アサルトリリィ「船田怒編 -The Lily Hills-」   作:アイナll

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御台場迎撃戦の3話目です。
サブタイトルに深い意味はありません。


5話 御台場迎撃戦ー開門

『依奈、聞こえる?第二部隊の天葉よ』

 

「えぇ。問題なく聞こえているわ」

 

『千華から巣なしのアルトラ討滅作戦を預かってるから国際展示場にすぐ来て』

 

「分かったわ」

 

 巣なしのアルトラの討滅と聞いてその場に緊張が走る。アルトラ級との交戦経験なんて誰も持っていない。

 

 

 

 そう。みんな不安なのだ。

 

 なのにどうしてだろう…私だけ笑みが溢れてしまう。

 

 

 

 移動中。光壁システムの塔から警報が辺り一帯に響き渡り、光の壁が消えた。これで避難民が御台場から出ることができる。

 

『こちら第五部隊の遠野捺輝。私、梓氣、英里彩の3名がこれより戦線に復帰します』

 

 突如、第五部隊から連絡が届く。

 不祥事から一時、戦線離脱していたメンバーが復帰する知らせだった。

 

「いよいよ最終決戦って感じだナ!」

 

 チームメイトの復帰に梅が微笑む。全員ではないのが悔やまれるが、彼女達の分まで戦うと心に誓った。

 

 

 

「おーい!貞花ー!」

 

 国際展示場が見えてきた。

 目標となったのは貞花と冬佳がイチャイチャしているところだった。そういうのは家でやりなさい!

 

「全員、揃ったな」

 

 第二部隊、第三部隊が全員、第五部隊が8名の総勢29人ものリリィが終結していた。

 “男子三日会わざれば刮目して見よ”とは良くいうが、作戦前は不安な顔で溢れていた面々も、アルトラ級との戦いを前に堂々としていた。中には一皮も二皮も剥けたリリィもいそうだ。

 

 

 

 あぁ、戦いたいな…

 

 

 

 って!何考えてんだ!集中集中!

 

「船田怒、聞いているか」

 

「もち☆」

 

「なら先ほどの作戦を復唱してみよ」

 

「アルトラ級の討滅には大人数でのノインヴェルトが求められるから、第三・第五部隊で露払いとパス回し、トドメを第二部隊がやる」

 

「細かいところが抜けているが…まぁそんなとこだ。緊張するのは良いことだが、気負うのは悪い。今のうちに発散しておけ」

 

 アルトラ級の監視をしている御台場女学校から、アルトラ級はもう少しで動き出してしまう。しかし、ケイブなどにマギの供給をしていたため、激しく消耗している“今”が一番の好機となる。

 

 

 

 そう。今が、一番“楽しめる”

 

 

 

「では作戦通り、各隊出撃!」

 

 まず、第三、第五部隊が先行して敵を引きつけながら若洲公園前ケイブへ向かった。私以外の部隊が。

 なぜ私が置いてけぼりになったのか。それは出撃前にまで遡る。

 

 

 

「怒。あなたは御台場に来てから妙に昂ってない?」

 

「へ?」

 

 きっかけは治の何気ない一言だった。

 

「あ!それはちょっと分かるかも」

 

「え?」

 

「なんか張り切り過ぎとも違う…もっとこう…」

 

「ルナティックトランサーを使っている時の船田姉妹みたいな感じ?」

 

「「そう!それ!」」

 

 治の言葉に乗っかったのは蛍と槿。最初に違和感の正体に気づいたのは治だった。

 

「でも怒は初や純みたいな共感現象は持ってないのよね?」

 

「ないよ」

 

 自分自身でも気がついてない違和感にみんなと一緒に首を傾げる私。

 

「じゃあ何と共感してるんだろ」

 

 うーん…と全員で頭を傾げる。とりあえず私も首を傾ける。

 

「どちらにしても、今の怒は大きな戦力です。現に、重力干渉型ギガント級の重力下でも十分な戦闘ができていました。おそらく、アルトラ級討伐の切り札(ジョーカー)になり得ると思います」

 

「なら誘導の第三部隊よりアルトラ級と直接戦闘をする第二部隊にいた方が良さそうね」

 

「千香瑠…依奈…」

 

 千香瑠のアイディアに依奈が乗り、私は第二部隊に移籍する運びになった。

 

「なら私が下がるわ」

 

「麻嶺?!」

 

 手を挙げたのは第二部隊に所属している柳都女学館の天津麻嶺だった。

 

「もうみんなのCHARMには改修したし、できることは少ないかな〜って。それに、あの依奈が認めたリリィなら第二部隊を任せられるわ」

 

 あら嬉しい。

 

「この戦場を戦い抜いた実力を見込み、船田怒を受け入れる」

 

 きゃっ…///照れちゃう

 

 こうして、第二部隊と第三部隊間で天津麻嶺と船田怒のトレードが行われた。

 当然、両隊の隊長は納得の下行われている。隊長は、納得している。

 

「やったー!怒、よろしくね!」「貞花、暴れないでね」

「よろしく。怒」「いつも一緒なのに、懐かしく思うわ」

 

 貞花、都々里、天葉、冬佳はチームメイトとして歓迎してくれていた。

 

 

 

『では、発進します』

 

 時は戻り作戦行動を開始した現在。

 

 巣なしのアルトラの討滅作戦はこう。

 第三、第五部隊の正面突破組が若洲公園前のケイブを討滅。その間、第二部隊は防衛軍のガンシップで若洲公園へ向かい、アルトラ級と対峙。

 ケイブを討伐後、19人でノインヴェルト魔法球を作り第二部隊に届けてくれる。それを私たちでブチ込む。

 

 今は防衛軍のガンシップで若洲公園に向かっている最中だった。

 

「あれ?CHARM変えた?」

 

 ガンシップで移動中。隣に座った貞花は私のCHARMをまじまじ見る。

 

「麻嶺がくれたの。選別にって」

 

 麻嶺が巣なしのアルトラ級と対峙する私に渡してくれたCHARM。形は純姉ちゃんが使っているフルンティングに似ているが、形状としては初姉さんのネイリングが近い。

 メインは抜刀してブレードで戦い、鞘に収めたままでも大剣として使えれる。一撃の破壊力を最大限に高める専用のユニーク機。名前は付いていない、無名のCHARM。

 

『リリィの皆さん、降下ポジションに付きました』

 

 飛び立ち、わずか数十秒。御台場の最北端の海側エリアに来た。後方のハッチが開き、飛び降りれるようになっている。

 上空をうごめいていた飛行型ヒュージはガンシップが近づくのを察して押し寄せてきた。

 

「総員、降下!」

 

『御武運を』

 

 隊長であるアルテア・アレッサンドリーニの号令で第二部隊は続々と降下していく。

 私達を見届けて防衛軍のガンシップははなれていく。

 

「あれが…巣なしのアルトラ…」

 

 

 

(ドクンッ!)

 

 

 

 凄まじい眼光だった。全長100メートルは裕に超えており、ほっそりとした人型で肌が白く深海魚のような異形な姿をしていた。巨大な両手にはヒレのような膜が張られている。

 

 

 

(ドクンッ!!)

 

 

 

 アルトラ級に気圧されている間、周囲の大地から次々とヒュージの大群が溢れてきた。グンタイアリのスモール級ばかりか、ラージ級ばかりかギガント級まで紛れている。

 

 

 

(ドクンッ!ドクンッ!!)

 

 

 

『GYUUUUOOOOOOOOOOO!!』

 

 

 

「このアルテア・アレッサンドリーニが道を開く!」

 

 

 

(ドクッ………)

 

 

 

「ジャマ スルナ!』

 

 

 

 突如、船田怒は斬りかかった。

 

 その刃はヒュージではなく、アルテア・アレッサンドリーニに向いた。

 

「何を、」

 

「ジャマダ」

 

 無名のCHARMからブレードを抜き、アルテアを斬る。

 ミュルグレスで受け止め鍔迫り合いになるが、怒に薙ぎ払われる。

 

「くっ、何をする!」

 

「…」

 

 信じて受け入れた仲間に刃を向けられたアルテアは激昂する。しかし船田怒は意に介さなかった。彼女の眼中どころか思考にはアルテアは存在せず、その眼と鋒は巣なしのアルトラに向けられていた。

 

「怒…?」

 

 天野天葉は友でありライバルでもある船田怒の急な豹変に戸惑いを隠せなかった。

 

「天葉危ない!」

 

 怒に気を取られた一瞬にグンタイアリのスモール級が天葉へ襲いかかるが、そこへ貞花が斬り入る。

 

「怒の事は私もワケが分からないよ。でも、今はそれどころじゃない!」

 

 友がどんな姿になろうとも一瞬の油断を許さない状況だということを再認識させられる。

 今が火事場の正念場なのだ。




サブタイトルに深い意味はないと言ったな。

あぁそうだ大佐…

あれは(半分くらい)嘘だ…

ぁぁぁぁあああああぁぁ
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