市ーー町ーー村への調査、そしてシズ氏の迎賓
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【今回の呪霊襲撃から生還した○○氏への映像インタビュー書き起こし】
[発生から数日後]
カメラのスイッチを押しインタビュアーは椅子に腰を掛ける
「では聴取を開始します」
○○氏が答える
「よ、よろしくお願いします」
「今回の件で目撃情報を集めているだけですから、あまり緊張なさらず、落ち着いてご回答なさってください」
○○氏が俯きながら答える
「はい」
「当日、あのことが起きる前まで何をなさっていたのですか?」
「私、あの日、彼に朝日を見に行こうって誘われて」
「交際相手の○○○さんですね」
インタビュアーが少し○○氏の発言におおいかぶるように言った。
「……はい。えーと、綺麗に見える隠れスポットを見つけたから行きたいってことなんですけど、朝4時ですよ?私も引越しで疲れてるし眠いしで1人で行って来なーて言ったらどうしても2人で行きたいてごねてぇ。まぁ結果、私も折れて重い足引っ張って着いていくことになったんですよ。そしたらいく途中に彼が苦しみだして」
「すみません。確認なのですが○○○さんが苦しみ始めたのは○○○さんと○○さんが発見されたあの通りで合っていますか?」
「はい、合ってます。なんか首をおさえて息苦しそうにしてました。で、すぐにもがくのをやめたらスイッと体が浮いていっていつのまにかいた怪物?みたいなのが食べちゃいました」
「怪物がいたのですか?」
「あ、嘘じゃないですよ。本当ですよ。ほんと!」
「いえ、疑っているわけではありませんよ。…ただ、その怪物を見て驚かれなかったのですか?」
「もちろん驚きましたよ。びっくりしました。すぐ逃げようとしたんですけど私もそいつのなんか伸
びる腕みたいなのが首に巻きついて取れなくて。で、あ、やばい私死ぬって思った時に音がしたんですよ」
インタビュアーが問う
「何が聞こえたんですか?」
「バババンって銃撃ったみたいな、まぁ撃ってたんですけど。ちっちゃな女の子がちょっと離れたところに立ってて」
「その女の子の容姿を伺ってもよろしいですか?」
「中学生か高校生くらいの背丈に桃色の髪で…片目に眼帯をしていて、ナイフと銃を持ってました」
「ありがとうございます。一致しています。その子に身に覚えはありましたか?」
「ないです」
「そうですか、分かりました」
「で、その子がパッて消えたと思ったら、私に巻きついてたやつを切ってくれて」
「消えた?というのは」
「文字の通りですよ。次の瞬間には…みたいな」
「な、なるほど、分かりました」
「で、持ってたナイフ使ってその怪物をグサグサ刺していって、倒しちゃったらその怪物の腹から○○○がまぁ案の定死体になって出てきました。」
インタビュアーは手持ちのボードに書き取り終えると
「そうでしたか。お辛い話を思い出させてしまい申し訳ございませんでした。それではここまでとさせていただきます。今回はありがとうございました」
「…はい」
以降重要性が低いと判断したため省略
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宮城県 ーー市ーー町ーー村
その日はポツポツと雨が降る肌寒い日だった。その女の子は山の中で見つけた。
外見は中学生か高校生くらいの年齢に薄い橙の長い髪をもち、ここらじゃ見ない顔で美しいという言葉が似合うような子だった。
その子はシズと名乗った。
「シズ デルタ」
無表情にただ機械的にそう答えた。
ギリシャ文字を聞くのは映画やゲームとかに出てくる特殊部隊なんかがコードネームをつける時ぐらいだったもんだから驚いた。どこから来たのか?どうしてここにいるのか?気になったことがたくさんあったが長い間、山の中にいたせいなのか彼女は泥まみれであり、一旦彼女を連れて家に帰ることとした。繋いだ手は金属のように冷たかった。
彼女の服の泥を洗っている最中、不思議に思ったことがある。彼女の服は使用感があるものの傷やほつれが一切認められなかったのだ。それほど素材に詳しいわけではないが丈夫な材料であることは簡単にわかった。
私のも一緒に服をハンガーにかけてからシズを椅子に座らせた。温かくした牛乳を二人分置いて初めの言葉を探す私、だが最初に口を開いたのは彼女だった。
「ありがとう。とても助かった」
ゆっくりと一文字ずつ丁寧に読み上げられたその文章は私の中でこの子を印象づける大きな材料になった。この村民が全て顔見知りのような空間で小さな共同体は相互扶助があたりまえの感覚になっている。賛美や見返りを求めていたわけではなくただ困っていたから自分のできる範囲で補助を行っていたにすぎない。それを踏まえると自分はここに迷い込んだ無関係者であるということを感じた。
「特に気にしなくていいよ。それより体はあったまった?あなたの話、聞かせてほしいな」
彼女は自分がとある人々に仕えていること、可能ならその人たちの元へ帰りたいこと、気づいたらあの森にいたことなどを教えてくれた。一般的な迷子の方が私が想像する分には楽だったのだろう。彼女の言っていることがさっぱりわからない。仕えているというその41人を挙げてもらったがあんころもっちもち様やぷにっと萌え様など到底、人名とは思えない名前がいくつかある。ゲームのハンドルネームじゃないんだから。住居であるナザリック地下大墳墓というものの特徴を聞き出すとパルテノン神殿のようなギリシャ系に似ているようだがインターネットで検索しても引っ掛からなかった。そもそも墳墓だし。内装の説明で溶岩や氷のエリアが出てきた時点でこの子のイタズラとも考えたが、彼女の純粋な情報の渇望を信じてもう少し調べてみることにした。
「うーむ、結構探してみたけど重要な手がかりなしかな〜」
「むむむ」
「知恵袋で聞いてみるか」
「知恵袋?とは」
「自分の質問をネットに書いて知っている人に答えてもらうの。もしかしたら知っている人がいるかもしれない」
彼女はその発言に何よりも早く反応した
「やだ」
少し今までとは毛色の違う機械的だった彼女の声に生が宿ったような意志を感じる声だった。
「あれ、どうして?」
「至高の方の1人がおっしゃっていた。情報は命、安易に漏らすべきでないと」
「あぁ、そっか、ごめんね余計なこと言っちゃって」
「気をつけること」
外の雨はすでに止んでおり、空が暗くなってきた。猫が家の周りで数匹鳴いている。
「うーん、そーだなー、ネットだと情報が限られてるから明日、図書館にでも行こうか」
「長い間、付き合わせて、申し訳ない」
自分のしょぼんな気持ちを抑えてまで彼女は言ってくれたと解釈して、私は少しクスッとなった。よかった。かわいいところもあるんだね。
「いいよ、今日は疲れたでしょ」
その夜は一緒に泊まった。
(明日にはシズちゃんの手がかりが見つかりますように)
そう願い、私はベッドに体を預けた。
翌朝、彼女の姿は布団の上ではなかった。
そのことを認識したと同時に耳に入ってくる外の騒がしさ。ただごとではない。戸を開けるとそれほど遠くないあたりに警察車両、救急車数台何かを囲むようにして止まっていた。野次馬をかき分けるとそこに佇んでいたのは血まみれのシズと2人の人物。うち1人は空いた口が塞がらない凄惨な姿であった。
(何がおこったの?)
目に入る光景が整理仕切れない私の姿をシズは見つけ、近づいてくる。俯きながら言った。
「迷惑をかけて申し訳ない。せっかく洗ってもらったのに汚してしまった」
「いや、そんなことより…」
「私のことは忘れて欲しい。多分その方がいい」
「どうゆうこと?」
「また、会いに来る。見つけてくれて、ありがとう」
充分な会話ができぬまま、彼女は駆けつけていた警察官たちに連れていかれた。私は事件の関係者として少しの聴取があったくらいでこのことはニュースなどにも上がらない。しかし、時間は残酷なものでシズのことを思い出す機会が自然と減っていった。丁度仕事の方も多忙な時期に入り、私は日常へと回帰していく。まるで夢でも見ていたような気分だった。
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車から降りて直に景色を見ると新たに発見することがたくさんある。
駅前に佇む小さなビルにつけられた電光掲示板が示す時刻と腕時計の示す時刻が1分違うこと。今、踏んでいる地面の隙間から雑草が少し生えていること。過ぎゆく人々の何人かが自分を一瞥していくこと。など、パッと気づくのはこんなところだろうか。
「では夏油さん、時間になったら電話で教えてください。近くの駐車場に止めておきますので」
ここまで送り届けてくれた補助監督がそれを伝え終えると黒色のカローラは去っていった。
最初の目的地はここから徒歩で数分。とある呪術師を迎えに行く予定だ。
【[シズ]彼女は準一級呪霊が非術師を襲った際にその呪霊を撃破。少なくとも二級以上の実力を持つとして現在は保護されている。身元は本人が話さないために一切不明。そして、呪詛師の疑いが晴れたことで呪術高専で預かることになった】
これが書類を見て得た私のこの件の大雑把な知識だ。突然、逃げ出す可能性があるから、私のような術師が保険として選ばれた。資料に目を通した感想はライフルとナイフが使用武器と記載されており、かなり現代風の装備を身につけている点が目を引く。基本的に呪霊には呪力のこもった武器でないと攻撃ができない。だから、呪具には日本に昔から存在するような武具が多い。元々、対呪術師用の装備というならまた別のことだが。どちらにせよ会って話してみないと分からない。事前の推察は大した意味を持たないだろう。
そんなことを考えていると目的地が見えてきた。駅からすぐのなんの変哲もないビル一棟、それが自分の目の前にある。こんな住宅街もそう遠くない地に危険度もわからない人物を保護しているのは少し無警戒がすぎるのではないかと思うが今、考えることではない。受付で用事を伝えるととある一室に案内される。そこはよくドラマで弁護士などの接見に使われるガラスが相手との間にある面会室だった。話す相手はすでに席に着いた状態であり、私が入ると同時に視線をこちらに向けた。
今回の件で私が迎えにきたシズ デルタ
彼女は赤金の髪をストレートにたなびかせ、片目にアイパッチ、もう片方の目は緑色の眼球が無表情に私を捉え続けている。メイド?のような服装はどこか異質な雰囲気を感じさせた。
「はじめまして、シズさん。僕の名前は夏油傑」
「ん」
「呪術高専というところから来たんだ」
「高専?」
「呪術を学ぶための学校さ。東京と京都に二校あって君が行くのは東京校だね」
「私は解放されるの?」
「あれ?そうだよ。聞いてないのかい?これからは高専生として色んなことを学んでいくんだ」
「学生…」
「どうしたの?」
「そこでは知識が手に入る?」
「まぁ、そうだね。呪術以外の科目もたくさんあるから」
「そこでは強くなれる?」
「うーん、個人差があるからはっきりとしたことは言えないけど、君にその気があるならきっとできるはずさ」
「いく」
「おぉ、それは良かった」
「んん」
「じゃあ、もうここを出ようか。何か用意するものはあるかい」
「…手紙」
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彼女は職員に連れられエレベーターから降りてきた。職員がシズを受け渡す。
「では夏油さん、あとはよろしくお願いします」
「はい、承りました」
職員は一礼ののち、小走りで去っていく。そして、このフロアにいる人物が自分とシズだけとなった。沈黙を打ち砕いたのはシズの方からであった。
「手紙を出しにいく」
「へぇ、それは誰に?」
「私を助けてくれた人間」
「あぁ、報告にのっていた非術師の方か」
「無事を伝えたい」
「……わかった。早速行こうか」
補助監督に連絡し、私たちはシズの目的地へと向かった。そして、移動中の車の中で私はとある問題に苛まれていた。基本的に非術師と術師は接触に制限はない。しかし、それはもちろん呪術を口外しないことが前提の話だ。シズがわざわざ呪いの存在を話に行くとは思えないが、今回のケースだと事件の関係者にシズが会うこと自体が許されないものとして扱われる可能性が高い。私の役割としてそうゆう危険を排除しておくのもその内だろう。私はそれをしなかった。
(バレた時どう言い訳をするかな)
そんな私に構わずシズは話しかけてくる
「夏油傑、なんと呼べばいい?」
「ん?うーん、なんでも構わないよ。夏油でも傑でも、好きに呼んでくれ」
「なら夏油」
「じゃあ、君を呼ぶときはシズでいいかい?」
「よい」
「ではシズ、質問をするけど…君はどうして助けたんだい?」
「夏油、それはどうゆう?」
「君が呪霊を討伐するとき、はじめに襲われていた人を救出したそうじゃないか。危険じゃないかい?捕らわれていた人に構わず、呪霊に攻撃する選択肢もあったはずだ」
「私はとある方々に仕えている」
「?」
「そのうちのお一人が仰っていた。『誰かが困っていたら助けるのは当たり前』と」
「それは、……そうだね。その通りだ。とても…いいことだ」
「当たり前。あの方々たちが仰ることはいつも正しい」
「ははっ、そうか。でも仕えているだなんて言ってよかったのかい?報告書にそんなことは書かれていなかった。君は自分のことに関して話すことを渋っていたようだけど」
「御方々のお一人がこう仰っていた。『情報は独占してこそ意味がある』」
「なるほど。じゃあ、私は君の敵ではないと認めてもらうために頑張らないと」
「うむ、努力、すべし」
補助監督は会話の隙を伺って到着したことを伝えた。降りるとそこは日本ではよく見られるような住宅街だった。石垣で囲われた家が道路に沿って続いており、落ち着いた雰囲気を感じさせる。例の非術師が襲われた場所も近いからか人は今のところ見当たらない。呪霊のことは情報が出回らないようにされているが、やはり噂ならどこまでも広まってしまう。私はどこに彼女の目的地があるのかは知らないため、シズが動くのを待った。彼女は辺りを見回した後、一方向に視点を定めて向かっていく。
「シズ、言っておくけどこれから君が会う人とはその手紙以降に関わらない方がいい。両方のためにもね」
「…理解している。迷惑をかけた。これ以上は…よくない」
「申し訳ないが仕方のないことなんだ」
「ん、じゃあいく」
降りた場所から家までは大した距離ではなかった。ついた場所は白色を基調としたとても綺麗な外観だった。備え付けられた車庫には車が二、三台ほど入るような空間があり、木製の柵の隙間から家屋と同じ面積を持つ庭が見えた。周りの家と比べても数段大きいそれは異質感をも醸し出している。また、郵便受けにははみ出るほどのチラシや手紙などの紙類がぎっしりと詰まっており長く家を開けているのかとも推測させた。
(いないのならそれはそれで好都合か)
私はとある仮説を持っていた。
呪霊に限らず呪術関連の情報は一般市民に対して制限がかけられている。それは呪霊が関わる事に関しては警察などよりも優先して呪術界が行動できるほどだ。本来、野次馬などが集まっても少数だったり、夜でよく見えなかったり、呪霊が見えなかったりで情報が広がる心配はなくなる。しかし、今回の事例では、シズという呪術師でないものの登場によってイレギュラーな事態を引き起こした。シズは今回シズを助けた非術師と事件発生直後に少しコンタクトをとっていたのだろう、野次馬がいる中で。呪霊の見えない非術師たちが呪霊に殺害された人とシズを見た時、何を思うだろう。そして、その人物が街の住民と話していたら。飛躍した話かもしれないがありえないことではない。村の小さなコミュニティでは団結力がある一方、疎外も生まれやすい。それは大きな不和となり亀裂が生じる。自分はその答えがこの溢れたらんとする郵便受けな気がしてならない。
(杞憂で終わることを祈るよ)
私が思考をめぐらすなか、シズは郵便受けにどう手紙を入れるか格闘している最中であった。早く用事を済ませよう。鉢合わせでもしたらどうしようか。
次の瞬間、目の前に立つ扉は開かれる。
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昔から山が好きだった。小さいころ、お父さんに連れていってもらったのが私の初めての登山。500メートルくらいの山だったけど、まだ体の小さかった私にとってそれは世界最高峰への旅みたいなものだった。最後の方はお父さんにおんぶしてもらってたかな。たどり着いた山頂は写真で見るよりずっと鮮やかで繊細で美しいと感じた。そのことはいまでも鮮明に覚えてる。
高校は登山部に入った。入った当初は日本百名山、全部登ってやる!とか息巻いてたけど途中から失速してた。今思えばなんでだろう。体育の授業だと楽しいけど部活だとだるいみたいなものかな。そこでは[登山の夢の達成は未来の私に譲ります]ってしちゃったけど、登山に対する気持ちは消えたわけじゃなかった。
大学では登山に関する人脈が広がったことが私にとって大きなことだった。入ったインカレの人数が多くて友達もたくさん増えたし、色んな人に出会って、いろんな山に登った。私の人生の中で一番登山してる!なのはこの時なのかもしれない。大学後半は就活で忙しくてあんまり覚えてないな。それから東京の企業に就職したから地元からは離れて社会の荒波に飲まれていった。仕事休みに東京付近の山に出かけることができたから新鮮な空気を吸いによく登山へと足を運びに行ったのを覚えている。仕事と登山の疲れで次の日はとんでもないことになったけど(笑)
数年後、私はある村に引っ越した。どこにでもあるような村だなんて村のみんなは言うけれど私にとっては日本に二つとない素晴らしい村だった。…あ!この前振りだと村の住人が素晴らしかったみないな話になっちゃうか。いや、村の人はいい人だよ!いい人たちなんだけど。
他に引越した理由がある。この村は北から西にかけて山が続いている。まだ、未舗装のところが多いけど山頂の景色は自然を一望できる唯一無二のもので小さい頃のあの景色を思い出すくらいには綺麗だと感じた。私の知り合いの登山家たちはたくさんの山を登ることが目的で一度登った山はもう興味がないみたいな雰囲気の人が多かった。もちろん、否定はしないけど私の考えとは少し合わない。一つの山にそれぞれの遷移があって年中顔を変えながら生きている。それを感じる登山が好きだ。この村の山たちは季節や時間によって色んな顔を見せてくれる。私にとっては天国みたいな場所だった。
村の中では除け者扱いをされてしまうのかと当時はビクビクしてたけど、意外すぎるほど快く私を受け入れてくれた。私も高校までは田舎住みだけど上京して長く、都会人への偏見があるのかと怖がっていた。偏見を持ってたのは私の方だったというオチだね。田畑の手伝いや地元の交流があるくらいで今までの生活と同じように不自由なく過ごせていた。住民として受け入れてもらっていた。
しかし、どうやら壊れてしまったみたいだ。
あれ以来、ありもしない噂が私の周りを飛ぶようになった。出来事ひとつで全てがこんなにも変わるのか。近所の子供たちが私のペットの犬たちと遊びに訪れていたうちの庭にも今は寄りつく人がいない。行き交う住民も私の姿を目に入れたくないように避けていく。圧倒的な孤独だった。
みんなが怖がっているだけなのは知っている。突如起きたら殺傷事件、犯人と思われる不明な少女と関わる私。危険人物とは関わりたくない。そんな心理が生み出した疑いはいつまでも晴れそうにない。何より味方となってくれた人がいなかったのが大きいだろう。家に落書きをしたりなどの積極的な排斥はしないが見て見ぬ振りをする大多数、多くが身の危険を案じて避けることを選んだ。我ながらなんと交流の薄かったことだろう。
『助けなければよかっただろうか』
シズは私が知り得た限り、悪人ではないと思う。あの事件も何かの理由があって…
いや、忘れよう
そう思うのは私が弱いからだろうか。逃げていると後ろ指を刺されるだろうか。
私には何かできることはない。一つの夢みたいなものだった。そう思うことにした。
こうすればいくらかは…
「久しぶり」
突然のことだった。いつもの出勤日に家を出た前にはシズがあの時から何も変わらず、突っ立っていた。付き添いを名乗る夏油なる男が言うには事件においてシズはなんの関わりもなく罪に問われるようなことは一切ないとのこと。これからは東京のとある学校に引き取られ暮らしていくそう。
「無事でよかった」
安堵の気持ちは私を埋め尽くすのにそう長い時間をかけなかった。
「犬がいる」
シズは庭の方からのぞいている犬たちを見て言った。
「ん?あぁ、そう2匹飼ってるの。あの時は気づかなかった?」
シズはしゃがんだのち、両手を広げると犬たちが自然とシズの方によっては抱きしめられた。
「もふもふ、可愛い」
今まで見たことのないような笑顔を浮かべ、シズは抱きしめ続ける。
「ごめんね。もう仕事行かなくちゃ」
「うん、いってらっしゃい」
「…シズ、あのさ、もしよかったらこの村の思い出として北の神社によってみて。絶景だから」
「絶景…」
「そう、ちょっと階段がきついけど、人がとんでもなく小さく見えるほど広く長く見渡せるの」
「おぉ」
もう出発しなければならない時間となり私は少し早足になって車庫に向かう。その途中言い忘れたことがあり、ふりむきながら発する。
「西の道から入ると近道だよ!少し道が古いから行くなら気をつけてね!」
車庫の扉の前で手を振ると相手も振返してくれた。
「バイバーイ」
運転席に座り、鍵を刺す。私はエンジンをかけた。
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⚪︎⚪︎村 北側 神社方面山道
北の神社への道のりは想像以上に過酷なものであった。道とされているが人が進むには怪しい狭さであったり、今にも砕け散りそうな脆い階段に体を預けなければならなかった。最初は道を間違えたかと思ったが看板の矢印は私たちが行く道を正しく指し示していた。まさに獣道。そう形容したかった。そんな中でもシズは荒い息を吐くことなく平然と進んでいた。この任務の中、自分の考えが変わったわけではないが私は一つ吐露する。
「ぶっちゃるけどさ。私は、君の監視役なんだ」
「うん」
無表情で単調な返しであった。私は続ける
「保護という名目で危険人物の監視を私は任せられた」
「予想はついてた。それ言ってよかったの?」
「いや、バレたら罰則だね」
「ポンコツ」
「ははっ、ぐうの音も出ないな。でも、何も思わないのかい?」
「相手のことをよく知らないまま対立するのは危険。私も警戒する」
「…同感だね。まぁ、これからのこと、、」
山を登る際、オーソドックスなものとしてダムが水を堰き止めるように木の棒や板で土を押し上げ、押し上げられた土を人がふむ床として利用するタイプのものを見ることがが多いのではないのだろうか。これまでの道のりはそのような階段が多かった。加えると、少なからず足をふむ場やそれを支える土台なんかも人の作った木でできた階段があったのだ。階段を登ったり降りたりすることは階段の耐久性をある程度信用しているからできること、私はそんな原則を安全のための柵も仕切りもないこの場所でいささか採用しすぎたようだ。脆く砕け散った階段の柱を見て私はそれを考えた。
左右のバランスを失った私の体は左へと大きく傾き、簡単に山肌へと接触
否
それは相対する力によって停止された。私の腕を掴むシズの手によって落下は防がれたのであった。少女とは思えない力を発揮した彼女はそのまま、私を元の足場へと戻す。
「ポンコツ2回目」
彼女はまたしても無表情に発した。
「あぁ、ありがとう。迂闊だったよ」
仮に落下したとしても呪霊操術を用いたり、それがなくとも自分の体は傷がつかないだろう。しかし、それはただ単に彼女の厚意をむげにしてしまう。
「柱が脆かったのかな」
「どうする?帰る?」
「頂上まであと少しだし気をつけて行こう。帰ったら自治体に報告かな」
「了解」
そこから数分、私たちは目的地に到着した。あったのはかなり年季の入った建物であり、立地と村の人口からある程度の予想はついていたが神主のいない神社ということであろう。経営不振や後継者不足など原因は様々あるがせっかく来たのだ。私はお賽銭を入れた後、言われた絶景を探した。しかしパッと見ただけでは木々の身長が高いこの場所で該当する場所はありそうにない。
「夏油〜」
シズが離れた場所で手をふっている。どうやら見つけたようだ。
「ここ」
シズが指を刺した先にあったのは街全体を見下ろせる光景であった。街をこえ奥の山々までもが滄溟のように輝いている。全能感を感じさせ、ありとあらゆるものが美しさを発していた。今はギラギラとした太陽が照っているが夜もまた、別の顔を見せるのだろう。
これは圧巻される。来た甲斐があった。
「きれい」
「あぁ」
「いい思い出になった」
「…シズ」
「何?」
「君はこれからどうするんだい?高専にいってから何がしたい?」
「強くなる。そしてあるべき場所に帰る。絶対に」
「そこまでのものなのか…」
「当たり前、私の意味」
彼女の瞳には決意ではなくもはや決定や決断の類が宿っていた。気圧されるほどの絶対的意思を感じる。私を見つめるその少女は言ったのだ。
「アインズ様いつか必ず」
アインズ様?あれれおかしいな?
以下個人的感想
シズがナザリックのことペラペラ話しすぎな気もする
今回なんか話わかりにくいなと思って起きたこと書きました。
シズがとある人(以下a)に発見される
カップルであるbとcが呪霊に襲われシズが助ける
シズ保護後、夏油が取りに来てaに手紙をだしにいく
aに会い神社の景色を勧められて途中夏油が転ぶ
補足
今回は一般人とユグドラシルのnpcとの関わりが書きたくて…
aはシズとの関わりを持ったことで村八分ほどではありませんが少しだけ距離を置かれるようになり
ニュースも呪霊やシズのことは報道しないことや少し大きな家に住んでいるために何か都合の悪いことを隠しているんじゃないかなんて根も葉もない噂も広まる。そして、村人から差出人が不明の手紙が多く届くようになり中には村から出て行けなんてひどいものも。傷心したaは郵便受けを確認しなくなりシズのことが心配な気持ちもあるけれど忘れたい気持ちもある状態という妄想をしています。私の文章力がガガンボなので表現できず(悲)
ちなみに夏油が転んだ階段はbcカップルの彼氏が彼女を殺そうと思って作ったトラップです。
次回はモモンガたちのお話の予定。いつになることやら…
ご指摘、ご感想大変助かります!